財政用語(財政指標)について

財政指標について

 財政指標は、決算数値から自治体の財政状況を測る「ものさし」のようなものです。

財政状況をどのような観点に立って測るかによって、さまざまな指標があります。

 ここでは代表的な指標について、説明します。

 

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財政収支の均衡はどうか

形式収支

 歳入決算総額から歳出決算総額を差し引いた歳入歳出差引額のことです。ここが正の値になると歳入>歳出ということになり、いわゆる「黒字」ということになります。

 逆に、歳入<歳出となれば、1年間にかかった費用をその年度の収入で賄えないということになり、いわゆる「赤字」となります。

実質収支

 形式収支から、翌年度に繰越した事業の財源を控除した指標のことです。この指標はこれまでの累積黒字(赤字)を示します。

 

 形式収支との違いをおおまかにまとめてみます。

 

 形式収支 = 歳入総額 - 歳出総額

 

 実質収支 = 歳入総額 - 歳出総額 - 繰越した事業の財源

 

 形式収支の中には、翌年度に既に使い道が決まっているもの(=繰越した事業の財源)が含まれていることがありますので、翌年度に自由に使えるお金をいくら残したのかが分かりません。

 実質収支という指標は、繰越した事業の財源を控除しますので、翌年度に自由に使えるお金をいくら残したのかを測ることができます。

 

 たとえば、形式収支で3億円の黒字だったとしても、そのうちの2億円の使い道が決まっているとすれば、翌年度に自由に使えるお金は1億円しかありません。いわゆる黒字の額について見たときに、3億円と1億円では大きな開きがあります。

単年度収支

 実質収支からその前年度の実質収支を引いて求められる指標です。

 実質収支は前年度以前からの収支の累積ですから、その影響を控除した単年度の収支を示します。

 

 単年度収支 = 当該年度実質収支 - 前年度実質収支

 

 n年度の実質収支が3億円の黒字、n+1年度(次の年度)の実質収支が1億円の黒字であった場合、両方とも黒字とはなりますが、n+1年度では実質収支(累積黒字)が3億円から1億円に減ってしまっていますから、n+1年度の単年度収支は2億円の赤字となります。

 これは、n+1年度中に発生した歳入では、その年度中に発生した歳出をまかなうのに2億円足りなかったということを示します。

実質単年度収支

 単年度収支から、実質的な黒字要素(財政調整基金への積立額や市債の繰上償還額)を加え、赤字要素(財政調整基金の取崩し額)を差し引いた指標のことです。

 

 実質単年度収支 = 単年度収支 + 黒字要素 - 赤字要素

 

 単年度収支は歳入と歳出の差に着目した指標ですから、財政的にプラスに作用するもの(黒字要素)とマイナスに作用するもの(赤字要素)が混ざったものになっています。それらを整理し、より正確に単年度の収支を示したものが実質単年度収支という指標です。

 

 黒字要素と赤字要素についてもう少し説明します。

 財政調整基金への積立は、歳出として積立金を計上する(お金を使ったものとして計上する)ので、歳出総額はその分増えることになります。歳出が増えれば、単年度収支は減って見えますが、基金は市の預金のようなものなので、積み立てたとしても手持ちの現金が預金に変わるだけですから、市の資産が減るものではありません。こうした資産の増減がなかった場合の当年度の実質的な収支状況をとらえるため、これらを黒字要素として整理し、実質単年度収支という指標を導いています。

 逆に基金を取り崩した場合は、作用方向は逆ですが資産の動きとしては積立と同じことですので赤字要素として整理します。

 市債の繰上償還についても、これからの債務を先に支払ったものですから、将来の負担を前倒しで支出したことになりますので、懐具合的には黒字に作用します。

実質収支比率

 市税などの使いみちを決められていない収入に対する、市の累積黒字または累積赤字の割合を表します。

 

 実質収支比率 = 実質収支 ÷ 標準財政規模 × 100

 

財政の規模や財政力はどうか

標準財政規模

 市が標準的な水準の行政活動を行う上で、必要とされる一般財源の総量(規模)のことです。普通交付税の算定過程で導かれる数値で、全国統一の基準で算定されます。

財政力指数

 財政力の「強さ」を表します。

 どの自治体でも行う戸籍事務などの行政サービスに必要な支出(基準財政需要額)に対する、その自治体が自前でまかなえる市税などの収入(基準財政収入額)の割合の過去3年間の平均値です。

 この数値が大きいほど財政力が強いとされ、単年度の財政力指数が1以上のときは、普通交付税の不交付団体となります。

歳入の状況はどうか

自主財源比率

 自主財源比率とは、自主財源が市の収入全体に占める割合を示した指標です。自主財源比率が高い(=自主財源が多い)と、それだけ財政基盤の安定性と行政運営の自立性が高いと言えます。

(※自主財源とは市が自主的に収入できる歳入のことで、市税や分担金・負担金などです。)

歳出の状況はどうか

経常収支比率

 市税など使いみちを決められていない収入のうち、経常的に歳入されるもの(経常一般財源)に対する、その自治体が経常的に支出しなければならないもの(経常経費)の割合を示します。

 経常収支比率は財政の「ゆとり」を表すもので、数値が低いほどゆとりがあるとされます。

 

 経常収支比率 = 経常経費充当一般財源 ÷ 経常一般財源総額 × 100

市債の状況はどうか

公債費比率

 財政構造の弾力性を判断する指標の1つで、市税など使いみちを決められていない収入のうち、市債の返済に使われる額が標準財政規模に占める割合を示します。

 この割合が低いほど財政構造に弾力性があるとされます。

公債費負担比率

 市税などの使いみちを決められていない収入(一般財源)のうち、市債の返済に使われる額がどれくらいの割合を占めるかを表す指標です。一般的には15%が警戒ライン、20%が危険ラインとされています。

 公債費比率との違いは、割合計算の対象が標準財政規模か一般財源総額かというところにあります。

起債制限比率

 市債が過大とならないよう一定の制限を設ける時に用いられる指標です。

 市税など使いみちを決められていない収入のうち、市債の返済に使われる額が標準財政規模に占める割合の過去3年間の平均値です。

実質公債費比率

 市債などを含めた市の債務の返済状況からみた財政の「健全さ」を表します。

 市税などの使いみちを決められていない収入に対する返済金(補助金などの特定財源で充当されているものを除く。)の割合の過去3年間の平均値です。

 起債制限比率との違いは、下水道事業などを含んだ市全体の債務を対象としていることにあります。

 なお、この比率が18%以上になると市債の借入れについて許可が必要となるなど、市債に制限を設ける指標として用いられているほか、実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率とともに、財政健全化法に基づく健全化判断比率とされます。

 

 (この説明は「財政の健全性はどうか」と重複しています。)

財政の健全性はどうか

健全化判断比率

 平成19年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により公表される、財政の健全性を測る指標です。

 健全化判断比率は、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率の4つの指標から構成され、それぞれに早期健全化基準(いわゆるイエローカード)と財政再生基準(いわゆるレッドカード)が設定されています。

 この基準を超える団体には、指標の公表とあわせて早期健全化計画・財政再生計画・経営健全化計画の策定が義務付けられるなど、財政破たんの前に、自主的に健全化を図る枠組みとなっています。

実質赤字比率

 健全化判断比率の1つで、一般会計等(≒普通会計)の実質赤字が標準財政規模に占める割合を示します。

算出式は次のとおりです。

 

 実質赤字比率 = 一般会計等の実質赤字額 ÷ 標準財政規模

 

 一般会計等の赤字の額が、その市町村の財政規模からみて過大かどうかを測ります。ここでの実質赤字とは、歳入から歳出と翌年度へ繰り越すべき財源を差し引いたとき赤字となった場合の額のことをいいますから、実質収支が赤字の場合と考えて差し支えありません。

 赤字ではなく黒字の場合にはこの指標は算出されず、 「-」と表記されます。

連結実質赤字比率

 健全化判断比率の1つで、市全体の実質赤字の合計が標準財政規模に占める割合を示します。

算出式は次のとおりです。

 

 連結実質赤字比率 = 市全体の実質赤字額 ÷ 標準財政規模

 

 市全体の赤字の額が、その市の財政規模からみて過大かどうかを測ります。

 実質赤字比率との違いは、対象範囲が一般会計等(≒普通会計)ではなく、市全体であることです。

 ここでの市全体とは、一般会計や特別会計、企業会計といったすべての会計のほか、一部事務組合や第三セクターなども加えた範囲を指標の対象としています。

 実質赤字比率と同じように、黒字の場合にはこの指標は算出されず、 「-」と表記されます。

実質公債費比率

 財政健全化法に基づく、健全化判断比率の1つで、市債などを含めた市の債務の返済状況からみた財政の「健全さ」を表します。

 市税などの使いみちを決められていない収入に対する返済金(補助金などの特定財源で充当されているものを除く。)の割合の過去3年間の平均値ですが、起債制限比率と違いは、下水道事業などを含んだ市全体の債務を対象としていることにあります。

 なお、この比率が18%以上になると市債の借入れについて許可が必要となるなど、市債に制限を設ける指標として用いられています。

 

 (この説明は「市債の状況はどうか」と重複しています。) 

将来負担比率

 一般会計等が将来負担すべき債務が標準財政規模に占める割合のことで、将来負担すべき実質的な負債の程度を示します。

 将来負担額とは一般会計等の地方債現在高、債務負担行為(土地建物に係るもの)の支出予定額、特別会計等の公債費に対する繰出見込額、退職手当支給予定額及び土地開発公社等の負債の合計額をいいます。

 つまり、市が今後負担すべき将来にわたっての負担額について、その市の財政規模と比較したとき過大かどうかを測る指標です。

早期健全化基準と経営健全化基準

 健全化判断比率に設けられた国の基準(判定ライン)として、「早期健全化基準」と「財政再生基準」の2つが設けられています。

 基準以下(健全) → 早期健全化基準 → 財政再生基準 の順に健全性が失われていくとされ、早期健全化基準は「イエローカード」、財政再生基準は「レッドカード」とも例えられます。

 健全化判断比率が早期健全化基準以上になった場合は、自主的な改善努力による財政健全化を図るため、財政健全化計画の策定が義務付けられます。

 また、公営企業の資金不足比率が、健全化判断比率の早期健全化段階にあたる「経営健全化基準」以上になった場合は、公営企業ごとに経営健全化計画を策定することが義務付けられます。

 いずれの計画も、外部監査、議会の議決、公表及び県への報告が必要となります。さらに、毎年度、実施状況の議会報告、公表、県への報告などを行うこととされています。

財政再生基準

健全化判断比率に設けられた国の基準(判定ライン)として、「早期健全化基準」と「財政再生基準」の2つが設けられています。

 基準以下(健全) → 早期健全化基準 → 財政再生基準 の順に健全性が失われていくとされ、早期健全化基準は「イエローカード」、財政再生基準は「レッドカード」とも例えられます。

 実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率のいずれかが国の定めた「財政再生基準」以上になった場合は、自主的な財政健全化は困難とみなされ、国などの関与による確実な財政再生を図るために、財政再生計画の策定が義務付けられます。

 この計画の策定に必要な手続きは早期健全化基準のときとほぼ同様ですが、一定の国の関与や地方債の起債制限(総務大臣の同意を得ている場合でなければ、災害復旧事業を除き、地方債の発行ができなくなる)などの措置が講じられます。

 

 

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この情報に関するお問い合わせ先

総務部:財政課

電話番号:0465-33-1312

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