病理診断科・臨床検査科

最終更新日:2019年09月09日


臨床検査科

部門概要

臨床検査(科)部門は、病院診療棟の2階にあり、臨床検査受付と生理検査室受付に分かれています。常に患者様とお話しながら検査するよう心掛けておりますので、お気軽に声をかけてください。検査部門は、常勤医師1名(臨床検査科専属)、臨床検査技師27名、非常勤臨床検査技師7名(スタッフ紹介参照)の体制で、検査・診断業務を行っており、臨床検査科専属の常勤医師(主任部長)とともに病理診断科の主任部長も臨床検査科の主任部長を兼務しています。

検査業務は『病理検査』、『生理検査(内視鏡検査を含む)』、『検体検査(細菌・微生物検査を含む)』の3つに大別されますが、臨床検査技師はこの3つの検査部門をローテーションしながら緊密な連携をはかり、幅広い医療知識の取得や診断精度の向上に努めています。検査技師は検査の目的や検査結果の意義などを患者様や臨床医と共有できるように、安全管理委員会、転倒対策部会、医療保険委員会、治験審査委員会、診療録管理委員会、防災安全対策委員会、救急委員会、感染対策委員会、がん検診運営委員会、化学療法運営委員会、輸血療法委員会、臨床検査委員会、栄養サポートチームへも積極的に参加しています。また、院内の臨床病理検討会(CPC)、癌患者様の症状や状態及び治療方針等を意見交換・共有・検討・確認するためのキャンサーボードという検討会を含む院内・外の各種の勉強会にも医師や看護師などとともに参加し、検査・診断結果の医療との関わりなどを熟知するようしています。

当部門では臨床検査機器のメンテナンスや日々のデータ管理に加え、日本医師会臨床検査精度管理調査、日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査、神奈川県精度管理調査の外部精度管理調査にも参加しており、日本臨床衛生検査技師会および日本臨床検査標準協議会によって検査値は標準化され、検査精度も厳格に管理されていることが証明されています(精度保証施設認証 第18-0253号 期間2018年4月1日~2020年3月31日)。
所属医師と臨床検査技師

検査内容

病理検査部門

この部門の臨床検査技師は主に細胞診断の一次検査、組織診断及び細胞診断用の標本作製、病理解剖の介助を行っています。
細胞診断は体の一部、あるいは体から排出された細胞をガラスに塗りつけて、色付けをして顕微鏡で観察し、どのような細胞(病気)があるかを判定します。細胞診断では国家認定を受けた細胞診断検査に携わる臨床検査技師(日本臨床細胞学会認定細胞検査士)が、細胞診断標本全体をくまなく観察しますが、これを初期判定検査と呼び、最も重要な診断過程で、それをさらに病理医(日本臨床細胞学会認定専門医・指導医)が最終診断して、より正確でわかりやすい診断報告を迅速に行っています。
支給頚部癌の細胞診断の写真
下左のグラフは2017年の1年間の当院の細胞診断判定の割合を示したものです。良性が60%、良性と悪性の判断が難しい境界の病変が26%、悪性が12%で、1年間で約400件が悪性(癌)と診断されていることになります。下右のグラフは当院の細胞診断での臓器別の癌の割合です。最も多いのは肺癌で、2位はいろいろな臓器の癌が胸やお腹のなかに転移した状態で貯まってくる癌性胸水・腹水で、3位は乳癌です。2017年の厚生労働省の死因統計によると、死亡原因の第1位が癌で、その中で男性の癌の第1位、女性の癌の第2位が肺癌ですので、当部門での細胞診断の臓器別の癌の統計結果とよく一致しています。
当院の細胞診断判定の割合(2017年度)
当院の細胞診断における臓器別癌の割合(2017年度)

組織診断では病理検査室に届いた体の一部(組織)を次のような手順で検査します。下の写真の左上は大腸癌の摘出検体で、中央の赤で囲んだ所が癌です。切除された大腸を良く観察し、大きさなどの記録や写真撮影等を行います。次に、写真上中央の黄色い線に沿ってナイフで切り、ガラスに載せることができるように小さくします(写真右上)。さらに、小さく切った組織の一部をロウで固めて、下写真中央のように特殊な機械で薄く切ります(写真右下)。その厚さは通常2~3μm(1μmは1/1000 mm)で、ティッシュペーパーの厚さの約1/10ですので、いわば職人技といえます。それをガラスに貼り付けて、色をつけて左下の標本が出来上がり、この標本を顕微鏡で観察して診断します。
標本作製過程
細胞診断・組織診断の標本作製は、日本病理学会/日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師、日本臨床病理学会認定二級病理検査技師が行っています。
検査技師がロウで固めた組織を薄く切る様子
検査技師による作製したガラス標本の品質チェックの様子

病理検査室の検査技師は免疫染色という現代の病理診断には無くてはならないのような特殊な染色も行っています。免疫染色とは組織標本の中にある特定の蛋白質の場所を目で見えるようにするための染色方法です(写真下)。
免疫染色の様子
※上記「免疫染色の様子」の差し替え前の画像は、平成31年(2019年)3月末から令和元年(2019年)6月6日までの約2か月間、熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学講座のホームページ画像を無断掲載しておりました。
 関係者の皆様及び当ページを閲覧していただいた皆様に、多大なるご迷惑をおかけしましたことに、謹んでお詫び申し上げます。
 今後このようなことがないよう、チェック体制の強化を徹底して参ります。

生理・内視鏡検査部門

心電図検査

心電図検査は心臓が動く時に生じる電気を体の表面から記録する検査ですが、身体に電気を流して『ビリッ』とするようなことや痛みを伴うようなことはありません。不整脈や狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気の診断に役立ちます。安静状態で記録する安静時心電図検査ではベッドに仰向けに寝ていただき、両手首・足首、胸部の電極を付け、身体の力を抜いて楽にしている間に短時間に検査を行います。

ホルター心電図検査は日常生活(24時間)における心電図を小型の携帯型心電計(名刺サイズ)で記録する検査です。不整脈の中には一日中続いているものもあれば、一日のうち数分だけ出るようなものもあります。病院で安静時の心電図をとっている時に不整脈が出れば診断がつくのですが、そういう機会には恵まれないこともあります。このような一過性の不整脈を診断するには、1日の心電図を連続記録するホルター心電図検査が最適です。胸に電極を取り付け、携帯型心電計を腰にベルトで装着後帰宅していただき、翌日、心電計をはずしに来院していただきます。身体に電気を流したり、痛みを伴うようなことはありません。
心電図検査を受けられるかたに
ホルター心電図

下の写真のようなスポーツジムにあるようなベルトコンベアなどを使って心臓に負荷をかける運動負荷心電図なども行っています。徐々に速くなったり、坂道になったりするベルトコンベアの上を歩いていただくことによって心臓に負荷をかけ、安静時には分からない不整脈や心臓病などの診断を行います。
運動負荷心電図の様子

呼吸機能検査

肺の容量や空気を出し入れする肺の機能などを調べる検査で、喘息、慢性(閉塞性)肺疾患をはじめとする肺の病気が疑われる場合やその状態を知る検査です。マウスピースという筒をくわえて、出来るだけ大きく息を吸ったり吐いたりします。患者様に協力していただくことで正確な検査が出来ます。
呼吸機能検査の様子
睡眠時無呼吸症候群の診断のための検査も行っています。睡眠時無呼吸症候群は眠っている間に呼吸が止まる病気で、10秒以上の無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。寝ている間の無呼吸にはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推定されています。この病気が深刻な理由は、寝ている間の無呼吸が私たちの日常生活に様々な影響を及ぼし、気付かないうちに様々な危険が生じている可能性があるからです。
睡眠時無呼吸症候群

脳波検査

脳に発生する電気信号の変化を頭皮の上に置いた電極から記録する検査で、頭皮の電極は発生している電気信号を記録するもので、頭に電気が流れることはありません。この検査はけいれんや意識障害の原因、脳障害や睡眠異常の診断などに用いられます。
脳波検査機器

超音波検査

人の耳に聞こえない超音波と呼ばれる音波を体に当ててその反響を映像化し、体内の病気の有無やその症状などを調べる検査です。心臓、腹部(肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓など)、乳腺(下図)、甲状腺、血管等の超音波検査も検査技師が医師の指導のもと行っています。
検査技師による乳腺超音波検査の様子
検査技師施行超音波検査件数(平成29年)
  心臓 腹部 乳腺 甲状腺 頚動脈
検査件数 2,236 1,183 655 178 136

血圧脈派(足関節・上腕血圧比)検査

両手・両足に血圧計を巻き、心電図の電極、心臓の音を探知するマイクを装着します。手足の血圧の比較や脈波の伝わり方から、動脈硬化(血管の老化など)の程度や血管のつまりなどを評価できます。
血圧脈派検査の様子

重心動揺検査

この検査は『めまい』や『ふらつき』の程度などを調べる検査で、立った状態での体の重心の動きを測定し、体のバランスを保つ機能である平衡機能の障害の有無や部位の推定ができます。ヒトは立った姿勢を保つために、視覚や耳の奥(内耳)で得た情報を脳・神経に集め、筋肉に適切な指令を送ってバランスを保っていますが、この指令系統の異常をこの検査で見つけ出します。
重心動揺検査

内視鏡検査

先端にカメラが付いた柔らかく曲がる管を、口から挿入して食道・胃・十二指腸あるいは気管・気管支を、肛門から挿入して大腸の内腔を観察する検査で、膵臓や胆管などの検査にも用いられます。一般的に観察する場所により食道鏡、胃内視鏡、大腸内視鏡、気管支鏡などと呼ばれ、おのおの管の太さは少しずつ違っています。当院では、臨床検査技師が医師・看護師とのチームで内視鏡検査を行っており、内視鏡下の処置・治療もサポートしており、適切な内視鏡の洗浄・消毒と洗浄履歴管理を行い、内視鏡を介した患者様の感染予防にも努めています。
内視鏡検査室の様子
直腸腫瘍の内視鏡切除の様子
血を吐いたりした患者様で、できるだけ早く出血の原因を突き止めるためなどに行われるのが緊急内視鏡検査で、出血を緊急に止める治療も同時に行うことがあります。検査技師は診療時間外(夜間)の緊急内視鏡検査に備えて、毎日オンコール体制で対応しています。
緊急内視鏡検査の内訳(平成30年1月~12月)
上部(食道・胃・十二指腸)内視鏡検査 膵・胆管内視鏡検査 下部(大腸)内視鏡検査 総件数
止血 異物除去 その他 閉塞解除(ドレナージ) 止血 整復 その他
19件 1件 11件 9件 8件 2件 10件 60件

検体検査部門

一般検査

主に尿検査を行いますが、他に便、腹水、胸水、髄液なども検査します。尿は血液によって全身から運ばれてきた体内の不要な成分が、余分な水分とともに排出されたもので、体に異常があると尿中に不要な成分が排出されなかったり、排出されてはいけない重要な成分が尿に出てしまいます。このような体の異常を探るために尿の性質や成分を調べるのが尿検査で、尿中の蛋白・糖・血液成分などの有無や顕微鏡で尿中の細胞や結晶などを同定します。

血液検査

血液中の赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン量などを測定して調べる検査で、顕微鏡で血球形態の異常や異常細胞などの有無も観察しています。血液凝固検査では、出血時に血液を凝固させる作用に異常があるかを調べています。
血液像検査の様子
骨髄穿刺検査では、胸の中央にある胸骨あるいは腰にある腸骨に針を刺して、骨の中にある骨髄組織を採り、それをガラス上に薄く広げて染色した後、顕微鏡で観察します。これにより、貧血の原因や血液のがんに当たる白血病にみられる異常細胞の同定などを行っています。

輸血検査

輸血は各種の病気、手術、外傷などの治療において、患者様の赤血球、血漿、血小板などの血液成分が不足した際にそれぞれを補うために行われます。当部門では、輸血用血液製剤の発注から保管・管理と主に全自動装置を使用した検査までを一元管理しています。ABO・Rh式血液型と亜型精査、不規則抗体スクリーニング・同定、直接・間接クームス試験、交差適合試験を行っており、24時間体制で緊急時にも迅速に対応しています。
輸血製剤

血液生化学検査

血液中の赤血球、白血球、血小板などの有形成分を除く無形成分(血清)中の物質を化学的に分析する検査で、血清中には体内の環境を整える働きがある蛋白や糖をはじめ様々な酵素など、生きるために欠かせない物質が含まれています。そのため、生化学検査は病気の診断や治療に関係する各種の酵素、電解質、脂質類、血糖などを最新の自動分析機を駆使して測定しています。
生化学自動分析装置による検査の様子
検査値に関する情報は、下記の「検査値のみかた」をご覧ください。

検査値のみかた  PDF形式 :134.8KB


免疫血清学的検査

感染によってできた血液中の抗体の有無や量を調べる検査です。人間の体には体内にない細菌やウイルスなどが外部から侵入してくると、抗体という物質を作り、体を守ろうとする働きがありますので、体内に侵入した抗原に対する抗体を調べれば、病気の感染の有無がわかります。当部門では肝炎や梅毒などに感染すると血液中に現れる特殊な蛋白質の検査や細胞が癌化すると血液中に現れる特殊な蛋白質(腫瘍マーカーと呼ばれています)や体内のさまざまなホルモンなどの検査を行っています。

細菌・微生物検査

患者様から採取された検査材料(喀痰、尿、便、血液など)から、感染症の原因となっている微生物を検出し、さらにその微生物に有効な治療薬剤を調べています。検査材料は患者様の症状に応じていろいろな部位から採取されます。例えば、喀痰から肺炎・気管支炎、尿から腎(盂)炎・膀胱炎、便から大腸炎、耳漏から中耳炎などの診断を行います。

一般細菌検査では、まず、塗抹検査で検体をスライドガラスに塗って染色し、顕微鏡で細菌の有無、量、色、形態を観察します。次に培養・同定検査で検体の種類に応じた寒天培地(菌の発育に必要な成分を溶かしたもの)を選択し、適切な環境で培養を行って、菌が目に見える大きさの塊(コロニーと呼びます)となって発育していきたところで、その形態や性状などを詳しく調べて菌の種類を決定します。最後に薬剤感受性検査として、感染症の原因となっている菌にどのような薬剤が効くかを調べます。この検査は感染症の治療に用いる薬剤を選択する上で重要です。
黄色ブドウ球菌の検査の様子
抗酸菌検査(抗酸菌検査)は塗抹検査、結核菌群遺伝子検査であるLoop-Mediated Isothermal Amplification (LAMP)法を用いた結核菌群遺伝子検査を行っています。LAMP法は結核菌群の遺伝子を増幅し検出する検査で培養検査に比べて短時間での結果報告が可能です。インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどの感染の有無については操作が簡便な専用のキットを用いて、短時間で結果を報告しています。迅速検査は早期に感染症を推定することができ、周囲への感染を予防するためにも重要です。また、院内感染対策の一環として、院内環境の細菌検査を行なったり、薬剤耐性菌の検出状況を臨床医に提供しています。

検査実績

平成29年度の各種検査件数を下に示します。患者様の診療に役立つように、正確な検査技術や精度を保ちながら、数多くの検査を行っています。
検査項目 総件数
一般検査 302,218
血液検査 500,199
生化学・免疫検査 1,259,711
輸血検査 2,407
心電図検査 9,905
ホルター心電図検査 347
超音波検査 7,752
肺機能検査 1,119
足関節・上腕血圧比検査 762
脳波検査 480
トレッドミル検査 171
睡眠時無呼吸検査 25
細菌・微生物検査 26,710
結核菌遺伝子検査
(Loop-Mediated Isohermal Amplification法)
445
平成29年度の各種検査件数を下に示します。患者様の診療に役立つように、正確な検査技術や精度を保ちながら、数多くの検査を行っています。
年度 検体検査
件数
細菌検査
件数
生理・内視鏡
件数
学術研究会・講演会
発表件数
紙上発表
件数
実習生
受け入れ
人数
日本医師会
臨床検査精度
管理調査
(点数)
院外 院内
H21 1,691,864 20,541 22,091 2 13 3 3 99.8
H22 1,845,958 23,573 22,977 1 15 3 2 99.8
H23 1,745,241 23,936 22,779 7 17 4 3 99.7
H24 1,863,313 22,720 26,164 7 17 1 3 99.7
H25 1,907,226 21,902 24,711 8 22 1 12 99.1
H26 2,043,904 20,728 25,308 11 9 8 5 99.1
H27 1,964,804 21,004 23,588 9 8 2 5 99.8
H28 2,089,722 25,072 24,021 9 6 4 2 99.8
H29 2,064,535 26,710 23,497 4 8 0 3 98.6

スタッフ紹介

現在(2019年4月)、臨床検査部門のスタッフは常勤臨床検査技師27名、非常勤臨床検査技師7名で構成されています。
平成21~29年までの9年間の臨床検査部門の主任部長、臨床検査技師長、臨床検査副技師長、常勤・非常勤の臨床検査技師数を下に示します。
年度 主任部長 技師長 副技師長 常勤技師
(人数)
非常勤技師
(人数)
H21 長谷川 章雄 松下 幸康 高橋 秀之 20 4
H22 長谷川 章雄 松下 幸康 高橋 秀之 20 9
H23 長谷川 章雄 高橋 秀之 本間 奈緒美 20 8
H24 長谷川 章雄 高橋 秀之 本間 奈緒美 21 9
H25 長谷川 章雄 高橋 秀之 本間 奈緒美 21 9
H26 長谷川 章雄 金子 和裕 本間 奈緒美 高田 明子 堀井 薫 22 10
H27 長谷川 章雄 金子 和裕 本間 奈緒美 高田 明子 堀井 薫 22 12
H28 長谷川 章雄 金子 和裕 本間 奈緒美 高田 明子 堀井 薫 23 10
H29 三富 弘之 金子 和裕 本間 奈緒美 高田 明子 堀井 薫 28 8

小田原市立病院

〒250-8558 神奈川県小田原市久野46番地 電話:0465‐34‐3175ファックス:0465‐34‐3179

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