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2014年08月25日(月)

「ういろう」にて「天王祭舞楽」特別公演

1号線沿いの「ういろう本店」の威容1号線沿いの「ういろう本店」の威容
「ういろう」は、小田原市の1号線沿いに城と見紛う威容で本店を構えている老舗薬屋である。京都の外郎(ういろう)家は、室町幕府や朝廷の公家たちと親交があった。外郎家の一族が、戦国時代の北条早雲に乞われて、京都から小田原へ移り住んだ。京都の外郎家は京都祇園祭の「蟷螂山」を制作したが、静岡県森町の山名神社山王祭には、外郎家とつながりのある「蟷螂(とうろう:カマキリ)舞」が伝わっている。7月19日に、遠州森町の蟷螂舞が、「ういろう」駐車場の特設舞台で披露された。
山王祭舞楽の「八初児」の舞山王祭舞楽の「八初児」の舞
山王祭舞楽公演
最初の舞台は、『八初児(やつはち)』の舞である。続いて『鶴』の舞、『龍』の舞、そして『蟷螂』の舞と続き、最後は『優填獅子(うでんじし)』であった。それぞれの舞は、小学生から高校生までの子どもたちが煌びやかな衣裳をまとって舞台に立ち、お囃子に合わせてゆったりとした動作で舞楽を舞った。
山王祭舞楽の「蟷螂」の舞山王祭舞楽の「蟷螂」の舞
『蟷螂』の舞
「蟷螂」の舞は、頭に蟷螂を形作ったかぶり物を乗せて舞う。蟷螂の鎌には紐が繋がっていて、舞い手が紐を引っ張ると、蟷螂は鎌を持ち上げて威嚇のポーズをとる「からくり」が仕込まれていて、見ていても楽しい舞であった。京都の祇園祭の蟷螂山でも鎌が動き、子どもたちに人気があるそうである。
小田原文化の広がり
「ういろう」は、小田原で450年の歴史を誇っている。京都と繋がっていた小田原外郎家は、京都文化の伝達者でもあった。遠州森町とのつながりもその一つである。当日は、曇り空の途中から雨が強く降りだして、急遽テントを舞台に張っての公演となったが、200人以上集まった観客は帰ろうともせず、最後まで舞台を見守っていた。森町の蟷螂舞の特別公演は、小田原文化の持つ奥深さとその広がりを感じることができた機会でもあった。(深野 彰 記)

2014/08/25 15:07 | 歴史

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