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2014年08月29日(金)

「もう一つの七夕」・盧溝橋事件77周年記念のつどい~鬼から人間へ~ 人間再生の合唱組曲。 感動の1時間。

総勢40名の混声合唱で謳う、「再生の大地」合唱団のみなさん総勢40名の混声合唱で謳う、「再生の大地」合唱団のみなさん
    「再生の大地」合唱団
 市民運動のチラシで「再生の大地」という合唱団の公演を知り、初めて参加した。同日の午前中は中国大使館にて合唱を披露。夜は会場を移しての公演。2010年に結成された合唱団。作詞は大門女史、作曲は安藤氏。中国の各地にも何度か訪問し、公演し友好の為の交流を続けている合唱団である。とくに去年の訪問の際は中国中央テレビの取材を受け、「70歳台の老人の合唱団が千里の道を超えて、中日友好のために中国を訪れた」と紹介され中国の主要都市で公演の模様が放映されたとのことであった。
朝顔の花と「前事不忘、後事之師」が刺繍されたタペストリー朝顔の花と「前事不忘、後事之師」が刺繍されたタペストリー
■撫順戦犯管理所 「前事不忘,後事之師」(前のことを忘れず後の戒めとする)
 1950年、シベリアに抑留されていた約1000名の捕虜が戦犯として「撫順戦犯管理所」に収容された。1956年、瀋陽の軍事法廷で起訴された45人を除いて全員が釈放された。故周恩来氏の寛大なる人道主義に貫かれた指導のもとでの処遇と、管理所職員の対応から、数々の残虐非道な行為を中国で行ってきた日本の兵士たちの心の変化をテーマに12曲から構成されたのが「再生の大地」という合唱組曲である。
憮順のあさがおの苗憮順のあさがおの苗
 
 全員釈放の際、管理所の職員から「日本へ帰ったら幸せな家庭を築いてください」、「こんど中国へ来る時は武器ではなく花をもってきてください」との願いを込めて手渡されたのが「朝顔の種」であった。鬼から人間へ。人間としての再生を果たした兵士たちとそれを献身的に支え続けた戦犯管理所の職員たちとの6年間に渡る心の交流は「撫順の奇跡」として語り継がれ、そのシンボルが赦しの花、「撫順の朝顔」として今に伝えられる所以である。
つぼみ。もうすぐ開花つぼみ。もうすぐ開花
■しめくくりに会場の全員で合唱した「撫順の朝顔」
 合唱の最後の曲「撫順の朝顔」では、プログラムに同封の楽譜と歌詞を見ながら、立ち見も出た会場満席の150名以上の入場者全員で大合唱。歌い終わると同時に1分近く大きな拍手が鳴り響き、感動の渦に包まれた。ハンカチで涙を拭く人、鼻をすする人などがあちこちに現れた。
 姫田団長は挨拶で「いま日中関係が最悪の状況である。だからこそ、若い人たちも我々の背中を見ているはず。日中戦争の正しい歴史認識を伝えることと、友好関係を広め、深めるために団員一同合唱を通じてひき続きがんばっていきたい」との力強い表明があった。
 帰りがけにカンパして譲ってもらった朝顔の苗がちょうど1月後に開花した。歌詞のとおり葉はハート型で色は深い藍色である。
8・7開花第1号です!8・7開花第1号です!
 来年は朝顔の種を知人たちにも配り、小田原・箱根地区で咲き誇るのを私自身夢見ている。さらに来年は戦後70周年となる節目の年でもある。合唱の中で繰り返し中国語で歌われる「前事不忘、後事之師」(チェンシーブーワン、フォーシージシー)のフレーズが今でも耳から離れない。この言葉の意味を噛み締め、日本人として再度戦争の歴史の事実を正しく学び直し、また年長者から正しく受け継ぎ、さらには子や孫の世代に正しく引き継ぐことが今、我々の世代(67歳)以上の日本人全員に求められている義務であると痛感した。 (18.3mm角の折鶴)

2014/08/29 13:45 | 歴史

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