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2017年12月19日(火)

音楽アウトリーチ事業・和太鼓コンサート

小田原市立桜井小学校小田原市立桜井小学校昨年10月に開催された歌唱に引き続いて、今年も桜井(さくらい)小学校でアウトリーチが行われました。今回は、和太鼓の演奏です。このアウトリーチは、小田原市文化部文化政策課が実施している「平成29年度 小田原市文化創造活動担い手育成事業」の一環です。小田原では昔から地域の祭礼行事等で小田原囃子などの太鼓演奏が、盛んに行われています。しかし、今回のアウトリーチでは、「和太鼓コンサート」と銘打っています。太鼓とコンサート? ちょっと異質な印象です。プロ太鼓奏者による大小様々な太鼓のコンサートを聴いて、子どもたちはどう感じるのでしょうか。それでは、音楽アウトリーチ事業の現場からのレポートです。


桜井小学校のアウトリーチ

「千の海響」演奏「千の海響」演奏11月24日(金)に実施された音楽アウトリーチ事業の会場は、小田原市立桜井小学校の屋内運動場でした。桜井小学校は、小田原市の最も北側に位置している小学校です。小田急線栢山駅に近いこの地は、二宮尊徳先生の生誕地です。校庭には、金次郎の像と尊徳の教え「積小為大」の石碑があります。

「千の海響」演奏「千の海響」演奏当日は良い天気で、体育館の中まで日の光が、さんさんと差し込んでいました。時間になると、4年・5年・6年生の約300人が体育館へ入ってきて、舞台前に整列して座りました。子どもたちの後には参加する保護者のためにパイプ椅子が用意され、10人ほどが参加されていました。

演奏とあいさつ

厳しい眼差しで演奏する厳しい眼差しで演奏する太鼓コンサートの演奏者は、「英哲風雲の会」のメンバーです。英哲風雲の会は、太鼓奏者の林英哲氏の音楽に共鳴する若手奏者による太鼓ユニットです。現在は数十名が参加していて、その都度グループが編成されて、日本各地、更に世界各地でも演奏を行っているそうです。今回は、はせ みきた、田代 誠(たしろまこと)、辻 祐(つじ たすく)各氏の3名がグループを編成して演奏してくれました。
メンバーが登場すると、すぐに大太鼓の演奏が始まりました。中央の最も大きな太鼓と手前に据え置かれた中太鼓を使った演奏で、曲名は「千の海響(せんのかいきょう)」です。3人の姿は、前から見ると肩が出ているランニングシャツを着ている様ですが、背中側がたすき掛けになっている衣装(腹掛)、下はたっつけ袴に、白地下足袋です。太鼓を打つのに動きやすい服装にしているのでしょう。両足を大きく開き、グッと腰を落としてバチを太鼓に打ち据えます。両肩から腕にかけての筋肉が盛り上がり、太鼓を打つには逞しい身体が必要なのだと分かります。


太鼓の話とデモ演奏

太鼓の皮の説明太鼓の皮の説明最初の演奏が終わると、あいさつと自己紹介がありました。小田原にご縁のある方々です。「はせ」さんが、太鼓の構造や特徴を説明してくれました。太鼓の皮は牛皮だそうです。大太鼓や中太鼓では、木をくり抜いた胴に皮を鋲で固定します。

締太鼓の組紐の結び締太鼓の組紐の結び一方、締太鼓(しめだいこ)は、木を寄せた胴に、組紐で皮を固定しています。組紐の縛り方は、独特な結び方で、形も日本的な美しさがあります。とても強く締め上げるので、ちょっとやそっとでは、動きません。それだけの強さが求められるのでしょう。

「中太鼓」のデモ演奏「海幸」「中太鼓」のデモ演奏「海幸」太鼓の種類ごとに、デモ演奏が行われました。中太鼓はちょっと小ぶりの太鼓です。太鼓の両側に演者が立って、バチを打ち据えます。息の合った動きで「海幸(うみさち)」が演奏されました。

「桶太鼓」のデモ演奏「山幸」「桶太鼓」のデモ演奏「山幸」桶胴太鼓は、桶のように板を丸く組み上げて胴を作り、皮を紐で固定しています。桶太鼓は、演者が肩にかけて、ピンクの飾りが付いたバチを持った3人が、「山幸(やまさち)」を演
奏しました。

ドラムのような演奏「陽炎」ドラムのような演奏「陽炎」締太鼓の紹介の後、桶太鼓と締太鼓を演者の前に据えて、ドラムのように演奏されました。曲目は「陽炎(かげろう)」です。激しく打たれて響き渡る太鼓の音は、大気に伝わって、身体全体を振るわせます。その強い振動は、耳の鼓膜を震わせる音と云うよりも、身体全体を揺さぶる音の力そのものを感じます。それは、雷鳴や海鳴り、地響きのような、人間を脅かす大自然の生々しい大音量の力の再生なのでしょう。太古の昔から、人間は太鼓を叩くことで自然のもつ霊力を蘇らせようとしたのかもしれません。


体験コーナー

体験コーナー体験コーナーいよいよ、小学生たち自身が太鼓に触れる「体験コーナー」です。各学年2名ずつ6人が選ばれて、大太鼓と桶太鼓を叩きます。太鼓を打つには、「ドンドコ ドンドン ドン・・・」とリズムを覚えると、身体が自然に動くようです。最初は、こわごわ打っていた子どもたちも、すぐにリズムにのって調子よく太鼓を打ち始めました。腕を大きく振って、大きな音を出せるようになり、最後は両腕を振り上げてキメのポーズが決まりました。二組目が体験するときには、フロアーの子どもたちも一緒になって腕を振って「エア太鼓」を楽しんでいました。


最後の曲

演奏「三絶」演奏「三絶」あっという間に時間が過ぎて、最後の演奏となりました。曲目は「三絶(さんぜつ)」です。大太鼓と中太鼓を三人で打ちました。やはり大太鼓の音は大迫力です。体育館の建物全体が一緒に震えているようでした。演者の姿を見ていると、相撲の立ち合いのように、大きく足を踏み出し腰が入っています。日本人が古代から力を入れるときに取る姿勢であることが分りました。その姿は、太鼓に全身全霊を注ぎ込んでいるように見えました。このアウトリーチが、単なる太鼓演奏会ではなく、「太鼓の音を体感するコンサート」と名付けた意味があると思いました。


遠くで太鼓の音を聴く機会はありますが、目の前で生の太鼓の振動を体感する機会は、そうあるものではありません。アウトリーチ事業は、子どもたちが身体で実体験することで、豊かな感性を身につけられる貴重な機会になっていると感じました。(深野 彰 記)

2017/12/19 10:23 | 音楽


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