小田原市

所信表明・施政方針

平成23年度施政方針(平成23年2月16日)

平成23年小田原市議会3月定例会が開会し、平成23年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たりまして、施政に対する私の所信の一端を申し述べ、議員各位をはじめ市民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

世界的な経済危機を引き起こしたリーマンショックから2年以上が経過し、わが国の経済は回復傾向にあるとは報じられているものの、私たちが日々の暮らしの中で実感できるまでには至っておりません。そして本市におきましても、この経済危機の影響を受け、極めて厳しい財政状況が続いております。

 

一方では、解決すべき課題が山積し、いまだ先行きの見えない状況でありますが、本市が抱えている課題や市民の皆様が直面している課題をより普遍的な形で解決する仕組みをつくることで、この状況を改善していくことにつなげてまいりたいと考えております。幸いにも本市は、国内でも屈指の素晴らしい地域資源と恵まれた環境を有しており、持続可能な地域社会のモデルとしての姿を体現し得る条件を十分に備えております。

 

私は市長就任以来、市民の力・地域の力を土台とした様々な取組に着手してまいりました。そして、こうした取組を通じて小田原を良くしようと情熱を持ってまちづくりに参画してくださる方、あるいは地域活動に貢献したいと考えておられる方は潜在的に多数存在し、市民による自主的・主体的な活動が着実に広がりを見せていることを実感しております。

 

平成22年度は、小田原が有する地域資源に着目し、10のテーマで取り組んでおります「無尽蔵プロジェクト」が具体の動きとして活発化してまいりました。「ウォーキングタウン小田原」では、清閑亭を拠点としたウォーキングイベントや多彩な芸術文化活動などが繰り広げられ、活況を呈しております。「食の小田原」では、子どもから大人までが一緒になって安全な食を生み出す教育ファームづくりが進み、いくつかの商店街では地元の新鮮な野菜が購入できるマルシェ(市場)が開催されるようになりました。「ものづくり・デザイン・アート」では、地場の伝統工芸の担い手と、新しく小田原で活動を始めた工芸・芸術の担い手との交流が始まりました。「小田原ならではの住まいづくり」では、家づくりやまちづくりにおける木の活用についての検討が進められております。それ以外にも小田原を舞台に内外を問わず民の力が小田原を元気にしようと動き始めました。

 

このように、新しい小田原の枠組みづくり、あるいは実質を形成する様々な事業やチャレンジが着実に動き出したところであり、これまでの地道な作業が一斉に成果として表れてきたものと認識しております。

 

本市は昨年、市制施行70周年を迎えました。そして今、ステージは新たな段階へと移ってまいります。そこで、本年を「新しい小田原への進化の年」と位置づけ、第5次小田原市総合計画を着実に推進してまいります。

2 市政運営に当たっての基本方針

人口減少、少子高齢化、市税収入の減少、経済活動のグローバル化、地球温暖化の進行など、本市を取り巻く環境は激変しております。持続的に地域が発展していくためには、この大転換期をどのように乗り切っていくかということを市民一人ひとりが真剣に考える必要があります。

 

私たちはまさに、それぞれの内なる知恵と力を出しあって、いのちの大切さや、家族や地域の絆など生存の根本を支える部分をしっかりと築くとともに、この地域に希望と活力を取り戻さなくてはなりません。私たち自身の可能性や小田原の可能性を信じ、この直面する困難な状況をむしろ成長のための機会として捉えることで新たな取組に果敢に挑戦し、時代の転換期にかなった新しい小田原への進化を果たすときであります。

 

現在、本市の財政状況は極めて厳しく、一方では市民生活にまつわる公共的機能へのニーズは増大の一途であり、この需給ギャップを埋めていく必要があります。同時に、本市が豊富に有している多彩な地域資源を掘り起こし、磨き上げるべき局面にあります。

 

地域主権改革が進められる中、地方行政に携わる者の責務は今まで以上に重くなってまいりました。財政の健全化と行政サービスの水準を維持しつつ、時代の流れに適応した自律した自治体として成長していくための方策をまちづくりに関わるすべての人々が一丸となって考えていかなければなりません。

 

これからのまちづくりは地域を構成する多様な主体が連携・協働し、地域のことは地域で決め、自らの意志で実行することで市民自治が実現するものと考えております。そのためには、市民の力・地域の力を大いに発揮していただく必要があり、様々な公共的機能を市民や地域の皆様にも担っていただき、共に地域社会を支えていく協働の形をつくり上げてまいります。

 

そして、人々の価値観が多様化する中、自然、歴史、文化、産業など先人から受け継がれてきた素晴らしい財産を地域の誇りとして守り、豊かな地域資源を原動力としてまちづくりを進めることにより、郷土愛に満ちた心豊かな地域社会をつくり、いつまでも小田原に住み続けたいと思っていただけるようなまちをつくってまいります。

 

第5次小田原市総合計画の基本構想に掲げる3つの命題「新しい公共をつくる」「豊かな地域資源を生かしきる」「未来に向かって持続可能である」を常に意識し、将来都市像である「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現に向け、全力を傾注してまいります。

3 平成23年度の重点方針

第5次小田原市総合計画において未来への投資と題して基本計画に位置づけております先導的施策の推進に重点を置き、次世代育成、地場産業の振興、中心市街地の活性化、自然環境の再生、文化振興、地域力の強化に関する施策を最優先に進め、新しい小田原の姿を鮮明にしていきたいと考えております。

 

次世代育成につきましては、地域ぐるみで子育てに取り組むスクールコミュニティや小田原の良さを生かした教育などを推進し、未来を担う子どもを育んでまいります。

 

地場産業の振興につきましては、地場農林水産物の付加価値を高めるとともに、地産地消を推進し、販路拡大や担い手育成など、ものを生み出す力を育ててまいります。

 

中心市街地の活性化につきましては、小田原地下街の再生やお城通り地区再開発事業を着実に進めるとともに、民間活力によりにぎわいを創出するなど、中心市街地における都市機能を高めてまいります。

 

自然環境の再生につきましては、いのちを健やかに養い、暮らしに潤いと安らぎをもたらす恵み豊かな自然環境を市民との協働により再生してまいります。

 

文化振興につきましては、芸術文化創造の拠点となる市民ホールの建設に向けた取組を着実に進めるとともに、市民による芸術文化活動を支援するなど、小田原を舞台に様々な交流を生み出すことにより文化力を高めてまいります。

 

地域力の強化につきましては、多様な主体の連携や担い手の育成など、地域の課題を地域で解決する仕組みづくりを進め、地域のつながりを再生してまいります。

 

主な施策と事業につきましては、第5次小田原市総合計画におけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明させていただきます。

4 分野別基本方針

(1) いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】

地域福祉につきましては、ケアタウン構想の実現に向けて市内5地区でモデル事業を実施するとともに、高齢者や障がい者などの身近な生活課題を解決するための生活応援隊推進事業や、高齢者や障がい者に対する緊急要請カードの配付を新たに実施するなど具体的な仕組みづくりを進めてまいります。

 

高齢者福祉につきましては、高齢者の自立促進、介護予防、生活支援などの施策を総合的に推進してまいります。また、地域包括支援センターの機能を一層強化するとともに、集合住宅などに居住する要介護者に対して総合的な支援を行うなどの地域包括ケア推進事業を引き続き実施し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができる環境を整備してまいります。さらに、介護保険施設、地域密着型サービス施設及び特定施設などの整備を促進し、福祉や介護の基盤を充実させてまいります。

 

障がい者福祉につきましては、障がい者に対する理解を深めるため、身近な地域での障がい特性の啓発事業や地域での障がい者との交流事業を、障がい者団体や障がい者施設などに委託し実施してまいります。また、地域作業所が障害福祉サービス事業所へ移行するための費用を助成するなど、障がい者の社会参加を支援してまいります。

 

健康づくりにつきましては、市民一人ひとりが自身の健康への自覚と認識を深めることに加え、地域ぐるみの健康づくりを支援することが重要です。そこで、引き続き健康おだわら普及員、食生活改善推進員及び健康づくりサポーターを育成するとともに、新たに策定した小田原市食育推進計画を推進することにより、市民の皆様の食や運動を基本とした健康づくりへの意識を高め、健康寿命の延伸に努めてまいります。さらに、口腔がんの早期発見と基礎的な知識の習得のため、新たに口腔がん予防啓発事業に着手いたします。

 

地域医療につきましては、市民誰もがいつでも適切な医療を受けることができる医療体制を引き続き確保してまいります。そして、県西地域における地域医療連携につきましては、医療相談や医療機関の紹介などの広域化を関係諸機関と共に検討してまいります。また、不足する看護人材を育成するため、老朽化している小田原看護専門学校の建設を支援してまいります。

 

市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として急性期医療、高度医療を担うとともに、小児医療や周産期医療など引き続き公立病院として担うべき役割を果たしてまいります。また、医師や看護師などの医療スタッフを確保するなど、更に医療体制を充実させてまいります。

 

【暮らしと防災・防犯】

共生社会の実現につきましては、新たに策定した小田原市人権施策推進指針に基づき、人権教育や啓発を推進するなど、すべての市民がお互いの文化や人権を尊重し、認めあい、共に生きていく地域社会の実現に向けた取組を推進してまいります。また、新たな男女共同参画プランに基づき、あらゆる分野で男女が平等に参画し、個人の能力を発揮できるよう、引き続きエンパワーメント事業などを実施してまいります。

 

災害に強いまちづくりにつきましては、FMおだわらによる緊急情報の即時放送などにより情報受伝達手段を強化するとともに、防災資機材の整備を進め、災害時の即応体制を強化してまいります。また、社会情勢の変化にあわせて小田原市地域防災計画を見直すとともに、市内の主要河川に関する洪水ハザードマップを作成、配布いたします。さらに、地域で行われる防災訓練を支援するなど、顔の見える範囲の住民が非常時に自主的に協力して行動できるよう自主防災組織を強化してまいります。あわせて、地震被害の軽減化に向け、建築物の耐震化や危険な塀の改善を支援いたします。

 

上下水道につきましては、上水道管の基幹管路である送水管を計画的に調査、点検し、漏水や破損事故などの未然防止に努めてまいります。また、下水道の老朽管路の長寿命化計画を策定するための管路調査を実施するとともに、防災拠点などの汚水を受ける重要な管路の耐震化対策を計画的に推進してまいります。

 

消防・救急体制につきましては、救急救命士による処置範囲の拡大が予定されていることから、引き続き救急救命士の養成及び再教育研修を実施し、応急処置能力を向上させてまいります。また、高規格救急車の更新や高度救命処置用資機材の整備をはじめ、消防・救急無線のデジタル化に向けた準備に着手するなど、救急活動を確実かつ円滑に行ってまいります。

 

安全・安心の地域づくりにつきましては、地域での防犯活動や交通安全活動を通じて顔の見える関係を構築するなど、地域ぐるみで安全・安心なまちづくりを推進するための活動を支援してまいります。

 

【子育て・教育】

子育て環境につきましては、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えるため、小田原駅の西口付近に4番目の子育て支援センターを設置し、子育て支援拠点の更なる充実を図ってまいります。また、待機児童の解消に向けた施策を推進するとともに、きめ細やかな保育サービスの提供に努め、多様な保育ニーズに対応した良好な保育環境を整えてまいります。そして、妊娠中の母体の管理や安全な出産のために必要な妊婦健診と歯科健診の公費助成を引き続き実施するとともに、新たにヒブワクチン予防接種などの公費助成を実施するなど、妊娠中から乳幼児期までの一貫した母子保健サービスを提供してまいります。また、ママパパ学級、新生児訪問や育児相談、乳幼児健診などを実施し、育児不安の軽減のための様々な支援を行ってまいります。さらに、通院に係る小児医療費助成の対象について、これまで就学前までとなっていたものを新たに小学校3年生の児童まで拡大することにより、子育て世代の経済的負担を軽減し、子どもを産み育てやすい環境を整えてまいります。

 

青少年育成につきましては、本市には多彩な自然環境やなりわい、市民活動、文化など、次代を担う自立した青少年を育成するために必要なフィールドや素材が豊富に存在しております。こうした資源を総動員し、地域社会全体が一丸となって小田原の未来を担う青少年を育てていかなくてはならないと考えております。そこで、地域ぐるみで子どもを見守り育んでいくスクールコミュニティを形成するため、地域の子どもたちの活動情報をまとめた情報紙の発行や、子どもたちが安心して集い活動できる拠点づくりなどのモデル事業について地域を拡大して実施し、その成果を検証してまいります。また、引き続き放課後児童クラブを運営するとともに、入所児童が安全で安心して過ごせるよう富士見小学校のクラブ室を整備するなど、クラブ環境を充実させてまいります。さらに、困難な時代の中でも自らの力でたくましく生きていく自立した大人へと導くため、小田原の豊かな自然や地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験・交流学習の機会を提供してまいります。そして、引き続き指導者養成研修事業「おだわら自然楽校」を実施し、本事業の受講者を小学校が宿泊体験学習などを行う際に指導者や助言者として派遣するなど、地域や学校で担い手として活躍できる人材を養成してまいります。

 

学校教育につきましては、豊かな心、確かな学力、健康や体力などの「生き抜く力」を育むことが子どもの幸せにつながると考え、学校、家庭、地域が支えあい、未来を拓くたくましい子どもの育成に努めてまいります。そこで、学校・家庭・地域が一体となった「地域一体教育」を進めるため、学校支援地域本部を中心に、地域ぐるみで就学前から義務教育修了までの子どもを支える体制づくりに取り組んでまいります。同時に、学校の特色を生かした「未来へつながる学校づくり」を推進してまいります。さらに、中学校区ごとに学校司書を派遣し、児童・生徒の学力向上に向けた読書活動を推進してまいります。そして、保育所及び幼稚園へのエアコン設置や、小中学校の各教室への扇風機の設置を計画的に進め、より快適な環境づくりに努めてまいります。

(2) 希望と活力あふれる小田原

【地域経済】

小田原地下街につきましては、平成24年度末の再開に向けて再生計画の策定作業に着手いたします。小田原地下街は、地域資源の活用や回遊性の向上を図るなど地域振興の拠点施設として新しい価値を創造する役割が期待されており、小田原地下街の再生が小田原の魅力を高め、ひいては本市の経済活性化や交流人口の拡大につながるよう、着実に取組を推進してまいります。

 

産業・就労環境につきましては、引き続き企業誘致策を推進するとともに、企業の社会貢献活動が本市をフィールドとして展開されるよう企業活動の誘致を進めてまいります。

 

ものづくりにつきましては、木製品などの地場産品の国際的な見本市への出展を支援するなど、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、城下町・小田原ブランド推進会議において小田原物産のブランド化に向けた取組を進めるとともに、小田原のブランド力の情報発信を行ってまいります。さらに、若手芸術家の新たなデザインや創作活動とものづくり産業との交流を促進し、コラボレーションによる展示会の開催を支援するなど、ものづくり・デザインを通じた小田原産品のブランド力の向上につなげてまいります。

 

商業につきましては、超高齢社会への対応や地域コミュニティの強化を図るため、商店街の特色ある取組や企画力の強化に向けた取組を支援し、徒歩生活圏内の暮らしを支える商店街づくりを進めてまいります。また、「小田原手形」や「小田原どん」など、街なかの回遊を促進する事業を充実させるため、関連団体との連携を一層強化し、地場産品のPRにあわせた情報提供や丼(どんぶり)やおでんによる地域おこしなどを促進してまいります。そして、中心市街地活性化のための基本的な事項を定める新小田原市中心市街地活性化基本計画の策定作業を進めるとともに、小田原市中心市街地活性化協議会と協力しながら、民間主体の「まちづくり会社」が行う中心市街地活性化策を支援してまいります。

 

観光につきましては、様々な地域資源を巡るウォーキングコースの情報を発信するとともに、清閑亭をまち歩きの拠点とし、小田原城周辺及び東海道筋の回遊を促進してまいります。また、交流人口の更なる拡大に向け、小田原の観光のシンボルである小田原城や小田原城址公園、あるいはその周辺の魅力を高め、訪れる市民や観光客などの満足度を向上させるとともに、北條五代などを題材にした観光PRを強化してまいります。

 

農林業につきましては、大地の恵みや食の担い手に感謝する心、身近な自然や田園を大切にする暮らしと文化、農やものづくりが息づく地域内の経済活動などを育てることは、私たちの心身の健やかさを守り、持続可能な地域社会を目指す上での礎です。私たちの「いのち」と「食」を守り続けるため、有機農業など環境負荷の少ない農法により食の安全性を確保するとともに、地産地消を推進してまいります。また、本市オリジナルの品種である十郎梅や神奈川県が開発した湘南ゴールドのブランド化に向け、生産者や関連団体と一体となって新たな顧客を獲得するためのPR活動などを行ってまいります。さらに、担い手の確保や営農支援を広域的に行う農業支援センターを開設するとともに、耕作放棄地の営農可能な状態への復元を支援し、農業生産を向上させてまいります。そして、早川地域で住民や民間事業者と協働してグリーン・ツーリズム事業を展開することにより、様々な交流や体験の機会を創出し、耕作放棄地の解消とともに、都市農業の推進と地域の活性化を期してまいります。

 

林業につきましては、豊かな森林は地球温暖化の緩和や土砂災害の防止、水源のかん養など多面的な機能を持っており、豊かな海づくりにもつながってまいります。こうした小田原の資源を林産振興につなげるため、小田原で生産される地域材の活用の可能性について多角的に検討してまいります。

 

水産業につきましては、地場の豊富な水産物やその加工品の流通と消費を促進するため、商業者と生産者とが連携した取組を支援し、地産地消志向の消費者と地元商業とのつながりを強化してまいります。また、水産業の振興と水産食文化の更なる観光資源化に向けて、県営小田原漁港の整備とあわせて交流促進施設の整備を進めてまいります。そして、「小田原みなとまつり」を開催するなど、市民の皆様が水産業に触れることのできる機会を提供してまいります。

 

【歴史・文化】

新しい市民ホールにつきましては、早期建設に向けて用地取得を進めるとともに、市民ホール基本計画を策定するなど、小田原の新しい活力を生み出す芸術文化創造の拠点として整備を進めてまいります。

 

歴史資産につきましては、史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想や史跡小田原城跡本丸・二の丸植栽管理計画に基づき、史跡と緑の共生を図りながら御用米曲輪の史跡整備を進めてまいります。また、歴史的にも地質学的にも価値の高い早川石丁場群を多くの方々に見ていただけるよう、散策路を整備してまいります。

 

文化・芸術につきましては、市民の芸術文化創造活動を促進するため、新たに文化振興ビジョンを策定いたします。そして、小田原の文化の裾野を広げ、その担い手を育成してまいります。さらに、新しい市民ホールの建設に向けての市民意識の向上を図るため、生活の場に出向いてコンサートを行うアウトリーチ事業や現代アートなどについてのワークショップを開催するほか、街なかの空間や人材、ネットワークなどを活用して暮らしに身近な場所での文化の創造や発表の機会を提供するなど、多くの市民の皆様が文化に触れ、理解を深める機会を創出してまいります。また、引き続き市美術展及び市民文化祭などの芸術文化事業を実施してまいります。

 

そして、北原白秋が小田原で数多くの童謡を作ったことから、北原白秋にちなんだイベントやPR活動を実施することで文学のまちとしての小田原ブランドを発信してまいります。また、小田原固有の文学遺産に磨きをかけ、小田原文学館を拠点としてまちづくりに生かすなど、小田原ゆかりの文化の魅力向上に取り組んでまいります。

 

図書館につきましては、所蔵資料の適切な保全に努めるとともに、これからの時代に求められる図書館の役割や機能などについて検討してまいります。

 

生涯学習につきましては、「いつでも、どこでも、だれでも」気軽に学習できる環境を整えるため、市民主体の(仮称)おだわら生涯学習大学を開設し、総合的な生涯学習を展開してまいります。また、二宮尊徳をはじめ、小田原ゆかりの学ぶべき先人たちの事績発掘と顕彰を行ってまいります。

 

生涯スポーツにつきましては、ウォーキングタウン小田原の実現に向けて、歩くことを通じて子どもの豊かな心や生きる力を育む「歩育」を推進してまいります。また、13回目を迎え、国内有数の大会となりました城下町おだわらツーデーマーチにつきましては、健康志向の向上を図るとともに、地域資源を最大限生かすことにより、更なる交流人口の拡大や小田原のPRにもつなげてまいります。

(3) 豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】

環境再生・保全につきましては、市民、事業者、行政がそれぞれの得意分野を生かして環境との共生に向けた取組を展開することにより、エコシティとしての小田原の魅力を高めてまいります。そして、新たに酒匂川護岸への芝桜の植栽や菜の花の栽培に取り組むことで、酒匂川の修景だけでなく景観保全や地域内循環に対する市民意識を高めてまいります。また、地球規模での温暖化問題に対応するため、公共施設へ太陽光発電システムを設置するなど、地域において実現可能な自然環境を生かしたクリーンエネルギーへの取組を推進してまいります。

 

廃棄物の減量化・資源化につきましては、燃せるごみの排出量を減らすため、家庭単位では段ボールコンポストなどを活用し、小学校では生ごみ処理機を活用した地域単位での取組を平成22年度にモデル事業として実施いたしました。その検証結果を踏まえ、更にごみ減量の成果を上げられるよう参加世帯を増やすなど生ごみ堆肥化に取り組んでまいります。

 

良好な生活環境につきましては、市民の皆様が日常的に利用する身近な公園について安全を確保し、安心して利用できるよう遊具などの適正管理と整備に努めてまいります。また、緑化に対する啓発事業に取り組むとともに、街区公園の一部に地域住民が管理する花壇を設けるなど、市民との協働による市街地の緑化を推進してまいります。さらに、地域住民自らの知恵と工夫により、愛着ある身近な公園へとつくり上げる身近な公園プロデュース事業を新たに展開してまいります。そして、市民の皆様のご自宅の庭園を公開していただくオープンガーデン事業につきましては、民有地における緑化活動を支援するとともに、更なる調査研究を進めてまいります。

 

自然環境の保全と再生につきましては、地球温暖化の緩和や生態系の保全など森林の持つ多面的な機能を高めるため、神奈川県の水源環境保全・再生市町村交付金を財源に地域水源林を整備してまいります。また、引き続きふるさとの森づくり事業を実施し、市民の皆様の森林に対する理解を深め、人と自然が共存する森を育んでまいります。そして、豊かな自然を次世代に引き継ぐため、神奈川県の条例に基づき、里地里山保全等地域に指定されたエリアを中心に、地域住民の皆様と協働して里地里山の保全や活用に努めてまいります。さらに、市街地を流れる川や街なかの緑など市民生活に身近な自然環境を市民自らの手によって守り育てる仕組みを構築してまいります。

 

【都市基盤】

お城通り地区再開発事業につきましては、平成22年度に策定した基本構想における段階的な整備方針のもと、民間地権者の協力を得ながら先導的な事業としての緑化歩道整備に着手いたします。また、駐車場施設ゾーンや広域交流施設ゾーンの早期整備に向け、事業者の参画を促すなど取組を推進してまいります。

 

快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、地域住民による自主的な景観形成活動の支援を拡充してまいります。また、小田原固有の歴史的なたたずまいを守り育て、後世に継承していくことを目的とした小田原市歴史的風致維持向上計画の認定を国から受け、歴史と調和したまちづくりを推進してまいります。

 

地域交通につきましては、引き続き公共交通の利便性の向上や利用促進に取り組むとともに、超高齢社会に対応した新たな取組形態について検討してまいります。また、幹線道路や狭あいな生活道路を整備し、安全な道路空間の充実と円滑な交通ネットワークを形成してまいります。そして、道路や橋りょうの劣化状況を把握し、その対応を図るとともに、道路施設の長寿命化や耐久性の向上に努めてまいります。

 

水供給及び下水処理につきましては、安全で安心な水道水を安定供給するため、小田原駅東口周辺地区の創設期配水管耐震化工事や、管路及び施設の整備などの建設改良事業を引き続き進めてまいります。下水道事業につきましては、快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため、計画的かつ効率的に整備してまいります。

(4) 市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】

地域経営につきましては、未来に向かって持続可能な地域づくりを目指し、地域コミュニティ検討委員会からの報告を踏まえ、地域の課題解決を可能にする各種団体の新たな連携の仕組みづくりに向けたモデル事業を引き続き実施してまいります。また、地域と協働して取り組んでいくための庁内体制を構築してまいります。

 

市民活動の支援につきましては、様々な分野で活動する市民活動団体と行政との協働を推進するため、行政提案型協働事業を実施してまいります。また、多様な主体によるまちづくりを推進するため、市民活動団体や地域活動団体などとのネットワークを形成してまいります。

 

情報共有の推進につきましては、ホームページのリニューアルや広報紙の刷新を行うなど情報発信機能を拡充し、まちづくりに関する様々な情報や小田原の魅力を市内外に迅速に分かりやすく提供してまいります。そして、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなど多様な広報媒体を活用し、本市の様々な取組を積極的に情報発信してまいります。また、市長への手紙、市民と市長のまちかどトーク、市長の現場訪問のほか、メールマガジンのアンケート機能なども活用し、市民の皆様の市政参画の機会へとつなげてまいります。さらに、事務の効率化や住民サービスの向上の観点から、ネットワーク端末の拡張及び通信回線の高速化を進めるなどICT(情報通信技術)を有効に活用してまいります。また、公共施設予約システムの対象施設や、県と県内市町村が共同で運営する電子申請・届出システムの対象手続きを拡大するほか、庁内共有の情報基盤としての地理情報システムの運用や、電子情報のセキュリティ対策を講じてまいります。

 

行財政改革につきましては、社会経済情勢の変化に即応した改革を進めるため、従来の行政改革大綱に代わる新しい行政改革プランに基づき、機動的に行財政改革を進めてまいります。そして、行政活動の検証を通じて行政資源の配分を最適化するため、事務事業を評価し、自律的に見直す仕組みを拡充してまいります。さらに、平成21年度に実施した事業仕分けの経験を生かし、市民参画によるモニタリング制度を試行してまいります。また、全市的な視点から公共施設の効率的な管理を行うための基本方針に基づき、ハードとソフトの両面にわたる具体的な実施計画を検討してまいります。

 

市税に関しましては、コンビニエンスストア収納を導入し市税などの納税環境を整えるとともに、滞納処分を一層強化するなど、公正かつ確実な徴収に努めてまいります。

 

市職員の育成につきましては、本年4月からスタートする新たな総合計画とあわせた組織・機構の改編を行う中で適材適所に配慮した人事配置を行うことにより、能力を十分発揮し、更なるキャリアアップにつなげてまいります。さらに、市民の最良のパートナーとなる人材として育成してまいります。

 

広域行政につきましては、県西地域2市8町は、富士・箱根・丹沢・曽我丘陵に抱かれ、水系を共有し、歴史と文化の厚い堆積を誇り、様々な産業が存在し、交通至便、気候温暖など、国内でも比類なき豊かさを有しております。この広域圏の総合力が十全に発揮され、地域住民の豊かな暮らしが実現されるよう、圏域の一体化に向けた歩みを着実に進めてまいります。

5 むすび

以上が平成23年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。

 

新しい小田原をつくり上げる原動力は、市民一人ひとりが本来宿している小田原への愛着や活性化への知恵、未来への責任感、汗を惜しまない心などの無尽の力であります。本市は国内でも類を見ないほどの豊富で多様な地域資源を有し、これらに裏打ちされた無限の可能性に満ちております。こうした潜在力を掘り起こし、徹底して磨き上げることで地域が活性化し、更なる自信と誇りが地域に生まれてまいります。

 

本市の経済は、地域資源をより豊かに育て、人や技を育みながら循環することで持続的に発展していくことができます。そして地域経済を活性化させるためには、地域全体の生産力を向上させるとともに、地域資源の特性を生かしながら付加価値を高め、生産、販売、消費をつなげる工夫が必要であります。さらに、市場を国内外に広げることにより交流人口の拡大にもつながってまいります。今後は、事業者の経済活動の相乗的な発展と収益の向上につながるよう地域経済を総合的にネットワーク化し、事業者や業界団体などと連携して地域経済の振興を図ってまいります。

 

また、社会的にサポートを必要とする人たちを地域で支えるための「ケアタウン」、未来を担う子どもの健やかな育ちを地域ぐるみで見守る「スクールコミュニティ」、身近な自然環境を守り育てる活動を通じて地域の絆も深める「環境再生プロジェクト」、暮らしから出る生ごみを堆肥化して大地を豊かにする「生ごみ堆肥化モデル事業」、地域が有する農・商・工などの多彩な資源を生かしたまちづくりにチャレンジする「わがまち振興プロジェクト」、そして健やかないのちを育む食の大切さを知るために子どもたちと地域住民が一緒になって野菜づくりなどを行う「教育ファーム」など、地域コミュニティを舞台に様々な取組が展開されております。地域に根ざした市民の皆様が、地域が抱える固有の課題を自らの力で解決することを目指して活動し、その作業の中でお互いの絆を深め、さらに人材も育っていくといったプロセスが確実に動き始めております。

 

こうした取組が目指すところは「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現であります。この言葉には、未来に至るまちづくりの道のりをどのように歩んでいくのかといった、その歩み自体の姿勢と強い意志が込められております。

 

私は、市民の皆様の声に真摯に耳を傾けながら、これからも共に考え、行動し、歩み続けてまいります。そして、未曾有の困難の先にある地平を見据え、明日への希望、小田原という街(まち)への誇り、市民の協働力への期待を胸に抱き、「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」という強い気概を持って、一際光る、個性あふれる都市としての成長を期して市政運営に当たってまいる覚悟であります。

 

最後になりましたが、本年は統一地方選挙の年でもあります。地方の自己決定・自己責任が問われる今日、地方議会の果たす役割はますます大きくなっております。
議員各位の市政に対する不断のご努力に対しまして、改めて深い敬意と感謝を申し上げますとともに、今後の更なるご活躍を祈念いたしております。

 

以上をもちまして、平成23年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

 

 平成23年2月16日

                           小田原市長 加藤憲一

最終更新日:2012年02月16日

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小田原市役所
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電話:0465-33-1300(総合案内)

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