小田原市

所信表明・施政方針

平成25年度施政方針(平成25年2月19日)

平成25年度施政方針  PDF形式 :347.3KB



 平成25年小田原市議会3月定例会が開会し、平成25年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 わが国は、東日本大震災からの復興や原子力発電所事故を起因としたエネルギー問題、世界景気の減速などを背景とした国内経済の低迷、そして世界に類をみない少子高齢化への対応など様々な課題に直面しております。とりわけ、人口構成の変化に対応した持続可能な社会保障制度の構築が喫緊の課題となっております。国は、これらの課題解決に向けて、国論をまとめあげ総力を結集して難局に当たらなければなりません。国民が将来への希望を抱き、生活の安心を実感するためにも、わが国が抱える様々な構造的課題に対するビジョンを明確にし、それを国民と共有することが不可欠です。

 私は、地域の現場を担っている基礎自治体から、わが国が抱える様々な課題に対する具体的な解決策を打ち出していかなければならないと考えております。そして、様々な可能性に恵まれたこの小田原においてこそ、それを実践し、わが国が目指すべき地域社会の姿を体現していくべきだと考えております。

 私は、持続可能な地域社会の実現に向けて、小田原の自然環境、歴史や文化、産業などの地域資源を生かし、市民や地域との協働によって課題を解決していくことが必要である、との認識を持って市政運営に当たってまいりました。

 平成24年度は、新しい小田原の創造に向けて、市民の力、地域の力を原動力に進めてきた様々な協働の取組などに対する評価が、市長選挙を通じて問われた節目の年でありました。そして、多くの市民の皆様から再度の信託をいただき、第5次小田原市総合計画「おだわらTRYプラン」を着実に推進してまいりました。また、小田原市自治基本条例に掲げた、小田原のまちをつくる担い手との協働を、様々な局面において実践してまいりました。

 小田原版「新しい公共」の実践例である無尽蔵プロジェクトにおいては、これまで10のテーマにおける様々な取組がそれぞれの進化を遂げ、その活動は新しい小田原を形づくるためのけん引役を果たしております。また、この取組は全国各地での実践に対し、先導的な役割を果たし得るとの高い評価を得て、権威ある日本計画行政学会から賞をいただいております。

 さらに、地元企業が行政との間で地域貢献活動に関する協定を締結し、地域経済への貢献のみならず、まちづくりの担い手として地域社会に貢献していただく動きも出てまいりました。

 先を見通すことが難しい状況の中で、新しい小田原の創造に向けた取組を推進するためには、行政だけでなくまちづくりにおける多様な主体との協働が不可欠です。これまで本市では、市民の皆様のご理解と参画を得て様々な協働の仕組みを整えてまいりました。今後も、より多くの市民の皆様と力を合わせて、新しい小田原への歩みをさらに加速させてまいります。

2 市政運営に当たっての基本方針

 東日本大震災から2年が経とうとする今もなお、被災地では多くの人々の手によって復興のための取組が進められております。私たちは、震災の記憶と被災地からの教訓を忘れることなく、これまでの暮らし方や価値観などをもう一度見直し、真に持続可能な地域社会をつくっていかなければなりません。

 大規模災害の発生が懸念される本市においては、公共施設の耐震化などの災害対策の強化はもとより、エネルギーを可能な限り地域で自給できる仕組みや、日ごろから人が支え合う仕組みなどを整え、市民のいのちが守られ安心して暮らすことができる地域をつくってまいります。

 また、わが国の人口構成や社会構造の変化に伴い、地域社会の仕組みも持続可能なものへと変わっていかなければなりません。そして、地域のことは地域自らの意思で決め、自分たちの地域の将来に責任を持つという時代に入っております。

 このため、市民自治の基本単位である地域コミュニティの強化や、福祉、子育て、環境などの分野における協働の取組について、幅広い世代から担い手を確保しながら、更なる進化を目指してまいります。また、市職員が市民や地域の皆様の最良のパートナーとなり、市民や地域の力が最大限に発揮されるよう、市職員の意欲や能力の向上と市組織の活性化を図ってまいります。

 それに加えて、地域に根差した経済活動は、地域社会が持続可能であり続けるために欠くことのできない条件です。わが国の産業の空洞化を懸念する声が高まる状況にあっても、市民が十分に力を発揮しながら、地域資源を活用することで人・モノ・お金を呼び込み、更なる活性化を生み出す好循環をつくり出すことが必要です。

 地域資源の付加価値を高めることで、小田原の魅力を大きく育て、市内外からの交流人口を拡大させるなど、地域経済の活性化を図ってまいります。さらに、これらの動きと連動させ、地域の活力を創出する拠点となる小田原地下街の再生、お城通り地区再開発の推進、芸術文化創造センターの整備を確実に進めてまいります。

 そして、市民の皆様に新しい小田原への進化を実感していただきながら、地域社会のあるべき姿をこの小田原の地で形づくっていきたいと考えております。

 このような認識を持って、市政運営の根幹であるおだわらTRYプランに掲げる「新しい公共をつくる」「豊かな地域資源を生かしきる」「未来に向かって持続可能である」という命題をしっかりと意識しながら、これまで進めてきた様々な取組を補強し、本市の将来都市像「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現に向けた歩みを進めてまいります。

3 平成25年度の重点方針

 そこで、おだわらTRYプランにおいて、未来への投資と題して位置づけている先導的施策に重点を置くとともに、各分野における取組を補強し、地域社会のあるべき姿となる新しい小田原を体現してまいります。

 「未来を担う子どもを育む」につきましては、地域ぐるみで子育てに取り組むスクールコミュニティや小田原ならではの教育を推進するなど、子どもたちがより健やかに成長し、生きる力や郷土愛を育む環境を整えてまいります。

 「ものを生み出す力を育てる」につきましては、小田原の農林水産物の付加価値を高める六次産業化を進めるとともに、地域産木材を活用し森林・林業・木材産業の再生を図るなど、地域経済の活力を創出してまいります。

 「都市の顔をつくる」につきましては、小田原地下街の再生やお城通り地区再開発事業を進めるとともに、中心市街地活性化基本計画に基づき中心市街地におけるにぎわいを創出するなど、魅力的な都市空間を形成してまいります。

 「自然環境を再生する」につきましては、市民との協働により、自然環境を再生する活動やエネルギーの地域自給に向けた取組を進めるなど、人と自然とが調和したまちづくりを展開してまいります。

 「文化力を高める」につきましては、芸術文化創造センターの整備に向けた取組を進めるとともに、芸術活動に触れる機会の提供や市民による芸術文化活動への支援を行うなど、文化によるまちづくりを進めてまいります。

 「地域のつながりを再生する」につきましては、ケアタウン構想などモデル的に進めている事業の実施地区を拡大するなど、協働の取組や地域活動の推進により、地域の絆を深め、魅力ある地域づくりを支援してまいります。

 また、平成25年度は、計画期間が満了する第1次実施計画の事業の検証とともに、おだわらTRYプラン第2次実施計画の策定作業を行います。

主な施策と事業につきましては、おだわらTRYプランにおけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明いたします。

4 分野別基本方針

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】

 地域福祉につきましては、ケアタウン推進事業の更なる充実を目指し、実施地区の拡大と取組の充実に向けて地域へ働きかけてまいります。また、地域を古くから支え、地域コミュニティの柱となっている自治会、民生委員児童委員協議会、地区社会福祉協議会、老人クラブ連合会の連携の下、孤独死や孤立死を防止するための見守り活動を促進してまいります。

 高齢者福祉につきましては、第5期おだわら高齢者福祉介護計画に基づき、高齢者に対する生きがいづくりの促進や支援体制の充実、介護予防事業の拡充を図ってまいります。さらに、高齢者の地域社会への参画を促し、心身の健康を保つため、高齢者が福祉施設などで行うボランティア活動をポイントとして評価できる制度を実施するとともに、運動や栄養、認知症予防などのプログラムを総合的に提供する複合型介護予防教室を実施いたします。また、地域包括支援センターの機能を一層強化するなど、高齢者が地域で暮らし続けられる地域包括ケアを推進してまいります。

 障がい者福祉につきましては、障がいの有無にかかわらず、誰もが地域で安心して暮らせるようノーマライゼーション理念の普及啓発事業を引き続き実施いたします。また、重度の身体・知的・精神障がい者の経済的負担を軽減するため、引き続き重度障がい者への医療費助成を行ってまいります。

 健康づくりにつきましては、健康増進計画と食育推進計画を両輪として、健康寿命の延伸と生活の質の向上に向けた取組を総合的に進めてまいります。また、地域における健康づくり活動や健康教室を通じて、市民一人ひとりの健康への意識を高めてまいります。そして、生活習慣病や感染症などの予防及びがんの早期発見などに向け、新たに高齢者肺炎球菌ワクチンの予防接種に係る費用を助成するほか、胃がんリスク検診を実施するなど、特定健診・特定保健指導やがん検診の受診を促進いたします。

 地域医療につきましては、関係機関と連携し、引き続き誰もがいつでも適切な医療を受けることができる医療体制を確保してまいります。また、医療人材を育成するため、小田原看護専門学校などの整備への支援を行うとともに、その事業主体である医師会と連携しながら、本市福祉施設の開設に向けて準備を進めてまいります。

 市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として、高度で専門的な医療を提供するため、医師などの医療スタッフを増員するとともに高度医療機器を更新するなど、病院機能の充実を図ってまいります。また、災害医療拠点病院としての機能を強化するため、災害派遣医療チーム(DMAT())の整備に取り組むとともに、医療を取り巻く社会環境の変化に対応し、地域の中心的な医療機関としての役割を果たしていくため、これからの市立病院のあり方を検討してまいります。

 

【暮らしと防災・防犯】

 共生社会の実現につきましては、「小田原市平和都市宣言」から20周年の節目を捉えた記念事業を開催するほか、人権教育や啓発などに取り組むとともに、男女共同参画社会の実現に向けた市民意識調査を実施いたします。さらに、災害時において、日本語や日本の習慣に不慣れな外国人を支援するため、必要な情報の多言語化を図ってまいります。

 災害に強いまちづくりにつきましては、防災行政無線の子局スピーカーを増設するなど、災害情報の伝達体制の充実を図るとともに、津波一時避難施設用災害トイレや広域避難所用パーテーションを整備するなど、避難施設の機能を強化します。また、津波を想定した実践的な防災訓練の実施や、土砂災害ハザードマップの配布などにより、自主防災組織の強化を図ってまいります。さらに、建築物の耐震化を促進するため、分譲型共同住宅や緊急輸送路沿いの特定建築物に対する耐震診断の助成を引き続き行ってまいります。そして、老朽化した配水管を計画的に更新するなど水道施設の耐震化を進めるとともに、下水道長寿命化計画に基づき、優先度の高い箇所から老朽管路の改築を行うほか、引き続き防災拠点などの汚水を受ける重要な管路の耐震化対策を推進してまいります。

 消防・救急体制につきましては、平成25年3月31日から広域消防がスタートし、県西地域2市5町を管轄することとなります。そこで、消防力を強化するため、高規格救急車などの消防車両の更新や消防・救急無線のデジタル化に向けた整備を進めるとともに、救急救命士の育成や応急手当の普及啓発に取り組んでまいります。また、本市消防団の機能強化を図るため、全ての消防団にデジタル簡易無線機を配備してまいります。

 安全・安心の地域づくりにつきましては、省エネで耐久性に優れたLED防犯灯の普及を促進するとともに、顔の見える関係づくりに重要となるセーフティアドバイス事業や防犯情報の提供などを通じて、地域の防犯活動や交通安全活動を支援いたします。

 

【子育て・教育】

 子育て環境につきましては、通院に係る小児医療費助成の対象を小学校6年生まで拡大するとともに、市立桜井保育園において乳児の受け入れ定員を増やすなど、安心して子どもを産み育てやすい環境を整えてまいります。また、子ども・子育て支援に係る新たな制度の施行に向けて、市民、事業者、有識者などによる「子ども・子育て会議」を設置するとともに、子育てに係るニーズ調査などを実施いたします。さらに、子どもにやさしいまちづくりを目指し、市民と行政が「子どもの遊び」をテーマに子どもの成育環境を考えるワークショップを開催いたします。そして、妊婦健診や歯科健診に加え、多種多様化する定期予防接種の適切な接種に関する啓発や未熟児訪問事業に取り組むなど、妊娠中から乳幼児期までの一貫した母子保健サービスを提供してまいります。

 青少年育成につきましては、地域ぐるみで子どもを見守り育んでいくスクールコミュニティの形成に向け、地域の子どもに関する活動をまとめた情報紙の発行や、子どもたちが安心して集い活動できる居場所づくりの対象地域を拡大してまいります。また、放課後児童クラブ事業では、一部のクラブにおいて試行的に対象学年を6年生までに拡大いたします。さらに、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たしつつ連携しながら、地域の子どもたちの郷土愛を深める「地域体験学習」を引き続き実施いたします。そして、地域や学校の体験学習などで活躍できる人材を育成する「おだわら自然楽校()」を実施いたします。

 学校教育につきましては、児童生徒の学力の向上に努めるとともに、生徒指導体制、いじめや不登校を未然に防止するための体制を充実させるなど、平成25年度からスタートする小田原市学校教育振興基本計画に基づき、総合的に施策を進めてまいります。また、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援教育や相談体制の充実に取り組むとともに、「地域一体教育」、「幼保・小・中一体教育」を学校づくりの基盤として、子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支える「未来へつながる学校づくり」を一層推進してまいります。学校施設につきましては、屋上防水など緊急度の高い修繕を行うとともに、校務支援システムの導入や情報受伝達手段の整備など、教育ネットワークシステムの更新と拡充を行ってまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】

 小田原地下街につきましては、地域資源の活用や市内への回遊を促すなど新しい価値を備えた「交流と創造の場」として再開するため、再生計画及び実施計画に基づき、実施設計、改修工事及び開業準備などの事業プロセスを着実に進めてまいります。

 産業・就労環境につきましては、市融資制度などによる中小企業の経営支援を行うとともに、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくりなどを関係機関と連携しながら支援してまいります。また、条例により工場立地法の緑地面積率を緩和するなど、企業誘致と企業の流失防止を図ってまいります。

 ものづくりにつきましては、木製品などの地場産品の首都圏域展示会や国際的な見本市への出展を支援するなど、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、若手芸術家のデザインや創作活動と地場のものづくり産業とのコラボレーション活動の自立を促進するなど、ものづくりとデザインが融合した新たな価値の創造に取り組み、小田原産品のブランド力の向上につなげてまいります。そして、小田原市地域経済振興戦略ビジョンの具体化に向け、「小田原プロモーションフォーラム」の活動を支援してまいります。

 商業につきましては、超高齢社会への対応や地域コミュニティ機能の強化を図るため、地域に根付いた商店街が持続的に機能するよう、商店街が新たに実施する中長期的な取組を支援してまいります。また、「小田原どん」や「小田原おでん」をはじめとしたご当地グルメや朝市などの取組を促進するほか、小田原産の果物や野菜を使ったスイーツを開発するなど、地域資源を生かした商業の活性化を進めてまいります。

 観光につきましては、ウォーキングタウン小田原の取組を進め、まち歩きを促進するほか、北条氏ゆかりの地や県西地域の自治体などと連携したPR活動を強化してまいります。また、小田原城天守閣の耐震改修に向けた検討を進めるとともに、小田原城址公園の魅力を高め、訪れる市民や観光客などの満足度の向上を図ってまいります。

 農業につきましては、生産者や関係団体と一体となって、地場の農産物を生かし、生産から加工、販売までを一体的に展開する六次産業化の取組を推進するとともに、生産者と都市住民が交流する様々な機会を創出してまいります。また、本市オリジナル品種である「十郎梅」や、新しい柑橘である「湘南ゴールド」のブランド化を引き続き推進してまいります。そして、県西営農支援センターを運営するとともに、担い手の確保に向けた取組を推進するほか、農地の多面的機能を維持するために、耕作放棄地を営農可能な状態に復元する取組を支援するなど、農業の生産性の向上を図ってまいります。

 林業につきましては、多面的な機能を発揮する森林の整備や保全と併せ、地域産木材の流通促進に向け、民間事業者とも連携した多角的な取組を進めてまいります。特に、木材の流通と供給の拠点となるストックヤードの敷地整備や流通のアウトプットとなる新たな販路の開拓などを進め、地域産木材の利用拡大に向けた事業を展開してまいります。また、子どもたちが身近な森や木に触れ親しむ場を提供する木育活動の一環として、新たにウッドスタート事業に取り組んでまいります。

 水産業につきましては、地場の豊富な水産物やその加工品の流通と消費を促進するため、小田原の魚の素晴らしさを積極的にPRするとともに、関係者との協働により新商品の研究を行うなど、小田原の魚のブランド化に向けた取組に着手いたします。また、水産業の振興と小田原の水産物の更なる観光資源化に向けて、県営小田原漁港の整備に併せて交流促進施設の整備を進めるほか、「小田原みなとまつり」を開催してまいります。

 

【歴史・文化】

 芸術文化創造センターにつきましては、平成28年度の完成に向け、基本設計及び管理運営実施計画の策定に着手し、市民が核となって小田原の創造的な活力を生み出す拠点として整備を進めてまいります。

 歴史資産につきましては、平成24年度に引き続き、史跡と緑の共生を目指して御用米曲輪の発掘調査と土塁の修景整備を行ってまいります。また、小田原城天守閣の将来的なあり方を研究するため、小田原城天守模型などの調査を実施いたします。

 文化・芸術につきましては、小田原市文化振興ビジョンに基づき、文化の担い手を育成するためのアウトリーチやワークショップ、ミュージカルやダンスなどの鑑賞事業を拡充するほか、小田原映画祭やミュージックストリートを開催いたします。また、清閑亭、松永記念館、小田原文学館が連携して文化事業を展開するとともに、北原白秋ゆかりの自治体との交流を深めるなど、小田原固有の文学遺産に光をあて、小田原の文化の魅力向上を図ってまいります。

 文化交流につきましては、奈良県斑鳩町との交流を深めるとともに、海外姉妹都市チュラビスタ市と友好都市マンリー市との青少年相互交流を引き続き実施いたします。

 生涯学習につきましては、新たな生涯学習人材バンク制度を創設するなど、市民とともに多様な学びを推進するキャンパスおだわら事業を充実させてまいります。また、地域資源を活用して、郷土について知り学ぶ機会を提供し、小田原ならではの生涯学習を進めてまいります。

 生涯スポーツにつきましては、日本マーチングリーグ公式大会「城下町おだわらツーデーマーチ」を開催するとともに、ウォーキングやランニングをはじめとした地域におけるスポーツ活動を推進してまいります。また、城山庭球場などのスポーツ施設につきましては、できる限り長く使用できるよう必要な改修を実施いたします。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】

 環境再生・保全につきましては、市民、事業者、行政がそれぞれの強みを生かし、環境との共生に向けた市民活動を活性化するため、引き続き無尽蔵プロジェクト・環境(エコ)シティの取組を推進し、市民による様々な環境活動を支援する基盤づくりを目指してまいります。また、酒匂川土手への植栽や荒地を耕作地に再生する和留沢地区での取組など、市民主体による環境再生プロジェクトの活動を拡充するとともに、子どもたちが環境と暮らしとの関わりなどを実践的に学ぶ機会を提供してまいります。

 再生可能エネルギーにつきましては、「小田原再生可能エネルギー事業化検討協議会」において、太陽光発電に引き続き、市内の用水路などを利用した小水力発電の事業化の検討を進めてまいります。また、太陽光発電システムに加え、新たに太陽熱利用システムの設置への助成を行います。さらに、再生可能エネルギーの利用は、地球温暖化対策のみならず災害対策や地域活性化にもつながることから、再生可能エネルギーの利用促進や省エネルギー化の促進に関する総合的な方針づくりに取り組んでまいります。

 廃棄物の減量化・資源化につきましては、燃せるごみの約40%を占める生ごみと紙類の減量化を図るため、段ボールコンポストなどによる生ごみ堆肥化の取組を進めるとともに、自治会、古紙リサイクル事業組合、行政が協力し、紙類を分別しやすい仕組みづくりを検討してまいります。

 良好な生活環境につきましては、花壇づくりなどを通じて愛着ある公園にする、身近な公園プロデュース事業を拡充するとともに、街なかや住宅街における花と緑の充実を図るため、オープンガーデンなどの緑化の取組を支援してまいります。また、斎場につきましては、施設の老朽化や将来の火葬需要に対応するため、現敷地内での建替えを前提とした調査を実施いたします。

 自然環境の保全と再生につきましては、環境保護団体や地域住民と連携しながら、自然の豊かさを享受できる環境を再生してまいります。また、地球温暖化の防止をはじめ、生態系の保全や水源のかん養など森林の持つ多面的な機能を高めるため、地域水源林を整備するとともに、ふるさとの森づくり事業を通じて、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森を育んでまいります。そして、豊かな自然環境を次世代に引き継ぐため、県条例により里地里山保全等地域に指定されている久野及び東栢山地域に、新たに上曽我地域を加え、地域の皆様と協働して里地里山の保全や活用に努めてまいります。

 

【都市基盤】

 お城通り地区再開発事業につきましては、駐車場施設ゾーンを平成26年度中に供用開始できるよう取り組むとともに、引き続き緑化歩道の整備を着実に推進してまいります。また、広域交流施設ゾーンにつきましても、駐車場施設ゾーン供用後の整備着手を目指した取組を進めてまいります。

 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、少子高齢社会や都市の低炭素化に配慮した暮らしなどの視点から、コンパクトなまちづくりに取り組んでまいります。また、地域の自主的な景観形成活動を支援するとともに、歴史的風致を継承する取組を進めるほか、中心市街地において魅力ある、歩いて楽しい歩行空間の創出と街なか居住を促進するため、具体的な方策について検討を進めてまいります。

 地域交通につきましては、市民、交通事業者、行政が連携して生活交通ネットワークについて検討してまいります。また、小田原駅周辺地区の駐車場需要に対応するため、栄町駐車場でより多くのハイルーフ車を受け入れられるよう、施設の改修を行います。そして、幹線道路や狭あいな生活道路を整備するとともに、他の道路施設についても計画的な維持管理を行い、安全な道路空間の充実と円滑な交通ネットワークを形成してまいります。さらに、橋りょうの耐久性の向上と費用の平準化を図るため、橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、計画的な維持修繕を進めてまいります。

 水供給及び下水処理につきましては、安全で安心な水道水を安定供給するため、浄水施設の更新などを行ってまいります。また、快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため、計画的かつ効率的に下水道施設を整備するとともに、下水道事業の経営の効率化などを図るため、酒匂川流域下水道編入事業による集約処理を進めてまいります。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】

 地域コミュニティの強化につきましては、地域の主体的なまちづくりを進めるため、地域内の様々な活動相互の連携を促進するとともに、担い手の育成を支援しながら地域コミュニティ推進事業の実施地区を拡大してまいります。

 市民活動の促進につきましては、様々な分野で活動する市民活動団体の交流や協働を推進するための方策を検討するとともに、新たに市民提案型協働事業に取り組んでまいります。また、多様な主体によるまちづくりを推進するため、市民活動団体と地域活動団体とのネットワーク形成を促進してまいります。

 情報共有の推進につきましては、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなどの様々な手段を使い、市の事業や施策に関する情報をわかりやすく提供するとともに、災害時においても迅速かつ確実な情報伝達に努めてまいります。さらに、都市セールスに係るアクションプランを策定するとともに、フェイスブックやツイッターの活用や小田原ふるさと大使によるPRなど、積極的な誘客プロモーションを展開し、市内外に小田原の魅力を発信してまいります。また、市長への手紙や市長との懇談会、メールマガジンアンケート機能などを活用し、市民の皆様の声を市政に反映させてまいります。

 行財政改革につきましては、引き続き小田原市行政改革指針に基づく行革アクションプログラムに取り組み、社会経済情勢の変化に即応した改革を進めてまいります。そして、効率的かつ効果的な事業の実施を図るため、実施計画事業の評価を行い、計画・実施・評価・見直しというマネジメントサイクルを確立してまいります。

 公共施設につきましては、施設の長寿命化による更新費用の平準化と予防保全による安全性の確保を図るため、建築物の長期保全計画や維持修繕計画の策定に向けた劣化状況の調査に着手いたします。また、災害時の防災拠点でもある市庁舎につきましては、耐震改修工事に係る実施設計を行います。

 また、都市計画道路小田原中井線の整備に伴って廃止する橘支所につきましては、その機能を橘タウンセンターこゆるぎに移転いたします。

 市税につきましては、昨年度開設した納税促進センターによる納税勧奨や滞納処分の更なる強化などにより、市税収入の確保に努めてまいります。

 市職員の育成につきましては、自ら考えて行動できる職員を育成するため、引き続きコーチングプログラムを実施し、コミュニケーション能力の向上による組織力の強化に取り組んでまいります。

 広域行政につきましては、広域的な防災対策や酒匂川流域における諸課題への対応など、県西地域における広域連携の事案を一つひとつ積み重ねてまいります。また、富士箱根伊豆交流圏市町村サミットを本市で開催するなど、県境を越えた更なる広域連携や自治体間交流の強化に努めてまいります。

5 むすび

 以上が平成25年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。

 私は、新しい小田原の姿を形づくる礎を、市民の皆様と共につくり上げてまいりました。そして何よりも、これまでの取組の成果を、多くの市民の皆様に実感していただきたいと思っております。

 冒頭でも申し述べました、「新しい公共」の形成に先導的な役割を果たし得るとの評価をいただいている無尽蔵プロジェクトの取組、地域で高齢者や障がい者などを支え合うケアタウンや、地域ぐるみで子どもを見守り育てるスクールコミュニティの進展、小田原の農林水産物の付加価値を高める六次産業化の取組、そして、市民が主体となりエネルギーの地域自給を実践する「ほうとくエネルギー株式会社」の設立など、これまでの取組が着実に成果を上げてきていることは、私たちが直面する課題について、その対策を地域の現場で形づくることが可能であることを証明しております。このように、市民や地域との協働による様々な課題解決に向けた取組が具現化されており、その成果を一つひとつ積み重ねていく段階に入っております。

 郷土の偉人である二宮尊徳翁は、複数の人たちが寄り合って本音をぶつけ合うことで、お互いが磨かれる「芋こじ」により、人々の意識改革を進めながら共同体としての結束を高めるとともに、倫理的な思想と合理的な方法論を融合させた報徳仕法により多くの村を窮乏から救済し、復興させることに成功いたしました。

 先人の教えに学び、私たちが直面する様々な課題に対し、市民と行政が一体となって挑戦し続ける地域の現場から、実践により裏打ちされた具体的な解決策を提示していくことで、持続可能な地域社会の先例を全国に示すことができるとの手応えを、私は確かなものとして感じています。そして、時代と社会の要請の中、自らの知恵や力を文字通り推譲していただける多くの市民の皆様を擁する、この小田原の潜在力の高さを、大変心強く、そして誇らしく思います。

 私たちが進めている歩みは、わが国の未来のあり方や地域の姿に直結しているとの意味をしっかりと市民の皆様と共有し、協働の土壌と郷土愛を育みながら新しい小田原の創造に向けた取組を加速させてまいります。

 

 小田原の豊かな地域資源を余すことなく生かし、市民や地域の力を核とした新しい公共を育てながら、絆を深め、地域の活力を生み出し、希望を見出していく。このような取組を、より多くの市民の皆様と実践することができれば、必ずや新しい小田原の姿が現出してくるものと確信しております。

 小田原が宿す無尽の徳をもって小田原の未来を切り拓いていくことで、わが国の未来を照らし、小田原が日本再生のさきがけとなりうるよう、全力を挙げて市政運営にまい進する所存であります。

 

 以上をもちまして、平成25年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

 

   平成25年2 月19日

 

小田原市長 加 藤  憲 一

最終更新日:2013年02月19日

このエントリーをはてなブックマークに追加 twitterで共有

この情報に関するお問い合わせ先

秘書室

電話番号:0465-33-1231


この情報についてのご意見・ご感想をお聞かせください!

このページの情報は分かりやすかったですか?

※システム上、いただいたご意見・ご感想に対する回答はできません。
回答が必要な内容に関しましては、お問い合わせ先の担当課まで直接お願いいたします。
※住所・電話番号等の個人情報については記入しないようお願いいたします。
※文字化けの原因となる、丸付き数字などの機種依存文字や半角カタカナは記入しないようお願いいたします。

小田原市役所
住所:〒250-8555 神奈川県小田原市荻窪300番地(郵便物は「〒250-8555 小田原市役所○○課(室)」で届きます)
電話:0465-33-1300(総合案内)

Copyright (C) City of Odawara, All Rights Reserved.