小田原市

所信表明・施政方針

平成26年度施政方針(平成26年2月17日)

平成26年度施政方針  PDF形式 :52.3KB



 平成26年小田原市議会3月定例会が開会し、平成26年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 世界経済をパニックに陥れたリーマンショックから5年が過ぎ、長期にわたり低迷を続けていたわが国の景気もようやく回復に向かうのではないかという期待感が漂ってきております。しかし、円安の進行と株価の上昇により、大企業を中心とする企業収益の改善という状況が数字となって表れるようになった一方、多くの中小企業や国民一人ひとりがその恩恵を享受し、日本経済の復活を実感できる状況には至っておりません。

 また、東日本大震災の被災地の復興は少しずつ進んではいるものの、まだ道半ばであり、原子力発電所事故に端を発したエネルギー対策も今後の道筋を国全体で共有しているとはいえず、経済の先行きに不透明感を残しております。さらに、本年4月とその1年半後に予定されている消費税率の引き上げによる景気の下振れの懸念もあり、一昨年の政権交代以降進められてきた、いわゆる「3本の矢」と呼ばれる政策が、わが国が暗く長いトンネルを抜け出すための有効な手立てとなるのかどうか、これからその真価が問われることとなってまいります。

 また、未曽有の少子高齢化が進展しているわが国においては、今後の社会保障制度のあり方が、国民の大きな関心を集めることとなってまいります。経済的発展を目指す一方で、誰もが安心して年を重ね、長寿を心から喜び合える社会をつくっていかなければ、本当の意味での日本の再生を果たすことはできません。消費税率の引き上げによる増収を財源として、具体的に改革が進められる年金、医療、介護、子ども・子育て支援に関する諸制度が持続可能なものとなり、国民の将来に対する安心をもたらすことができるのかどうかが、わが国が正しい再生への道に向かっていくための重要な鍵を握っております。

 そして、不安定な社会経済情勢が続く中、日本の再生に向けては、地域における経済振興や文化振興による活性化も重要な課題であります。昨年には、富士山が世界文化遺産に登録されたことに続き、2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会が東京で開催されることが決定いたしました。このことは、日本が世界中の人々の関心をさらに集めることとなり、国内産業の振興、国際的な交流の促進など、多方面にわたり日本の活力を再生していく契機となることが期待されております。首都圏に位置し、富士箱根伊豆といった世界的観光地への回遊ルート上にある本市にとっても、多くの交流人口を獲得し、まちの活性化につなげる絶好の機会となります。こうした追い風を受け、行政と民間が手を携えた活力ある地域づくりを加速させたいと考えております。

 本市の活力を生み出す主役は、多彩な経済活動や地域活動、市民活動を展開していただいている市民の皆様であります。昨年、これまで地道に続けられてきた、地域や市民の皆様の活動の成果が全国規模で顕彰される事例が相次ぎました。さらに、企業の皆様による社会貢献活動や民間の皆様による地域経済の活性化の動きも活発化しております。新しい小田原の創造の原動力となっております市民や地域の皆様の力が、ますます顕在化していることは、本市が進めるまちづくりに明るい展望を開くものであると、大変心強く、また、ありがたく感じているところであります。

2 市政運営に当たっての基本方針

 地域社会を取り巻く様々な状況が目まぐるしく変容する時代の中で、私たちは、あらゆる変化に対しても揺らぐことなく、自分たちで課題解決を図り、新たな価値を創造していくことのできる自立した都市をつくっていかなければなりません。そのために、私は、小田原のまちづくりの指針である第5次小田原市総合計画「おだわらTRYプラン」に掲げた「新しい公共をつくる」、「豊かな地域資源を生かしきる」、「未来に向かって持続可能である」という3つの命題を常に念頭に置きながら、これまで進めてきた取組の成果の最大化を図り、本市の将来都市像「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現に向かって、その歩みを緩めることなく市政運営に当たってまいります。

 昨年、市民の4人に1人が65歳以上という人口構成となり、本市も本格的な超高齢社会を迎えています。待ったなしで高齢化が進んでいく今後の地域社会においては、暮らしに身近な場所で、人と人とが支え合うことのできる地域コミュニティをつくっていくことが最も重要な課題であります。地域の皆様が原動力となっているケアタウン、スクールコミュニティなどの地域コミュニティ単位での課題解決の取組を地域運営の普遍的な仕組みとして定着させ、本市のまちづくりの根幹をなす地域コミュニティの強化を図ってまいります。また、地域の様々な活動においては、既に多くの高齢者の方々に、重要な役割を担っていただいております。今後も高齢化が進んでいく中、プロダクティブ・エイジングの考え方に立ち、元気で、豊富な社会経験や知識を備えた方々が生きがいを感じながら、持てる力を存分に発揮していただける地域づくりに取り組んでまいります。

 また、東日本大震災や頻発している自然災害を契機として強化してまいりました災害対策やエネルギー対策のほか、全国的にも社会問題となっております公共施設の老朽化への対策も着実に講じていかなければなりません。厳しい財政状況の下、財源の確保に努めながら、計画的に公共施設の維持保全や長寿命化に取り組み、地域コミュニティの強化と合わせ、ソフトとハードの両面から市民の皆様のいのちを守り、安心して暮らすことのできる地域をつくってまいります。

 そして、小田原地下街の再生、お城通り地区の再開発、芸術文化創造センターの整備という、いわゆる三大事業がいよいよ現実に形となる段階へと入ってまいります。小田原の誇る豊かで魅力的な地域資源が凝縮され、多様な人やモノが交流し、新たな価値を創造する場として、これらの拠点が小田原の未来に向かって貴重な役割を担っているのだということを市民の皆様に実感していただけるよう、民間の皆様とも連携を図りながら事業を完遂してまいります。さらに、中心市街地活性化基本計画に基づき、こうした拠点整備との相乗効果を生む施策を展開するとともに、三大事業の進展を踏まえ、市民会館や競輪場の今後を見据えた小田原駅・小田原城周辺一帯における公共的機能の配置のあり方について検討を進めてまいります。

3 平成26年度の重点方針

 平成26年度は、おだわらTRYプランにおいて未来への投資と題して位置づけている先導的施策に重点を置き、これまでの取組を定着させ、あるいは進化させ、新しい小田原への歩みを着実に進めてまいります。

 「未来を担う子どもを育む」につきましては、地域ぐるみで子どもたちを見守り育てるスクールコミュニティや小田原の良さを生かした教育を推進するなど、子どもたちが地域と関わり合いながら、より健やかに、ふるさとへの愛着と誇りを持って成長していくことのできる環境を整えてまいります。

 「ものを生み出す力を育てる」につきましては、地元企業や商店街などの民間の活動を支援し連携を深めながら、小田原の農林水産物のブランド化や六次産業化を進めるとともに、地域産木材を生かして森林・林業・木材産業の再生を図るなど、地域経済の新たな活力を創出してまいります。

 「都市の顔をつくる」につきましては、小田原地下街の再生やお城通り地区再開発事業を着実に進めるとともに、にぎわいと活気のある、美しく快適な街並みを形成していく都市廊政策を進めるなど、魅力的な都市空間を形成してまいります。

 「自然環境を再生する」につきましては、市民との協働により、環境再生活動の更なる促進を目指すプラットフォームの設立や、エネルギーの地域自給に向けた再生可能エネルギーの導入と省エネルギー化を進めるなど、人と自然とが調和したまちづくりを展開してまいります。

 「文化力を高める」につきましては、芸術文化創造センターの整備に向けた準備を進めるとともに、芸術活動に触れる機会の提供や市民の芸術文化活動への支援を行うなど、文化による多様な交流を生むまちづくりを進めてまいります。

 「地域のつながりを再生する」につきましては、地域ごとにテーマを設定して進められている協働の取組や地域活動をより一層推進し、個性豊かな魅力ある地域づくりを進めてまいります。

 これらの取組を、平成26年度からスタートする第2次実施計画に基づき、着実に進めてまいります。

 主な施策と事業につきましては、おだわらTRYプランにおけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明いたします。

4 分野別基本方針

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】

 地域福祉につきましては、ケアタウン構想の具現化に向け、自治会、民生委員児童委員協議会、地区社会福祉協議会、老人クラブ連合会など地域を支える各種団体との連携を強化するとともに、地域福祉の担い手の育成に努めてまいります。

 高齢者福祉につきましては、生きがいづくりの促進や支援体制の充実、介護予防事業の拡充を図るほか、平成27年度から平成29年度までを計画期間とする第6期おだわら高齢者福祉介護計画の策定に取り組んでまいります。また、医療と介護との連携について、医師会や歯科医師会、薬剤師会などの関係機関と調整を進めるなど、地域包括ケア体制の強化に向けた取組を進めてまいります。

 障がい者福祉につきましては、障害児通園施設「つくしんぼ教室」が「おだわら総合医療福祉会館」へ移転することに伴い、専門的な療育を提供するため、障がい児の支援にあたるスタッフの充実を図ってまいります。また、障がいの種別ごとに市内4か所で実施していた障がい者相談支援事業につきましても、同会館で実施し、障がいの種別にかかわらず市民からの相談に対応できるようにするなど、相談支援機能の充実を図ってまいります。

 健康づくりにつきましては、健康増進計画と食育推進計画をもとに、健康寿命の延伸と生活の質の向上に向けた取組を総合的に進めてまいります。また、地域における健康づくり活動や健康教室を通じて、市民一人ひとりの健康への意識を高めてまいります。そして、生活習慣病の予防及びがんの早期発見などに向け、特定健診・特定保健指導やがん検診の受診を促進いたします。

 地域医療につきましては、関係機関と連携し、引き続き誰もがいつでも適切な医療を受けることができる医療体制を確保するほか、超高齢社会に対応した在宅医療と地域包括ケア体制の構築に取り組んでまいります。

 市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として、高度で専門的な医療を提供するため、医師、看護師などの医療スタッフの確保や高度医療機器の更新に努め、病院機能の充実を図ってまいります。また、地域の病院、医院や診療所などと連携しながら、病気の重症度に応じて医療機関の機能と役割を分担し、地域全体で医療を支えるための中核的な役割を果たしてまいります。

 

【暮らしと防災・防犯】

 共生社会の実現につきましては、全ての市民がお互いの文化や人権を尊重し、認め合いながら共に生きていくために、人権教育や啓発活動のほか、市民活動団体と協働して、日本語教室を核とした外国籍住民に対する生活支援を行ってまいります。また、誰もが性別にかかわりなく個人の能力を生かし、あらゆる分野でいきいきと活躍できる地域社会の実現に向け、より時代に即した施策を展開するため、おだわら男女共同参画プランの改定を進めてまいります。

 災害に強いまちづくりにつきましては、防災行政無線を増設するほか、広域避難所に特設公衆電話を整備するなど、災害情報の伝達体制を充実させ、避難施設の機能を強化いたします。また、県・市合同総合防災訓練「ビッグレスキューかながわ」の実施により、防災関係機関の相互連携及び広域応援体制の充実と強化を図るほか、酒匂川以西地区において一斉に広域避難所開設訓練を実施するなど、自主防災組織を中心とした地域防災力の強化と防災意識の高揚を図ってまいります。また、建築物の耐震化を促進するため、分譲型共同住宅、緊急輸送路沿いの特定建築物の耐震診断への助成のほか、新たに木造住宅の耐震設計や工事監理への助成を行ってまいります。そして、都市の水害対策として、下菊川や関口川の改修を行ってまいります。

 消防・救急体制につきましては、県西地域2市5町を管轄する広域消防として、さらなる消防力の充実と強化を図るため、平成27年度からの運用開始を目指し、消防・救急無線のデジタル化の整備を完了させるとともに、はしご付消防自動車や高規格救急自動車などの消防車両の更新を進めてまいります。また、新たな救急救命処置に対応できる救急救命士の育成や応急手当の普及啓発に取り組むとともに、消防団施設を整備するほか、新たに女性消防団員20名を採用し、消防団活動の充実と強化を図ってまいります。

 安全・安心の地域づくりにおきましては、引き続き省エネで耐久性に優れたLED防犯灯の普及を促進するため、ESCO事業の導入に向けた準備を進めてまいります。また、市民活動団体と協働して、防犯講習会の開催や防犯マニュアルの作成、配布により、身近な防犯対策を周知し、地域の安全は地域で守るという自主防犯意識の高い地域づくりに取り組んでまいります。そして、消費生活に関する相談体制を充実するとともに、消費者教育、啓発活動を推進し、引き続き、市民の消費生活の安定と向上を図るための体制づくりに取り組んでまいります。

 

【子育て・教育】

 子育て環境につきましては、平成27年度に予定されている子ども・子育て支援新制度の施行に向けて準備を進めるとともに、国の「待機児童解消加速化プラン」を活用して認可外保育施設の認可保育所への移行を支援するなど、待機児童解消に努めてまいります。また、多様な保育ニーズに対応するため、回復期に至らない病気の児童を一時的に預かる病児保育を新たに実施いたします。さらに、市民活動団体との協働によりプレイパークを実施するなど、子どもにやさしいまちづくりを推進してまいります。そして、妊婦健診や妊婦歯科健診、乳幼児の月齢に応じた健診や定期予防接種、保健師や専門家による育児相談に取り組むなど、妊娠中から乳幼児期までの一貫した母子保健サービスを提供してまいります。

 青少年育成につきましては、地域総ぐるみで子どもを見守り育んでいくスクールコミュニティの形成に向け、地域の子どもに関する活動をまとめた情報紙の発行や、子どもたちが安心して集い活動できる居場所づくりの対象地域の拡大に、引き続き取り組んでまいります。また、放課後児童クラブ事業では、平成27年度からの全クラブにおける対象学年の拡大に向け、試行的に実施するクラブを増やしてまいります。そして、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、地域や学校の体験学習などで指導者として活躍できる人材の育成を図るため、効果的かつ魅力ある研修を実施してまいります。

 学校教育につきましては、学校教育振興基本計画に基づく施策を着実に推進してまいります。各校の実態や特色を生かした学力向上プランに基づく学習指導を充実させ、確かな学力の向上を図るとともに、不登校対策だけでなく、いじめなどの問題行動を未然に防止するための生徒指導体制を一層充実させてまいります。また、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援教育や相談体制の充実に取り組むとともに、「地域一体教育」、「幼保・小・中一体教育」を学校づくりの基盤として、子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支える「未来へつながる学校づくり」を一層推進してまいります。そして、学校施設につきましては、屋上防水を始めとする緊急度の高い修繕などを行うとともに、新たに市立幼稚園2園の園庭の芝生化を進めてまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】

 小田原地下街につきましては、本年秋の開業に向けて、改修工事を進めるとともに、地域経済の振興と、中心市街地はもとより市内全域への回遊を促進する拠点として機能し、安定した管理運営体制が確立できるよう、着実に準備を進めてまいります。

 産業・就労環境につきましては、市融資制度などによる中小企業の経営支援を行うとともに、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくりなどを関係機関と連携しながら支援してまいります。また、工場の緑地面積率の緩和など本市の優れた立地条件の周知に努め、企業の誘致と流出防止を図ってまいります。

 ものづくりにつきましては、木製品などの地場産品の首都圏域での展示会や国際的な見本市への出展支援、アマゾン社との連携による地場産品のインターネット販売の活用など、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、若手芸術家のデザインや創作活動と地場のものづくり産業との連携や自立活動を促進し、名産品・特産品などの地域資源を広く内外に紹介する取組を推進するなど、小田原産品のブランド力の向上につなげてまいります。

 商業につきましては、超高齢社会への対応や地域コミュニティ機能の強化を図るため、地域に根ざした商店街が持続的に機能するよう、商店街が新たに実施する中長期的な取組を支援してまいります。また、地域の食材を使用した「小田原どん」、「小田原おでん」や「おだわらスイーツプレミアム」を始めとしたご当地グルメの取組を促進するなど、地域資源を生かした商業の活性化を進めてまいります。

 観光につきましては、第50回という節目を迎える「小田原北條五代祭り」や11年ぶりに本市で開催する「全国梅サミット」などのイベントを開催するほか、まち歩き観光の促進を図る「ウォーキングタウン小田原」の取組、北条氏ゆかりの地や県西地域の自治体などと連携した各種観光PR活動を強化してまいります。また、小田原城天守閣の耐震改修に向けた検討を進めるとともに、小田原城址公園の魅力を高め、訪れる市民や観光客などの満足度の向上を図ってまいります。

 農業につきましては、地産地消を推進するとともに、生産者と都市住民が交流する様々な機会を創出するほか、六次産業化と地域活性化を進めるための取組を支援してまいります。また、「小田原十郎梅」につきましては、ロゴマークの活用により、一層の消費拡大を図るとともに、生産体系の構築などを検討してまいります。そして、県西営農支援センターを核とし、農地の流動化や担い手の確保に取り組むほか、農地の多面的機能を維持するため、耕作放棄地を復元させる取組を支援し、農業の生産性の向上を図ってまいります。

 林業につきましては、多面的な機能を発揮する森林の整備や保全と併せ、地域産木材の流通促進に向け、民間事業者とも連携した多角的な取組を進めてまいります。特に、地域産木材の利用拡大に向けた事業として、小田原産木材による住宅リフォーム補助制度を開始いたします。また、「第30回全国削ろう会小田原大会」が開催されることから、小田原の伝統木工技術が持つ「技」や「匠」を全国に発信してまいります。

 水産業につきましては、重要な地域資源である小田原の魚をより一層「知って」、「買って」、「食べて」いただくために、関係団体や事業者などとともに小田原の魚の良さと水産加工品を始めとする城下町の高度なものづくりの技術を活かし、様々な食シーンやニーズに対応した「人づくり」、「物づくり」、「魚食への流れづくり」を総合的に展開いたします。また、地域住民や観光客をターゲットに小田原の魚の認知度の向上と消費拡大による地域経済の活性化を図るため、県が実施する小田原漁港特定漁港漁場整備事業に併せて交流促進施設の整備を進めてまいります。

 

【歴史・文化】

 芸術文化創造センターにつきましては、平成28年度の完成に向け、基本設計に続いて実施設計を行うとともに、平成27年度の建設着工に先立ち、周辺道路の整備を行ってまいります。また、平成25年度中に策定する管理運営実施計画に基づき、芸術文化の創造拠点にふさわしい運営ルールや組織体制などの検討を進めてまいります。

 歴史資産につきましては、戦国期から江戸期にかけての貴重な遺構が発見されている御用米曲輪において発掘調査を行うとともに、史跡と緑の共生を目指して土塁の修景整備を行ってまいります。また、郷土文化に関する貴重な資料を継承し、地域固有の資産として全国に発信するため、博物館構想の策定に取り組んでまいります。

 文化・芸術につきましては、文化振興ビジョンに基づき、文化情報の発信を充実させるほか、子どもたちが学校で質の高い芸術活動に触れるアウトリーチ活動や、文化活動をサポートする人材を育成するためのワークショップ、鑑賞事業などを実施してまいります。また、小田原城ミュージックストリートや小田原映画祭を開催するなど、多様な文化・芸術事業を身近な場所で市民の皆様とともに展開し、小田原の文化の裾野を広げてまいります。また、清閑亭、松永記念館、小田原文学館が連携して文化事業を展開するとともに、北原白秋ゆかりの自治体との交流を深めるなど、小田原固有の文学遺産に光をあて、小田原の文化の魅力向上を図ってまいります。そして、貴重な地域資料を適切に保存していく環境の確保や市立図書館などの老朽化した施設の課題を整理し、時代に即した機能や役割を整えるための検討を行ってまいります。

 文化交流につきましては、国内姉妹都市である栃木県日光市と、法隆寺ゆかりの都市文化交流協定を締結している奈良県斑鳩町との交流を深めるとともに、海外姉妹都市チュラビスタ市と友好都市マンリー市との青少年相互交流を引き続き行ってまいります。

 生涯学習につきましては、市民とともに多様な学びを提供するキャンパスおだわら事業を推進するとともに、地域資源を活用し、郷土について知り、学ぶ機会を提供し、小田原ならではの生涯学習を進めてまいります。また、「嚶鳴()フォーラムin小田原」を開催し、郷土の偉人である二宮尊徳翁の顕彰を図ってまいります。

 生涯スポーツにつきましては、日本マーチングリーグ公式大会「城下町おだわらツーデーマーチ」を開催するとともに、ウォーキングをはじめとした地域におけるスポーツ活動を推進してまいります。また、城山陸上競技場の施設環境を整え、公益財団法人日本陸上競技連盟の第2種公認の更新を受けるなど、スポーツ施設について、できる限り長く使用できるよう必要な改修などを実施いたします。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】

 環境再生・保全につきましては、市民の環境意識の啓発と環境活動の活性化を目指し、地域と環境活動団体とのコーディネート機能を持つ環境プラットフォームを設立いたします。また、酒匂川土手への植栽や荒地を耕作地に再生する和留沢地区での取組など、市民が主体となった環境再生活動への支援を行うとともに、環境に関する市民や事業者、学校などの優れた取組を認証し、表彰する地域環境認証を引き続き実施してまいります。そして、環境団体などと連携しながら、子どもたちに市域の環境と暮らしとの関わりなどを実践的に学ぶ場を提供してまいります。

 再生可能エネルギーにつきましては、利用などの促進に関する総合的な方針として「小田原市再生可能エネルギーの利用等の促進に関する条例」を制定するとともに、基本的な計画を策定し、総合的な施策を計画的に推進してまいります。また、家庭用燃料電池設備の設置への助成などを引き続き行うとともに、住宅用太陽光発電設備の設置への助成を見直し、事業用の再生可能エネルギー事業や市民参加による再生可能エネルギー事業への支援を行うことにより、地域が主体となった再生可能エネルギーの利用の促進を図ってまいります。

 廃棄物の減量化・資源化につきましては、小型家電製品に含まれるレアメタルの資源化を推進するとともに、市民の皆様が楽しくごみの減量化に取り組んでいただけるよう、3千名を超える方々が参加している段ボールコンポストの取組を、市民団体、地域などの協力の下、より一層推進してまいります。

 良好な生活環境につきましては、緑地の保全及び緑化の推進の方針並びに都市公園の整備方針を定める「緑の基本計画」の改訂に向けて、緑に関する現況調査に着手するとともに、地域の方々の手により愛着のある公園をつくる、身近な公園プロデュース事業に引き続き取り組んでまいります。また、斎場につきましては、老朽化が著しく、今後も火葬需要の増加が見込まれることから、現斎場敷地内での建替えに向け、設計などを行う事業者の選定の準備を進めてまいります。

 自然環境の保全と再生につきましては、環境保護団体や地域住民と連携しながら、自然の豊かさを享受できる環境を再生してまいります。また、地球温暖化の防止や生態系の保全、水源かん養機能の向上、山崩れの防止など、森林の持つ多面的機能を高めるため、引き続き、森林の整備と保全を図るとともに、植樹を通じて森に親しみ、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森を育んでまいります。そして、県条例により里地里山保全等地域に指定されている久野、東栢山地域及び上曽我地域の皆様と協働して里地里山の保全や活用に努め、豊かな自然を次世代に引き継いでまいります。

 

【都市基盤】

 お城通り地区再開発事業につきましては、駐車場施設ゾーンの平成26年度中の供用開始に向け、施設整備に着手するとともに、引き続き緑化歩道の整備を進めてまいります。また、広域交流施設ゾーンにつきましては、平成26年度を目途に事業者の公募を行い、平成29年度末までの完成を目指します。

 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、自然環境や歴史的・文化的資源を守り伝え、身近な緑を増やすことによる潤いや地域に合った彩りによる個性を育て、富士山などの眺望景観や地域特性を生かした良好な景観形成を継続して進めてまいります。そして、小田原駅周辺の都市空間と小田原城周辺の歴史的空間が近接している魅力を最大限に生かし、回遊性を高め、街なか居住を促進し、街なかの活性化を図るため、「都市廊政策」を着実に推進してまいります。また、空き家を介して、小田原の地域特性を生かした住まい方を提案する空き家バンク事業を進めてまいります。

 地域交通につきましては、地域公共交通総合連携計画に基づき、市民、交通事業者、行政が連携し、路線バスの利便性の向上や利用促進に取り組んでまいります。また、小田原駅周辺の土地利用の動向を踏まえ、駐車施設の利用状況や需要の調査、配置計画などの検討を行い、新たに駐車場整備計画を策定し、駅周辺の駐車対策に取り組んでまいります。そして、幹線道路や狭あいな生活道路を整備するとともに、道路施設の総点検や橋りょう長寿命化修繕計画に基づく計画的な維持修繕を行い、安全な道路空間の充実と円滑な交通ネットワークを形成してまいります。

 水供給及び下水処理につきましては、安全で安心な水道水を安定供給するため、浄水施設及び老朽化した配水管の更新や、配水池及び送水管の耐震化などを行ってまいります。また、快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図るため、5地区を重点整備区域に位置付け、計画的かつ効率的に下水道の整備を推進します。そして、下水道長寿命化計画及び下水道総合地震対策計画に基づき、老朽管路の改築や防災拠点などの汚水を受ける重要な管路の耐震化を計画的に推進してまいります。さらに、下水道事業の効率化を図るため、流域下水道への編入に向けた汚水幹線の整備を推進するとともに、下水道事業経営の健全化を図るため、企業会計の適用に向けた資産調査などを実施いたします。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】

 地域コミュニティの強化につきましては、地域の主体的なまちづくりを進めるため、地域コミュニティ推進事業の実施地区を拡大するとともに、担い手の育成の支援と地域活動の情報共有を図ってまいります。また、地域活動拠点の整備について検討を進めてまいります。

 市民活動の促進につきましては、様々な分野で活動する市民活動団体と行政との協働を推進するための提案型協働事業に取り組むとともに、市民活動の新たな拠点となる(仮称)市民活動交流センターの開設に向けて準備を進めてまいります。また、多様な主体によるまちづくりを推進するため、市民活動団体と地域活動団体とのネットワークの形成を促進してまいります。

 情報共有の推進につきましては、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなどの様々な手段を使い、市の事業や施策に関する情報をわかりやすく提供してまいります。さらに、今年度策定される都市セールス戦略・アクションプランに基づき、効果的なプロモーションを進め、市内外に小田原の魅力を発信してまいります。また、市長への手紙や市長との懇談会、メールマガジンアンケート機能などを活用し、広く市民の皆様の声を聴き、市政に反映させてまいります。

 行財政改革につきましては、引き続き行政改革指針に基づく行革アクションプログラムに取り組み、社会経済情勢の変化に即応した改革を進めてまいります。また、計画・予算・評価が連動した事務事業の評価体制により、効率的かつ効果的な事業の実施を図ります。そして、公共施設の長寿命化による更新費用の平準化、計画的な予防保全による安全性の確保を図るため、市有建築物の長期保全計画や維持修繕計画の策定に向け、引き続き劣化状況の調査を行ってまいります。また、災害時の防災拠点となる市庁舎の耐震化につきましては、平成27年度末の完成を目指し、免震工法による耐震改修工事に着手いたします。

 市税につきましては、市税等納付促進センターによる納付勧奨や滞納処分の更なる強化、口座振替の利用促進により、市税収入の確保に努めてまいります。

 そして、行政機能の強化につきましては、第30次地方制度調査会答申を踏まえた地方自治制度改革の動向を注視し、基礎自治体としての望ましい姿について研究を行いつつ、適切な対応を図ってまいります。

 市職員の育成につきましては、引き続き公務員倫理を徹底するとともに、コーチングプログラムを実施し、自ら考え行動し、市民とともに「新しい小田原」を築いていくことのできる職員の育成と、コミュニケーション能力の向上による組織力の強化に努めてまいります。

 広域行政につきましては、県西地域における広域連携の取組を継続するとともに、静岡・神奈川・山梨の県境を越えた自治体間による連携や交流を深めてまいります。

5 むすび

 以上が、平成26年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。

 この数年の間に、小田原城跡御用米曲輪から戦国時代の遺構が発掘され、大きな注目を集めております。長い年月を超え、当時のまちづくりの姿に触れるたび、これから50年、100年、さらにその先へと続いていく小田原のために、今を生きる私たちが、何を守り、何をつくり、引き継いでいくべきなのかということを改めて考えさせられます。そして、私は、市政運営のかじ取り役として、目の前にある懸案の解決とともに、その先につくりだしていく小田原の未来を明確に見定め、これまで進めてきた取組を一層進化させていかなければならないとの思いを新たにしているところです。

 小田原には、豊かな水を湛える酒匂川、その流れが生み出した豊()な足柄平野、それらを取り囲むように連なる緑豊かな山々、長い歴史を経て現代に生き続けるなりわい、そこに暮らす人々による様々な営みがしっかりと存在しております。

 豊かな地域資源に恵まれた私たちのまち小田原は、日本再生のさきがけとして、新しい地域社会のモデルを創出していくための条件を十分に備えております。私たちは今、その恵まれた条件を生かし、「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現のために必要な営みを着実に育てているということ、今後もその営みを根付かせ、さらに多様な営みを丹念に築いていく努力をたゆまずに積み重ねていかなければならないということを、しっかりと認識する必要があります。

 そのために、これまで進めてきた取組の成果を市民の皆様に実感していただき、私たちが進めているまちづくりに対する確固たる自信と誇りが生まれ、さらに質量ともに充実した協働へとつながっていく、そうした好循環をつくりあげ、新しい小田原への歩みを確かなものにしていきます。

 この小田原が、自らが進むべき未来をしっかりと見据え、わが国にあるべき地域社会のモデルをつくり、示していく役割を与えられているとの使命感を胸に、全身全霊を傾け市政運営にあたってまいる所存であります。

 

 以上をもちまして、平成26年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

 

   平成26年2月17日

 

小田原市長 加 藤  憲 一

最終更新日:2015年01月05日

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