小田原市

所信表明・施政方針

平成27年度施政方針(平成27年2月19日)

平成27年度施政方針  PDF形式 :336.8KB



 平成27年小田原市議会3月定例会が開会し、平成27年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 わが国では、1990年代初頭のいわゆるバブル崩壊以来、低い経済成長とデフレが続く停滞の20年を経験し、安倍内閣のもと現在、その停滞の淵から脱却すべくアベノミクスと呼ばれる経済政策が推し進められています。雇用、株価等各種の経済指標は改善の兆しを見せているものの、国民の一人ひとりが経済の好転を実感できるまでには至っておりません。今後、企業の業績改善、雇用の拡大、所得の上昇やさらなる消費の拡大によって、持続的な経済成長が実現し、全国津々浦々に景気回復の実感が行き渡り、各地域に暮らす人々の生活の質の向上が果たされるのか、冷静に見極めることが必要であると考えます。

 一方で、昨年5月には民間有識者らによる研究機関である日本創成会議が少子化や人口流出による「消滅可能性都市」を公表し、人口問題が国家的課題として改めて浮き彫りになりました。今後、人口減少・超高齢化の進展に伴い、経済格差の拡大、セーフティネットであったコミュニティの衰退、各種公共インフラの老朽化、国・地方の財政悪化といった課題への対応も求められてまいります。

 こうした困難な問題群を打破していくための答えや手がかりは、国ではなく地方にこそあります。市民生活や地域経済のそれぞれの現場で問題解決能力を高め、自立した地方都市像を描いていく。市民一人ひとりのいのちが大切にされ、生きる喜びを感じながら暮らしていくことのできる地域像を求めていく。市民の力、地域の力を核として、協働を育て、今日の厳しい局面に立ち向かっていくことで、目指す姿への歩みはより確かな形となっていきます。

 加えて、住民に一番身近な基礎自治体の自主性が発揮できるよう、事務・権限と財源をセットで移譲し、様々な規制を緩和する地方分権のさらなる推進が必要です。また、国では大都市制度の見直しや、従来よりも広域的な視点に立った基礎自治体の行政サービスのあり方の検討がなされており、本市としても、この国を挙げての都市制度改革の動きを捉え、中核市への移行等、基礎自治体としての権能の強化を図るべきであると考えます。

 新しい公共をつくり、豊かな地域資源を生かしきり、未来に向かって持続可能な都市をつくることによって、小田原は日本再生のさきがけとなることができる。また、その使命が与えられている、と私は考えております。

2 地方創生に向けて

 昨年11月、地方創生関連2法が成立しました。その長期ビジョンでは、それぞれの地方が独自性を活かし、その潜在力を引き出すことにより多様な地域社会をつくり出すことが基本となる、と示されており、それはまさに私が就任当初から市政の命題と位置付けていたことに符合するものでありました。

 地方創生に向けては、「東京一極集中を是正する」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」、「地域の特性に即して地域課題を解決する」という3つの視点の下、国と地方が総力を挙げて人口、経済、地域社会の課題に取り組むこととされております。本市としても、まち・ひと・しごとの創生と経済の好循環の確立に向けて、人口や産業、社会インフラ等の現状や将来の動向を踏まえた向こう5か年の地方版総合戦略を平成27年度中に策定いたします。そして、随時成果を検証しながら、国県と協調して戦略的な施策展開を図ってまいります。

 また、これに関連して、昨年12月に閣議決定された地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策には、地域住民生活等緊急支援のための交付金の創設が盛り込まれました。この交付金を活用して域内経済循環を促す消費を喚起するためのプレミアム商品券事業等の新たな取組のほか、地方創生に向けた本市の取組に先鞭を付けるべく、農林水産業・観光業等の競争力強化を通じて地域の雇用創出に資する実効ある取組等を行ってまいります。これらの取組につきましては、このあとに申し述べます平成27年度の施策として予定している事業を一部3月補正予算に前倒しするなど、スピード感のある対応を図ってまいりたいと考えております。

3 市政運営の基本方針

 さて、これまで私は、本市が抱える、そしてこれから直面するであろう課題の解決に向けた取組の種をまき、皆様と共に育ててまいりました。そして今、これまで推進してまいりました第5次小田原市総合計画おだわらTRYプランに掲げる将来都市像「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現に向けて、確かな手ごたえを感じております。

 長年の懸案であった三大事業の着実な推進は、まさに市民の力・地域の力を核とした「新しい小田原」に向けた象徴的な取組であります。人を惹きつけ、新たな人の流れを創出する拠点となる、小田原地下街・お城通り地区再開発・芸術文化創造センターが具現化するにつれて、小田原ならではの魅力が集約され、質の高い公共的空間が集積する中心市街地の新たな顔だちが表れてまいりました。県西地域の一大交通拠点である小田原駅からハルネ小田原を経由して、多くの来訪客がまちなかに広く回遊し、交流人口の拡大と外部からの資本流入が起こる。お城通り地区では、新設されたおだわら市民交流センターにおいて市民による多様な活動や交流が一層活発化し、加えて、まちなかにおいて広域的な人・もの・情報などの交流が盛んに起こる。芸術文化創造センターでは、文化を感受する喜びが広がるとともに、多様で豊かな市民の芸術文化創造活動からわきあがるクリエイティブな力が市内全域へとあふれ、まちを舞台に様々な交流が生み出される。私が思い描き、今実現しつつあるまちの姿とは、市民の誇りであり、まちの象徴でもある小田原城の界隈を中心に、新たな拠点施設が歴史文化の薫るまちなみや周辺の商業地と一体的なにぎわいの空間を形づくり、そこに生まれる活動、交流が市内全域にわたる持続的な経済波及効果をもたらしていく、というものです。

 さらに、「新しい小田原」への歩みはそれにとどまりません。地域コミュニティ単位の市民自治の広がり、官民協働事業を始めとする協働の取組の進化、官民それぞれにおける消防・防災体制の強化・充実、再生可能エネルギーの取組の拡大、地域経済に新しい価値を生み出す活動等、各分野で真に持続可能な地域社会に向けた歩みが形となりつつあり、これらを引き続き強力に推進してまいります。

 また、活力ある長寿社会の実現に向けたプロダクティブ・エイジングや、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会、日本で開催されるラグビーワールドカップ2019の機会をスポーツ振興や地域活性化につなげるための取組を、多様な主体との連携の下に推進してまいります。

 そして、神奈川県が推進している「県西地域活性化プロジェクト」につきましては、「未病を治す」をテーマとして新たな地域の魅力と活力を生み出すことを目指して、県や民間との連携の下に各種の活性化事業の推進を図るとともに、豊かな自然環境や地場産物、世界を視野に入れて展開している民間施設や新たな交流施設の立地等を地域活性化に結び付けていくための方策について調査研究を進めてまいります。

 一方、限られた行政資源の下で今後さらに力強く歩みを進めていくためには、事業の選択と集中を行い、適正な行財政運営の維持を図ることも肝要です。樹木に例えれば、繁った枝葉を思い切って切り詰め、根を張らせ、幹を太くして、来たる厳しい季節を乗り越えるようにする。そして、春になれば勢いよく芽吹く、このような力強い体質を獲得していく必要があります。

 これらの観点から、平成27年度にはおだわらTRYプラン後期基本計画の策定作業を本格化させ、これまでの取組を振り返りつつ、「新しい小田原」に向けた取組を加速させるために必要な戦略を打ち出してまいります。

4 分野別基本方針

 以下、主な施策と事業につきまして、おだわらTRYプランにおけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明いたします。

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】

 地域福祉につきましては、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。また、生活保護制度の運用の適正化に努めるとともに、生活困窮者の自立を支援する取組を進めてまいります。

 高齢者福祉につきましては、平成27年度から平成29年度までを計画期間とする第6期おだわら高齢者福祉介護計画に基づき、高齢者の生きがいづくり、介護予防、生活支援等の施策を総合的に推進してまいります。また、市内5箇所にある地域包括支援センターを7箇所に増やし、高齢者への支援体制を強化してまいります。

 障がい者福祉につきましては、障がい者が地域で安心して暮らせるよう、障害者総合支援法に基づく第4期小田原市障がい福祉計画を策定し、障がい者本位のサービスの提供に努めてまいります。

 健康づくりにつきましては、健康増進計画や食育推進計画に基づき、健康寿命の延伸に向けた取組を総合的に進めてまいります。また、生活習慣病等の早期発見と治療のため、特定健診・特定保健指導やがん検診の重要性を一層普及させ、受診率の向上を図るなど、市民の健康保持・増進に努めてまいります。

 地域医療につきましては、誰もがいつでも安心して医療を受けることができる体制を引き続き確保するほか、関係機関と連携し市民に身近なかかりつけ医の普及等に努めてまいります。

 市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として、高度で専門的な医療を提供するため、医師、看護師等の医療スタッフの確保や高度医療機器の更新に努めるとともに、診療情報を一元的に管理する電子カルテシステムを導入いたします。また、引き続き、地域の医療機関と連携し、病気の重症度に応じた機能と役割の分担を進め、地域全体で患者を支えるための中核的な役割を果たしてまいります。

 

【暮らしと防災・防犯】

 共生社会の実現につきましては、全ての市民がお互いの文化や人権を尊重し、認め合い、共に生きていく地域社会の実現に向け、人権教育や啓発等に取り組んでまいります。また、男女が性別にかかわりなく個人の能力を生かし、あらゆる分野でいきいきと活躍できる男女共同参画社会の実現に向けて、おだわら男女共同参画プランを改定いたします。そして、戦後70年の節目を捉えて戦争の悲惨さやいのちの大切さを次の世代に伝えていくための事業を実施いたします。さらに、外国籍住民への支援として、引き続き、日本語教室を核とした生活支援事業を市民活動団体と協働で実施してまいります。

 災害に強いまちづくりにつきましては、防災行政無線を増設するなど災害情報の伝達体制の充実を図るほか、避難者用の資機材備蓄による避難施設の機能強化や、関係機関と連携し災害時に備えた医薬品供給体制の整備を推進いたします。また、総合防災訓練の実施により、防災関係機関の相互連携及び広域応援体制を充実強化するほか、広域避難所開設訓練を市内全域で一斉に実施するなど、自主防災組織を中心とした地域防災力の強化と防災意識の高揚を図ってまいります。また、建築物の耐震化を促進するため、木造住宅等の耐震診断や耐震改修工事への助成制度を拡充するとともに、宅地の耐震化を推進するため、大規模盛土造成地の分布調査を行ってまいります。さらに、水害対策として、下菊川や関口川の改修を行うとともに、河川や水路の適切な維持管理を進めてまいります。

 消防・救急体制につきましては、県西地域2市5町を管轄する広域消防として、さらなる消防力の充実と強化を図るため、消防ポンプ自動車や高規格救急自動車などの消防車両の更新を進めるとともに、消防・救急デジタル無線の運用を開始いたします。また、救急救命処置範囲の拡大に対応できる救急救命士の育成や応急手当の普及啓発に取り組むとともに、地域防災の要である本市消防団の機能を強化するための資機材を配備してまいります。

 安全・安心の地域づくりにつきましては、小田原駅東口・西口自転車駐車場を公益財団法人自転車駐車場整備センターから譲り受け、利用者にとって利便性の高い自転車駐車場として運営してまいります。また、消費者団体や地域・福祉・教育関係等の皆様と連携し、消費者の自立を支援するための消費者教育に取り組むなど、公正かつ持続可能な消費者市民社会の形成を推進してまいります。

 

【子育て・教育】

 子育て環境につきましては、平成27年4月の子ども・子育て支援新制度の施行に向けて策定する子ども・子育て支援事業計画に基づき、子育て支援センター、ファミリー・サポート・センター、地域子育てひろば等、地域における子育て支援サービスの充実を図るほか、市民団体との協働によるプレイパークを実施するなど、子育てのために地域社会がともに支え合う環境づくりを進めます。また、妊婦健診や妊婦歯科健診、乳幼児の月齢に応じた健診や定期予防接種、保健師や専門家による育児相談に取り組むとともに、新たに不育症治療に対する支援を実施するなど、妊娠中から乳幼児期までの一貫した母子保健サービスを提供してまいります。

 青少年育成につきましては、地域総ぐるみで子どもを見守り育んでいくため、地域の子どもに関する活動をまとめた情報紙の発行や、子どもたちが安心して集い活動できる居場所づくりに引き続き取り組んでまいります。また、全ての放課後児童クラブにおいて対象学年を小学校6年生まで拡大いたします。さらに、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、地域や学校の体験学習等で指導者として活躍できる人材の育成を図ります。

 教育の分野では、教育委員会制度改革に対応して、総合教育会議の開催や教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱の策定等に取り組みます。

 学校教育につきましては、学校教育振興基本計画に基づき、「未来を拓くたくましい子ども」の育成に努めてまいります。各校の実態や特色を生かした教育の推進や、個に応じたきめ細かい学習指導を充実させることにより「社会を生き抜く力」を養成していくとともに、新たに子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支える「コミュニティ・スクール」や「放課後子ども教室」をモデル校において実施し、これまで取り組んでまいりました「地域一体教育」、「幼保・小・中一体教育」と併せ、子どもたちが地域で見守られながら健やかに成長できる環境づくりを進めてまいります。また、学校施設整備基本方針に基づく緊急度の高い修繕工事や施設の老朽化対策を進めるほか、教育ネットワークシステムのより効果的な運用に努め、教育環境の整備・改善・充実に取り組んでまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】

 小田原地下街につきましては、運営を安定した軌道に乗せるとともに、地域経済の振興と、中心市街地はもとより市内全域への回遊を促進する拠点として、機能の充実を図ってまいります。

 産業施策につきましては、市融資制度等による中小企業の経営支援を行うとともに、新たに地域経済の循環を促進する仕組みを取り入れた地域経済循環型住宅リフォーム支援事業を推進し、地域経済の活性化を図ってまいります。

 就労環境につきましては、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくり等を関係機関と連携しながら支援してまいります。また、若年層に多い早期離職を抑制するため、職業意識啓発に努めます。

 企業誘致につきましては、新たに制定する企業誘致推進条例の下、工場の緑地面積率の緩和をはじめとした立地環境の優位性を周知するなど、市外からの工業立地を積極的に促進するとともに、市内工業の市外への流出防止を図ってまいります。

 ものづくりにつきましては、かまぼこやひもの、木製品等の地場産品の首都圏域への出店や、観光土産物品の国際的な見本市への出展支援等、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、若手芸術家のデザインや創作活動と地場のものづくり産業との連携を促進するとともに、名産品・特産品等の地域の資源を広く内外に紹介する小田原セレクション事業を推進するなど、小田原産品のブランド力の向上を図ってまいります。

 商業につきましては、地域の商店街が活性化し、また持続的に機能していくよう、商店街が新たに実施する中長期的な取組を支援してまいります。また、「小田原どん」や「小田原おでん」、「おだわらスイーツプレミアム」等、地域資源を活用する取組の充実を促進してまいります。

 観光につきましては、これを基幹産業の一つとして捉え、国内外からより多くの観光客を迎え入れるため、今後の観光振興の指針となる(仮称)観光戦略ビジョンを策定してまいります。また、「小田原北條五代祭り」や「小田原酒匂川花火大会」等の各種観光イベントを開催するほか、まち歩き観光の促進、北条氏ゆかりの地や県西地域の自治体等と連携したPR活動等を強化してまいります。

 城址公園につきましては、天守閣の耐震改修等工事を着実に進めるとともに、訪れる市民や観光客等の満足度の向上を図ってまいります。

 農業につきましては、地域農業の活性化を図るため、引き続き地産地消を推進するとともに、六次産業化の取組、「小田原十郎梅」のブランド化、オリーブの産地化を支援してまいります。そして、県西営農支援センターを中心に、農地の流動化や担い手の確保に取り組むほか、農地の多面的機能を維持するため、耕作放棄地を復元させる取組を支援し、農業の生産性の向上を図ってまいります。

 林業につきましては、多面的な機能を発揮する森林の整備や保全と併せ、地域産木材の流通促進に向け、民間事業者とも連携した多角的な取組を進めてまいります。特に、小田原産木材による住宅リフォーム助成制度を拡充するほか、いこいの森に新たに3棟のバンガローを建築するなど、地域産木材の利用拡大に向けた事業を展開してまいります。また、子どもたちが身近な森や木に触れ親しむ場を提供する木育活動の一環として、引き続きウッドスタート事業に取り組んでまいります。

 水産業につきましては、地域の重要資源である「小田原の魚」の認知度の向上と消費拡大を図るため、関係団体や事業者等とともに魚ブランド化に向けた取組を総合的に展開いたします。また、地域住民や観光客をターゲットに、県が行う小田原漁港特定漁港漁場整備事業に併せて交流促進施設の整備を進めてまいります。

 

【歴史・文化】

 芸術文化創造センターにつきましては、これまで市民とともに検討を積み上げてきた芸術文化創造の拠点としてのあるべき姿を形にすべく、建設工事に着手いたします。

 歴史資産の保存と活用につきましては、戦国期から江戸期までの貴重な遺構が発見されている御用米曲輪において、今後の整備に向けて、確認された遺構の概要報告書を作成するとともに、土塁の修景整備に着手します。また、郷土文化に関する貴重な資料を継承し、地域固有の資産として全国に発信するため、引き続き、博物館構想の策定に取り組んでまいります。そして、歴史的建造物の保存・整備の対象を官所有から民間所有のものへと広げ、官民協働により歴史的資源の活用を図り、歴史的風致維持向上計画に基づく歴史まちづくりを推進してまいります。

 図書館につきましては、図書施設・機能整備等基本方針に基づき、小田原駅前への図書施設開設に向けた検討や貴重な地域資料の整理・保存を進めるとともに、小田原固有の文学遺産に光を当て、小田原の文化の魅力向上を図ってまいります。

 文化・芸術につきましては、文化振興ビジョンに基づき、文化による人づくりとまちづくりを推進するため、文化振興ビジョン推進委員会を設置するほか、文化情報の発信の充実、歴史的建造物等の文化資源の活用を進めてまいります。また、子どもたちが学校で質の高い芸術活動に触れるアウトリーチ活動や、文化活動をサポートする人材を育成するためのワークショップを実施します。さらに、小田原城ミュージックストリートや小田原映画祭を開催するなど、多様な文化・芸術事業を暮らしに身近な場所で市民の皆様とともに展開し、小田原の文化の裾野を広げてまいります。

 文化交流につきましては、国内姉妹都市である栃木県日光市と、法隆寺ゆかりの都市文化交流協定を締結している奈良県斑鳩町との交流を深めるとともに、海外姉妹都市チュラビスタ市と友好都市マンリー市との青少年相互交流を引き続き行ってまいります。

 生涯学習につきましては、本市の生涯学習の拠点となる生涯学習センター本館けやきの耐震補強工事に着手いたします。

 生涯スポーツにつきましては、日本マーチングリーグ公式大会である城下町おだわらツーデーマーチを開催するとともに、ウォーキング・ランニングの定着や地域スポーツの活性化を図り、身近な地域においてスポーツに親しめる環境を整えてまいります。また、酒匂川サイクリングロードを整備するとともに、その他のスポーツ施設につきましては、必要な改修・修繕を実施して施設の長寿命化と機能充実を図ってまいります。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】

 環境再生・保全につきましては、市民、事業者、行政がそれぞれの強みを生かし、環境との共生に向けた市民活動を活性化するため、様々な環境活動の基盤となるプラットフォームの組織化を目指してまいります。また、酒匂川土手へのシバザクラの植栽や、荒地を耕作地に再生する和留沢での取組等、市民主体による環境再生活動を支援してまいります。加えて、子どもたちに市域の環境と暮らしとの関わりを実践的に学ぶ場を提供するため、環境団体等と連携しながら、環境学習事業に取り組みます。

 再生可能エネルギーにつきましては、本市の目指すべき将来像や長期的な視野に立った目標を掲げたエネルギー計画を策定し、再生可能エネルギーの利用を促進するための施策を計画的に進めてまいります。また、地域が主体となった再生可能エネルギー事業等への助成や、片浦小学校への太陽光発電設備の設置等により、再生可能エネルギーの地域自給を目指してまいります。

 廃棄物の減量化・資源化につきましては、ごみ焼却施設の長寿命化に向けた取組を進めてまいります。また、官民協働で段ボールコンポストの普及に一層の力を注ぐとともに、その他紙用回収袋の配布等、紙類の徹底した分別を推進し、さらに、小学校と連携して子どもたちのごみの減量意識の啓発を図ってまいります。

 良好な生活環境につきましては、緑地の保全及び緑化の推進の方針並びに都市公園の整備方針を定める緑の基本計画の改訂作業を進めるとともに、地域の方々が愛着ある公園をつくる身近な公園プロデュース事業に引き続き取り組んでまいります。

 斎場につきましては、老朽化が著しく、今後も火葬需要の増加が見込まれることから、施設の建替えに向け、PFI事業者の選定に取り組むなど、引き続き事業を推進してまいります。

 自然環境の保全と再生につきましては、山くずれの防止や水源かん養等、森林の持つ多面的機能を高めるため、植樹を通じて森に親しみ、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森づくりに取り組んでまいります。また、県条例により里地里山保全等地域に指定されている久野、東栢山及び上曽我の地域の皆様と協働して里地里山の保全や活用に努めてまいります。

 

【都市基盤】

 お城通り地区再開発事業につきましては、駐車場施設ゾーンの供用開始を平成27年秋とし、着実に整備を進めるとともに、広域交流施設ゾーンの整備方針を定め、事業施行者の公募を行ってまいります。

 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、小田原駅周辺の都市空間と小田原城周辺の歴史的空間が近接している魅力を最大限に生かし、回遊性を高め、街なかの活性化を図るため、地域との協働により都市廊政策を推進してまいります。また、大規模な建築計画等に対してもきめ細かな相談や誘導を実施し、小田原駅及び小田原城周辺地区の良好な景観形成を推進してまいります。

 地域交通につきましては、地域公共交通総合連携計画に基づき、市民、交通事業者、行政が連携し、路線バスの利便性の向上や利用促進に取り組んでまいります。また、小田原駅周辺の土地利用の動向、駐車・駐輪施設の利用の現状や需要の調査等を行い、新たに策定している駐車場整備計画及び駐輪場整備計画に基づき、駐車・駐輪対策に取り組んでまいります。そして、幹線道路や狭あいな生活道路の整備を進め、円滑な交通ネットワークの形成と市民生活に密着した安全な道路空間の充実を図ってまいります。さらに、道路施設等の調査結果に基づき、各施設に適した維持管理の方針を定め、計画的な修繕に向けた検討を進めてまいります。

 水供給と下水処理につきましては、安全で安心な水道水を安定供給するため、老朽化した配水管の更新や、配水池及び送水管の耐震化等を行ってまいります。また、快適な生活環境を確保し公共用水域の水質を保全するため、下水道の未普及地域の解消に向け、計画的かつ効率的に整備を推進するほか、汚水処理の効率化を図るため、流域下水道への編入に向けた汚水幹線の整備を推進してまいります。そして、下水道長寿命化計画及び下水道総合地震対策計画に基づき、老朽管路の改築や防災拠点等の汚水を受ける重要な管路の耐震化を、優先度の高い箇所から継続的に実施いたします。さらに、下水道事業経営の健全化を図るため、平成28年度からの企業会計化に向け準備してまいります。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】

 地域コミュニティの強化につきましては、地域の主体的なまちづくりを進めるため、全市的に地域コミュニティ推進事業を実施していくとともに、担い手の育成の支援と地域活動の情報共有を図ってまいります。また、地域活動拠点の整備について検討を進めてまいります。

 市民活動の促進につきましては、様々な分野で活動する市民活動団体と行政との協働を推進するための提案型協働事業に引き続き取り組んでまいります。また、おだわら市民交流センターの開設に向けて着実に準備を進めるとともに、この新しい市民活動の拠点における交流や連携を促進する事業の充実を図り、多様な主体によるまちづくりを推進してまいります。

 情報共有の推進につきましては、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなどの様々な手段を使い、市の施策や事業に関する情報を発信してまいります。さらに、効果的なプロモーションを進め、市内外に小田原の魅力を発信していくとともに、新たにふるさと寄附金の寄附者に対し、特産品等の特典を付する事業を始め、都市セールスの観点から本市の魅力向上に努めてまいります。また、市長への手紙や市民と市長との懇談会、メールマガジンアンケート機能等を活用し、広く市民の皆様の声を聴き、市政に反映させてまいります。

 行財政改革につきましては、引き続き小田原市行政改革指針に基づく行革アクションプログラムに取り組み、社会経済情勢の変化に即応した改革を進めてまいります。また、計画・予算・評価が連動した事務事業の評価体制により、効率的かつ効果的な事業の実施を図ります。そして、公共施設の長寿命化による更新費用の平準化、計画的な予防保全による安全性の確保を図るため、市有建築物の長期保全計画・維持修繕計画の策定作業を進めてまいります。また、災害時の防災拠点となる市庁舎につきましては、免震工法による耐震改修工事の完成を期してまいります。

 市税につきましては、引き続き口座振替の利用促進、市税等納付促進センターによる早期の納付勧奨、滞納処分の厳正な執行により市税収入の確保に努めるとともに、県や県内市町村と連携し、個人住民税の特別徴収を推進してまいります。

 市職員の育成につきましては、新たな手法を取り入れながら人物重視・面接重視の採用を推し進め、熱い心を持つ人材を確保し、既存の考え方や慣習にとらわれず、自ら考え行動できる職員の育成に努めてまいります。そして、適正な人事管理とともに適材適所の人事配置を行い、重要課題を着実に推進できるよう体制を強化してまいります。

5 むすび

 以上が、平成27年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。

 日本社会は人口減少・少子高齢化を始めとする諸課題に直面し、今まさに基礎自治体のあり方が問われています。明るい未来への道筋は平坦ではありませんが、困難こそ進化への最大の好機です。この機を捉え、市民・行政・地域コミュニティ・民間企業など、社会を構成する様々な要素がそれぞれに進化することによってこそ、この難局を乗り越え、次の時代への道を切り拓いていくことができます。

 これまで私は、「新しい小田原」を形づくる礎を、市民の皆様とともにつくり上げてまいりました。その歩みと作業の中で、小田原の持っている「徳」すなわち、実に豊富で多彩な可能性を最大限に生かすことで、必ずや私たちは目の前の困難を乗り越えることができる、そして市民の皆様のいのちを未来にわたって預かる基礎自治体としての責務を果たしつつ、日本再生に向けた持続可能な地域社会のモデルとなることができる、と確かな手ごたえを感じております。民を愛し、ともに力を合わせてまちづくりを進めた北条五代や二宮尊徳といった偉大な郷土の先人たちに学びつつ、数々の取組の成果を市民の皆様に実感していただくとともに、この歩みを揺るぎないものへと仕上げていくべく、誠心誠意市政運営にまい進する所存であります。

 以上をもちまして、平成27年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

 

  平成27年2月19日

    

小田原市長 加 藤 憲 一   

最終更新日:2016年02月15日

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