小田原市

所信表明・施政方針

平成28年度施政方針(平成28年2月22日)

平成28年度施政方針  PDF形式 :541.7KB



 平成28年小田原市議会3月定例会が開会し、平成28年度の当初予算案及び関連諸議案を御審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 昨年の主な出来事を振り返りますと、世界では、フランス同時多発テロ事件や欧州への移民流入、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉の大筋合意、中国の株価下落に端を発した世界同時株安などがあり、わが国も少なからず影響を受けました。身近な出来事としては、箱根・大涌谷の火山活動が活発化したことによる市内商業・観光業への影響があり、改めて箱根経済との密接なつながりを意識したところです。社会・経済両面における出来事が、距離を越えて影響を及ぼすことが珍しくなくなった今、私たちの暮らしは、多様な関係性の上に成り立っていることを改めて認識したうえで、連携や補完により、より豊かな暮らしを実現する道を切り拓いていく必要があると考えます。
 わが国は、深刻な人口減少・少子高齢化問題に直面しており、現在の状況が改善されなければ、人口は2060年に約8,700万人、高齢化率は約40%と実に2.5人に1人が高齢者となる超高齢社会を迎えることとなります。特に生産年齢層の減少は、少子化の進展に拍車を掛けるだけでなく、消費活動や生産活動の縮小による地域経済の停滞を招き、税収の減少に伴う財政の悪化につながる可能性があります。加えて、社会保障費の増大や一斉に更新時期を迎える各種社会インフラの維持など、未経験の課題が同時に押し寄せるこの時代と社会の中で、国は、「地方創生」や「一億総活躍社会」の旗印を掲げ、地方自治体が多様な主体と連携して自分たちの地域に責任を持ち、将来を見据えた対応を図ることを求めております。行財政運営をあずかる私たちが何をすべきなのか、基礎自治体のあり方を含め、これまで以上に深く、本質的な吟味が必要な局面に差し掛かっております。
 私は就任以来、一貫して「市民の力・地域の力」に重きを置き、「持続可能な市民自治のまち」の実現を目指して、市政の運営に取り組んでまいりました。福祉や防災など生活に密着した分野における地域コミュニティを枠組みとした課題解決への取組をはじめ、中心市街地活性化のために商業者や市民の皆様が連携して開催する「まちなか軽トラ市」や、エネルギーの地域自給に向けた再生可能エネルギー導入促進の取組などは、地域が自らの地域のあり方を自分の事として捉え、課題の解決に積極的に取り組んでいる例であり、本市の持つ市民力の高さをうかがわせます。さらには、保護者や地域の方などが学校と対等な立場で学校運営に参画する「コミ ュニティスクール」が始動するとともに、市と企業が連携して地域の活性化に取り組むことを目指した包括連携協定の締結など、企業が自主的に地域への貢献を行うような動きも出てきており、これまで市民の皆様とともに取り組んできた「新しい小田原」への歩みが様々な領域で確かなものとなってまいりました。 
 平成28年度は、実を結びつつあるこれまでの取組をより一層加速させてまいりますが、今後、ますます行政資源が限られていくことを踏まえ、中期にわたる財政状況を常に把握し、全体としての健全経営に最大限の配慮をするとともに、「不易」と「流行」の観点から事業の見直しを進めていかなければなりません。将来にわた って行政サービスを安定的に提供し続けていくためにも、小田原に住まう全ての人々と危機意識を共有し、地域一丸となって取り組むことができるか、今まさに、オール小田原としての問題解決力が試されております。

2 市政運営の基本方針

 平成28年度は、人口減少・少子高齢化に伴う諸問題の解決を目指す「小田原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」が本格的に動き出す一方、第5次小田原市総合計画「おだわらTRYプラン」にとっては、前期基本計画最後の年となります。人口減少・少子高齢化問題に特化した総合戦略とまちづくり全体の方向性を示した総合計画の推進によって、官民連携のもと、諸課題への対応を図りつつ、「未来を拓く希望のまち」の実現に向けて力強く前進してまいります。 
 小田原駅前におきましては、一昨年、ハルネ小田原として新たな道のりを歩み始めた小田原地下街が地域経済の振興や中心市街地の活性化を牽引する役割を担っております。続いて、昨年11月には、お城通り地区再開発事業として整備を進めてきた駐車場施設ゾーンが完成し、一階部分においておだわら市民交流センターUMECOが地域のエネルギーを生み出す交流の拠点として機能し始めております。さらに、箱根登山ベルジュ跡地に新たな商業施設「トザンイースト」が開業し、駅前におけるにぎわいがさらなる高まりを見せております。このような官民の協調した動きが中心市街地の活性化を力強く促し、神奈川県における西の玄関口としての都市の顔をより一層際立たせております。今後は、お城通り地区再開発事業の広域交流施設ゾーンの整備を着実に進めるとともに、芸術文化創造センターにつきましては、厳しい建設環境下における整備の可能性を探ってまいります。
 いわゆる三大事業の推進は、中心市街地における生活の利便性を向上させるだけでなく、回遊性の向上や芸術・文化の創造を通じて醸成されるまちの品格が、観光地としての小田原の価値を高め、本市を訪れる機会を創出することにつながります。昨今は、訪日外国人観光客が増加し、国も受入れ体制への後押しをするなど観光を取り巻く環境に追い風が吹いていることから、箱根を中心とした周辺観光地との連携を図りつつ、小田原が観光の通過点ではなく目的地となることを目指して、官民連携のもと観光振興に力を入れてまいります。
 また、2019年にはラグビーワールドカップ日本大会、2020年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控えており、これらを好機とした取組を進めることにより一層のスポーツ振興を図るとともに、地域の活性化にもつなげてまいります。
 このような地域の活性化を支えるのは、小田原を愛してやまない人々の「想い」であり、「想い」を抱き地域を担う人々の「力」です。人口減少によって、将来、地域の担い手となる子どもたちが少なくなり、担い手から担い手へのたすきが途切れることのないよう、私たちは、未来への投資を惜しんではなりません。地域と連携しつつ、小田原の強みを生かした教育の充実を図ってまいります。教育分野におきましては、総合教育会議で新たに策定する小田原市教育大綱に基づき、市長部局と教育委員会が教育の目標や施策の方針を共有し、連携を図りながら、教育、学術及び文化の振興などに取り組んでまいります。また、子育て環境につきましては、引き続き保育所の待機児童の解消に努めるとともに、平成28年度は、小児医療費の助成を拡充することとし、仕事と子育ての両立への支援と子育て世代の経済的負担の軽減を図ってまいります。
 成長への道のりを着実に歩む一方で、厳しい時代の到来への備えにも万全を期してまいります。急速な高齢化によって、社会保障費が増大し、地域の活力が減退していくことも危惧されますが、シニア世代の豊富な経験と社会への貢献意欲を生かしたプロダクティブ・エイジングや、神奈川県と協調して推進する健康を保ち続けることを目的とした「未病を治す」プロジェクトに取り組むことにより、いつまでも健康を保ち、希望どおりに持てる力を発揮し続けられるような環境づくりを進めてまいります。
 こうした取組を確実なものとしていくために、平成28年度は、平成29年度からスタートする後期基本計画の策定作業を通じて、小田原が持っている可能性や課題、果たしうる役割を踏まえつつ、どのような行財政運営をしていくことが、持続可能で安心して暮らしていける地域につながるのかについて、皆様と議論を深めてまいります。
 加えて、持続可能な自治行政の確立に向けては、広い視野を持って、基礎自治体のあり方について検討してまいります。基礎自治体としてどのような規模や権能を持つべきか、社会的、経済的なつながりがある周辺市町とどのような互恵的・補完的な連携を整えていくか、圏域の中心市である本市はどのような役割を果たすべきか。これらの命題について、都市制度を巡る国の動向や周辺市町の状況を踏まえ、大局的な見地に立って判断すべき時期に至っております。こうした認識のもと、現在進めている中核市への移行の検討と併せ、この圏域において、本市と同様に中心市としての役割を担う南足柄市とともに、市民や議員の皆様にも参画いただく協議組織を設置し、県西地域における中心市のあり方を具体的に議論してまいります。

3 分野別基本方針

 以下、主な施策と事業につきましては、おだわらTRYプランにおけるまちづくりの目標と政策の方向に沿って御説明いたします。

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】 
 地域福祉につきましては、ケアタウン推進事業のこれまでの取組を総括し、シンポジウムなどの開催を通じて、地域の皆様と今後の目指していく姿を共有してまいります。また、生活保護制度の運用の適正化に努めるとともに、生活困窮者の自立を支援する取組を進めてまいります。
 高齢者福祉につきましては、平成27年度から平成29年度までを計画期間とする第6期おだわら高齢者福祉介護計画に基づき、認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう認知症高齢者等支援策の強化を図るほか、高齢者の生きがいづくり、介護予防、生活支援などの施策を総合的に推進することで、地域包括ケアシステムの構築を目指してまいります。また、地域包括支援センターを8箇所に増やし、高齢者への支援体制を強化するとともに、介護保険制度の改正により創設された介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、地域の実情に応じた多様なサービスを提供できるようにしてまいります。
 障がい者福祉につきましては、平成28年4月に施行される障害者差別解消法に基づく取組や、つくしんぼ教室における療育支援の充実を図るとともに、障がいを持つ方が地域で安心して暮らせるよう、利用者本位のサービスの提供に努めてまいります。また、市民の皆様や当事者、事業者、専門家などの意見を聴きながら、障がいを持つ方の生活全般を対象とした第2期おだわら障がい者基本計画の策定に取り組んでまいります。
 健康づくりにつきましては、健康寿命の延伸に向けた取組を総合的に推進するほか、平成29年度から平成34年度までを計画期間とする第2期小田原市食育推進計画の策定に取り組んでまいります。また、市民の食や運動を基本とした健康づくりへの意識を高めるとともに、生活習慣病などの早期発見と治療に向け、特定健診・特定保健指導やがん検診の重要性を一層普及させ、受診率の向上を図るなど、市民の健康保持・増進に努めてまいります。
 地域医療につきましては、誰もがいつでも安心して医療を受けることができる体制を引き続き確保するほか、分べんを取り扱う産婦人科医院の開設を支援し、子どもを産みやすい環境を整えてまいります。
 市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として、高度で専門的な医療を提供するため、医師、看護師などの医療スタッフの確保や高度医療機器の更新に努めてまいります。また、引き続き地域の医療機関と連携し、病気の重症度に応じた機能と役割の分担を進め、地域全体で患者を支えるための中核的な役割を果たしてまいります。

【暮らしと防災・防犯】
 共生社会の実現につきましては、全ての市民がお互いの文化や人権を尊重し、認め合い、共に生きていく地域社会の実現に向け、人権教育や意識啓発などに取り組みます。また、平成28年度からスタートする第2次おだわら男女共同参画プランに基づき、引き続き男女が性別にかかわりなく個人の能力を生かし、あらゆる分野でいきいきと活躍できる男女共同参画社会の実現に向けて、啓発事業などを行ってまいります。
 災害に強いまちづくりにつきましては、ハード・ソフト両面での強化を図ってまいります。ハード面におきましては、平成27年度末に改定する耐震改修促進計画に基づき、従来の木造住宅などの診断及び改修工事などへの助成を行うとともに、宅地の耐震化を推進するため、大規模盛土造成地の分布調査を引き続き行ってまいります。加えて、近年の大型化する台風や局地的集中豪雨による浸水被害の軽減を図るため、下菊川や関口川などの改修を行うとともに、河川や水路の適切な維持管理を進めてまいります。ソフト面におきましては、災害対策本部研修の実施などにより、災害時即応体制及び危機管理体制の強化を図るほか、避難者用の資機材を整備し、避難施設の機能を強化してまいります。また、総合防災訓練の実施により、防災関係機関の相互連携及び広域応援体制を充実・強化するほか、全市いっせい防災訓練の実施や、土砂災害ハザードマップ及び洪水ハザードマップの作成配布などにより、自主防災組織を中心とした地域防災力の強化と防災意識の高揚を図ってまいります。
 消防・救急体制につきましては、地域防災の要である本市消防団の機能を強化するための資機材を配備するとともに、増加する救急需要や新たな救急救命処置に対応するため高規格救急自動車の更新を進め、救急救命士の育成を図るなど救急隊員の資質の向上に努めてまいります。また、住民に対する応急手当の普及啓発を推進するとともに、AED設置情報を周知し、救命率の向上を図ってまいります。
 安全・安心の地域づくりにつきましては、消費者団体や地域・福祉・教育関係などの皆様と連携し、消費者の自立を支援するための消費者教育や、消費者が公正かつ持続可能な社会の形成に積極的に参画する社会づくりを推進してまいります。

【子育て・教育】 
 子育て環境につきましては、小田原市子ども・子育て支援事業計画に基づき、小規模保育事業実施施設の開設など保育の受け皿の拡大に向けた取組を進め、待機児童の解消に努めてまいります。また、小児医療費の助成に関しては、通院に係る助成の対象を中学校3年生まで拡大するとともに、所得制限を就学前まで撤廃するなど、子育て世代の経済的負担を軽減してまいります。さらに、妊婦健診や妊婦歯科健診、乳幼児の月齢に応じた健診や定期予防接種、保健師や専門家による育児相談を実施するなど、関係機関との連携を図りながら、妊娠中から乳幼児期までの一貫した母子保健サービスを提供してまいります。
 青少年育成につきましては、「スクールコミュニティ」の観点に立ち、地域ぐるみで子どもを見守り育んでいくため、子どもたちが安心して集い、活動できる居場所づくりに引き続き取り組んでまいります。また、放課後児童クラブにおきましては、児童の快適な生活を確保していくための環境整備に努めてまいります。さらに、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、地域や学校の体験学習などで指導者として活躍できる人材の育成を図ってまいります。
 学校教育につきましては、学校教育振興基本計画に基づき、「未来を拓くたくましい子ども」の育成を目標として、地域や各校の実態を踏まえ、特色を生かした教育を推進するとともに、個に応じたきめ細かい学習指導や体力・運動能力向上の取組を充実させることにより、子どもたちの「社会を生き抜く力」を養成いたします。また、子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支える「学校運営協議会」や放課後に子どもたちの学習支援や体験活動を行う「放課後子ども教室」の拡充を進め、これまで取り組んできた「地域一体教育」、「幼保・小・中一体教育」と併せて、子どもたちが地域社会において、心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進いたします。さらに、学校施設整備基本方針に基づく緊急度の高い修繕工事や施設の老朽化対策、トイレの洋式化や空調設備の整備、校庭などの芝生化を進めるほか、教育ネットワ ークシステムのより効果的な運用に努め、教育環境の整備・改善・充実に取り組んでまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】 
 観光につきましては、平成27年度末に策定予定の(仮称)小田原市観光戦略ビジョンに基づき、官民連携による観光振興の推進体制の強化に努めるとともに、本市ならではのコンテンツの充実や、これらを生かすためのインフラと外国人観光客の受入環境の整備、効果的な情報発信などに積極的に取り組んでまいります。
 小田原地下街につきましては、地域経済の振興と市内への回遊を促進する拠点として、多様な主体と連携し、地域資源の魅力を発信するなど、機能の充実を図り、にぎわいを創出してまいります。
 産業・就労環境につきましては、市融資制度などによる中小企業の経営支援を行うとともに、産業競争力強化法に基づく創業支援事業計画を策定し、地域における創業支援体制を強化してまいります。また、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくりなどを関係機関と連携しながら支援するとともに、若い世代への雇用対策として、早期離職を抑制するための意識啓発や市内への就労と定着を促進するための面接会などを開催いたします。
 企業誘致につきましては、小田原市企業誘致推進条例の周知に努めるとともに、工場の緑地面積率の緩和をはじめとした本市の優れた立地条件を周知するなど、市外からの工業立地の積極的な推進や、市内における工場の流失防止を図ってまいります。
 ものづくりにつきましては、蒲鉾やひもの、木製品などの地場産品の首都圏域出店や木製品の観光土産物品の国際的な見本市への出展支援など、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、若手芸術家のデザインや創作活動と地場のものづくり産業との連携や自立活動を促進するとともに、名産品・特産品などの地域の資源を広く内外に紹介する小田原セレクション事業を推進するなど、小田原産品のブランド力の向上につなげてまいります。
 商業につきましては、高齢化が進む中、徒歩圏内での買い物や、地域コミュニテ ィ機能が商店街に求められていることから、商店街が新たに実施する中長期的な取組について支援してまいります。また、地元の食材など多くの地域資源を用いた「小田原どん」「おだわらスイーツプレミアム」「小田原おでん」などを“ご当地グルメ” として、広く内外に発信してまいります。
 小田原城址公園につきましては、平成28年4月末に小田原城天守閣の耐震改修等工事が完了することから、5月のリニューアルオープンに併せて広くPRするとともに、小田原城址公園の魅力を高め、訪れる市民や観光客などの満足度の向上を図ってまいります。
 農業につきましては、地域農業の活性化を図るため、引き続き地産地消を推進するとともに、「小田原十郎梅」のブランド化、オリーブの産地化を支援してまいります。また、農地の流動化や担い手の確保に取り組むほか、農地の多面的機能を維持するため、営農環境を維持する共同活動や、耕作放棄地を復元させる取組を支援し、農業の生産性の向上を図ってまいります。
 林業につきましては、多面的な機能を発揮する森林の整備や保全と併せて、地域産木材の流通促進に向け、民間事業者と連携した多角的な取組を進めてまいります。特に地域の民間事業者などとともに、地域での木材の供給、需要及び流通に関する動向を調査分析し、関係者の共通認識の下での課題解決を目指すなど、地域産木材のさらなる利用拡大に向けた施策を展開してまいります。また、子どもたちが身近な森や木に触れ親しむ機会を提供する木育活動の一環として、地域産木材を使用した誕生祝い品の配布や机の天板の小学校への試験導入など、引き続き木育の推進に取り組んでまいります。
 水産業につきましては、「小田原の魚」の普及を図るため、様々な食シーンやニーズに対応した「人づくり」「物づくり」「魚食への流れづくり」を総合的に展開いたします。また、地域住民や観光客をターゲットに「小田原の魚」の認知度の向上と消費拡大による地域経済の活性化を図るため、交流促進施設の整備を進めるとともに、(仮称)フィッシングパークを整備するための検討を始めるほか、「小田原みなとまつり」を開催いたします。さらに、水産市場施設の再整備に向け、市場関係者などの意見を聞きながら検討を進めてまいります。

【歴史・文化】 
 歴史資産の保存と活用につきましては、戦国期と江戸期の貴重な遺構が発見された御用米曲輪について、平成27年度に引き続き曲輪外周部の修景整備工事を行うとともに、平成元年度の復元整備から相当の年数が経過し、経年劣化が著しい住吉橋の架替え工事に着手いたします。また、郷土文化に関する貴重な資料を継承し、地域固有の資産として全国に発信するため、引き続き博物館構想の策定に取り組んでまいります。さらに、近代政財界人らの別邸群をはじめ本市固有の歴史的な情緒と景観形成などの面で公益性の高い歴史的建造物について、民間の資金やノウハウなども導入しながら、着実に保全するとともに、地域経済・文化観光の振興のために効果的な活用を図るなど、歴史的風致維持向上計画に基づくまちづくりを進めてまいります。
 文化・芸術につきましては、引き続き芸術文化創造センターの整備の可能性を探るとともに、文化振興ビジョンに基づく文化による人づくりとまちづくりを推進するため、文化に関する条例の制定を目指してまいります。また、子どもたちをはじめ、市民の皆様が学校などの身近な場所で質の高い芸術活動に触れることのできるアウトリーチ活動や、文化活動をサポートする人材を育成するためのワークショップを拡充するとともに、小田原城ミュージックストリートや小田原映画祭を開催するなど、多様な文化・芸術事業を暮らしに身近な場所で市民の皆様とともに展開し、小田原の文化の裾野を広げてまいります。また、図書館につきましては、図書施設・機能整備等基本方針に基づき、駅前図書施設の整備を順次進めていくほか、小田原固有の文学遺産に光を当て、小田原の文化の魅力向上を図ってまいります。
 文化交流につきましては、国内姉妹都市である栃木県日光市や法隆寺ゆかりの都市文化交流協定を締結している奈良県斑鳩町との交流を深めるとともに、海外姉妹都市提携35周年を迎えるチュラビスタ市や友好都市マンリー市との青少年相互交流を引き続き行ってまいります。 
 生涯学習につきましては、市民の皆様とともに多様な学びを提供するキャンパスおだわら事業を推進するとともに、地域資源を活用し、郷土について知り、学ぶ機会を提供し、小田原ならではの生涯学習を進めてまいります。また、本市の生涯学習の拠点となる生涯学習センター本館けやきの耐震改修工事を完成させます。
 生涯スポーツにつきましては、日本マーチングリーグ公式大会である「城下町おだわらツーデーマーチ」や、ウォーキングをはじめとした地域スポーツ活動の活性化に向けた取組を進めてまいります。また、城山陸上競技場につきましては、2019年のラグビーワールドカップ日本開催を控え、日本代表の練習拠点として活用されるだけでなく、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた機運も高まる中、地域におけるスポーツ振興を後押しする場となるよう、リニューアル工事を行ってまいります。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】 
 再生可能エネルギーにつきましては、エネルギー計画に掲げた将来像「エネルギーを地域で自給する持続可能なまち」の実現に向け、市民及び事業者の再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化の取組を促すために、エネルギーカフェや事業者向け勉強会などを開催いたします。また、木質バイオマスの持続的なエネルギーの利用に向けた計画の策定や、広域避難所となる小学校への太陽光発電設備の設置などに取り組み、再生可能エネルギーの積極的な利用を促進してまいります。さらに、自然資源とメガソーラー市民発電所や小水力発電所遺構などエネルギー関連施設を環境・エネルギーツーリズムとして結びつけ、地域の魅力を高める環境・エネルギーの里づくりに取り組んでまいります。
 環境再生プロジェクトにつきましては、酒匂川土手へのシバザクラの植栽や、荒地を耕作地に再生する和留沢での取組など、市民との協働による環境再生活動に引き続き取り組んでまいります。また、様々な環境活動の基盤となるネットワークを構築し、市民、事業者及び行政がそれぞれの強みを生かし、連携しながら、環境との共生に向けた市民活動を活性化してまいります。また、環境学習につきましては、子どもたちに地域の環境と暮らしとの関わりを実践的に学ぶ場を、環境団体などと連携しながら提供してまいります。
 燃せるごみの減量につきましては、市古紙リサイクル事業組合、小田原生ごみクラブ、市内大型店などと協力して、紙の徹底した分別と段ボールコンポストなどによる生ごみの資源化を進めるとともに、現在小学校で実施している小学4年生へのごみの現状を伝える授業を一層充実させてまいります。特に、段ボールコンポストにつきましては、県西地域全体への普及も目指してまいります。また、平成9年度から続いている現在のごみの収集回数を一部見直し、「トレー類・プラ表示のあるもの」の収集を週1回に増やすなど、市民の皆様がごみを分別しやすい環境づくりを進めます。
 環境事業センターにつきましては、安定したごみ処理機能を確保するため、焼却施設の基幹的設備改良工事に着手してまいります。
 身近な生活環境の保全と形成につきましては、緑地の保全及び緑化の推進の方針などを定める緑の基本計画に基づき、城山公園慰霊塔周辺の環境の改善を図るとともに、引き続き市民の皆様による主体的な緑化の取組への支援や、地域の方々が愛着の持てる公園の再整備に取り組んでまいります。
 自然環境の保全と再生につきましては、山崩れの防止や水源かん養など、森林の持つ多面的機能を高めるため、植樹を通じて森に親しみ、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森づくりに取り組んでまいります。また、県条例により里地里山保全等地域に指定されている久野、東栢山及び上曽我の地域の皆様と協働して、里地里山の保全や活用に努めてまいります。さらに、曽比地区の良好な水環境や水辺の原風景を保全し、再生するため、環境と景観に配慮した多自然水路の整備を進めてまいります。
 斎場整備につきましては、PFI事業者との事業契約を締結するとともに、平成31年4月の供用開始を目指し、設計・施工などの業務を進めてまいります。

【都市基盤】 
 お城通り地区再開発事業につきましては、広域交流施設ゾーンの整備に係る実施方針に基づき、施設整備に向けた事業施行者の公募・選定などを行ってまいります。
 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、小田原駅周辺の都市空間と小田原城周辺の歴史的空間が近接している魅力を最大限に生かし、回遊性を高め、街なかの活性化を図るため、地域との協働により「都市廊政策」を推進してまいります。小田原駅及び小田原城周辺地区等におきましては、引き続き民間などの建築計画に対し景観計画に基づくきめ細やかな相談や誘導などを実施するとともに、更なる街なみの魅力づくりに向けた手法を研究し、良好な景観形成を推進してまいります。また、本市の市街化調整区域の土地利用について、人口減少社会への対応などを踏まえ、そのあり方を検討してまいります。さらに、空家等対策の推進に関する特別措置法が施行されたことに伴い、空家等の調査の実施や対策協議会の設置など、空家等の対策に取り組んでまいります。
 安全で円滑な地域交通の充実につきましては、地域公共交通総合連携計画に基づき、市民、交通事業者及び行政が連携し、路線バスの利便性の向上や利用促進に引き続き取り組んでまいります。また、新たに策定した小田原市駐車場整備計画及び小田原市駐輪場整備計画に基づく対策に取り組むとともに、交通結節点である国府津駅においては、広場周辺の交通混雑の緩和や安全性・利便性の向上を図るため、広場西側の用地を活用した国府津駅周辺整備に向けて引き続き取り組んでまいります。さらに、幹線道路や狭あいな生活道路の整備を進め、歩行者や自転車にも配慮した円滑な交通ネットワークの形成と市民生活に密着した安全な道路空間の充実を図るとともに、道路施設などの維持管理の方針に基づき、具体的な計画を策定し修繕を進めてまいります。
 水道事業につきましては、本市水道事業の方向性を示すおだわら水道ビジョンに基づき、安全で安心な水道水を安定供給するため、老朽化した施設や管路の更新、耐震化を着実に行うとともに、持続可能な水道事業の実現に向け、健全経営を確保するよう努めてまいります。
 下水道事業につきましては、経営の健全化を図るため、平成28年4月から公営企業会計に移行するとともに、快適な生活環境の確保と公共用水域の水質保全を図り、未普及地域の解消に向け、計画的かつ効率的に下水道の整備を推進いたします。また、下水道長寿命化計画及び下水道総合地震対策計画に基づき、老朽管路の改築や防災拠点などの汚水を受ける重要な管路の耐震化を、優先度の高い箇所から継続的に実施いたします。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】 
 地域コミュニティの強化につきましては、地域の主体的なまちづくりを進めるため、全市的に地域コミュニティ推進事業を実施していくとともに、シンポジウムを開催するなどして地域活動の情報共有を図ってまいります。また、各地区の地域コミュニティ組織と協働して地域別計画の見直しを行うとともに、地域活動拠点の整備や今後の目指す姿などについて検討を進めてまいります。
 市民活動の促進につきましては、昨年開設したおだわら市民交流センターUMECOを拠点として、様々な団体の交流や連携などを通じて市民活動のさらなる活性化を図るとともに、提案型協働事業の実施により、引き続き市民活動団体と行政との協働を推進してまいります。
 情報共有の推進につきましては、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなどの媒体を活用し、市の施策や事業に関する情報を発信してまいります。また、市内外に小田原の魅力を発信し、就労や定住意向を喚起するため、魅力的なライフスタイルを提案する冊子の製作をはじめ、官民連携による効果的なプロモーションを進めるとともに、ふるさと応援寄附金などの事業の充実を図り、都市セールスの観点から本市の魅力向上に努めてまいります。さらに、市長への手紙や市民と市長との懇談会、メールマガジンアンケート機能などを活用し、広く市民の皆様の声を聴き、市政に反映させてまいります。
 行財政改革につきましては、有識者によって構成される行政改革推進委員会からの御意見をいただきながら、平成29年度から平成34年度までを推進期間とする新たな行政改革指針の策定に取り組んでまいります。また、計画・予算・評価が連動した事務事業の評価体制により、効率的かつ効果的な事業の実施を図ってまいります。
 市税収入につきましては、引き続き口座振替の利用促進、市税等納付促進センタ ーによる早期の納付勧奨、滞納処分の厳正な執行により、その確保に努めるとともに、県や県内市町村と連携し、個人住民税の特別徴収の完全実施に取り組んでまいります。
 市職員の育成につきましては、新たな手法を取り入れながら人物重視・面接重視の採用を推し進め、熱い心を持つ人材を確保し、既存の考え方や慣習にとらわれず、自ら考え行動できる職員の育成に努めてまいります。そして、適正な人事管理とともに適材適所の人事配置を行い、重要課題に対して適切に対応することができるよう体制を強化してまいります。
 競輪事業につきましては、事業収益を確保するために記念競輪と同等の国際自転車トラック競技支援競輪を開催し、売上を向上させるとともに、より一層の経費節減に努め、市財政への寄与を確保してまいります。
 市有建築物につきましては、施設の長寿命化による更新費用の平準化と計画的な予防保全による安全性の確保を図るため、長期保全計画・維持修繕計画の策定を進めてまいります。

4 むすび

 以上が平成28年度の施政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。 
 わが国の少子高齢化は、急速に進行しており、私たちは、現代においていずれの先進国も経験したことのない未曽有の難局に直面しております。老朽化するインフラ、地域における担い手不足、社会保障費用の増大などわが国がおかれている状況は非常に厳しいものですが、豊富な地域資源に恵まれ、主体性を持って課題を解決することができる力を備えた地域に住まう私たちは、この状況を打ち破り光明を見いだす十分な可能性を持っております。二宮尊徳翁が実践を通じて示された「積小為大」「無尽蔵」という訓えのごとく、一人一人の力は小さくとも、小田原を愛する全ての人が結束し、大きな力となって困難に立ち向かうことができれば、必ずや「希望のまち」は打ち立てられるものと、私は確信しております。
 公共サービスを行政のみが担うのではなく、様々な主体が担っていく「新しい公共」の形を率先して具体化してきた本市は、人口減少・少子高齢化社会においてあるべき地方都市の先駆的なモデルとなることができるはずです。
 皆様とともに種をまき、育て上げてきたこれまでの取組は、着実に実を結びつつあります。これらが厳しい環境にあっても揺らぐことなく、私たちの未来を支え続ける大樹となるよう、「持続可能な市民自治のまち」の実現に向けた取組を加速させてまいります。
 以上をもちまして、平成28年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様の御支援と御協力を心からお願い申し上げます。

   平成28年2月22日


小田原市長 加 藤 憲 一   

最終更新日:2016年08月18日

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