小田原市

所信表明・施政方針

平成29年度施政方針(平成29年2月20日)

平成29年度施政方針  PDF形式 :518.1KB



 平成29年小田原市議会3月定例会が開会し、平成29年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 混迷を深める現代の中で、私たちは、私たちを取り巻く時代と社会の状況を客観的かつ冷静に捉えたうえで、小田原市という地方自治体の現在地と目指すべき目的地、そこへの歩みを見定めていかなければなりません。
 今日の国際情勢を見ると、新大統領誕生によりその行方が懸念されるアメリカ、イギリスが離脱を決めたEU、一向に止まらぬテロ活動など、既存の秩序は流動化しつつあり、先の読めない情勢が続いております。
 一方、わが国でも、少子高齢化や人口減少、それを原因とした地域コミュニティの衰退や各分野における担い手不足、非正規労働の拡大と貧困層の増加、各種公共インフラの老朽化、国・地方を通じた厳しい財政状況など、多くの課題が認識されております。
 そのような中で、幸いにもこの小田原では、「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現へ向け、様々な取組への着手や、課題解決の歩みが進んできております。
 昨年を振り返ると、全地域での地域まちづくり組織の立ち上がり、環境との共生に向けた市民活動の活性化を目指すおだわら環境志民ネットワークの発足、地域包括支援センターの増設、全ての観光の担い手が同じ方向を向いて観光振興を行うための観光戦略ビジョンに基づく取組の開始、医療費助成対象年齢の中学卒業までの拡大、待機児童対策の進展、地域と共にあるコミュニティ・スクールや放課後子ども教室の拡大、公共インフラの各種長寿命化計画の進捗など、市民生活や地域振興にとって数多くの前進が見られました。
 一方、平成29年度には、観光プラットフォーム、いわゆる地域DMOの設置をはじめ、関東学院大学小田原キャンパスでの材料・表面工学研究所を核とする国際研究研修センターの開設、現代美術作家である杉本博司氏の小田原文化財団江之浦測候所のオープンなど、小田原の豊かな地域資源を生かした民間の取組が予定されております。このような動きを捉えながら、優先交渉権者が決定しましたお城通り地区再開発事業の施設整備のように、民間の知恵や投資を呼び込む施策を展開するなど、官民連携で地域の活性化や課題の解決につなげていく必要があります。

2 市政運営の基本方針

 私たちが進めてきた課題解決への歩みは、それぞれ着手から数年という草創期ではありますが、難しい課題を抱える地方都市にあって行政と民間が力を合わせていく挑戦でもあり、「持続可能な地域社会モデル」を実現するうえでますます意義を持つものと考えております。
 そのために、本市では総合計画「おだわらTRYプラン」後期基本計画を策定し、この4月から計画を実行に移します。これにより、平成29年度は、様々な取組が、着手と立ち上げの段階から、軌道に乗せ、結果を出していくべき段階へと進んでいくことになります。そこでは、「人口減少社会」「縮減の時代」「危機の時代」と言われるような、現在の時代と社会の向こう側に築かれていくべき、あるべき地域社会の姿をしっかりと捉え、その目標に向かって明確な意思を持って歩んでいく姿勢が重要であります。

3 重点方針

 後期基本計画では、「いのちを大切にする小田原」「希望と活力あふれる小田原」「豊かな生活基盤のある小田原」「市民が主役の小田原」という4つのまちづくりの目標のもと、直面する当座の課題解決にとどまらない、持続可能な地域社会モデルを実現するために、9つの重点テーマと取組の方向性を示しております。その取組については、庁内部局の横断的な取組や市民・民間との連携により進めていくものを位置付け、後期基本計画を推進してまいります。
 「豊かな自然や環境の保全・充実」につきましては、多様な主体の連携による環境活動を進め、森里川海オールインワンのエコシティ・小田原を広くPRするとともに、官民連携による再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー化や担い手育成などの取組を進めてまいります。また、「いのち」を支える食の生産基盤でもある農地や里山、耕作放棄地を活用し、担い手の確保・育成に取り組むことで、「いのちを守り育てる地域自給圏」を引き続き目指してまいります。
 「課題を解決し、未来を拓く人づくり」につきましては、様々な世代の人たちが活躍できるよう、既存の講座やまちづくり学校などを体系的に整理したうえで、学びの場づくりとして官民協働によるまちづくり担い手育成事業に取り組んでまいります。また、関係団体の連携による充実した創業支援などを展開し、地域産業の新たな担い手となる人材育成を推進してまいります。さらに、シニアと様々な活動をつなぐプラットフォームとなるシニアバンクやセカンドライフ応援セミナーを中心に、シニアの活動の場とその領域を拡大する取組を進めてまいります。
 「地域コミュニティモデルの進化」につきましては、26地区自治会連合会で進められてきた地域まちづくりの成果を礎に、地域活動の連携促進、担い手育成や地域課題の解決の支援、地域活動の拠点確保に向けた取組を進めてまいります。また、子どもたちが安全・安心して過ごせる豊かな育ちの場づくりに向け、家庭、学校、地域、行政などがそれぞれの役割を担いつつ、地域における子どもの居場所、放課後児童クラブや放課後子ども教室を連携してまいります。
 「いのちを育て・守り・支える」につきましては、妊娠期から子育て期にわたるまでの母子健康や育児に関する悩みなどに専門的な見地から相談・支援などを実施する子育て世代包括支援センターの設置や、保護者ニーズと保育サービスを適切に結び付ける保育コンシェルジュの配置など、切れ目のないきめ細やかな支援体制を構築してまいります。また、未病を改善する県や民間の取組と連携し、食や運動に関する市民の皆様の健康増進活動を促進してまいります。さらに、要介護高齢者に対し、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めるとともに、高齢者、障がい者、子育て家庭など、支援を必要とする方々を地域全体で支えあうケアタウン構想を推進してまいります。
 「『分かち合いの社会』の創造」につきましては、「分かち合いの社会」懇談会を設置し、協働のより一層の充実や、受益と負担のあり方について議論し、私たちが直面する社会的課題の克服に向けた取組へとつなげてまいります。また、第2次行政改革指針のもと、市民ニーズなどを的確に捉え、行政経営資源を効果的に配分することにより、真に必要な行政サービスを提供する仕組みを構築するとともに、減量型の改革と質の向上を両立させる行財政改革を進めてまいります。
 「『観光』による地域経済活性化」につきましては、観光戦略ビジョンに基づき、地域DMOを中心とした事業展開に加え、まち歩きや外国人観光客への対応、小田原城を核としたコンテンツの充実など、地域が一体となって様々な取組を包括的に進めてまいります。また、農林水産業やものづくりについても観光分野との連携を図りながら活性化を支援してまいります。さらに、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019といった大規模なスポーツイベントの機会を捉え、都市セールスや地域活性化につながる取組を推進してまいります。このような取組により、市外からの人の流れを生み出し、仕事と暮らしをつないだ定住促進を図ってまいります。
 「重要なまちづくり案件の適切な実現」につきましては、小田原駅周辺では、お城通り地区再開発事業や民間再開発の支援を進めるとともに、小田原城周辺では史跡小田原城跡や市民ホールの整備を進め、地元関係団体などとも連携しながらにぎわいの創出や回遊性の向上につなげてまいります。また、かまぼこ通りなどにおける地域の主体的な動きと連動したまちの魅力向上や、地域の資産である歴史的建造物の保全・活用など、歩いて楽しい歩行者空間の創造などに取り組んでまいります。
 「インフラ・公共施設の維持と再配置」につきましては、インフラの種類ごとの特性を考慮し、経営的な視点に基づくそれぞれの整備計画などに即し、計画的な維持保全を行うことで、安全でより持続性の高い維持管理を進め、ライフサイクルコストを考慮した長寿命化に取り組んでまいります。また、公共施設の計画的な複合化・統廃合の検討や民間の活力を生かした施設の整備・管理運営手法の導入を促進し、公共施設のライフサイクルコストの低減を図ってまいります。
 「基礎自治体としてのあり方の見極め」につきましては、安定的な行政サービス提供体制をつくるため、昨年10月に設置した小田原市・南足柄市「中心市のあり方」に関する任意協議会の中で、「行財政基盤の強化策としての合併」や「権能強化策としての大都市制度の活用」、さらには「中心市と周辺自治体との新たな広域連携体制」について協議を始めています。これにより、平成29年半ばを目途に協議結果を取りまとめ、市民の皆様の意向を把握した上で、今後の進むべき道筋を見定めてまいります。

4 分野別基本方針

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】
 地域福祉につきましては、ケアタウン構想を踏まえ策定する第3期地域福祉計画・地域福祉活動計画に基づき、地域の実情に応じ、地域全体で支え合い、その地域に根ざした福祉を推進してまいります。また、「いのちを大切にする小田原」というまちづくりの目標のもと、生活保護制度を適正に運用し、生活困窮者の自立を支援する取組を進めてまいります。
 高齢者福祉につきましては、高齢者の生きがいづくり、介護予防などの施策を総合的に推進するとともに、平成30年度から平成32年度までを計画期間とする第7期おだわら高齢者福祉介護計画の策定に取り組んでまいります。また、地域包括支援センターにつきましては、4箇所増設し、12箇所の日常生活圏域全てに設置することで、高齢者への支援体制をこれまで以上に強化してまいります。
 障がい者福祉につきましては、障がいがある方が地域で安心して暮らせるよう、ノーマライゼーション理念の普及啓発や利用者本位のサービスの提供に取り組むとともに、発達の遅れが見られる子どもの早期療育の充実を図ってまいります。また、平成29年度から平成34年度までを計画期間とする第2期おだわら障がい者基本計画に基づき、就労支援やスポーツ・文化活動の支援といった具体的な施策に取り組んでまいります。
 健康づくりにつきましては、健康増進計画や食育推進計画に基づき、健康寿命の延伸に向けた取組を引き続き推進してまいります。また、市民の皆様の食生活や運動習慣など健康づくりへの意識の向上に努めるとともに、生活習慣病などの早期発見と治療に向け、特定健診・特定保健指導やがん検診の重要性を普及させ受診率の向上を図るなど、市民の皆様の健康保持・増進に努めてまいります。さらに、未病を改善する県の取組と連携し、本庁舎に未病センターを設置し、健康づくりの情報発信を行ってまいります。
 地域医療につきましては、誰もがいつでも安心して医療を受けることができる体制を引き続き確保するよう努めてまいります。
 市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として高度で専門的な医療を提供するため、経営改革プランに基づいて、医師、看護師などの医療スタッフの確保や高度医療機器の更新に努めるとともに、収支の改善に取り組んでまいります。また、他病院などとの役割分担による医療提供に向けて、地域の医療機関や介護施設などとの連携を進めるとともに、病院の建替えに向けた検討を進めてまいります。

【暮らしと防災・防犯】
 共生社会の実現につきましては、全ての市民がお互いの文化や人権を尊重し、認め合い、共に生きていく地域社会の実現に向け、人権教育や意識啓発などに取り組んでまいります。あわせて、多言語による行政情報の積極的な提供など、在住外国人の支援にも努めてまいります。また、第2次おだわら男女共同参画プランに基づき、特に職業生活における女性の活躍を推進するため、就労・企業支援など、女性の働き方に関する講座の開催に力を入れるとともに、女性の活躍支援に関係する機関によるネットワークづくりを進めてまいります。
 災害に強いまちづくりにつきましては、県との共催で九都県市合同防災訓練を実施することにより、国、九都県市、県内市町村などの防災関係機関との相互連携を強化し、広域応援体制の確立を図るとともに災害対応力の向上を図ってまいります。また、東日本大震災や平成28年熊本地震の教訓を生かした危機管理研修や災害対策本部訓練などを実施することにより、災害時即応体制及び危機管理体制の強化を図るほか、災害対策用の資機材を整備し、防災拠点や避難施設の機能を強化してまいります。さらに、市いっせい防災訓練の実施や、土砂災害ハザードマップ及び洪水ハザードマップの作成配布などにより、自主防災組織を中心とした地域防災力の強化と防災意識の高揚を図ってまいります。
 災害被害の軽減化につきましては、平成28年3月に改定した耐震改修促進計画に基づき、住宅の耐震化を促進するため、木造住宅の耐震診断に係る費用の助成対象に長屋・共同住宅を加えるほか、木造住宅の除却に係る補助制度を新たに創設し、制度の拡充を図ってまいります。また、緊急輸送路沿道建築物などの耐震化を促進するための啓発活動を中心市街地から行うほか、引き続き大規模盛土造成地の変動予測調査を行ってまいります。
 河川や水路につきましては、近年の大型化する台風や局地的集中豪雨による浸水被害の軽減を図るため、引き続き、下菊川や関口川などの改修を行うとともに、河川や水路の適切な維持管理を進めてまいります。
 消防・救急体制につきましては、増加する救急需要や新たな救急救命処置に対応するため、高規格救急自動車の更新を進めるとともに、救急隊員の資質の向上に努めてまいります。また、住民に対する応急手当の普及啓発と救急車の適正利用について啓発活動を推進するとともに、AED設置情報の周知に努め、救命率の向上を図ってまいります。消防団の充実と強化については、消防団員の確保をはじめ、待機宿舎の維持管理、消防団車両やその他備品の計画的な装備を進め、地域防災力の向上を図ってまいります。
 安全・安心の地域づくりにつきましては、空家等対策計画をもとに、空家等対策に取り組むとともに、地域での顔の見える関係づくりに重要となる防犯活動や交通安全活動を支援してまいります。また、消費者行政につきましては、消費者の安全と安心を確保するため、相談体制の一層の充実を図るとともに、地域や関係者と協力して高齢者などの消費者被害を未然に防ぐ啓発活動を進めてまいります。

【子育て・教育】
 子育て環境の充実につきましては、妊婦健診や妊婦歯科健診、乳幼児の月齢に応じた健診や定期予防接種、保健師などや専門家による育児相談を実施するほか、妊娠届出の時点から子育て期にわたるまで、全ての母子の健康や育児に関する相談に切れ目なく円滑に対応するため、子育て世代包括支援センターを開設いたします。また、子育て支援センター、ファミリー・サポート・センター、地域子育てひろばなど、地域における子育て支援サービスの充実を図るほか、市民団体との協働によるプレイパークを引き続き実施するなど、子育てのために地域社会が共に支え合う環境づくりを進めてまいります。また、既存保育所の定員増など保育の受け皿の拡大に向けた取組や、保育サービスに関する相談体制の充実により、待機児童の解消に努めるほか、保育所などにおける発達に課題を抱える子どもへの支援の拡充を図ってまいります。
 青少年育成につきましては、地域で子どもたちが安心して集い、活動できる居場所をはじめ、放課後児童クラブや放課後子ども教室など、家庭、学校、地域、行政が連携を図り、子どもたちの豊かな育ちの空間を形成し、地域ぐるみで成長を支える「スクールコミュニティ」の形成を推進してまいります。また、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、地域や学校の体験学習などで指導者として活躍できる人材の育成を図ってまいります。
 学校教育につきましては、学校教育振興基本計画に基づき、「未来を拓くたくましい子ども」の育成を目標として、地域や各校の実態を踏まえ、特色を生かした教育を推進するとともに、個に応じたきめ細かい学習指導や体力・運動能力向上の取組を充実させることにより、子どもたちの「社会を生き抜く力」を養成してまいります。
 地域とともにある学校づくりの推進につきましては、子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支える学校運営協議会や放課後子ども教室の拡充を進め、これまで取り組んできた地域一体教育、幼保・小・中一体教育とあわせて、子どもたちが地域社会において、心豊かで健やかに育まれる環境づくりを推進いたします。
 安全・安心で快適な教育環境の整備につきましては、学校施設整備基本方針に基づく緊急度の高い修繕工事や施設の老朽化対策、トイレの洋式化や空調設備の整備及び教育ネットワークシステムのより効果的な運用に努め、教育環境の整備・改善・充実に取り組んでまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】
 産業・就労環境につきましては、市融資制度などによる中小企業の経営支援を行うとともに、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくりなどを関係機関と連携しながら支援してまいります。また、若い世代への雇用対策として、早期離職を抑制するための意識啓発や、市内への就労と定着を促進するための面接会などを開催してまいります。
 企業誘致につきましては、企業誘致推進条例に基づく支援策や工場の緑地面積率の緩和をはじめとした本市の優れた立地条件の周知に努め、工場跡地や工業団地への新規立地を促進するとともに、市内企業の流出防止を図ってまいります。
 ものづくりにつきましては、蒲鉾やひもの、木製品などの地場産品の首都圏域出店や観光土産物品の国際的な見本市への出展支援など、販路開拓や需要拡大を促進してまいります。また、若手芸術家のデザインや創作活動と、地場のものづくり産業との連携や自立活動を促進するとともに、名産品・特産品などの地域の資源を広く内外に紹介する小田原セレクション事業を推進するなど、小田原産品のブランド力の向上につなげてまいります。
 商業の振興につきましては、商店街が地域コミュニティの核として機能するよう、商店街が新たに実施する中長期的な取組や、商店街が連携して取り組むイベントなどを支援してまいります。また、地元の食材などの地域資源を活用した「小田原どん」「おだわらスイーツプレミアム」「小田原おでん」などを“ご当地グルメ”として、広く内外に発信してまいります。
 小田原地下街につきましては、引き続き売上の向上に努めるとともに、地域経済の振興と市内への回遊を促進する拠点として、多様な主体と連携し、地域資源の魅力を発信するなど、にぎわいを創出してまいります。
 観光につきましては、平成27年度末に策定した観光戦略ビジョンで示した方向性や目標に向けて、本市や観光関連団体が連携し、協力しながら、観光振興に取り組んでまいります。また、北條五代祭りをはじめとした各種観光イベントを開催するほか、多言語に対応した「まち歩きアプリケーション」などを活用したまち歩き観光の促進、北条氏や忍者ゆかりの地、さらには地元ならではの観光情報の発信や県西地域の自治体などと連携したPR活動なども強化してまいります。
 平成28年5月に天守閣がリニューアルオープンし、多くの方々に訪れていただいている城址公園につきましては、天守閣や常盤木門などの管理運営に指定管理者制度を導入し、より一層のサービス向上や誘客を図ってまいります。また、新たに石垣山一夜城や三の丸外郭新堀土塁などの史跡を一元化して管理することで、歴史観光の資産としての積極的な活用を図ってまいります。
 農業につきましては、地域農業の活性化を図るため、引き続き六次産業化の取組、「小田原十郎梅」のブランド化、オリーブの産地化を支援するとともに、有害鳥獣被害につきましては、生産者による自主防衛対策を支援してまいります。また、農地の流動化や担い手の確保に取り組むほか、農地の多面的機能を維持するため、営農環境を維持するための共同活動や、耕作放棄地を復元させる取組を支援し、農業の生産性の向上を図ってまいります。
 林業につきましては、多面的な機能を発揮する森林の整備や保全とあわせ、地域産木材の流通促進に向け、民間事業者とも連携した多角的な取組を進めてまいります。特に、地域の民間事業者などとともに、公共施設をモデルとした地域産木材の利用拡大に向けた部材開発など、地域産木材のさらなる利用拡大に向けた施策を展開してまいります。また、子どもたちが身近な森や木に触れ親しむ場を提供する木育活動の一環として、引き続きウッドスタート事業に取り組んでまいります。
 水産業につきましては、「小田原の魚」の普及を図るため、様々な食のシーンやニーズに対応した「人づくり」「物づくり」「魚食への流れづくり」を総合的に展開いたします。また、地域住民や観光客をターゲットに「小田原の魚」の認知度の向上と消費拡大による地域経済の活性化を図るため、交流促進施設の整備を進めるとともに、内水面漁業や遊漁船業をはじめとした水産資源を生かした様々な交流や体験の機会を創出するための検討を始めるほか、「小田原みなとまつり」を開催いたします。さらに、水産市場施設の再整備に向け、引き続き市場関係者などと検討を進めてまいります。

【歴史・文化】
 歴史資産の保存と活用につきましては、戦国期と江戸期の貴重な遺構が発見された御用米曲輪について、平成28年度に引き続き北東土塁などの修景整備工事を行うとともに、平成元年度に復元整備された住吉橋の2か年にわたる架替え工事を完成いたします。また、近代政財界人らの別邸群をはじめ、本市固有の歴史的情緒や景観を形成する歴史的建造物について、地域経済・文化観光振興に向けた有効利用などを進めることにより、個性豊かで活気に満ちた小田原らしい歴史まちづくりを進めてまいります。
 文化・芸術につきましては、子どもたちをはじめ、市民の皆様が学校などの身近な場所で質の高い芸術活動に触れることのできるアウトリーチ活動や、文化活動をサポートする人材を育成するためのワークショップを拡充するとともに、効果的な実施を図ってまいります。さらに、小田原城ミュージックストリート、小田原イズムや小田原映画祭の開催を支援するなど、多様な文化・芸術事業を暮らしに身近な場所で市民の皆様とともに展開し、小田原の文化の裾野を広げてまいります。さらに、こうした文化による人づくりとまちづくりを推進するため、文化に関する基本的な方向性を定める条例の制定に向けた取組を進めてまいります。
 市民ホールの整備につきましては、今後、厳しい財政運営が見込まれることや老朽化が著しい市民会館の現状を踏まえ、建設費を実施設計から減額した上で、現市民会館の機能を核に組み立て、事業者の選定を行ってまいります。
 文化交流につきましては、国内姉妹都市である東京都八王子市や埼玉県寄居町、栃木県日光市と、法隆寺ゆかりの都市文化交流協定を締結している奈良県斑鳩町との交流を深めるとともに、海外姉妹都市チュラビスタ市や、友好都市旧マンリー市との青少年相互交流を引き続き行ってまいります。また、大切な隣国として民間団体が数年来の交流を育んできました中国の安陽市や韓国の済州島への親善訪問を行ってまいります。
 生涯学習につきましては、市民の皆様と多様な学びを提供するキャンパスおだわら事業を推進するとともに、地域資源を活用しつつ、郷土について知り、学ぶ機会を提供することで、小田原ならではの生涯学習を進めてまいります。また、小田原の未来を担う人材を育成する官民協働によるまちづくり担い手育成事業に取り組んでまいります。
 図書館につきましては、図書施設・機能整備等基本方針に基づき、駅前図書施設の開館に向けた検討を進めるとともに、かもめ図書館の中央館としての機能強化などにより、図書館の利用促進を図り、小田原固有の文学遺産に光をあて、小田原の文化の魅力向上を図ってまいります。
 生涯スポーツにつきましては、日本マーチングリーグ公式大会である「城下町おだわらツーデーマーチ」や、ウォーキングをはじめとした地域スポーツの活性化など、身近な地域においてスポーツに親しめる取組を進めてまいります。また、リニューアルオープンする城山陸上競技場や小田原アリーナなどの施設を生かして、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会やラグビーワールドカップ2019に向けた事前キャンプの受け入れや未来のアスリート支援など、スポーツに対する機運の高まりに応えてまいります。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】
 環境先進都市・小田原のブランド確立につきましては、森里川海オールインワンの豊かな自然環境のもと、市民の皆様、事業者、行政がそれぞれの強みを生かし、環境との共生に向けた市民活動を活性化するため、おだわら環境志民ネットワークを中心に、様々な環境活動の基盤となるネットワークや、これを支える体制の整備などを強化してまいります。
 環境再生プロジェクトにつきましては、今後の官民が連携した環境政策の方向性や目標、指標の設定に活用するための自然環境等現況調査を実施するほか、酒匂川土手へのシバザクラの植栽や、荒地を耕作地に再生する和留沢での取組など、市民主体による環境再生活動に対する支援に引き続き取り組んでまいります。また、環境学習につきましては、次代を引き継ぐべき子どもたちに市域の環境と暮らしとの関わりを実践的に学ぶ場を、環境団体などと連携しながら提供してまいります。
 燃せるごみの減量につきましては、市古紙リサイクル事業組合、小田原生(いき)ごみクラブ、市内大型店などと協力して、紙の徹底した分別と段ボールコンポストなどによる生ごみの資源化を進めるとともに、小学校で実施している市職員が行うごみの現状を伝える授業を一層充実し、拡大させてまいります。また、全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会の一員として、食品ロスの削減に取り組んでまいります。
 地球温暖化対策の推進につきましては、今世紀末までの脱炭素社会の実現を目指すパリ協定の発効や国の地球温暖化対策計画の改定などを踏まえ、地球温暖化対策推進計画の見直しを行うとともに、おだわらスマートシティプロジェクトなどの活動を通じて、地球温暖化対策に官民協働で取り組んでまいります。また、エネルギーの地域自給に向けた取組の推進につきましては、エネルギー計画に掲げた将来像「エネルギーを地域で自給する持続可能なまち」の実現に向け、市民の皆様及び事業者の再生可能エネルギーの利用や省エネルギー化の取組を促すために、エネルギーカフェや事業者向け勉強会などを開催いたします。さらには、平成28年度に策定した木質バイオマスエネルギー利用計画に基づき、引き続き木質バイオマスエネルギー導入のための検討に取り組んでまいります。
 環境事業センターにつきましては、ごみ焼却施設の基幹的設備改良工事に着工し、安定した処理機能の確保に取り組んでまいります。
 斎場整備につきましては、平成31年4月の供用開始を目指し、設計・施工などの業務を着実に進めてまいります。
 自然環境の保全と再生につきましては、山くずれの防止や水源かん養など、森林の持つ多面的機能を高めるため、下刈などを通じて森に親しみ、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森づくりに取り組んでまいります。また、県条例により里地里山保全等地域に指定されている久野、東栢山及び上曽我の地域の皆様と協働して里地里山の保全や活用に努めるとともに、曽比地区の良好な水環境や水辺の原風景を保全・再生するため、環境と景観に配慮した多自然水路の整備を進めてまいります。さらに、酒匂川水系の豊かな環境を将来の世代に引き継ぐため、酒匂川水系保全協議会を通じて、水質の保全や環境の維持向上に資する事業を支援してまいります。
 生態系の維持保全につきましては、市の鳥コアジサシの保護や啓発、酒匂川水系のメダカの保全活動や啓発を行ってまいります。また、深刻度を増す野猿被害などについては、県と連携して防止対策を進めてまいります。

【都市基盤】
 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、多極ネットワーク型コンパクトシティの形成に向けた立地適正化計画の策定について、都市機能誘導区域の設定に続き、居住誘導区域の設定に向けた検討を進めてまいります。また、本市の市街化調整区域の土地利用につきましては、人口減少社会への対応や既存の宅地開発許可制度の適正化を行うために、新たな開発許可制度を制定してまいります。
 小田原駅・小田原城周辺のまちづくりにつきましては、都市空間と歴史的空間が近接している魅力を最大限に生かし、回遊性を高め、街なかの活性化を図るため、地域との協働により、引き続き都市廊政策を推進してまいります。また、まちづくりの機運が高まっているかまぼこ通り地区においては、計画的なまちづくりを進めるための必要な支援を行い、街なかのにぎわい創出や小田原らしい街なみづくりを推進してまいります。
 お城通り地区再開発事業につきましては、広域交流施設ゾーンの整備に向け、事業施行者と具体的な施設内容などについて協議を進めてまいります。
 三の丸地区につきましては、多くの歴史資源が存在することのみならず、小田原城址公園の隣接地であり、正規登城口を中心に、小田原城の観光客を迎え入れる役割が望まれ、本市のまちづくりに重要なエリアであることから、お城の佇まいを生かした歴史と文化及び回遊の拠点の整備を見据えた、三の丸地区全体の長期的な構想について検討してまいります。
 緑化の推進につきましては、緑の基本計画に基づき、公共空間や民間施設の緑化支援に関する新たな取組を進めるとともに、未就学児などが花と緑に触れる機会を増やすなどして、将来のみどりの担い手を育成してまいります。公園の整備管理につきましては、市民の皆様が安全で快適に利用できるよう整備するとともに、市民の皆様との協働による管理を進めてまいります。
 安全で円滑な地域交通の充実につきましては、地域公共交通総合連携計画に基づき、市民の皆様、交通事業者、行政が連携し、路線バスの利便性の向上や利用促進を引き続き進めるとともに、駐車場整備計画及び駐輪場整備計画に基づく対策に取り組んでまいります。また、幹線道路や狭あいな生活道路の整備を進め、歩行者や自転車にも配慮した円滑な交通ネットワークの形成と市民生活に密着した安全な道路空間の充実を図ってまいります。さらに、道路施設等の維持管理の方針に基づき、計画的な修繕を実施してまいります。
 水道事業につきましては、本市水道事業の方向性を示すおだわら水道ビジョンに基づき、安全で安心な水道水を安定供給するため、老朽化した施設や管路の更新、耐震化について、これまで以上に速度を上げて取り組むとともに、持続可能な水道事業の実現に向け、より効率的な事業運営と健全経営に努めてまいります。
 下水道事業につきましては、快適な生活環境の保全と公共用水域の水質保全を図るため、未普及地域の解消に向け、計画的かつ効率的に整備を推進してまいります。また、下水道長寿命化計画及び下水道総合地震対策計画に基づき、老朽管渠の改築や防災拠点などの汚水を受ける重要な管渠の耐震化を、優先度の高い箇所から継続的に実施してまいります。さらに、台風や近年発生している局地的な豪雨に加え、都市化の進展に伴う雨水浸透機能の低下による浸水被害の低減を図るため、計画的かつ効率的に雨水渠の整備を推進してまいります。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】
 地域コミュニティの強化につきましては、地域の主体的なまちづくりを進めるため、全市的に地域コミュニティ推進事業を実施していくとともに、地域別計画の見直しを契機に、新たな分野や事業への取組を推進してまいります。また、担い手育成の支援や地域活動の情報共有を図る一方、地域活動拠点の整備について検討を進めてまいります。
 市民活動の促進につきましては、開設2年目を迎えたおだわら市民交流センターUMECOを拠点として、市民活動のさらなる活性化を図るとともに、様々な分野で活動する市民活動団体と行政との協働を推進するための提案型協働事業に引き続き取り組んでまいります。
 情報共有の推進につきましては、誰でも手に取れ、読むことができる、分かりやすい広報紙を目指して新たな形で発刊するとともに、ホームページ、SNS、テレビ、ラジオなどの媒体を活用し、市の施策や事業に関する情報を発信してまいります。また、市内外に小田原の魅力を発信し、若い世代の小田原への移住を促進するため、小田原での具体的な生活をイメージできるようなツアーの実施をはじめ、官民連携による効果的なプロモーションを進めるとともに、ふるさと応援寄附金などの事業の充実を図り、都市セールスの観点から本市の魅力向上に努めてまいります。さらに、市長への手紙や市民と市長の懇談会、メールマガジンアンケート機能などを活用し、広く市民の皆様の声を聴き、市政に反映させてまいります。
 行財政改革につきましては、平成29年度から平成34年度までを計画期間とする第2次行政改革指針に基づき、市民ニーズに即応した行政サービスの向上と、持続可能な行財政運営の両立を目指し、量と質の改革に取り組んでまいります。
 老朽化が進む公共施設につきましては、全市的な視点から施設の複合化や統廃合を含めた公共施設再編基本計画の策定に取り組むとともに、地域活動の場の確保や、民間の活力を生かした効率的な用地活用方法を検討してまいります。市有建築物につきましては、長期保全計画・維持修繕計画に基づき、計画的な維持保全により、公共施設のライフサイクルコストの低減に努めてまいります。市営住宅につきましては、小田原市営住宅ストック総合活用計画を改訂し、適正な維持管理に努めてまいります。また、耐震改修が完了した市庁舎では、老朽化したトイレ設備などの改修を行ってまいります。
 歳入の根幹をなす市税収入につきましては、引き続き口座振替の利用促進、市税等納付促進センターによる早期の納付勧奨、滞納処分の厳正な執行により、その確保に努めてまいります。
 競輪事業につきましては、引き続き経営改善などを行いながら事業収益を確保していくとともに、市財政への貢献を果たしていきたいと考えております。
 自ら考えて行動する職員の育成につきましては、人物重視を基本とした本市独自の採用を行い、あふれる情熱とチャレンジ精神を持った人材を確保してまいります。そして、直面する重要課題を着実に推進するため、職員の意識改革を進めるとともに、職員一人ひとりの能力を十分発揮できる環境づくりに取り組んでまいります。
 県西地域における中心市のあり方の検討につきましては、昨年10月に設置した小田原市・南足柄市「中心市のあり方」に関する任意協議会における協議を通じ、安定的な行政サービス提供体制を構築し、活力ある地域圏の形成をけん引するため、都市制度をめぐる国の動向にも注視しつつ、合併を含む圏域の中心市強化策などについて検討・協議を進めてまいります。

5 むすび

 以上が平成29年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。
 世界情勢、あるいはわが国の置かれている少子高齢化、人口減少といった状況を見ても、これからの数年間は我々が遭遇したことのない難しい時代局面を迎えることになります。しかし、小田原には、これからの厳しい状況を乗り越える力があると確信しております。これまで本市が進めてきた官民連携の取組をさらに加速させ、豊かな自然環境、城下町・宿場町として根付く産業や文化、活発な地域コミュニティや市民団体、郷土愛あふれる多くの人たちなど、多様な地域資源を生かしきっていくことで、「持続可能な地域社会」の枠組は着実に形作られていくことでしょう。
 そのような歩みを地域全体として進めていく上で大切な事は、人と人がつながり、共感し、支えあい、歓びや楽しみだけでなく苦労や痛みも分かち合うことが希望へとつながっていくとの意識と実感を、市民の皆様が共有できる社会を育てることだと思います。そのためには、子どもからお年寄りまで、全ての命が大切にされ、支え守られる地域であることが何よりも重要であります。
 数年来、市政の筆頭目標として「いのちを大切にする小田原」を掲げ、様々な取組を進めてまいりました。生活保護における不適切な行為に対し、各方面から頂いた厳しいご意見への反省にも立ちながら、改めてこの目標を見つめ直し、小田原に住む方一人ひとりが認められ、尊敬され、幸せを感じられるようなまちにしてまいりたい。そのような決意を胸に刻み、市政の舵取りに臨んでまいる所存であります。
 以上をもちまして、平成29年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。


   平成29年2月20日


小田原市長 加 藤 憲 一   

最終更新日:2017年02月21日


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