小田原市

所信表明・施政方針

平成30年度施政方針(平成30年2月19日)

H30施政方針  PDF形式 :538KB



 平成30年小田原市議会3月定例会が開会し、平成30年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 我が国においては、個人消費の持ち直しや雇用情勢の改善により、景気は緩やかな回復基調が続いていると言われるものの、価値観の多様化、急速な情報化などによる社会システムの急激な変化や、将来予測が明確につかない先行きの不透明感により、誰もが暮らしへの不安感を抱える状況が続いております。片や世界情勢に目を向けると、北朝鮮を巡る軍事的緊張の高まり、欧米諸国における政治経済情勢の不安定化など、世界的にも混迷の様相を呈しております。
 このような時代にあって、本市は「市民の力で未来を拓く希望のまち」の将来都市像のもとに様々な分野で取組を進めてまいりました。その歩みは確かなものになりつつありますが、50年、100年先を見据えたまちづくりを引き続き進めていくためにも、本市は持続可能で自律的な基礎自治体であり続ける必要があり、行財政基盤の確立と権能の強化から目を背けるわけにはまいりません。
 こうした認識から、本市は県西地域の中心市としての強固な行財政基盤の確立を目指し、南足柄市との「中心市のあり方」に関する協議に臨んでまいりました。しかしながら、その結果として合併という抜本的な手段をとりえなくなった今、行財政基盤の確立のために、全庁を挙げて厳しい行財政改革に取り組んでまいります。そして、そこには相当なエネルギーを注いでいかなければなりません。
 一方で、権能の強化に関しましては、これまでも特例市として一定の自律性を確保してきた本市として、要件を満たすならば基本的には中核市に移行するべきであると考えますが、この準備や調整におきまして、市役所全体に難度の高い相当量の事務負荷が生じるものと見込まれます。
 いずれも大きな事務の負担を要する「厳しい行財政改革」と「中核市への移行」に並行して取り組むことは困難であり、この時点では、まずは基礎自治体として、安定的に行政サービスを提供することのできる強固な行財政基盤を確立することを優先すべきであると判断いたしました。
 この判断により、法定期限内での中核市への移行は見送ることになりますが、権能強化の取組を将来にわたって放棄するものではなく、今後とも市民に最も身近な行政体としての責務をしっかりと果たすことができるよう、都市制度を巡る国の動向なども注視しつつ、基礎自治体としての体力と能力のさらなる強化に向けた取組を進めてまいります。こうした段階的で着実な取組が、県西地域の中心市としてのあるべき姿の実現にもつながるものと確信しております。

2 市政運営に当たっての基本方針

 このような基本認識のもと、平成30年度の市政運営に当たっての5つの基本方針をお示しいたします。

(1)小田原が元気になっていく方向性を、具体の姿として示す
 第1の基本方針は、小田原が元気になっていく方向性を、具体の姿として示していくということであります。豊かな自然環境や地域資源を生かした様々な産業の育成、子育て支援策の充実などによる子育て世代の流入と増加、生き生きとしたシニア層の拡大、ケアタウンなど支え合う地域コミュニティのさらなる充実、街並み整備やおもてなしの充実による観光振興と交流人口の拡大、 芸術文化の振興を通じたまちの魅力と賑わいづくり、各種のハード整備によるまちの活性化など、それぞれの分野でしっかりとした意識と戦略を持って取り組むことが大切であります。

(2)重要な事業を着実に進め、結実させる
 第2の基本方針は、重要な事業を着実に進め、結実させるということであります。積年の課題であったお城通り地区再開発事業や市民ホール整備事業、 新斎場、小田原漁港西側の交流促進施設などにつきましては、着実に事業を進めてまいります。また、市立病院建替えにつきましては、将来にわたって地域医療の中核的な役割を担うため、できるだけ早期の整備実現に向け、病院再整備基本構想を策定してまいります。

(3)持続可能な地域社会への歩みについて、市民としっかり目標を共有し、「分かち合いの社会づくり」を進める
 第3の基本方針は、持続可能な地域社会への歩みについて、市民の皆様としっかり目標を共有し、「分かち合いの社会づくり」を進めるということであります。ケアタウンや地域コミュニティ、市民活動など、様々な公共分野で取り組んでまいりました市民の皆様との協働のより一層の推進に加え、時代や市民ニーズに適合した行政サービスの在り方、さらには「受益と負担」の在り方についても今後議論を深め、市民の皆様と共に考えてまいりたいと存じます。

(4)安定的な行政サービス提供体制の確立に向けて、強い決意で行財政改革に取り組む
 第4の基本方針は、安定的な行政サービス提供体制の確立に向けて、強い決意で行財政改革に取り組むということであります。現時点では南足柄市との合併という選択肢が無くなったことから、これまで準備を進めてきた各事務事業の選択と集中などによる効率的で効果的な行財政改革を進めてまいります。 市民の皆様にとって痛みを伴う改革については、一つ一つ丁寧な説明を重ね、危機感の共有と改革への理解を大前提に取り組んでまいります。

(5)あらゆる分野において、人の力を高める
 第5の基本方針は、あらゆる分野において、人の力を高めるということであります。地域の経済活動における人材不足、地域コミュニティなどにおける担い手不足や高齢化により、地域社会を支え、構成する様々な現場が悲鳴を上げ始めております。担い手の発掘・育成は地域の最重要課題であり、職員も含め、地域全体の課題解決能力を高めていかなければなりません。

3 重点テーマの主要な取組

 5つの基本方針を踏まえ、総合計画「おだわらTRYプラン」後期基本計画重点テーマの主要な取組につきましてご説明させていただきます。

(1)豊かな自然や環境の保全・充実
 後期基本計画の重点テーマ「豊かな自然や環境の保全・充実」のうち、「森里川海がひとつらなりの特徴を生かした、多様な主体の連携による自然環境の保全と再生」と「エネルギーの地域自給に向けた取組の推進」につきましては、 多様な主体や取組の連携により、いのちを守り育てる地域自給圏を引き続き目指してまいります。
 「いのちを支える食の生産基盤の強化」につきましては、農地の流動化や担い手の確保に取り組むほか、農地の多面的機能を維持するため、営農環境の維持を目的とした地域の共同活動や耕作放棄地解消の取組を支援し、農業の生産性の向上を図ってまいります。

(2)課題を解決し、未来を拓く人づくり
 重点テーマ「課題を解決し、未来を拓く人づくり」のうち、「地域資源を生かしたさまざまな世代の学びの場づくり」につきましては、これまで民間の方々と現場の課題を共有してまいりましたが、本格的な実施に向け担い手が必要な分野ごとに既存の事業をブラッシュアップするとともに、一般市民や民間団体を対象とした(仮称)おだわら学講座や(仮称)人づくり課題解決ゼミを開催してまいります。
 「創業者の発掘・育成・支援の一元的な展開の促進」につきましては、小田原箱根商工会議所をはじめとした関係団体と連携し、それぞれの強みを生かした創業支援策を講じてまいります。
 「プロダクティブ・エイジングの推進」につきましては、シニア世代の活躍の場とその領域を拡大する取組を進めるとともに、多様な就業機会の確保に向けた取組についても検討してまいります。

(3)地域コミュニティモデルの進化
 重点テーマ「地域コミュニティモデルの進化」のうち、「目指すべき地域コミュニティ像の確立に向けた取組の推進」につきましては、地域の主体的なまちづくりを進め、持続可能な地域社会を実現するために、地域コミュニティ組織の目指す姿を定めた地域コミュニティ組織基本指針を、地域と行政が共有し進めてまいります。具体的には、担い手育成の支援や地域活動の情報共有を図るとともに、区域内の学校などへの地域事務局の設置や地域拠点整備の検討を進めてまいります。
 「子どもの多様な居場所の連携と進化」につきましては、子育て支援センター、ファミリー・サポート・センター、地域子育てひろばなど、地域における 子育て支援サービスの充実を図り、子育てのために地域社会が共に支え合う環境づくりを進めてまいります。また、放課後子ども教室を新たに7校に設置するほか、家庭、学校、地域、行政が連携し、放課後児童クラブや地域コミュニティ組織などが運営する子どもの居場所を充実することにより、子どもたちが安心して集い活動できる豊かな育ちの場の形成に努めてまいります。

(4)いのちを育て・守り・支える
 重点テーマ「いのちを育て・守り・支える」のうち、「妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援体制の整備」につきましては、昨年開設した子育て世代包括支援センターを通じて、全ての母子の健康や育児に関する相談に切れ目なく円滑に対応してまいります。
 「未病を改善する取組と連携した市民の健康増進活動の促進」につきましては、運動やスポーツ、食に関する健康増進活動を促進するため、県や民間の取組との連携を進め、市民の皆様の健康寿命の延伸に取り組んでまいります。
 「地域包括ケア体制づくりとケアタウン構想の推進」につきましては、市社会福祉協議会に包括化推進員兼相談員を配置し、福祉まるごと相談の窓口を設置したことを踏まえ、今後も、多機関の協働による包括的支援体制の構築に取り組んでまいります。また、中間的就労事業を推進し、就労に係る自立の概念を広げ、就労を通じた生活困窮者などへの自立支援に取り組むなど、ケアタウンの理念を具体の取組として展開してまいります。

(5)「分かち合いの社会」の創造
 重点テーマ「「分かち合いの社会」の創造」のうち、「行財政改革の推進」につきましては、第2次行政改革指針に基づき行政改革実行計画を策定してまいります。この策定を契機に、社会経済情勢の変化に即応した改革に全庁を挙げて取り組むとともに、事務事業の評価を多角的な視点から行うことにより、各事務事業の改善・見直しに努め、行政サービスの質の向上と行財政運営の健全化に強い決意で取り組んでまいります。
 「「分かち合いの社会」づくりの検討とその展開」につきましては、福祉や子どもに関するサービス、行財政運営といった分野におけるそれぞれの取組について、アドバイザーの意見を得て方策の具体化を進めてまいります。

(6)「観光」による地域経済活性化
 重点テーマ「「観光」による地域経済活性化」のうち、「観光戦略ビジョンに基づく観光まちづくりの推進」につきましては、観光戦略ビジョンの方向性や目標の実現に向けて、レンタサイクル事業の拡充やライブカメラの活用、北条早雲公顕彰五百年事業のPR活動などに取り組んでまいります。また、天守閣などの指定管理者であり、昨年新たに地域DMOとして認定された観光協会などとも連携を図りながら、より一層のサービス向上と誘客を図るとともに、城址公園の橋りょう老朽化対策や石垣山一夜城や総構の整備も進め、観光スポットとしての魅力向上を図ってまいります。さらに、訪れる方々が快適に過ごしていただけるよう、城址公園花菖蒲園などの環境整備をはじめ、城山公園、城山陸上競技場周辺の樹木や花木、緑地帯の管理を適正に行ってまいります。
 「観光分野との連携などによる農林水産業・ものづくりの振興」につきましては、地域農業の活性化を図るため、収穫が開始されたオリーブの産地化推進を目指しオリーブ収穫祭を開催するとともに、梅のブランド化をはじめ6次産業の取組を支援してまいります。さらに、小田原漁港西側の交流促進施設の整備を進め、水産業の振興や水産物の消費拡大、市民と来訪者との交流の促進を図るとともに、早川駅を中心とする漁港エリア全体の賑わいを創出するため、 回遊促進策に着手してまいります。そのほか、水産市場施設についても、再整備に向けた検討を市場関係者などと引き続き進めてまいります。
 「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会などを契機とした活性化」につきましては、競技大会に向け、本市ゆかりのアスリートのPRや、障がい者スポーツの普及に向けた取組を進めるなど、スポーツに対する機運の醸成に努めていくほか、事前キャンプ協定国との国際交流事業を進めてまいります。また、県障害者スポーツ大会の開催など、内外から高い評価を受けている城山陸上競技場や小田原アリーナなどの施設をさらに活用してまいります。
 「しごとと暮らしをつないだ定住促進」につきましては、若い世代の移住を促進するため、移住希望者のニーズに応じた個別案内やイベントの実施をはじめ、本市のガイドブックの作成や、SNS、動画などを活用した効果的なプロモーションを進めるとともに、ふるさと応援寄附金などの事業の充実を図り、都市セールスの観点から本市の魅力向上に努めてまいります。

(7)重要なまちづくり案件の適切な実現
 重点テーマ「重要なまちづくり案件の適切な実現」のうち、「小田原駅・小田原城周辺のまちづくりの推進」につきましては、小田原城の正規登城口にあたる三の丸地区の将来のまちづくりビジョンを示した構想の策定に向け、関係者などと検討を進めてまいります。また、お城通り地区再開発事業では、広域交流施設ゾーンの施設整備を進め、平成31年度中の完成を目指してまいります。さらに、市民ホールの建設工事に着手するとともに、平成33年秋のオープンに向け、運営ルールの検討など管理運営に関する取組も進めてまいります。
 「まちなかのにぎわい創出や回遊性向上に向けた街並みづくりの推進」につきましては、引き続き都市廊政策を推進するとともに、緑の基本計画に基づき、公共空間や民間施設の緑化支援を強化してまいります。また、かまぼこ通り周辺や板橋地区・西海子通り周辺などにおきましては、歴史的環境に調和した街並み形成に向けて地域の住民組織との協議を進めながら必要な支援を行ってまいります。さらに、景観形成修景費補助金の改正・拡充や歴史的風致形成建造物改修整備費補助金の活用などにより、歴史的・文化的資源などの魅力を最大限に生かしながら、小田原らしい歴史まちづくりを進めてまいります。

(8)インフラ・公共施設の維持と再配置
 重点テーマ「インフラ・公共施設の維持と再配置」のうち、「上下水道・道路・橋りょう等社会インフラの着実な修繕・更新」につきましては、各計画に基づき、市民の皆様の暮らしに直結するインフラの適切な維持・更新に努めてまいります。
 「公共施設再編に向けた計画策定と老朽化施設の長寿命化の取組の推進」につきましては、老朽化が進む公共施設の機能・配置の適正化を図る公共施設再編基本計画を、平成30年度末を目途に策定するとともに、民間の活力を生かした効率的な施設の整備・管理運営方法を検討してまいります。また、市有建築物維持修繕計画に基づく計画的な維持保全により、施設の安全を確保してまいります。さらに、市民サービスの向上を図るため、コンビニエンスストアや郵便局で住民票の写しなどの証明書を交付するサービスを導入するとともに、公共施設再編基本計画と整合を図りながら、老朽化が進む支所などの再編に向けた取組を進めてまいります。

4 分野別方針

 これまで述べてきた取組のほか、分野別の主要な取組につきまして、後期基本計画におけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明させていただきます。

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】
 地域福祉の推進のうち、セーフティネットの充実につきましては、生活保護行政のあり方検討会の議論を踏まえ、生活保護制度の適正実施に努めるとともに、引き続き生活困窮者への支援に取り組んでまいります。
 高齢者福祉の充実につきましては、高齢者福祉介護計画に基づき、高齢者の生きがいづくり、介護予防、生活支援などの施策を総合的に進めてまいります。
 障がい者福祉の充実につきましては、精神疾患経験者や精神障がい者が、自らの経験を生かして精神障がい者を支援するピアサポーターの育成を始めるほか、障がいのある方の地域での安心した暮らしや自立・社会参加の実現に向け、ノーマライゼーション理念の普及啓発を図るとともに、障がい福祉計画を踏まえ、利用者本位のサービスの提供に取り組んでまいります。

【暮らしと防災・防犯】
 共生社会の実現につきましては、職業生活における女性の活躍を推進するため、第2次男女共同参画プランに基づくアクションプログラムを策定するなど、官民協働による支援体制を整備し、女性の活躍に関するネットワークづくりを進めてまいります。また、平和都市宣言から四半世紀を迎えることから、日本非核宣言自治体協議会へ加盟するとともに、次代を担う中学生を対象に平和に関する宿泊学習を開催するなど、平和事業のさらなる充実を図ってまいります。
 災害に強いまちづくりにつきましては、東日本大震災や平成28年熊本地震の教訓を生かした危機管理研修や災害対策本部訓練などの実施、防災・危機管理を担当する専門職員を新たに採用するなど、危機管理体制の強化を図ってまいります。また、コミュニティFM難聴区域の改善や災害対策用の資機材の整備を進め、災害時の即応体制や防災拠点施設の機能を強化してまいります。
 消防・救急体制の充実につきましては、効率、効果的な消防体制の構築のため、消防署所再整備計画に基づき、国府津出張所と西大友出張所を統合し、新たに(仮称)豊川出張所を整備するとともに、岡本出張所につきましては現地での建替えに向け取り組んでまいります。また、救急資機材の整備や救急救命士・救急隊員の教育と実習の充実、地域防災力の向上を図るため、消防団員の確保はもとより、施設や装備の計画的な整備を進めてまいります。
 安全・安心の地域づくりにつきましては、空家等対策計画をもとに引き続き空家等対策に取り組むとともに、地域での防犯活動や交通安全活動を支援してまいります。

【子育て・教育】
 子育て環境の充実につきましては、妊婦健診や妊婦歯科健診、乳幼児の月齢に応じた健診や定期予防接種、保健師や専門家などによる育児相談を実施するほか、少子化対策の一環として、神奈川県が行っている不妊症の治療費助成に上乗せして助成してまいります。また、保育所の定員増や小規模保育事業の整備などによる保育の受け皿の拡大、保育サービスに関する相談体制のさらなる充実により、待機児童の解消に努めてまいります。さらに、放課後等デイサービスにおける障がい児医療的ケア支援事業の実施、早期療育の充実など、障がいや発達に課題がある子どもへの支援の充実を、引き続き図ってまいります。
 青少年育成の推進につきましては、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を拡充するとともに、地域や学校の体験学習などで指導者として活躍できる人材の育成、成長した子どもが次代の指導者となる循環の強化を図ってまいります。
 学校教育の充実につきましては、「命・地域・信頼」をキーワードとした取組を進めてまいります。
 このうち、社会を生き抜く力を育む教育活動の推進につきましては、個に応じたきめ細かい学習指導や体力・運動能力向上の取組を充実させることにより、子どもたちの社会を生き抜く力を育成してまいります。また、小学校での英語教育の充実のための専科講師の配置や中学校教員の負担軽減のための部活動指導員の配置を進めるほか、きめ細やかな教育体制の強化として様々な課題のある子どもたちに支援が行き届くよう個別支援員を増員するなど、人的支援の体制づくりを進めてまいります。
 地域とともにある学校づくりの推進につきましては、学校教育の一層の活性化を図るため、学校に地域コーディネーターを配置し、地域コミュニティ組織との連携・協働を進めてまいります。
 安全・安心で快適な教育環境の整備につきましては、緊急度の高い学校施設の修繕を行うとともに、優先的に実施する必要がある外壁や防水改修の実施、トイレの洋式化や空調設備の設置、教育ネットワークシステムの更新を行うなど、教育環境の整備・改善に取り組んでまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】
 産業振興と就労環境の整備のうち、働きやすい環境づくりにつきましては、若い世代への雇用対策として、早期離職を抑制するための意識啓発や、市内への就労と定着を促進するための面接会などを開催してまいります。多様な企業誘致と操業支援につきましては、企業誘致推進条例に基づき、引き続き工場の緑地面積率の緩和やアクセス利便性など本市の優れた立地条件の周知に努め、工場跡地や工業団地への新規立地を推進するとともに、市内工業の流出防止を図ってまいります。
 商業の振興につきましては、商店街が地域コミュニティの核として機能するよう、商店街が新たに実施する中長期的な取組などを支援するとともに、小田原地下街については、健全経営の持続と発展に引き続き努めてまいります。
 農林業の振興につきましては、鳥獣被害対策の強化や小田原いちばやさいの普及推進、学校施設木質化のモデル的な取組などによる地域産木材のさらなる利用拡大、ウッドスタート事業、森林整備の推進などに引き続き取り組むとともに、いこいの森の再整備に向けた検討を行ってまいります。

【歴史・文化】
 歴史資産の保存と活用につきましては、歴史的価値の高い史跡小田原城跡をしっかりと後世に残し、その活用を図っていくために、引き続き御用米曲輪の土塁修景整備工事などを実施するとともに、史跡小田原城跡保存活用計画の策定に着手いたします。
 文化・芸術の振興につきましては、身近な場所で質の高い芸術活動に触れることのできるアウトリーチ活動や、文化活動をサポートする人材育成を拡充するとともに、多様な文化・芸術事業を展開し、小田原の文化の裾野を広げ、文化による人づくりとまちづくりを進めてまいります。また、二宮尊徳翁ゆかりの市町村が一堂に会する全国報徳サミットを本市で開催することや尊徳翁の映画化という機会を捉え、市民と一丸となって全国に生誕地小田原をPRするなど、尊徳翁の顕彰に努めてまいります。
 生涯学習の振興につきましては、生涯学習センターけやきを快適に利用していただくため、汚損の激しいけやきホール床面の修繕を行ってまいります。また、図書施設・機能整備等基本方針に基づき、駅前図書施設の開館に向けた整備と、図書館サービスの在り方について検討を行うとともに、小田原文学館の環境整備に努めてまいります。
 生涯スポーツの振興につきましては、第20回記念大会城下町おだわらツーデーマーチや、ウォーキングをはじめとした地域スポーツの活性化など、身近な生活の中でスポーツに親しめる取組を進めてまいります。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】
 環境再生・保全活動の推進につきましては、森里川海オールインワンの環境先進都市・小田原の確立を目指して、エコツーリズム事業や環境再生活動推進事業、環境学習推進事業などを継続するとともに、基礎となる自然環境などの現地調査を実施することで、市民の皆様の主体的な環境再生・保全活動を促し、持続可能な環境共生型の地域づくりを進めてまいります。また、エネルギーの地域自給の促進に係るモデル事業の成果や環境エネルギーに関する国内外の 先進事例の活用、自治体間の連携を通じて、地球温暖化対策の推進のみならず、 地域経済の好循環の創出にも取り組んでまいります。
 廃棄物の減量化・資源化の推進につきましては、民間と連携して紙の徹底した分別と段ボールコンポストなどによる生ごみの資源化を進めるとともに、  食品ロス削減に向けた取組を推進してまいります。さらに、環境事業センターのごみ焼却施設の基幹的設備改良工事を着実に進めてまいります。
 良好な生活環境の保全と形成につきましては、市民の皆様の衛生美化意識を高めるとともに、斎場の本体工事を着実に進めてまいります。
 自然環境の保全と再生につきましては、山くずれの防止や水源かん養など、森林の持つ多面的機能を高めるため、下刈などを通じて森に親しみ、森の大切さを学ぶ活動を行うなど、人と自然が共存する森づくりに取り組んでまいります。また、ニホンザルやニホンジカによる被害を無くすため、県や近隣市町と連携して被害防除対策を進めてまいります。

【都市基盤】
 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、人口減少・少子高齢化が進む中、多極ネットワーク型コンパクトシティの形成に向け、居住誘導区域の設定などの立地適正化計画を策定してまいります。また、既存集落を維持し営農環境を保全するため、市街化調整区域の土地利用について新たな開発許可制度となる既存集落持続型開発許可制度を施行し、運用してまいります。さらに、 近隣住民の生活の利便性の向上と周辺の交通混雑の緩和を図るため、国府津駅周辺の整備事業を進めてまいります。
 安全で円滑な地域交通の充実につきましては、幹線道路や狭あいな生活道路の整備を進め、歩行者や自転車にも配慮した円滑な交通ネットワークの形成と市民生活に密着した安全な道路空間の充実を図るとともに、道路施設修繕計画に基づき、効率的な維持管理に取り組んでまいります。
 安定した水供給と適正な下水処理のうち、水道事業につきましては、おだわら水道ビジョンに基づき、安全で安心な水道水を安定供給するため、老朽化した施設や管路の更新、耐震化に向けた取組を一層推進してまいります。下水道事業につきましては、下水道長寿命化計画や下水道総合地震対策計画に基づき、老朽管きょの更新や防災拠点などの汚水を受ける重要な管きょの耐震化を、  優先度の高い箇所から継続的に実施してまいります。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】
 市民活動の促進のうち、市民活動の支援につきましては、おだわら市民交流センターUMECO(うめこ)の開館日を増やし、市民活動のさらなる活性化を図ってまいります。
 情報共有の推進につきましては、広く市民の皆様の声を行政に反映させるため、市長への手紙や市長と市民の懇談会、広報委員事業などの広聴事業により、市民の皆様のニーズを的確に捉えてまいります。こうして把握した市民の皆様の声を反映した行政情報は、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオなどの広報媒体を適切に組み合わせ、受け手の視点に立った、分かりやすく効果的な情報発信に努めてまいります。

5 むすび

 以上が、平成30年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。
 かつてこの国が経験したことのない、人口減少や少子高齢化といった人口構造の変化、各種社会インフラの老朽化や財政悪化などの社会状況の変化が、 しかも世界的な情勢に暗雲の垂れ込める中、一時(いちどき)に押し寄せるという難しい時代に、私たちは生きております。時代がはらむ「難しさ」は、私が市長に就任した平成20年と比べ、遥かにそのレベルと、克服への難易度を増したと感じております。
 そうした中にあっても、小田原市では「市民の力で未来を拓く希望のまち」を将来都市像と定め、豊富な地域資源を十二分に生かし、市民・行政それぞれの活発な活動や、多分野での協働を育てることによって、地域全体としての「課題解決能力の高いまちづくり」に取り組んでまいりました。その歩みは、多彩な市民活動、地域コミュニティの充実、ケアタウンの拡大、地域資源を生かした経済活動、観光まちづくり、地域と一体となった教育活動、まちづくりの担い手育成、良好な都市空間・環境の整備、豊かな自然環境の保全、芸術文化を通じた人づくり、自主防災活動の充実など、幾つもの面で着実な成果を生んでおります。
 大事なことは、そうした様々な分野での、実践の積み重ねを通じて得られつつある成果や経験を、目指すべき「持続可能な地域社会」におけるまちづくりや人づくりの望ましい姿へ、確実につなげていくことであります。そのためにも、各分野における取組の成果や課題をしっかり総括・共有し、より確かな道筋や方法についての仮説を立てながら、さらなるチャレンジの精度を高めていくことが重要であります。そのような観点から、例えば地域コミュニティについては既に目指すべき姿を「基本指針」として取りまとめ、地域の皆様と共有化しているところであります。
 幸いなことは、こうした実践プロセスを進めていく上で、小田原は本当に恵まれているという点であります。地域資源の多様性と豊かさ、様々な課題領域や実践フィールドの存在、そして何より、それぞれの分野において課題解決を担いうる、高い専門性と強い郷土愛を持つ「人」の存在。難しい時代であっても、こうした「可能性」「潜在力」を有する小田原は、このところ各方面からも多くの期待をもって認識されつつあり、様々な取組や提案が持ち込まれるようになってまいりました。外部からのそうした動きが、さらに小田原の内部の動きを活性化させ、より意欲的な動きが生み出されていく方向にあると感じております。
 これから厳しさを増す基礎自治体の行財政運営を巡る状況への的確かつ厳しい対応、一方で、こうした時代だからこそ光を放ちうる小田原の可能性の最大化。そのいずれにもしっかりと向き合ってこそ、「持続可能な地域社会」としての小田原が、現実のものとなります。そのためには、目指すべき都市像、取り組むべき施策の意義と優先順位、市民と行政の役割分担、協働の進め方などについて、市民の皆様との十分な情報共有と連携、そして実践を通じた信頼関係の強化が、これまで以上に必要になってまいります。引き続き全力を傾け、この局面における市政の的確な舵取りに当たっていく覚悟であります。
 以上をもちまして、平成30年度の施政方針とさせて頂きます。議員各位を始め、市民の皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。


   平成30年2月19日


小田原市長 加 藤 憲 一   

最終更新日:2018年02月19日


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