所信表明・施政方針

平成31年度施政方針(平成31年2月19日)

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 平成31年小田原市議会3月定例会が開会し、平成31年度の当初予算案及び関連諸議案をご審議いただくに当たり、施政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。

1 はじめに

 昭和から平成へと元号が変わった今から30年前。わが国では、いわゆるバブル経済が全盛期を迎えつつありました。その後のバブル崩壊やリーマンショックなど「失われた20年」と呼ばれる経済の停滞が長期にわたる中、情報技術をはじめとするテクノロジーの進歩、グローバル化の波はますます加速し、私たちのライフスタイルに大きな変化をもたらしました。また、阪神・淡路大震災、東日本大震災といった未曾有の大災害を目の当たりにし、社会システムや経済活動の基盤、さらには暮らしや営みを支える地域の絆の在り方が改めて問われた時代でもありました。
 平成20年、私が市長に就任した当初は、様々な懸案と対峙し、先行きの見えない厳しい行財政運営が強いられる状況にありました。このような中、東日本大震災の発生から間もない平成23年4月に第5次小田原市総合計画「おだわらTRYプラン」をスタートさせ、今日まで市民の皆様と行政が一体となって「新しい小田原」の姿を形づくる様々な取組に挑戦し続けてまいりました。
 平成最後の年、新たな元号を迎えるに当たり、世界情勢を見れば、ポピュリズムや保護貿易主義などの蔓延による社会の分断が自由や平和を脅かし、国内においては、戦後最長と言われる景気拡大も実感が乏しく、貧困や格差問題が顕在化しつつあります。
 そうした中にあって、本市においては、小田原の持つ可能性が次第に形となり、ラグビーの世界的強豪・ワラビーズのキャンプ誘致成功、北条早雲公顕彰五百年事業の展開や箱根八里の日本遺産認定などを契機として、国内はもちろん世界中の多くの方に小田原を発信するとともに、積年の課題であったいわゆる3大案件は着実に進展、完成に向けた一定の道筋をつけることができました。その間にも協働の取組は着実に進化し、地域資源を生かした賑わいが市民の皆様の手によってまちなかに創り出されています。
 一方、自然災害の大規模化や頻発化、そして地球規模の気候変動による猛暑など、生命の危険に直結する課題に対し、市民の安全を預かる市長として、機を逸することなく取り組んでいるところであります。しかし、本当の意味での安全安心を達成するためには、市民一人ひとりの防災意識の向上と、人が本来的、根源的に持ち合わせている力、つまり、力を合わせて非常事態も逞(たく)ましく、そして、しなやかに乗り越え、孤立をも克服することができる人と人の絆こそ、次世代に残すべき最も重要なインフラであると考えます。
 予測が困難な社会全体の急激な変化の中で、私たちは次代を見つめながら、「公・共・私」の役割・負担といった議論に踏み込んだ上で、改めて「人の幸せ」や「社会の豊かさ」といった本質的な命題に対する答えを見出していかなければなりません。 

2 市政運営に当たっての基本方針

 積年の課題が解決されつつある今だからこそ、豊かな地域資源、そして宝とも言うべき「市民の力・地域の力」が存在する小田原において、未来を見据えた「持続可能な地域社会モデル」の実現を目指し、受動から能動へ、そして実践へと、歩みをより一層進めてまいります。協働による取組のさらなる推進、地域コミュニティにおける住民自治の進化、未来を担う子どもたちの教育環境の整備、地域における担い手の発掘・育成、多様性を肯定する共生社会の実現、エネルギーの地域自給、民間投資を呼び込む地域経済の好循環と商店街の再生など、真の課題解決に向けたステージの転換点を見据え、市民の皆様や民間の主体的な取組や活動を増やすこと、またそのような動きを行政が支援し、伴走することに主眼を置き、様々な事業を進めてまいります。そして、市民の皆様の暮らしのニーズを支え、「持続可能な地域社会」への意欲的なチャレンジを可能とするための強固な行財政基盤の確立に不退転の決意を持って取り組んでまいります。 

3 重点テーマの主要な取組

 平成31年度の市政運営に当たり、総合計画「おだわらTRYプラン」後期基本計画重点テーマの主要な取組につきましてご説明させていただきます。

(1)豊かな自然や環境の保全・充実
 後期基本計画の重点テーマ「豊かな自然や環境の保全・充実」のうち、「森里川海がひとつらなりの特徴を生かした、多様な主体の連携による自然環境の保全と再生」につきましては、森里川海オールインワンの豊かな自然や環境を次世代に引き継ぐため、環境団体や個人、企業などのネットワークを強化し、市民の皆様による主体的な環境再生・保全活動を一層活発化させてまいります。また、森林の保全・再生や林業・木材産業のさらなる活性化のため、小田原の50年、100年後の森林のあるべき姿を示す、(仮称)おだわら森林ビジョンの策定に向け取り組むとともに、市民の皆様への幅広い普及啓発を目的としたおだわら版森林インストラクターを養成し、市民参加による森づくりを進めてまいります。
 「エネルギーの地域自給に向けた取組の推進」につきましては、多様な主体の連携を図りながら、再生可能エネルギーの利用等を促進し、地域からの地球温暖化対策のさらなる推進に取り組んでまいります。
 「いのちを支える食の生産基盤の強化」につきましては、担い手の確保に取り組むほか、営農環境の維持を目的とした共同活動への支援や、環境に配慮した安全安心な基盤整備を実施し、農業の生産性向上につなげてまいります。

(2)課題を解決し、未来を拓く人づくり
 重点テーマ「課題を解決し、未来を拓く人づくり」のうち、「地域資源を生かしたさまざまな世代の学びの場づくり」につきましては、様々な分野で活動する担い手の育成を目指して開校した「おだわら市民学校」において、郷土愛を育むことを目的とした基礎講座であるおだわら学講座と、既に活動されている団体に向けた人づくり課題解決ゼミに加え、福祉、子育て、自然、地域など各分野での実践につながることを目的とした専門課程を新たに開講してまいります。

(3)地域コミュニティモデルの進化
 重点テーマ「地域コミュニティモデルの進化」のうち、「目指すべき地域コミュニティ像の確立に向けた取組の推進」につきましては、地域の主体的なまちづくりを進め持続可能な地域社会を実現するために、地域コミュニティ組織と行政との協働の取組を進めてまいります。また、自治会加入促進や担い手育成の支援、地域活動の情報共有を図るとともに、小学校などと調整し活動の場の整備についても進めてまいります。
 「子どもの多様な居場所の連携と進化」につきましては、子育て支援センター、ファミリー・サポート・センター、地域子育てひろばなど、地域における子育て支援サービスの充実を図るほか、市民団体との協働によるプレイパークの実施や子ども食堂への支援など、子育てのために地域社会が共に支え合う環境づくりを進めてまいります。また、子どもたちの学習支援や体験活動を行う放課後子ども教室を7校に新設することで、市内全ての小学校に設置を完了させ、放課後児童クラブとの連携を図るほか、地域コミュニティ組織等が運営する子どもの居場所の拡充とあわせて、子どもたちが安心して集い活動できる豊かな育ちの場の形成に努めてまいります。

(4)いのちを育て・守り・支える
 重点テーマ「いのちを育て・守り・支える」のうち、「妊娠期から子育て期にわたるまで切れ目のない支援体制の整備」につきましては、発達面において支援を必要とする児童等が増加している現状を踏まえ、旧小田原看護専門学校の施設を活用し、乳幼児期から青壮年期までの各成長段階における相談・支援機能を集約した切れ目のない総合的なサービスの提供と、教育・保育現場での支援環境の向上を目的とした、(仮称)おだわら子ども教育支援センターの整備に着手してまいります。
 「地域包括ケア体制づくりとケアタウン構想の推進」につきましては、地域コミュニティ組織を主体に行政、自治会、民生委員・児童委員、地区社会福祉協議会等が連携して、ケアタウン構想の具体化に向けて取り組んでまいります。また、既存の枠組みを越えた団体や活動に対する支援についての検討も進めてまいります。さらに、地域包括支援センターの機能強化を図るほか、複合的な問題を抱えた市民の相談等に対応するため、市社会福祉協議会に設置しました福祉まるごと相談窓口の取組など、引き続き相談者一人ひとりに寄り添った支援に努めてまいります。

(5)「観光」による地域経済活性化
 重点テーマ「『観光』による地域経済活性化」のうち、「観光戦略ビジョンに基づく観光まちづくりの推進」につきましては、回遊促進施設を整備するなど、まち歩き観光を推進するとともに、シンポジウムやセミナーに加え、プロジェクションマッピング世界大会を開催するなど、引き続き北条早雲公顕彰五百年事業を実施してまいります。また、増加する訪日外国人旅行者の誘客や消費促進につなげるため、箱根町とも連携しながら情報発信を強化するほか、伝統芸能や生活文化などの体験型コンテンツを充実させるとともに、地域で稼ぐ力を強化するための仕組みを整えてまいります。また、小田原城につきましては、歴史見聞館を、新たに風魔忍者にスポットを当てリニューアルオープンさせるほか、天守閣・登城ルート沿いの照明改修や橋りょう老朽化対策など、安全安心に配慮した環境を整備してまいります。
 「観光分野との連携などによる農林水産業・ものづくりの振興」につきましては、蒲鉾、ひもの、木製品など地場産品の販路や需要のさらなる拡大を図るほか、若手芸術家の創作活動と地場のものづくり産業との連携や、本市が有する地域資源のブランド力を向上させてまいります。また、農業につきましては、レモンやオリーブなどの産地化を推進するとともに、梅のブランド力を向上させてまいります。さらに、水産業につきましては、水産物の消費拡大や市民と来訪者との交流の促進を図るため、台風被害の復旧工事を進めている交流促進施設「漁港の駅TOTOCO(ととこ)小田原」を開業させるとともに、水産市場施設の早期再整備を目指し、引き続き市場関係者などと検討を進めてまいります。
 「しごとと暮らしをつないだ定住促進」につきましては、若い世代の小田原への移住を促進するため、ふるさと回帰支援センターでのブース設置をはじめ、移住希望者のニーズに応じた個別案内の実施、本市のガイドブックやインターネット上でのマッチングサービスなどを活用した効果的なプロモーションを進めるとともに、ふるさと応援寄附金などの事業の充実を図り、都市セールスの観点から本市の魅力向上に努め、市内外へ発信してまいります。

(6)重要なまちづくり案件の適切な実現
 重点テーマ「重要なまちづくり案件の適切な実現」のうち、「小田原駅・小田原城周辺のまちづくりの推進」につきましては、昨年策定いたしました三の丸地区の整備構想に基づき、市民会館跡地を中心とした整備に向けて、引き続き検討を進めてまいります。また、お城通り地区再開発事業につきましては、引き続き広域交流施設ゾーンの整備を促進するとともに、その整備にあわせ、広域交流施設と周辺施設を接続する連絡通路を整備してまいります。さらに、市民ホール整備につきましては、平成33年秋のオープンに向け建設工事に着手し、運営ルールの検討など適切な管理運営に向けて準備を進めてまいります。
 「まちなかの賑わい創出や回遊性向上に向けた街並みづくりの推進」につきましては、かまぼこ通り周辺や西海子小路周辺、板橋地区などにおける歴史的・文化的資源などの魅力を最大限に生かした街並み形成に向け、景観形成修景費補助金や歴史的風致形成建造物改修整備費補助金の活用などにより、必要な支援を行ってまいります。また、近代数寄屋建築を中心とする歴史的建造物の修復等を通じ、伝統工法に通じた職人の育成を図ってまいります。

(7)インフラ・公共施設の維持と再配置
 重点テーマ「インフラ・公共施設の維持と再配置」のうち、「公共施設再編に向けた計画策定と老朽化施設の長寿命化の取組の推進」につきましては、公共施設再編基本計画に基づき、施設の機能・配置の適正化を進めるとともに、民間の活力を生かした効率的な施設の整備と利活用、管理運営方法を検討してまいります。また、市有建築物維持修繕計画に基づき、施設の安全性を確保するとともに、長寿命化に資する改修工事を効果的に行うため、全ての工事について優先度を判断した上で、計画的な維持保全を実施してまいります。さらに、複数の施設に係る保守点検業務を一括発注する包括管理業務委託の実施に向けて検討してまいります。

4 分野別方針

これまで述べてきた取組のほか、分野別の主要な取組につきまして、後期基本計画におけるまちづくりの目標と政策の方向に沿ってご説明させていただき ます。

(1)いのちを大切にする小田原

【福祉・医療】
 地域福祉の推進につきましては、セーフティネットの充実のため、生活困窮者の自立支援の取組を推進するとともに、民生委員児童委員協議会をはじめ、各種団体の活動をサポートし、担い手の育成や見守り活動を促進してまいります。また、市営住宅につきましては、市営住宅ストック総合活用計画に基づき、良好な住環境を形成しつつ、住宅セーフティネットの役割を果たすための具体策を検討してまいります。
 高齢者福祉の充実につきましては、高齢者の自立支援に軸足を置き、社会参加、生きがいづくり、介護予防、生活支援などの施策を総合的に推進してまいります。また、プロダクティブ・エイジングにつきましては、働く意欲のある高齢者が能力や経験を生かし、年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会の実現に向けて、地域における高齢者の就労促進を中心とした取組を引き続き推進してまいります。
 障がい者福祉の充実につきましては、障がい者をサポートするための各講座の実施やグループホーム利用者への家賃助成など、障がい者のニーズに応じた支援の拡充を図ってまいります。また、合理的な配慮の機運醸成に向け、商業者等が行うバリアフリー化に係る費用の助成制度を創設するほか、ノーマライゼーション理念のさらなる普及啓発を図るとともに、障がい福祉計画を踏まえ、利用者本位のサービスの提供に取り組んでまいります。
 健康づくりの推進につきましては、健康寿命の延伸を目的として食を通じた健康づくりに引き続き取り組むほか、ウォーキングの推進に向け、スマートフォンアプリを活用した実証実験を行うなど、市民の皆様の健康保持・増進に努めてまいります。また、誰も自殺に追い込まれることのない社会を目指し、生きる支援に関する普及啓発を図るとともに、小学生を対象としたSOSの出し方に関する教育など、地域自殺対策を強化してまいります。
 地域医療体制の充実につきましては、白血病等の治療に有効な骨髄等移植の促進を図るため、移植ドナーとなる市民及びドナーが勤務する事業所の経済的負担の軽減を目的とした助成制度を創設してまいります。
 市立病院の機能拡充と健全経営につきましては、県西地域の基幹病院として高度で専門的な医療を提供するため、経営改革プランに基づいて、医師、看護師などの医療スタッフの確保や高度医療機器の計画的な更新を図るとともに、さらなる経営の改善に取り組み、健全経営の維持に努めてまいります。また、地域の医療機関との役割分担による医療提供に向けて、地域の診療所や介護施設などとの連携を引き続き進めてまいります。さらに、将来にわたって地域医療の中核的な役割を担っていくための病院再整備に向けて、現地建替えの可否を見極めた上で、再整備に係る基本計画を策定してまいります。

【暮らしと防災・防犯】
 災害に強いまちづくりにつきましては、平成31年度の総合防災訓練におけるテーマを水防とし、市民の安全で確実な避難行動につなげるための実践的な訓練や風水害等避難場所の見直し、市民一人ひとりの避難行動マップの作成を地域と連携して実施し、逃げ遅れゼロの避難体制を確立してまいります。また、災害対策用の資機材の整備を進めるほか、地震被害を軽減する取組として、ブロック塀撤去に対する補助事業を実施するとともに、耐震改修促進計画に基づいた住宅等の耐震化を促進するため、職員の戸別訪問や民間建築士との協働によるセミナー、相談会を実施するなどの耐震啓発活動を行い、地域防災力の強化に努めてまいります。さらに、近年の大型化する台風や局地的集中豪雨による浸水被害の軽減を図るため、引き続き下菊川や関口川などの改修を行うとともに、河川や水路の適切な維持管理を進めてまいります。
 消防・救急体制の充実につきましては、効率・効果的な消防体制の構築のため、国府津出張所と西大友出張所を統合し、新たに成田出張所を整備するとともに、南足柄市にある岡本出張所については現地での建替えにより、整備をしてまいります。また、AED設置情報の周知を図るとともに、応急手当の普及促進にも努めてまいります。さらに、消防団詰所の更新や消防団員報酬の引上げ等を行い、災害時即時対応力を発揮する消防団員の確保に努めてまいります。
 安全・安心の地域づくりにつきましては、空家等対策計画や特定空家等判断基準に基づき、引き続き空家等対策に取り組むとともに、地域での顔の見える関係づくりに重要となる防犯活動や交通安全活動を支援してまいります。また、消費者行政につきましては、消費者の安全と安心を確保するため、相談体制の一層の充実を継続的に図るとともに、地域や関係者と協力して高齢者などの消費者被害を未然に防ぐ啓発活動を強化してまいります。
 共生社会の実現につきましては、全ての市民がお互いの人権を尊重し、認め合い、共に生きていく地域社会の実現を目指し、人権施策推進委員会を設置して新たな人権課題に対する施策の方向性を定めるとともに、性的マイノリティへの対応として、パートナーシップ制度を導入してまいります。また、第2次おだわら男女共同参画プランに基づき、地域に住む誰もが性別に関わりなく個性や能力を生かし、あらゆる分野でいきいきと活躍できる社会の実現に向けて、取組を進めてまいります。さらに、次代を担う若者に平和の大切さを理解してもらうため、中学生を対象とした宿泊学習を引き続き開催するなど、平和事業の充実を図ってまいります。

【子育て・教育】
 子育て環境の充実につきましては、少子化対策の一環として、神奈川県が行っている不妊症の治療費助成に上乗せして助成を行ってまいります。また、新たな認可保育所の開設、小規模保育事業の整備による保育の受け皿の拡大に向けた取組や、保育サービスに関する相談体制のさらなる充実により、待機児童の解消に努めるほか、国の動向を注視しながら、幼児教育の無償化に対応してまいります。さらに、放課後等デイサービスにおける障がい児医療的ケア支援事業の実施、早期療育の充実など、障がいや発達に課題がある子どもへの支援の充実を引き続き図ってまいります。
 青少年育成の推進につきましては、小田原の豊かな地域資源を活用しながら様々な世代が交流する体験学習の機会を提供するとともに、地域や学校の体験学習などで指導者として活躍できる人材の育成、さらには、成長した子どもが次代の指導者となる循環の強化を図ってまいります。
 学校教育の充実につきましては、「命・地域・信頼」をキーワードとし、個に応じたきめ細かい学習指導や、豊かな心の育成、体力・運動能力向上の取組を充実させることにより、子どもたちの社会を生き抜く力を育成してまいります。また、小学校への英語専科非常勤講師の配置、中学校への部活動指導員や校内支援室の指導員配置のほか、様々な課題のある子どもたちに支援が行き届くよう個別支援員を増員するなど、きめ細かな教育支援体制づくりを進めてまいります。
 安全・安心で快適な教育環境の整備につきましては、平成31年7月稼動を目標に全小中学校の普通教室等に空調設備を設置してまいります。また、学校施設整備基本方針に基づく緊急度の高い修繕、優先的に実施する必要がある防水改修等を行い、よりよい教育環境を目指した改善に取り組んでまいります。さらに、地域活動拠点等の整備とあわせて木の空間づくりとしての学校施設木質化に取り組むとともに、保護者等が主体的に行う簡易な修繕活動を支援してまいります。

(2)希望と活力あふれる小田原

【地域経済】
 産業振興と就労環境の整備につきましては、市融資制度などによる中小企業の経営支援を行うとともに、雇用機会の拡大や求職者の就労、勤労者の働きやすい環境づくりなどを関係機関と連携しながら支援してまいります。また、若い世代の雇用対策として、早期離職を抑制するための意識啓発や、市内への就労と定着を促すために面接会等を開催してまいります。
 商業の振興につきましては、徒歩生活圏の商店街の魅力と利便性向上に引き続き取り組むとともに、消費税率の引上げに伴うプレミアム付商品券事業を実施してまいります。
 農林業の振興につきましては、引き続き鳥獣被害対策の強化、「小田原いちばやさい」の普及推進、学校施設木質化など地域産木材のさらなる利用拡大やウッドスタート事業等に取り組むとともに、いこいの森については再整備に向けた検討を行ってまいります。

【歴史・文化】
 歴史資産の保存と活用につきましては、歴史的価値の高い小田原城跡、石垣山などの史跡をしっかりと後世に残し、その活用を図っていくため、御用米曲輪の修景整備や史跡の公有地化等を実施するとともに、史跡小田原城跡保存活用計画の策定を進めてまいります。
 文化・芸術の振興につきましては、引き続き身近な場所で質の高い芸術活動に触れることのできるアウトリーチ活動や文化活動をサポートする人材育成を実施するとともに、多様な文化・芸術事業を展開し、小田原の文化の裾野を広げ、文化による人づくりとまちづくりを進めてまいります。
 生涯学習の振興につきましては、図書施設・機能整備等基本方針に基づき、小田原駅東口図書館の開館に向けた準備を進め、新たな図書館体制を構築してまいります。
 生涯スポーツの振興につきましては、日本マーチングリーグ公式大会である城下町おだわらツーデーマーチやウォーキングをはじめとした地域スポーツの活性化など、身近な地域でスポーツに親しめる取組を進めるとともに、城山陸上競技場において、公益財団法人日本陸上競技連盟の第2種公認を継続するための改修工事を行うなど、スポーツ施設の必要な改修や修繕を実施してまいります。また、本市ゆかりのアスリートのPR、障がい者スポーツの普及、事前キャンプ協定国やその国のアスリートと市民が交流できる機会の確保などを通じて、ラグビーワールドカップ2019や東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた機運醸成に努めるとともに、スポーツ振興や経済活性化につながるような情報発信に取り組んでまいります。

(3)豊かな生活基盤のある小田原

【自然環境】
 環境再生・保全活動の推進につきましては、エコツーリズム事業や環境再生活動推進事業、環境学習推進事業などを継続し、恵まれた本市の自然環境を次世代に受け継いでまいります。また、エネルギーの地域自給の促進に係るモデル事業の成果や、社会潮流及び国内外の技術動向を踏まえた新たな知見の吸収と活用、内外の自治体や事業者等との積極的な連携を通じて、国における気候変動対策に係る施策の活用も図りながら、地球温暖化対策の推進はもとより、地域経済の好循環の創出に向けた取組を拡大させてまいります。
 廃棄物の減量化・資源化の推進につきましては、引き続き段ボールコンポストなどによる生ごみの資源化を進めるとともに、食品ロス削減に向けた発生状況調査などを行うほか、ごみのさらなる減量化や資源化に向け、新たな一般廃棄物処理基本計画を策定してまいります。また、環境事業センターのごみ焼却施設基幹的設備改良工事につきましては、事業最終年度を迎え、完成に向け着実に進めてまいります。
 良好な生活環境の保全と形成につきましては、平成31年7月に新斎場の供用を開始するとともに、付帯施設の整備を着実に進めてまいります。
 自然環境の保全と再生につきましては、山崩れの防止や水源かん養など森林の持つ公益的機能を高め、人と自然が共存する森づくりに取り組んでまいります。また、ニホンザルやニホンジカによる被害をなくすため、県や近隣市町と連携して被害防除対策を進めてまいります。

【都市基盤】
 快適で魅力ある生活空間づくりにつきましては、多極ネットワーク型コンパクトシティの形成に向け、都市機能と居住機能の誘導に努めてまいります。また、小田原駅周辺の公共空間や民間施設の緑化支援を強化するとともに、子どもたちが花と緑に触れる機会を増やすなどして、将来のみどりの担い手を育成してまいります。さらに、利用者が安全で快適に利用できるよう、公園施設の計画的な更新や修繕を進めるとともに、官民連携による適切な管理運営を行ってまいります。
 安全で円滑な地域交通の充実につきましては、幹線道路や狭あいな生活道路の整備を進め、歩行者や自転車にも配慮した円滑な交通ネットワークの形成と市民生活に密着した安全な道路空間の充実を図るとともに、道路施設修繕計画に基づき、効率的な維持管理に取り組んでまいります。
 安定した水供給と適正な下水処理のうち、水道事業につきましては、おだわら水道ビジョンに基づき、安全で安心な水道水を安定供給するため、経営の健全性を確保しつつ、老朽化した施設や管路の更新、耐震化に向けた取組を一層推進してまいります。また、下水道事業につきましては、生活環境の改善や公共用水域の水質保全などを図るため、引き続き下水道の未普及区域の整備を進めるとともに、法定耐用年数を迎えた老朽管きょの更新や緊急輸送路下の重要な管きょなどの耐震化に重点的に取り組んでまいります。

(4)市民が主役の小田原

【市民自治・地域経営】
 市民活動の促進につきましては、おだわら市民交流センターUMECO(うめこ)において市民活動応援補助金制度を運営するなど中間支援機能の充実を図り、市民活動のさらなる活性化を図ってまいります。
 情報共有の推進につきましては、広報紙、ホームページ、テレビ、ラジオ、SNSなどの媒体を活用し、市の施策や事業に関する情報を発信してまいります。また、広く市民の皆様の声を行政に反映させるため、市長への手紙や市民と市長との懇談会、広報委員事業などの広聴事業に加え、市民の皆様のニーズを的確に捉えるため職員が直接対面して意見を聴取するなど、双方向型の広報広聴の充実を図ってまいります。
 自立した行財政運営の推進につきましては、南足柄市との2市協議によって得られた知見を生かすなど、将来を見据えたさらなる行財政改革に取り組み、業務の見直しや効率化をより一層推進して、市民サービスの向上につなげてまいります。また、主要な自主財源である市税収入につきましては、平成31年10月にスタートする個人住民税の特別徴収分や法人市民税などに係る申告から納付までの手続きを電子的に行う地方税共通納税システムの導入に取り組むとともに、引き続き適正な課税と、厳正かつ迅速な滞納整理の推進により、その確保に努めてまいります。

5 むすび

 以上が平成31年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策であります。
 本市が、第5次小田原市総合計画「おだわらTRYプラン」策定以来掲げてまいりました「新しい公共をつくる」、「豊かな地域資源を生かしきる」、「未来に向かって持続可能である」という3つの命題は、今日世界的な潮流となりつつある持続可能な開発目標‐SDGs(エスディージーズ)‐と未来のあるべき姿を共にするものであります。「誰一人取り残さない社会」、そして「持続可能な地域社会」に向けて、市民の皆様が踏み出すその一歩を行政が支え、時には苦労や負担も分かち合いながらその歩みを進めることが肝要です。
 例えば、街なかにある店舗を博物館に見立て、地場産業の魅力を発信する取組を20年かけて少しずつ育ててきた老舗の店主たち、自身の課題意識からコミュニティの「ケアする力」を見出し、地域にいる専門職たちと連携して住民の安心な暮らしの実現に取り組む医師、地域から産出される木材を慈しみ、新たな工夫を加えつつ先人たちの思いが詰まった伝統技術を次世代へつないでいくことを使命と自覚する大工の棟梁、障がいがあるなしにかかわらず、全ての人が自分らしく生きる社会を本気で創りたいと始めた活動が輪を広げ共感を呼んでいる実践団体など、小田原では素晴らしい実践をされている皆様が数多く活躍されています。ここでは語り尽くせないそうした地域の実践者たちが担う「新しい公共」を未来に向けた確かなものとすべく、地方政府と呼べる総合力と、一人ひとりへの細かな配慮を併せ持つ行政の役割を、着実に果たしてまいります。
 北条氏が領国経営に使用した虎朱印には、「禄寿応穏(ろくじゅおうおん)」‐財産といのちがまさに穏やかであるように‐との文字が刻まれております。平成最後の年は、北条早雲公没後500年にも当たりますが、領民の安寧を理想とするこの訓(おし)えは、私たちのDNAとなり、市政運営における市民の皆様との協働へと昇華してまいりました。郷土の誇りを受け継ぎ、先人たちの残した豊かな財産を損なうことなく、次世代へ引き継いでいく責務が私たちにはあると考えております。
 森里川海全てを包含する豊かな自然があり、小田原城をはじめとした歴史的文化的な背景を持つ、人にも恵まれた私たちのまち小田原。時には災害などの厳しい一面を見せる自然と対峙するのではなく、共存した暮らしを可能とするこの環境を守り、さらに未来へとつなげることができると確信しております。すなわち、環境・いのち・地域がつながり含み合っている「いのちを守り育てる地域自給圏」を、「歴史の峠」と言われるこの時代の転換点において明確に目指すとともに、具体的な実践のステージへと軸足を移していくということであります。次世代への豊かな自然を継承する森づくり、市立病院の再整備、ケアタウン・地域コミュニティの進化、そして全ての取組の屋台骨を支える人材育成の場である「おだわら市民学校」などは、その象徴的な取組となります。
 市民の皆様の暮らしそのものを持続可能なものとし、それが目に見えて分かる形として市民の皆様が享受できますよう、揺るぎない「市民の力で未来を拓く希望のまち」の実現に向け、引き続き全力を尽くしてまいります。
 以上をもちまして、平成31年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

 平成31年2月19日
                                                             
                                            小田原市長 加 藤 憲 一

最終更新日:2019年02月21日


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