小田原市

所信表明・施政方針

平成22年度 施政方針 (平成22年2月16日)

1 はじめに
  新たな年、2010年が幕を開けました。成熟した新しい世紀として迎えた21世紀も10年という一つの区切りを迎え、本市も市制施行から70年という節目の年となりました。
  私たちが住む小田原は、温暖な気候と豊饒(ほうじょう)な大地、先人たちの比類なき努力という三才の徳によって培われ、長い歴史の中を着実に歩み続けてまいりました。しかし、本市を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、地球環境への危惧など著しく変化をしており、今まさに時代の大きな転換点を迎えております。このような変化に対応しその歩みを止めることなく発展し続けるために、私たちはさらに磐石な地域社会の枠組みを育て、この素晴らしい小田原を次代に引き継ぐ責務があるのです。
  そのためには、小田原の今と未来を担う市民一人ひとりが知恵と力を発揮するとともに、生活の基盤となる地域が絆を深め課題解決の受け皿となる、いわば市民と地域が主体となった「新しい小田原」に向けて歩みを進める必要があると考えています。
  こうした中、私は、これまで、様々な試みで課題解決の手法と協働のあり方の探求を行いながら、「持続可能な市民自治のまち」に向けた土台づくりに取り組んでまいりました。
  その取組において、小田原駅・小田原城周辺まちづくり検討委員会をはじめとする各課題別検討委員会では、公募の市民を交えるなど真剣に議論が交わされました。また、新総合計画策定における新たな市民参画手法の「おだわらTRYフォーラム」では、まちづくりに関心のなかった人たちも参加し討議を行いながら市への提言をまとめてゆきました。
  そして、地域別計画における地域まちづくり検討委員会では、個々に地域活動に取り組むことが多かった各種団体の皆様が自らの住む地域のことについて膝を交えて話し合う中で、手を取り合う必要性を感じ自らの意思で団体間の連携を形づくりはじめております。
  一方、昨年秋に実施した「事業仕分け」では、公開の場において市民や外部の目線で市の仕事を仕分けることにより、限られた資源を将来への投資となる事業に振り分けてゆく先鞭(せんべん)をつけました。
  今後はこうして得た市民の皆様の貴重な声を政策に反映し具現化してゆくことが「新しい小田原」の実現のために辿らねばならない「改革」の道であり、所信表明に係る施策の進捗も含めその舵取りを問われる大切な時期であると考えております。

2 社会経済情勢
  現下の社会経済情勢に目を向けますと、景気の回復傾向は見られるものの、一昨年秋のリーマン・ショック後の金融危機や世界不況による影響が未だ消えておりません。加えて、円高や物価の持続的な下落、雇用環境の悪化などから景気の二番底も懸念されております。
  さらに、新型インフルエンザの世界的流行による生命の安全性への危惧や温暖化による地球規模の環境への影響が心配されるなど、大きな変化や出来事が続いております。
  国においては、昨年秋に民主党による「政権交代」という大きな変化がありました。新たな政権は、「本当の国民主権の実現」と「地域主権の確立」を政策の2つの大きな柱に掲げて新たな国づくりを進めることとしています。
  地域主権では、地域主権戦略会議による議論を通して、義務付け、枠付けの見直しと条例制定権の拡大などを含めた地域主権戦略大綱(仮称)をまとめ上げながら、地方自治法の抜本的な改正をも視野に入れております。
  一方、本市におきましても、市民税だけでなく地価の下落による固定資産税の落ち込みなど、市税収入への影響が避けられない状況が続いております。しかも、歳出面においては少子高齢化の進行に伴う自然増に加え、福祉や医療に係る経費の増加傾向が続くなど、かつてないほどの厳しい財政運営を迫られております。

3 市政運営に当たっての基本方針
  今、私たちは市民一人ひとりが持てる知恵や力を発揮し、お互いが支え合い活かし合う持続可能な地域社会を創り上げるための出発点に立っています。そこで、私は、就任以来掲げてまいりました「いのちを大切にする小田原」「希望と活力あふれる小田原」「市民が主役の小田原」の3つの指針のもとに、その具体化に向けて引き続き市政運営を進めてまいりたいと考えております。
  まず、「いのちを大切にする小田原」をしっかりと築くために、市民生活の安心を支える福祉、医療の分野に手厚く資源を投下して、安心して暮らすことのできる小田原の基盤をつくってまいります。
  また、厳しい時代になるであろう未来を担うことになる人材の育成には、しっかりと資源を配分することが大切であることから、小田原の次代を担う子どもを育むための支援策や教育の充実に取り組んでまいります。
  次に、「希望と活力あふれる小田原」を実現するためには、市民の生きる糧を生み出し、市民の豊かな暮らしを支え、「希望と活力」の源泉となる地域経済活動を振興することが極めて重要な要素であると考えます。小田原の持てる全ての地域資源を十二分に活用し、活力あふれる小田原を取り戻すための取組に力を注いでまいります。
  さらに、「市民が主役の小田原」に向けては、市民に適切な情報提供を行い、市民との協働を進めることによって、「市民力」が最大限に発現される市政運営の仕組みづくりに取り組んでまいります。

4 平成22年度の重点方針
  平成21年度は、前述した3つの指針の具現化に向けて広汎な市民の皆様との検討を重ね、実動への準備に取り組んでまいりました。平成22年度は、いよいよ本格的な始動に先立つ数々の重要な取組を進めてまいります。
  その中でも、平成23年度からスタートする新総合計画は「新しい小田原」の実現に向けた設計図かつ工程表であり、その策定作業は最も重要な取組であります。多くの市民の皆様や職員の知恵と力を合わせて創り上げた素案を議員の皆様にお示しした上で、総合計画審議会の場でご議論いただきながら、より熟度の高いものに仕上げてまいります。
  また、自治基本条例も本市の「自治」の基本的なルールを定める重要な取組であり、真の協働による地域づくりや市政運営を実現するための屋台骨となります。そこで、市民の声をしっかりと反映しながら、新総合計画との同時スタートに向けて内容を固めてまいりたいと考えております。
  そして、今後の市政運営の枠組みとして極めて重要な役割を果たす「地域運営協議会」につきましては、市民の皆様によって新たな地域コミュニティ政策の推進に向けた検討を行っております地域コミュニティ検討委員会から報告書が提出されることとなっております。この内容を踏まえて、市としての方向性を示してまいりたいと考えております。
  また、小田原の地域資源を活かした上で、市民と行政が一体となって地域経済の活性化と市民活力の向上を目指すための取組を本格的に進めてまいります。昨年12月に、団体や企業、市民の皆様が主体となって、食、文学、ものづくり、自然環境、芸術文化、住まい、ウォーキングタウンなどの分野における事業を推進する「無尽蔵プロジェクト」を立ち上げました。今後は、市民の自由な発想による取組と行政の施策との相乗効果によって、恵まれた自然環境、歴史、文化、地場産業、多彩な市民活動など小田原が潜在的に持つ力を最大限に引き出すとともに、これらによってもたらされる質の高い小田原の生活文化について「小田原スタイル」として戦略的に情報発信をしてまいります。平成22年度は、ウォーキングタウン小田原、ものづくり・デザイン・アート、わがまち振興プロジェクト、環境(エコ)シティ、小田原ならではの住まいづくりなど市民の力を引き出すための取組を進め、より広汎な事業への展開を図ってまいります。
  さらに、まちづくりの緊急かつ重要な課題である、新しい市民ホールの建設とお城通り地区の再開発、小田原地下街の再生につきましては、早期実現に向けて着実に取組を進めてまいります。
  平成22年度は、これからの本市の指針となる新総合計画のスタートに向けた橋渡しとなる重要な年度となります。ただ今申し上げました重点方針に軸足をおきながら進めてゆく主要な施策の基本方針につきましては、次の8つの分野に沿ってご説明させていただきます。

5 分野別基本方針
 (1) 市民の力を活かす市政
   「市民の力を活かす市政」につきましては、「新しい小田原」に向けた土台づくりを終え、柱や梁などの骨組みをつくり棟木を上げる作業に移行することになります。これまでに市民の皆様からいただいた貴重なご意見や願いを受け止めて、それらを具体的な形として現す作業に取り組んでまいります。
   まず、平成23年度からスタートする新総合計画の策定作業であります。この計画は、市民と行政とが小田原の将来像を共有し共に手を携えてゆくための指針となるものです。これまでは、おだわらTRYフォーラムや地域別計画といった新たな手法を取り入れながら、全面的な市民参画のもと、策定作業を進めてまいりました。平成22年度は、計画素案を市民や議員の皆様にお示しするとともに、総合計画審議会を設置し大所高所からのご意見を賜りたいと考えております。
   また、自治基本条例につきましても、検討委員会とオープンスクエア(公開検討会)という2つの市民参加により検討を進めてまいりました。いよいよ本格的な条例案の策定作業に取り掛かってまいります。一人でも多くの市民の皆様に主体的に参加をしていただきながら、私たちが目指す小田原の姿や地域づくりを進めるときの市民や議会、行政の役割と責務などの基本的なルールをしっかりと明文化してまいります。
   そして、地域が主体のまちづくりを推進してゆくためには、地域の様々な組織や団体が連携し地域の課題解決に向けた共同作業を行うことが必要であると考えます。平成22年度は、その役割を担う「地域運営協議会」と、その支援を行う「職員の地域担当制」の枠組みを定めるため、地域コミュニティ検討委員会による検討とモデル事業地区における取組を進めてまいります。
さらに、市民一人ひとりが自らの地域に誇りを持ち、まちづくりへの参加意識を醸成するため、地域に貢献している方々を表彰しその活動を広く紹介する、新たな顕彰制度を創設してまいります。

 (2) まちづくり
   「まちづくり」につきましては、懸案事項の小田原駅・小田原城周辺のまちづくりに係る課題の解決に向けた具体的な取組を進めてまいります。
   まず、新しい市民ホールの早期建設に向けて、用地取得を進めるとともに、専門的な見地から検討する「市民ホール建設準備会」が中心となって、「市民ホール基本構想」をまとめてまいります。また、お城通り地区再開発事業は、民間地権者の協力のもと、基本構想をとりまとめ早期事業化を目指してまいります。そして、小田原地下街施設は、耐震診断等調査や中心市街地関連統計調査の結果などを踏まえながら、関係機関との協議を進め、再生に向けて取り組んでまいります。
   さらに、中心市街地の活性化に向け小田原市中心市街地活性化協議会と協力しながら、民間による「まちづくり会社」の立ち上げなどを支援してまいります。また、小田原駅・小田原城周辺のまちづくりに係る主要事業の進捗状況を考慮しながら、中心市街地活性化のための基本的な事項を定める「新中心市街地活性化基本計画」の策定作業を進めてまいります。
   次に、自然、歴史、文化、産業などの様々な分野において地域資源の掘り起こしを進め、それを活用したウォーキングコースの情報を広く発信してまいります。これによって「ウォーキングタウン小田原」としての魅力を引き立たせ、多くの来訪者を迎え入れ交流人口の拡大にもつながるまちづくりを進めてまいります。
   また、本市のまちづくりの基本的な考え方である都市計画マスタープランにつきましては、新たな総合計画に即しつつ市民の皆様の声をお聴きしながら改定作業を進めてまいります。
   そして、本市の貴重な資産である歴史的なたたずまいを維持し向上させ、後世に継承してゆくため、地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律に基づく「歴史的風致維持向上計画」の策定に取り組んでまいります。

 (3) 地域経済
   「地域経済」につきましては、小田原が持つ豊富な地域資源を活かして市内外との交流を図るとともに、付加価値の高い経済構造を育てるため、地域としての「生産力」の強化を進め、さらには小田原ブランドの強化と市民の自由な発想と活力を導入した地域経済の活性化に取り組んでまいります。
   まず、本市の伝統的なものづくりや芸術分野での交流を促し地域の創造的な生産活動を活性化するための「ものづくり・デザイン・アート」に取り組み、展示会などを通じて、こうした活動が多くの人々の目に触れる機会を確保し、交流のためのきっかけづくりを図ってまいります。
   また、「わがまち振興プロジェクト」では、地域の農業などの特徴を活かし、農商工の連携を図りながら、地域における生産物の販売や定期的なマーケットの展開につながる仕掛けづくりを行います。
   さらに、小田原の豊富な資源である「木」を活かし、小田原独自の「住まい」や「住まい様式」を考える「小田原ならではの住まいづくり」に取り組み、小田原の素材や技術を活かす建築スタイルの開発に向けた民間事業者との共同研究に着手してまいります。
   次に、交流人口拡大のため、市内商業団体と連携を密にし、「小田原どん」や「小田原手形」をはじめとした街中回遊を促進するための事業の充実を図ってまいります。また、農商工の連携を推進しながら、「城下町・小田原ブランド推進会議」において優れた小田原物産のブランド化を進めてまいります。
   そして、有機農業の推進につきましては、有機農業の推進に関する法律に沿って、参入希望者への指導及び助言、生産される農産物の流通・販売の促進、消費者に対する普及啓発などを進めてまいります。
   さらに、水産業の振興と水産食文化の更なる観光資源化に向けて、県営小田原漁港整備の促進や交流促進施設の整備に向けた検討を進めるとともに、引き続き「小田原みなとまつり」を開催し、広く市民に水産業を知っていただく機会を提供してまいります。

 (4) 医療と福祉
   「医療と福祉」につきましては、「いのちを大切にする小田原」を築き、市民の皆様の「いのち」を守るための直接的な施策にしっかりと取り組んでまいります。特に、医療の分野では、市民の誰もが症状に応じて適切な医療を受けることができる24時間安心の医療体制を堅持してまいります。
   まず、市立病院につきましては、平成21年4月に救命救急センターを開設し、市民の皆様の「いのち」を守り、安心して生活していただくための基幹病院としての役割を担ってまいりました。引き続き医師や看護師などの医療スタッフの確保を図り、更なる医療体制の充実に努めてまいります。
   また、医療機関相互の連携も重要であることから、平成21年10月に地域医療支援病院の指定を受けたことに伴い、医師会関係者を含む医療・保健分野の代表者からなる「地域連携会議」を開催し、地域の医療機関と機能に応じた役割分担の推進を図ってまいります。
   そして、誰もが適切な応急手当を施すことができる環境を整え、救急隊による救命処置と迅速な搬送をすることができれば、その相乗効果によって救命率の更なる向上につながります。応急手当の普及啓発活動の推進、救急救命士などの研修を行いながら命をつなぐための医療の連携強化に努めてまいります。
   次に、福祉の分野では、ケアタウン構想検討委員会からの提言をもとに、制度的な枠組みを越えて市民、事業者、行政等が一体となり、高齢者、障害者、子育て家庭など支援を要する人たちを支える「ケアタウン」の仕組みづくりに向けた事業を推進してまいります。
   また、高齢者福祉につきましては、「おだわら高齢者福祉介護計画」の基本理念のもと、介護保険事業の適正かつ円滑な運営に努めるほか、高齢者の自立促進、介護予防、生活支援などの施策を総合的に推進するとともに、民間事業者による介護保険施設、地域密着型サービス施設及び特定施設などの整備を促進し福祉や介護基盤の充実を図ってまいります。
   そして、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりを進めるため、平成22年度からスタートする次世代育成支援対策後期行動計画に基づき、子育て支援策を展開してまいります。
   また、生後4箇月までの乳児のいる全家庭を訪問し、相談や子育てに関する情報提供などを行う「こんにちは赤ちゃん事業」を開始するとともに、引き続き多様な保育ニーズに対応し、良好な保育環境を整えるためのきめ細やかな保育サービスの提供や放課後児童クラブの環境の整備充実などに努めてまいります。
   さらに、妊娠中の母体の管理や安全な出産のために必要な妊婦健康診査の公費助成に加え、妊婦歯科健康診査の公費助成を新たに行うなど妊娠中から乳幼児までの一貫した母子保健サービスを行ってまいります。
   次に、障害者福祉の分野では、発達障害児等に対する保育の向上のため、臨床心理士と保健師が公立保育所を訪問し助言を行う早期発達支援モデル事業を開始します。また、国では低所得者層への障害福祉サービス等の利用者負担を無料化します。これに併せ、市が行う地域生活支援事業のうち、訪問入浴サービスなどにつきましても、低所得者層の利用者負担の無料化を図ってまいります。

 (5) 暮らしと防災・防犯
   「暮らしと防災・防犯」につきましては、災害に強い地域コミュニティを育成するため、自主防災組織と共同の総合防災訓練を実施し、各地域での防災訓練実施の支援をするとともに、地域の防災組織の運営・指導役としての防災リーダーを育成するほか、新たに広域避難所などへ携帯型の無線機を配置するなど災害時における地域との情報受伝達の強化を図ってまいります。
   そして、自主防災組織の防災対策用資機材の充実や道路に面した危険な塀をなくしてゆくための支援をするほか、建築物の耐震化を促進するための無料耐震診断事業をはじめとした支援体制を拡充してまいります。また、防災や交通機能を充実し、生活環境の改善を図るため、狭あいな生活道路である市道の交差点改良や歩道の整備を進めてまいります。
   さらに、大規模災害に対応することができる救助工作車や小型動力ポンプ専用積載車などを配備することによって、災害時における機動的な救助活動や消火活動の実現だけでなく、常備消防と消防団が連携した消防力の強化を図ってまいります。
   次に、ライフラインである水道及び下水道施設の機能確保につきましては、計画的な劣化状況の調査や点検を行い、上水道管における軌道横断箇所や基幹管路の漏水、破損事故などの未然防止に努めるとともに、下水道管渠(きょ)における改築・更新を行うなど優先順位をつけた下水道施設の長寿命化対策に取り組んでまいります。
   ごみに関する取組では、家庭から排出される生ごみを堆肥化して地域農業に活用し、収穫された農産物を地域で消費する地域内循環システムの実現に向けて、生ごみ堆肥化検討委員会からの提言を踏まえ家庭と地域の2つの単位での市民参加による生ごみ堆肥化の実証実験を行ってまいります。
   さらに、「効率的で持続可能な循環型社会」の実現に向けたごみ処理の広域化を推進するため、足柄下地区の3町と連携し、住民・事業者の意見を取り入れた「ごみ処理広域化実施計画」の策定を目指してまいります。また、広域斎場の整備につきましても、2市5町との共同により建設の推進を図ってまいります。

 (6) 教育と文化
   「教育と文化」につきましては、教育環境を整えるだけでなく、小田原の次代を担う子どもたちを地域総ぐるみで育てるスクールコミュニティづくりに取り組むとともに、市民主体による生涯学習の推進を図ってまいります。
   まず、生徒数の減少などの理由から、片浦中学校が平成22年3月末をもって閉校いたします。62年間、地域の教育を支え、地域の皆様に愛されてまいりました学校であることにかんがみ、閉校後の施設活用につきましては、地域の人たちと連携しながら小田原独自の学習プログラムづくりも視野に入れて、体験学習など教育・文化活動や片浦地域の活性化につながる場として活用できるよう検討を進めてまいります。
   また、子どもたちの豊かな人間性を育み、生きる力をつけるためには、「食」が重要であると考え、家庭や地域に向けた食育啓発事業へ力を注いでまいります。家庭や地域、農業団体などを巻き込んで、子どもたちに農業体験を通じて食の大切さを伝える教育ファームなどに取り組みます。
   そして、学校給食事業におきましては、学校給食における食育を推進するため、地場産の食材や製品の活用と栄養教諭などによる食に関する指導や授業を展開するほか、親子料理教室や学校給食食育講演会、学校給食展など、教育現場での食育を推進してまいります。
   さらに、子どもたちを地域総ぐるみで見守り育ててゆく「スクールコミュニティ」につきましては、地域の現場にフィールドを移し、地域における子どもの活動情報を共有化し、地域の子どもの見守り拠点づくりを進めるためのモデル事業を実施してまいります。
   次に、文化の分野では、小田原が誇る様々な市民主体の文化・芸術創造活動を支援するとともに、市民と協働で多様化・高度化する生涯学習ニーズに応じた学習機会の提供を図ってまいります。特に、郷土の文化的な地域資源である文学に光を当てるため、新たにおだわら文学再発見事業を展開してまいります。
   そして、少年少女オーシャンクルーズについては平成21年度をもって廃止することにします。しかし、本事業で培われたノウハウやネットワークを活かして、既存の各団体の人材を含めて、青少年の健全育成のために、地域において、担い手となる指導者の発掘と養成を図りながら、新たな体験学習事業の確立に向けて段階的に取り組んでまいります。

 (7) 自然環境
   「自然環境」につきましては、私たちの生存を支える基盤であり、また地域の魅力の源でもある小田原の豊かな自然をしっかりと守り育ててまいります。そして、市民、事業者、行政がそれぞれの得意分野を活かした環境共生への取組である「環境(エコ)シティ」に力を注いでまいります。
   まず、環境行政の基本となる「小田原市環境基本計画」は、平成22年度で計画期間が終了するため、新たな環境課題を踏まえながら平成23年度からスタートする新計画を策定してまいります。
   また、市街地を流れる川やまちなかの緑など、市民生活に身近な自然環境を市民自らの手によって守り育てる仕組みと市民自らの活動を普及するために、環境再生プロジェクト検討委員会の提言を踏まえた事業を行いながら、具体的な支援の枠組みづくりを進めてまいります。
   そして、酒匂川の水質、環境などを保全するため、民間発意で発足した酒匂川水系保全協議会が平成22年度に50年という節目を迎えます。これを機に同協議会との連携を強め酒匂川の豊かな自然環境を次代に引き継ぐための取組の更なる促進を図ってまいります。さらに、自然環境を活かしたクリーンエネルギーへの取組の一環として、市役所本庁舎に太陽光発電システムを設置してまいります。
   次に、「環境(エコ)シティ」の取組では、環境技術の進歩による先進的な取組や廃棄物を堆肥化するなど資源化による地域内循環の仕組みやクリーンエネルギーの取組を紹介し、その普及を促進してまいります。
   市街地の緑がもたらす潤いや安らぎを市民や来訪者が享受するには、街路樹や公園の植栽の適正な管理が必要となります。そこで、市街地の樹木などを適正に維持管理するための計画策定に向けた準備作業を進めてまいります。
   また、「小田原こどもの森公園わんぱくらんど」が本年4月に全面開園し、第61回全国植樹祭2010かながわのサテライト会場としても利用されることから、全国植樹祭の記念植樹を行うほか、花いっぱい運動と併せて行う花と緑と水の環境整備事業などにより市民との協働による市街地の緑化推進のための仕掛けづくりに取り組んでまいります。

 (8) 行財政改革
   「行財政改革」につきましては、事業仕分けを実施し、その結果を踏まえた事業見直し方針を定めました。これは、市に裁量の余地が無い義務的事業や組織運営などに係る基礎的事務事業を除いた全ての事業に対して、この方針を当てはめて見直しを進めるものであります。そこで、平成22年度は、従来の行政改革大綱「おだわら改革宣言2002」の取組を継続しながら、この事業見直し方針の実施に努めてまいります。
   そして、納税者としての立場から、市民が事業の検討や財政状況などをモニタリングすることで市政への参画を図る、市民によるモニタリング制度などを検討してまいります。
   また、市の公共施設は、これまでの市民の税金により形成された「市民財産」であることから、公共の担い手の多様化や厳しい財政状況を踏まえ、統廃合や管理運営の見直しを図るための基礎的資料となる「施設白書」の作成を進めております。平成22年度は、この白書の分析結果を検証するとともに、施設の管理運営の一元化に向けた検討を進めてまいります。
   広域行政の取組につきましては、県西地域における合併の方向性等も踏まえつつ、消防の広域化など、より具体な広域課題への対応を図るべく、2市8町による新たな広域行政組織を設立し、将来的な地域の一体化に向けて次のステージへと移行してまいります。

6 むすび
  平成22年度の市政運営方針及び重点的に取り組む施策の一端を申し述べさせていただきました。新年度は、これまでの地道な努力の積み重ねが具現化してまいります。しかし、未曾有とも言うべき極めて厳しい財政状況に直面している年であるということも覚悟をする必要があります。
  尊徳翁が荒廃した農村を建て直す「仕法」実施の前提条件としましたのは、「分度を立てる」ということでした。まずは、国に先立って実施した事業仕分けの成果をもとに、未来への投資に向けた歳出構造の抜本的な改善と歳入の確保に取り組んでまいります。そのためには、税の負担の公平性についての理解を求めながら公正かつ確実な徴収を図り、「入るを量りて出ずるを制す」予算編成を行い、小田原市としてのふさわしい分度を定めなければなりません。
  そこで、本市の今後の財政状況の見通しを踏まえ、財政運営に係る基本方針を示しました。この方針は新総合計画の実施計画期間である平成23年度から平成25年度までを見据え、これにより健全な財政運営を確保し、市民生活の基盤に係る必要なサービスを維持するとともに、重点的に取り組むべき事業の推進を図ってゆくものであります。すぐにでも実行可能な事業につきましては、平成22年度から前倒しをして取り組んでまいります。
  一方、こうした財政状況下だからこそ、予算の有無に関わらず小田原に関係するあらゆる「人の徳」を掘り起こしてゆくことで、様々な取組を無尽蔵に生み出すことができるはずであります。まさに今、私たち一人ひとりが、そして地域社会が都市としての力をつけ「新しい小田原」を築き上げるために進化を遂げるべき時代を迎えているのです。
  そのためには、市民の考え方や願い、希望がしっかりと反映され、市民の持てる能力が十分に発揮される地域運営の仕組みを作り上げる必要があり、これまで行ってまいりました新たな市民参画によって市民の皆様の心に灯された「自治」の火をさらに大きく育ててゆくことが大切であります。
  私も現場を基本とし、市民の皆様と共に考え、共に汗をかきながら、引き続き、「持続可能な市民自治のまち」に向けた市政運営に全身全霊を尽くして取り組んでまいる所存です。

  以上をもちまして、平成22年度の施政方針とさせていただきます。議員各位をはじめ、市民の皆様のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。

  平成22年 2 月16日

小田原市長 加藤憲一 

最終更新日:2012年02月16日

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