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広報小田原 1070号

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広報小田原 1070号

平成24年11月1日 発行

#01 特集 小田原の食の恵み
#02 市民活動に参加しよう
#03 平成23年度決算に基づく 財政の健全性は、「健全段階」
#04 守り伝えよう郷土の心
#05 夢見遊山いたばし見聞楽
#06 おだわら情報
#07 〈連載〉市民力 〈連載〉今月の笑顔
#08 〈連載〉駅のある風景


PDF版

テキスト版

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#01 特集 小田原の食の恵み
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「いただきます」「ごちそうさま」
毎日の食事、小田原の食の恵みについて考えたことがありますか
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『食道楽』
 1903(明治36)年、小田原で生まれた新聞小説『食道楽』が熱狂的な人気を博しました。
 作者の村井弦斎は、この前年から現在の南町に居を構えました。
 小説には、食材の調理方法、見分け方、保存方法など、情報が豊富に盛り込まれています。
 「鮎の味」、「鮎の料理」の章に、「相模川の鮎よりは、酒匂川の鮎が一層勝っています」「酒匂川筋の山北停車場や、吉田島や国府津停車場で売っている鮎の鮓が評判」などとあり、当時の小田原のようす、食事情を垣間見ることができます。
 また、今日よく耳にする「食育」につながる内容が、随所にちりばめられ、「食育論」の章には、当時、教育の基本とされた「知育・徳育・体育」よりも「食育」が大事とあります。
 『食道楽』は、連載中から順次刊行された単行本も、瞬く間に売れたといいます。
 今から100年以上も前に、食の大切さを説き、広めようとした作家。彼が書く小説を楽しみにしていた人々。食の恵みを大切にする思いや、食に対する関心の高さが分かります。
 当時と今日では、食をめぐる環境は大きく変わりました。食に関する情報が絶えず飛び交い、食品があふれ、私たちは、いつでも好きなものを買うことができるようになりました。恵まれた食環境の中で、食への関心をより高める人がいる反面、便利さゆえに、食へのありがたみを忘れてしまう人も少なくありません。

 今回は、小田原の食に関わる人たちを特集します。
 食の恵み、食の魅力に真摯に向き合う姿があります。

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畑から食卓へ トマトを育てる
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トマト嫌いからの挑戦
下曽我で農業を営む 神保俊男さん
小田原の温暖な気候、豊富な水に恵まれて育つ農産物。
みかんや梅、たまねぎなどは、市内外で特産品として知られています。
「有名なみかんやたまねぎの他にも、小田原でこんなにおいしいものが作れることを知ってほしい」。トマト作りに励む若者がいます。

農業に目覚め学んで実践
 「いずれ農業を継ぐのかなぁ」。ただ、漠然と思っていました。
 大学時代のアルバイトで、農業の高い科学技術、最新の栽培設備に触れ、「やってもいいかな」と感じたことが、農業について真剣に考えるきっかけとなりました。
 大学卒業後は、農業技術センターかながわ農業アカデミーの研究科に通学。「大学の4年間よりも中身が濃い1年間」で農業の基礎とトマト作りを学びました。
 神保さんは現在も、メーカーの展示会や技術者、仲間のトマト農家のかたなどから積極的に情報を得て、実践しています。

トマト嫌いがおいしいトマトを
 実は、トマト嫌いだった神保さん。13~14年前に中玉トマトが登場し、「食べてみたらおいしくて、栽培することにしました」。トマト嫌いだったからこそ、多くのかたに好まれる味を見極めることができました。
 ビニールハウスで、光・温度・湿度・二酸化炭素の環境を整え、水や栄養を与える「養液栽培」。トマト栽培では市内で神保さんだけが、取り入れている栽培方法です。
 9月に苗を植え、11月から約8か月間収穫します。「じっくり色づいたトマトがおいしい」。長期間、新鮮なトマトを食卓に届けることができます。「トマトの疲れや病気、天候で成長が左右されるので神経を使う」。健やかに育つよう、トマトと向き合っています。

小田原の野菜をもっと広めたい
 神保さんは、市場、直売所「朝ドレファ~ミ」、市内の飲食店などに出荷しています。直売所では、「鮮度がよくておいしかった」、「すぐ売り切れてしまって残念」などと、小田原の野菜への期待を、聞くことができます。
 「今後さらに設備が整い、収穫量が増えれば、鮮度のよいトマトをもっと届けられる。多くの人に好まれるトマトを作りながら、珍しい品種や究極のトマト作りにも挑戦したい」。地域に新鮮なトマトを届けたいという強い思いがあります。
 「箱根の旅館やホテルなどでは、小田原の野菜があまり使われていない」と神保さんは言います。「市外のお客さんにも、もっと小田原の野菜のよさを知ってほしい。多くのかたにリピーターになってもらい、需要が増えれば地域の活性化にもつながる」。土地の強みを生かした、小田原の野菜のこれからを思い描いています。

おいしさを広げます ~農産物の加工に期待~
今、農業の現場では、おいしい野菜を生産するだけでなく、多くの人に手にしてもらうための販売方法の工夫が求められています。そして、農産物の加工もまた、注目されています。

おいしさを余すことなく
 神保さんは、トマトをできるだけ完熟の状態で収穫するため、割れてしまうトマトもあります。それらは、ドライトマトやケチャップ、ジャムなどに加工し、直売所などで販売。トマトのおいしさの幅を広げています。
 野菜や果物の生産、販売だけでなく、第二次、第三次産業と連携し、加工・調理を施す商品化。新たな商品となることで食資源の豊かな可能性を再認識できます。食資源の新たな魅力が多くの人に伝わることで、消費が拡大し、売り上げの向上につながります。

うまいものづくり学校
 7月に行われた「小田原うまいものづくり学校」では、梅、たまねぎ、柑橘類を使い、さまざまな料理に挑戦しました。
 今後、農産物の生産から加工・販売へとつなげ、新たな特産品を生み出すことなどを目指しています。
 参加した神保さんのお母様は、「いつか、地場の野菜料理のレストランに発展し、お客さんが同じ料理を作ろうと、野菜を買ってくれるようになるといいですね」と期待を寄せます。

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海から食卓へ 魚を届ける・かつお節を守る
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相模湾に抱かれた小田原。
ぶりやあじを中心に、古くから多様な漁業が行われ、蒲鉾や干物といった水産加工品も、小田原の名物となっています。
新鮮な魚、歴史ある加工品。
海の恵みのおいしさを、伝える人がいます。

売り手と買い手、一対一で…
「軽トラ魚屋行商」 岩堀吉久さん
市内で鮮魚店を営み、軽トラックで行商をしている岩堀さん。
行く先々で、慣れ親しんだお客さんに、新鮮な魚と、「おいしいよ!」の声を届けています。

行商が育むつながり
 出向くからこそ、売り手と買い手が一対一で向き合えるのが、行商のいいところ。
 「先週はあじを買ってもらったから、今日はさんまかな」。お客さん一人一人に合わせて、その時に一番食べてほしいものを薦め、質問にも丁寧に答えます。「この間のおさしみ、とてもおいしかった」、「今日の、さしみの盛り合わせもお得だよ」と自然に会話が弾みます。
 「お客さんと、魚の話から始まって、食事や健康のことや、家族のことにまで関わっていく。若い人にいろいろ話しかけたら、うっとうしく思われてしまうかなぁ」。魚のおいしさを伝えたいから、お客さんとの関わり方、つながり方を大切に考えています。
 「食欲がない」というおばあさんと話して、家に食べられるものがあると分かれば、「食欲が戻るまでは、ある物をゆっくり食べればいい。元気になったら、また買ってね」。そう声をかけることがあるほど、お客さんとつながっています。

おいしく食べてほしいから
 「魚は骨が多くて食べにくい」、「おいしいけれど、調理が面倒」。魚を買いに来るお客さんからでさえ、一日に何度も、そういった声を聞きます。
 ほとんどのお客さんは、「できるだけ、さばいた状態で魚を買いたい」と言います。それでも、「さんまは、はらわたを取らずに焼いたほうがおいしい。食べるのが嫌でも、焼くときは一緒に焼いたほうがいい」。新鮮だからこそ味わえる魚本来のおいしさを知ってもらうための、お節介なアドバイスです。
 「核家族化の影響かなぁ。魚をあまり食べなくなった。核家族じゃなくても、おしゅうとめさんが遠慮して、料理に限らずいろいろ言わなくなったから、昔のいいものがあまり引き継がれなくなった。このままじゃ、食生活で大事なものが引き継がれなくなってしまう」。小田原の食卓に、おいしい魚があり続けてほしいからこそ、時にはそんな思いも、伝えています。
 魚市場が休みの日は定休日。「お客さんにおいしい魚を食べてほしい」。新鮮な魚を提供するのが岩堀さんの信条です。

丁寧に、伝え続けて…
かつお節製造販売 石黒淑枝さん
市内でかつお節製造販売を営む石黒さん。
時間は流れ、世間が変わっても、毎日、淡々と続けてきたからこそ、引き継がれているものがあります。

時代は変わっても
 木枠のガラス戸、天井近くまで続く木製の戸棚。歴史が感じられる店内は、いぶした魚の香りに包まれています。空気がこもらないように、網の蓋をして、削りたての削り節が、並んでいます。
 「こんにちは。200グラムください」
 昔と変わらない紙袋に入れ、お客さんへ。「削りたてが一番だから」一度に多くは、売りません。本当のおいしさを伝えたい石黒さんのこだわりがあります。
 89歳の今なお、店頭で販売する石黒さんの充実感は「一度来たお客さんが、また買いに来てくれること」。お客さんに、かつお節本来の味と香りを知ってもらえたことを実感します。
 今では、削り節にする前のかつお節をほとんど見なくなりました。かつては、各家庭で削ったかつお節。かつお節削り器が家庭から姿を消し、販売するほとんどが削り節になりました。
 それでも、「かつお節は、腹側を女節、背側を男節」、「2本で対になるから、結納でかつお節を使うのですよ」などと、かつお節にまつわる話をお客さんに伝え続けています。

引き継がれる本物の味
 「かつおは、適度に脂が乗ったものがいい。脂次第で、煮る時間といぶす時間を加減します。かび付けの工程で、かつおの表面にかびが均等に出るかどうかで、仕事のよしあしが分かります。箱根の旅館や料亭のお得意先も多く、味に厳しい板前さんに鍛えられました」
 お客さんと話すときの優しい表情とは違う鋭いまなざしで、素材と加工の技を見極めます。素材のよさ、しっかりとしたかび付け。決して妥協せず、上質なかつお節の伝統を守ります。
 最近は、健康のためや本物志向から、「デパートなどでもなかなか売っていなくて…」と遠方から買いにくる若い主婦もいます。
 「おばあちゃん、久しぶり。かつお節ください」
 かつお節と使い手を思う石黒さんの心が伝わって、本物のかつお節に引き込まれたお客さんの声が響きます。

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小田原で育まれて
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小田原出身のイタリア料理店オーナーシェフ 本多哲也さん
東京・北青山のレストラン「リストランテ ホンダ」。
『ミシュランガイド東京』で星を獲得し続けるこの店のオーナーシェフ・本多哲也さんは、小田原で生まれ、高校卒業までを小田原で過ごしました。
本多さんの味の原点となった、小田原での食体験を振り返り、ふるさとや食への思いを伺いました。

味覚の下地
 父の実家がみかん農家でしたので、食卓には、よくみかんがありました。
 小田原にいた頃は、近くにありすぎて分かりませんでしたが、食の道に進んで、小田原の食の豊かさに気づきました。私の味覚は、新鮮なものに恵まれた小田原の環境に育てられ、下地が作られたと感じています。
 山もあり、海もあり、そして川もある。豊かな食材が年間を通じて手に入り、どれも新鮮だから本当においしい。実家に帰って何気なく飲む水道水も、本当においしいです。
 子どもたちには、自然に恵まれた食環境の中にいるんだということを、感じてほしい。「このおいしい水があるのは、どうしてだろう」などと、生きていくうえで欠かすことのできない食について、しっかり考え、大切さを知ってほしいと思います。

小田原の食材で
 小さい頃、祖母の梅干し、梅酒作りを当たり前の光景として眺めていました。店を始めてから、実家に帰り、祖母が漬けた梅酒を飲んだとき、「これはすごい」と思いました。改めて貴重な味だと実感し、店でも小田原の梅で梅酒を作り、食前酒として提供するようになりました。
 実家や親戚から送ってもらう柑橘類を使うこともあります。小田原のみかんでも、荻窪と根府川のみかんとでは味が違います。同じ地域でも、風や土によって、味が違うのが分かります。
 柑橘類を使った、イタリアの果実酒「チエロ」を、はっさくや夏みかんで作ります。祖母がいた家に実る柑橘類は、無農薬で、形はゴツゴツしていますが、香りもいいし、とてもおいしいです。
 自分が育った庭、隣のおばちゃんの家にある果物が、すごくおいしい酒になる。イタリアやフランスに行き、今の仕事をしなければ、分かりませんでした。

食の楽しみ方を
 祖母の時代は、今より恵まれていなかったから、身近なものを「いかにおいしく食べるか」、身近なもので「いかにおいしいものを作るか」ということに、熱心に向き合っていたと思います。今は、何でも手に入り、旬を楽しむことも少なくなってきています。
 私たちが子どもの頃は、生きる知恵のようなことを、たくさん教えてもらった気がします。夏に取れたてのトマトをかじったり、冬にみかん狩りに行ったとき、鳥がつつくみかんほどおいしいと教わったり、釣りにもよく行きました。
 おいしいものを食べると皆、笑顔になります。食を通じて楽しむということが大切です。食は、その時間、空間を楽しむ一つの方法です。小田原には、豊富な食材が身近にあるわけですから、小田原の食を通じ、子どもたちに食の楽しみ方をきちんと伝えて、教えていかなければなりません。

夏みかんとオレンジのジュレ、サフラン風味
はっさくや夏みかんなど小田原の旬の柑橘類に、サフランの香りが絶妙な大人のデザート。

シャラン産鴨むね肉のロースト、梅のモスタルダ添え
フランスから取り寄せた最高級の鴨肉とフォアグラのローストに、小田原で取れた梅をマスタードでマリネした「モスタルダ」が濃厚な味わいを奏でる。

レモンのチエロ
無農薬のレモンを蒸留酒のスピリタスで漬け込む甘いお酒。女性に大人気。

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伝統の食を次代へ 梅を引き継ぐ「出会い・ふれあい・下曽我っ子」
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北条氏の時代から梅の木が多く植えられていた小田原。
中でも曽我梅林は、約3万5千本の梅の木を有し、全国的に有名です。
梅林に囲まれた下曽我小学校では、地域の特産物である梅について学んでいます。

楽しく学ぶ下曽我っ子
 下曽我小学校の敷地内には、16本の梅の木が植えられています。
 毎年6月になると、3年生がこの梅を収穫し、梅シロップを作ります。
 作り方は、グループごとでさまざま。砂糖にこだわったり、蜂蜜を使ったり。炊飯器で作ったグループもあります。「どうしたら、おいしい梅シロップができるか」。梅に詳しい人に聞きながら、調べ、考えました。
 梅シロップの次は、梅干し作り。
 梅干し作りの梅は、子どもたちが、家や近所のかたとのつながりで探した木から収穫します。
 30キロ程度収穫したら、梅干し作りが始まります。

「未来につながる学校づくり推進事業」
 市立幼稚園・小中学校では、「子どもの学びと育ちを地域ぐるみで支えていく園・学校づくり」を目指し、園・学校ごとに特色ある取り組みを行っています。
 下曽我小学校では「出会い・ふれあい・下曽我っ子」と題して、梅の写生会、梅干し作り、下曽我の歴史・産業調べ、梅料理体験など、全学年の児童が梅をテーマに学んでいます。

下曽我に生まれたのだから…
 長年、給食のパートをしていた縁があり、ゲストティーチャーを引き受けました。
 下曽我でも、梅干しを作る家庭が減りつつあり、若い人の中には梅干し作りの経験がないかたもいるのではないでしょうか。作っている家でも、手伝ったことはない子どもが多いようです。梅を洗うのも、塩を入れるのも、「僕がやる!」と目を輝かせています。
 「梅を漬けるたるにさらしを敷いていたから、うちでもさらしを使ったらどうかな」と話した子どもがいたと聞いたときは、うれしかったですね。学習してくれているんだと実感しました。
 せっかく下曽我に生まれたのだから、一緒に楽しく梅干しを作って、下曽我の梅の素晴らしさを知ってほしいですね。

梅の恵みに気づいて
 「酸っぱいと思っていたけど、甘くておいしい」
 子どもたちは、達成感とともに、自分で作ったものを食べる喜び、感動を知ります。梅干しがまろやかになる3年後、卒業記念に皆で食べます。学校生活の思い出が詰まった味は、また格別です。自分で作り、味わうことで、梅干しが忘れられない味として根づきます。
 2月の梅まつりでは、梅干し作りの体験を模造紙にまとめ、お客さんに発表しました。発表のために学習し、理解が深まります。聞いてくれたお客さんに梅干しをプレゼント。人に伝えることで、梅が地域の特産品であることの理解を、また深めました。
 「出会い・ふれあい・下曽我っ子」を通じて、梅という地域の食の恵みに気づいた子どもたち。地域の人の力によって、伝統の梅が守られていることを肌で感じます。
 その中で子どもたちに芽生える、下曽我という地域、ふるさとへの愛着が、下曽我の梅を引き継ぐ力につながります。
 「おじいちゃん、僕が梅農家を継ぐよ」
 頼もしい一言もありました。

真剣な大人の姿を間近に学ぶ
「出会い・ふれあい・下曽我っ子」には、梅研究会・県農業技術センターも関わり、地域の産業を守る姿を伝えています。

小田原市梅研究会
会長 穂坂成雄さん
 「子どもからの質問は、私にとっても勉強になります。『花が咲いた!』、『葉の元気がない…』などと、身近な梅の変化に気づける『梅調査隊』になってほしいですね」
 校内の梅の木の世話や「ジョイント栽培」を指導。ゲストティーチャーとして、梅についての授業も担当しています。
 梅研究会は、1957(昭和32)年に結成され、現在会員は170人ほど。蜂を使った受粉や剪定の勉強会、視察など、梅の品質向上に取り組んでいます。

「ジョイント栽培」とは?
神奈川県農業技術センター 池田豊さん
 「子どもにも、新しい栽培技術を伝えることが大事。梅に触れ、これから少しでも梅に関わるきっかけとなればいいですね」
 ジョイント栽培(樹木の樹体ジョイント仕立て法)は、神奈川県農業技術センターが平成9年に考案し、今年1月には、特許も取得。
 植えてから1年程度の木と木を横に接ぎ木して、直線状の集合樹とする方法です。育成期間が短く、収穫量も増える可能性があります。平成21年から、下曽我の梅栽培にも取り入れています。
 生産者の高齢化が進む中、木の高さを低くすることで、剪定や収穫の負担が減り、梅栽培の継続につながることが期待されます。

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小田原の食を次代へ 笑顔で学ぶ
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学校や地域の催しの中で子どもたちは、小田原の恵まれた食に触れ、作り、食べることの楽しさを学んでいます。
笑顔で学ぶ子どもたちが、魅力ある食を引き継いでいきます。

水稲栽培体験
 報徳小学校では、桜井稲作組合の指導のもと、二宮尊徳翁の捨苗栽培地跡で、田植え、稲刈りの体験学習を行っています。「手作業で刈るのは大変だけど楽しい」、「協力したら早く終わった」と、有意義な収穫体験をした子どもたち。もち米は、1月頃に行う「もちつき感謝の会」で皆でいただきます。
 学校園では、たまねぎ、さつまいも、じゃがいもなどを栽培。さつまいもをふかしたり、じゃがいもを給食のシチューに使うなど、作って食べ、食について学習しています。

あじハンバーグ給食
 市では、地元で取れた農作物や魚、その加工品を給食に使用しています。
 9月、大窪小学校の給食のおかずが、「あじハンバーグ」の日。児童は、「あじは小田原でたくさん取れる魚」と解説する校内放送を聞きながら、大好きなハンバーグになったあじを、勢いよく食べました。
 骨の多い魚を嫌がる児童も、給食を通じて小田原を代表する魚を味わいます。
 校内の、給食の「産地表示」コーナーでは、使われている小田原産の食材を知ることができます。

そば栽培とそば打ち
 早川小学校では、4年生が、6月末にそばの種をまき、9月に収穫。
 児童は、「収穫が待ち遠しかった」、「この実を、おそばにするの」、「そばを食べるのが楽しみ」と心を込めて収穫します。
 収穫後は、地域のかたと石うすでひき、そば打ちを体験。「みんなに食べてもらいたい」と、下級生や先生と一緒にいただきます。

親子料理教室
 学校給食センターでは、毎年夏休みに、地域で取れた食材を使った親子料理教室を開いています。親子の触れ合いを通じ、食習慣や地産地消について学びます。
 今年は、あじ、かぼちゃ、にんじん、蒲鉾を使い、「あじの南蛮漬け」、「かぼちゃのソテー」、「煮びたし」を作りました。
 「給食の献立を作れて楽しかった」、「一番大変だったのは、あじをさばいたこと」。自分で料理した達成感が生き生きとした表情に表れています。

小田原みなとまつり
 干物づくり教室、魚釣り・つかみ取り、タッチングプール…。魚のおろし方、釣り方を、真剣に教える大人。
 魚に触れるのさえ怖がっていた子どもたちも、次第に、初めての体験に目を輝かせました。

農業まつり
 いつも飲んでいる牛乳がどのように搾られるのか…。
 子牛との触れ合いや乳牛の展示、バター作り、もちつき体験、ポンマメ実演無料配布、農産物競り市、農林畜産物の即売など。
 手で触れ、味わい、楽しみながら、地域の酪農や農業について、理解を深めていきます。

平成24年 農業まつり
【問】農政課  電話0465-33-1494
日時:11月17日土曜日、11月18日日曜日 午前9時30分~午後4時
場所:小田原城址公園 二の丸広場

小田原の「食の恵み」の実感を子どもたちにこそ
小田原市長 加藤憲一
 重い病を授かった娘のいのちの力を、健やかに取り戻したい。それが、自給自足の暮らしを私が目指した最大の動機でした。その歩みの柱は、いのちあふれる食を手に入れること。
 まず、農の世界へ。親戚の農家に頼んで田んぼや畑を借り、農薬や化学肥料を使わずに米や野菜を作りました。30代前半で体力もあったのですが、最盛期には田1町2反、畑5反(※)もの耕作に明け暮れました。農作業はもちろん苦労を伴いましたが、四季折々の田畑の風景や、種をまけば芽を出し育ちゆく稲や野菜のけなげな姿に、日々励まされます。中でも稔りの歓びは、何ものにも代えがたい。そして、そのように育ってくれたお米や野菜から、私も含め家族はいのちを養ってもらったとの実感があります。
 農作業をしない明け方の時間も活かそうと、親しい魚屋さんにお願いし、魚市場の河岸で朝のアルバイトをしていたのですが、それが高じて、江之浦の定置網漁業のお手伝いをすることに。朝暗いうちから沖に出て、その日の潮流を確かめながら、漁師のご夫妻と手伝い2人の4人で網を締めます。水中に鱗が舞い、銀や青の背中が見えたかと思うと、魚たちの姿が一気に浮上。季節にもよりますが、あじ、かます、いわし、そうだがつお、いさき、ひらまさ等々、水揚げした直後の、魚たちの美しいこと!毎朝、バケツ一杯の魚のおすそ分けを頂きましたが、田畑へ仕事に出る前に自分でさばき、朝からさしみで魚のいのちを頂くぜいたくさも、日々味わいました。
 市長を務めている今も、当時の暮らしの中、体で実感した、小田原の食の豊かさ、それを生み出す大地や海の恵みへの感謝を忘れたことはありません。小田原に育つ子どもたちには、小田原だからこそ体験し味わうことのできる「食の恵み」を、ぜひさまざまに実感し、感謝の心を育ててほしい、そして健やかないのちを養ってほしいと願っています。
※ 1町は約99.17アール。1反は1町の10分の1

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よみがえる食の味 料理を楽しむ「鮎料理を楽しむ会」
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小田原で『食道楽』を執筆した村井弦斎は、その後平塚に移り、晩年を過ごします。
弦斎が小田原から離れた2年後、貴族院副議長を30年間務めた黒田長成侯爵が、小田原に別邸・清閑亭を構えます。
『食道楽』で、酒匂川の鮎に触れている弦斎と、鮎釣りが趣味であった長成をしのび、鮎料理を現代によみがえらせる催しが、7月、清閑亭で行われました。

 NPO法人小田原まちづくり応援団が主催の「村井弦斎好みの鮎料理を楽しむ会」。『食道楽』に掲載されている「鮎ずし」、「鮎フェタス」、「鮎フライ」などの鮎料理が再現されました。
 料理を担当したのは、箱根にある懐石旅館でかつて料理長として働き、現在は、市内で小料理屋を営む小西正一さん。
 「小田原には、こんなにも食にこだわりを持ち、食の大切さを説いた人がいたことを、もっと小田原の人に知ってもらい、誇りを持ってほしい。料理人である自分が勉強し、現在の食材との違いを研究することで、おいしい料理を再現していきたい。小田原の食文化のレベルを高めたいです」と挑戦を続けています。
 鮎料理を楽しむ会の参加者は皆、「趣のある清閑亭で、おいしい料理をいただき、至福の時間だった」、「季節感があり、一つ一つの料理に日本料理の極みを感じた」と満足のようす。料理を作った小西さんの、弦斎や調理法についての話を聞きながらいただいたからこそ、料理の味わいが深まりました。
 偉人に目を向け、当時の料理を再現。いろいろな人が関わることで、再び光が当たり、おいしさが広がっていきます。

「小田原ゆかりの著名人を掘り起こし、地元のお店に光を当てていきたい」
 小田原まちづくり応援団は、清閑亭を管理しながら、さまざまなイベントや、まち歩きツアーなどを企画しています。
 「鮎料理を楽しむ会」の他にも、日本陸軍の基礎を築き、かつて板橋に住んだ山縣有朋の好物を用いた「筍づくしの料理を味わう会」などを開いています。また、足柄茶のティーサロンや、小田原で作られている和菓子のビュッフェなども行っています。小田原の食を題材にしたまちおこしに、これからも力を入れていきます。
【問】清閑亭(小田原まちづくり応援団) 電話0465-22-2834

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丁寧に味わうということ
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あなたは今朝、何を食べましたか?

私たちがいただく食の恵みは
多くの人たちの手で支えられています

地元に新鮮な野菜を届けたい
おいしい魚を味わってほしい
かつお節本来の風味を知ってほしい
伝統の梅を守りたい

食に込められた多くの思いを知ったとき
おいしさはより深く、広がっていきます

かみしめる味の奥にある
人の思い
つながれた伝統
織り成された文化により
大切なおいしさに
改めて気づくことができます

小田原の恵まれた環境の中で
私たちは
小田原の食の恵みを
丁寧に味わうことを
忘れてはなりません

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#02 市民活動に参加しよう
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市民活動とは、「地域や社会のために、自分にできることをやってみよう」という気持ちを原動力に、皆さんが行う活動のことです。
「自分のため」ではなく「誰かのため」に行うことは、市民活動です。
興味のある分野で、できる範囲で、市民活動の第一歩を踏み出してみませんか。
【問】地域政策課 電話0465-33-1458

おだわら市民活動サポートセンター  電話・FAX0465-22-8001
▼気軽にご利用ください
 おだわら市民活動サポートセンターでは、市民活動入門講座や夏休みボランティア体験学習、サポセン祭りを開いています。ミーティングルームやワーキングコーナー、印刷機などの提供、市民活動についての相談、団体やイベントの紹介を行い、市民活動をサポートしています。

▼市民活動サポートセンター
場所:市民会館4階
開所時間:午前9時~午後9時30分
休館日:月曜日(月曜日が祝日の場合はその翌日)・年末年始

▼ホームページをリニューアルしました
 市民活動サポートセンターのホームページでは、市民活動団体の紹介、ボランティア募集、イベント情報などをお知らせしています。

トップページ上のバー「暮らしの情報」をクリック→「市民活動・地域運営」→「市民活動」→「おだわら市民活動サポートセンター」

「プチボラから始めましょ!」
市民活動入門講座
 講演やワークショップなどを織り交ぜた、4回連続講座です。無理せずできる『プチボランティア』について一緒に考えてみましょう。
日時・内容:
▼11月17日土曜日 午後2時~4時
 講演「ボランティアで楽しく笑って健康に」
▼11月23日祝日 午後2時~4時
 ワークショップ「プチボラで自分発見」
▼12月1日土曜日 午後2時~4時
 団体との交流「プチボラというライフスタイル」
▼12月8日土曜日 午後2時~4時
 講演「ボランティア活動で生きがいを持って楽しく過ごすには」
場所:マロニエ
定員:25人(申し込み先着順)
申し込みは、市民活動サポートセンターまで電話、ファクス、または同ホームページで。

サポセン祭り「は・に・わ」
はなやかに にぎやかに わいわいと
 市民活動サポートセンターを利用している団体が、飲食の販売や楽器の演奏、エコバッグの作り方やよさこい踊りの実演などを披露するお祭りです。楽しみながら、各団体の活動内容を知ることができます。
日時:11月11日日曜日 午前10時~午後3時
場所:マロニエ

市民活動紹介パネル展
 サポセン祭りでは団体の活動をパネルで紹介します。そのパネルを使った「市民活動紹介パネル展」を次のとおり行います。
日時・場所:
▼11月16日金曜日~18日日曜日
 市民会館1階フロア・2階展示室
▼11月28日水曜日~30日金曜日
 市役所2階市民ロビー
午前9時~午後5時(初日は午前11時から、最終日は午後3時まで)

市民活動を応援します  地域政策課  電話0465-33-1458

▼市民活動応援補助金
 市民活動を応援するため、補助金を交付する制度です。スタートアップコースとステップアップコース(プランA・B)があり、書類審査・公開プレゼンテーションにより交付事業を決定します。
 今年度は計19件の応募があり、「市民活動推進委員会」が審査を行い、13団体の事業に補助金を交付しました。補助金を活用し進められているそれぞれの事業は、地域社会が抱える課題の解決に大きく貢献しています。
 平成25年度分の応募受け付けは11月15日木曜日から平成25年1月15日火曜日まで地域政策課で行います。詳しくは市内公共施設にある「応募の手引き」をご覧ください。

補助金の交付を受けた団体の活動を紹介します。

『「巨大地震から子どもを守る防災セミナー」開催とネットワークづくり』
おだわら子ども防災
▼平成24年度 スタートアップコース
 おだわら子ども防災は、母親目線で防災を考え、活動しています。
 市民活動応援補助金を利用して、子どもを守るための防災の知恵や、災害時に役立つさらしを使ったおんぶ・抱っこの方法などを学ぶセミナーを開催しました。その後、セミナー参加者の交流会も行っています。
 家族で災害に備えることにより、子どもたちも防災を「特別」なことではなく「当たり前」ととらえるようになります。
 活動できる時間と資金は限られていますが、子育て世代に限らずあらゆる世代のかたが、防災への「関心」を「行動」に移せるよう、今後も取り組んでいきます。

『田島史跡の保存と文化継承』
田島歴史同志会
▼平成23年度 スタートアップコース
▼平成24年度 ステップアップコース
 田島歴史同志会は地域の伝統文化を守り、地域の歴史を次世代へ伝承しています。
 市民活動応援補助金を利用し、史跡の環境整備の他、子ども会や公民館と連携し、歴史散策会なども行っています。郷土愛を育むには、文字や写真だけで説明するよりも、実際に史跡を見ることが重要です。次世代にしっかりと伝えられるよう、会員は勉強を続けています。
 今後は女性や若い世代の会員を募るとともに、これまでの成果や資料のまとめにも取り組んでいきます。

▼プロジェクター、スクリーンを貸し出します
 市民活動団体や自治会などの地域活動団体が、会議やイベントなどを行うときに利用できます。事前の申し込みが必要です。

▼まごころカード(ボランティア感謝カード)
 周りの皆さんからの「ありがとう」は活動への励みになります。そんな市民活動をたたえあう社会を目指し、市長が市民を代表して感謝の意を伝えるために発行するカードです。自薦、他薦は問いません。

▼ボランティア活動補償制度
 市民活動を行っているときに起こった事故に対する補償制度です。事前登録は不要です(対象にならない場合もあります)。

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#03 平成23年度決算に基づく 財政の健全性は、「健全段階」
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市では毎年、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)」で定められた4つの「健全化判断比率」と公営企業会計の「資金不足比率」を算定し、財政の健全性を判断しています。
平成23年度決算に基づき算定した結果、いずれの比率も国が定めた早期健全化基準などを下回り、市財政の健全性は「健全段階」でした。今後も、地方債などの債務を減少させる一方、財政調整基金等への積み立てを行うなど、健全財政を維持していきます。

【問】財政課  電話0465-33-1313

4つの「健全化判断比率」
1 実質赤字比率
 基本的な行政サービスに必要な経費を経理する一般会計などの赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化の度合いを表しています。
→黒字のため算定なし

2 連結実質赤字比率
 一般会計と特別会計・企業会計(一般会計からの繰入金を含む)の赤字や黒字を合算し、市全体の赤字の程度を指標化し、財政運営の悪化の度合いを表しています。
→黒字のため算定なし

3 実質公債費比率
 市債などの返済額の大きさを表しています。
→[10.2%]市債残高の減少に伴い元利償還金が年々減り、前年度から0.5ポイント減少しています。

4 将来負担比率
 市のすべての会計に土地開発公社などを加えた市債や、将来支払う可能性のある負担の、現時点での大きさを表しています。
→[51.4%]市債残高の減少、基金残高の増加などにより、前年度から18.1ポイントの減となり、大幅な減少が続いています。

実質公債費比率
小田原市
H23 10.2 %
H22 10.7 %
H21 11.9 %
H20 12.6 %
H19 12.9 %

全国平均
H23 9.9 %
H22 10.5 %
H21 11.2 %
H20 11.8 %
H19 12.3 %

※早期健全化基準 25%、財政再生基準 35%

将来負担比率
小田原市
H23 51.4 %
H22 69.5 %
H21 88.7 %
H20 90.2 %
H19 115.8 %

全国平均
H23 69.2 %
H22 79.7 %
H21 92.8 %
H20 100.9 %
H19 110.4 %

※早期健全化基準 350%

財政状況判断基準
 財政健全化法では、「早期健全化基準」と「財政再生基準」の2段階の判断基準が定められています。健全化判断比率が早期健全化基準を超えると、健全化計画を策定し財政の健全化を進めなければなりません。さらに財政再生基準を超えると、再生計画を策定し、財政再建に取り組むこととなります。

公営企業会計の「資金不足比率」

資金不足比率
 公営企業会計の資金不足を、料金収入(事業規模)と比較して表しています。
 対象となる公営企業会計は、水道事業会計、病院事業会計、天守閣事業特別会計、下水道事業特別会計、公設地方卸売市場事業特別会計です。
→資金不足が生じていないため算定なし

※健全化判断比率などの状況、市債残高の動きを表示する「借金時計」は、市ホームページで公開しています。

トップページ上のバー「市政情報」をクリック→財政状況

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#04 守り伝えよう郷土の心
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~小田原民俗芸能保存協会~
小田原には、さまざまな民俗芸能が息づき、国や県の文化財に指定されているものもあります。
民俗芸能の後継者育成に取り組む7団体が加盟している「小田原民俗芸能保存協会」では、後継者育成発表会を行います。若手後継者や小・中学生が、日頃の練習成果を発表します。
【問】文化財課  電話0465-33-1714

[小田原民俗芸能後継者育成発表会]
日時:11月4日日曜日 午後1時~4時(開場は午後0時30分)
場所:けやきホール 入場無料

出演団体
小田原市山王原大漁木遣唄保存会
 古くから相模湾の漁民に歌われていた大漁木遣唄。山王地区では、大漁で網が重いときに歌い、皆の気合いを一つにしました。仕事唄と、婚礼や神社祭礼の儀式唄を兼ねている点が珍しく、市の指定文化財となっています。
 保存会では、大人と子どもが網を引きながら歌っています。

根府川鹿島踊保存会(福おどり)
 鹿島踊保存会では、根府川の道祖神祭り(1月14日の「どんど焼き」)で「福おどり」を披露しています。
 1945(昭和20)年頃までかなり盛大に行われていた「福おどり」は、一時中断しましたがその後復活し、現在は、小学5~6年生が踊っています。

栢山田植歌保存会
 農家の女性たちが田植えの調子を取るために歌った栢山田植歌の歌詞には、農作業のようすや豊作への祈り、長寿の願いが込められています。
 近年、田植え作業は自動化が進み、栢山田植歌は歌われなくなりましたが、地元の有志が保存会を結成し、1994(平成6)年に田植歌を復活させました。

小田原囃子多古保存会
 多古白山神社に伝わる江戸葛西囃子系の小田原囃子。文化交流が盛んだった江戸から伝わったもので、県の無形民俗文化財に指定されている他、かながわ民俗芸能50選にも選ばれています。
 1960(昭和35)年に結成され、現在は、太鼓と笛の練習を毎月3回ずつ行っています。

曽我別所寿獅子舞保存会
 曽我別所寿獅子舞は、江戸時代から伝わる「囃子獅子舞」で、市の無形民俗文化財に指定されています。
 2月の梅まつりや9月の宗我神社祭礼、賀詞交換会、披露宴など、祝いの席に出演しています。

相模人形芝居下中座
 義太夫節に合わせて3人で一つの人形を操る相模人形芝居は、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
 月に2回、第2・第4月曜日に、橘中学校の相模人形クラブで指導しています。

小田原ちょうちん踊保存会
 小田原ちょうちん踊りは童謡「お猿のかごや」で知られる小田原ちょうちんを守り広げるために考案された、小さい子どもも覚えやすい踊りです。毎月1回、稽古しています。

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#05 夢見遊山いたばし見聞楽
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地元自治会や商店会などと市が協働で実施する「夢見遊山いたばし見聞楽」。11回めとなる今年も、おもてなしの心を込めて、開催します。
【問】郷土文化館  電話0465-23-1377

板橋の魅力
実業家として大きな足跡を残し、また数寄茶人としても知られる松永安左ヱ門(耳庵)が、晩年を過ごした板橋。その板橋で、安左ヱ門が各界の名士を招いて毎年開催していた園遊会にちなみ、「夢見遊山いたばし見聞楽」は始まりました。
 板橋には、安左ヱ門が創立した松永記念館をはじめ、古稀庵(旧山縣有朋別邸)・共寿亭(旧大倉喜八郎別邸)・内野邸(旧しょう油醸造店兼住宅)などの歴史的建造物が残っています。また、安左ヱ門、益田鈍翁、野崎幻庵の近代小田原三茶人ゆかりの建造物、落ち着いたたたずまいの町並みなどが、私たちの心を和ませてくれます。

電力王 松永安左ヱ門
 安左ヱ門は1909(明治42)年、実業家・福沢桃介と福博電気軌道(福岡県)を、翌年には九州電気を設立し、近代的な電力事業を開始します。1922(大正11)年、関西電気と合併して東邦電力を設立、さらに1928(昭和3)年には、東京電燈取締役、東邦電力社長に就任し、各地の電力会社を傘下に収め、「電力王」と称されました。
 戦時中、政府が強行に電力の国家管理を推進したのを機に、事業から手を引きましたが、戦後の復興、民主化が進む中、電力事業に精通する随一の人物として、1949(昭和24)年、電気事業再編成審議会会長に就任。国家管理体制を解体することで、全国を9ブロックに分割し、発送配電一貫経営の民間会社を配置しました。これが、現在の電力体制の基礎となり、安定した電力供給が実現され、戦後の日本に経済発展をもたらしました。

「夢見遊山いたばし見聞楽」
場所:松永記念館他
板橋の自然、歴史と文化、芸術をお楽しみください。

11月10日土曜日 「松永耳庵物語」
■講演「日本電力業の発展と松永安左ヱ門」(★)
 講師:一橋大学大学院商学研究科教授 橘川武郎さん 午前10時~11時
■講演「中川一政の美 松永耳庵の眼」(★)
 講師:神奈川県立歴史博物館学芸員 角田拓朗さん 午後1時~2時

11月11日日曜日 「松永耳庵物語」
■講演「電力王 松永安左ヱ門」(★)
 講師:ノンフィクション作家 新井恵美子さん 午後1時~2時
■劇的朗読「今だから語る松永耳庵2」(★)
 朗読:劇的朗読家 松川真澄さん 
    馬頭琴演奏家 バヤラトさん 午後2時30分~4時
■いたばし見聞楽市(軽食ほか販売) 午前11時~午後4時
■庭園コンサート
(1)大窪地区子ども会による小田原囃子 午前10時~11時30分
(2)オカリナ・アンサンブル「にじ」演奏 午後0時~1時
(3)綾部雅翔さんほか琴演奏 午後4時45分~5時45分
■庭園呈茶(1席 300円) 午前11時~午後3時
■耳庵が愛した味(そば1食 950円) 午前11時~
■古典芸能の夕べ
(1)下中座と子ども会お囃子のコラボレーション 午後4時~4時45分
(2)相模人形芝居下中座 特別公演「坂田金時 怪童丸物語 足柄山の段」(★) 午後5時~6時
■ぶらり板橋夢散歩(史跡案内) 午前10時~午後3時
■夢灯篭・灯りの回廊 午後4時30分~7時

★は事前申し込みが必要です。郷土文化館まで。
※11月3日祝日には、第12回松永記念館茶会を開きます(午前10時~午後3時)。

第2回松永記念館交流美術展
「中川一政 -西湘の風土との対話-」
近隣の美術館が所蔵する優れた美術品を松永記念館で展示し、市民の皆様と美術品の「新たな出会いの場」とする松永記念館交流美術展です。
日時:~11月25日日曜日
   午前9時~午後5時 ※11月11日日曜日のみ午後7時まで
観覧料:一般500円、大学・高校生300円、中学生以下無料

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#06 おだわら情報
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インクカートリッジ 里帰りプロジェクト
回収ボックスを設置
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【問】環境政策課  電話0465-33-1471

 廃棄されている使用済みインクカートリッジを回収し、再資源化を進めようとプリンタメーカー6社が共同で取り組んでいる「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」。これまでに、同プロジェクトに賛同した全国約3600の郵便局や、自治体施設に回収箱が設置されています。
 小田原市は、10月15日に、インクカートリッジ里帰りプロジェクト事務局(株式会社キヤノン)と調印式を行い、協力を約束しました。
 11月1日から市の施設5か所(マロニエ、いずみ、こゆるぎ、市立図書館、かもめ図書館)に回収ボックスを設置。ご家庭で使い終わったインクカートリッジをお持ちください。
 回収するのは、里帰りプロジェクト参画企業(ブラザー、キヤノン、デル、エプソン、日本HP、レックスマーク)の純正インクカートリッジです。
 カートリッジ以外のもの(袋や箱など)は入れないでください。

トップページ上のバー「暮らしの情報」をクリック→分野別から探す「環境」の「ごみ」→「ごみの分別・収集」

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「不法投棄をしない! させない! ゆるさない!」
11月は不法投棄撲滅強化月間
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【問】環境保護課  電話0465-33-1486

不法投棄は犯罪です!
 不法投棄は、大変重い罰則が科せられます。
 ダンボールや衣類、雑誌など、引越し、大掃除で出た家庭ごみの不法投棄が増えています。1台だけ道路に置き捨てたテレビや冷蔵庫も目立ちます。
 不法投棄をしているところを見たら、すぐに警察に連絡してください。

不法投棄に対する罰則
●5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこの両方
●会社が関わった場合には、会社にも3億円以下の罰金

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秋季火災予防運動
11月9日金曜日~15日木曜日
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【問】予防課  電話0465-49-4425

 火災が発生しやすい季節です。火の取り扱いに注意しましょう。

平成24年度全国統一防火標語 「消すまでは 出ない行かない 離れない」

●住宅防火対策
 平成23年6月から、住宅用火災警報器の設置が義務づけられています。必ず設置しましょう。
●放火火災防止対策
 放火されないように、家の周りを整理整頓し、燃えやすいものを置かないようにしましょう。

幼年消防クラブ消防車お絵描き展示会
小田原市幼年消防クラブの園児が描いた消防車の絵を展示します。
●11月2日金曜日~4日日曜日 午前10時~午後5時
 小田原ラスカUme-テラス
●11月9日金曜日~11日日曜日 午前10時~午後5時
 ダイナシティウエスト3階

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映画「はじまりの記憶 杉本博司」
11月23日祝日 小田原映画祭 クロージングイベント
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【問】文化政策課  電話0465-33-1706

 現代美術家として世界的に活躍する杉本博司さんの映画上映とトークショーを行います。

 杉本さんは、公益財団法人小田原文化財団を設立し、文化発信の拠点施設の建設を江之浦に計画しています。
 映画「はじまりの記憶」は、杉本さんに長期密着取材を試みたドキュメンタリー。
 写真家として出発し、建築や伝統芸能へも表現の可能性を広げる芸術家の姿から、ニューヨークでの日常生活まで、カメラは杉本さんを追い続けます。
 ラストシーンでは、財団の施設計画地から江之浦の海を望みます。代表作「海景」シリーズをほうふつさせながら、過去の記憶と未来への思いが重なる感動的な場面です。
 杉本さんの人となりや活躍のようすとともに、小田原に寄せる特別な思いを感じることができます。

「はじまりの記憶 杉本博司」
[上映と舞台挨拶]
日時:11月23日祝日 午後1時30分~
場所:TOHOシネマズ小田原
料金:前売り 1500円 当日 1800円
販売:ダイナシティウエスト チケットぴあ 他

[杉本博司さんのトークショー]
同日午後4時から、ダイナシティウエスト(ロビンソン小田原店)で行います。
観覧無料。

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小田原市議会9月定例会
審議された主な内容
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【問】総務課  電話0465-33-1291

 議案は、行政情報センター(市役所4階)、支所・連絡所でご覧になれます。詳しい審議の内容は、「市議会だより11月1日号」をご覧ください。

●専決処分の報告(事故賠償)3件
●専決処分の承認(平成24年度一般会計補正予算)
●平成24年度一般会計補正予算
●平成24年度競輪事業特別会計補正予算
●平成24年度介護保険事業特別会計補正予算
●防災会議条例及び災害対策本部条例の一部を改正する条例
●暴力団排除条例の一部を改正する条例
●火災予防条例の一部を改正する条例
●訴えの提起
●財産の取得(消防吏員制服ほか一式)
●財産の取得(消防吏員防火服一式)

●平成23年度一般会計継続費精算報告書の報告
●平成23年度下水道事業特別会計継続費精算報告書の報告
●平成23年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率の報告
●平成23年度一般会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度競輪事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度天守閣事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度下水道事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度国民健康保険診療施設事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度公設地方卸売市場事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度介護保険事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度宿泊等施設事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度公共用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成23年度水道事業会計剰余金の処分及び決算の認定
●平成23年度病院事業会計決算の認定

●教育委員会委員(和田重宏さん、山口潤さん)の任命
●都市計画法に基づく市街化調整区域における開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例

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#07 〈連載〉市民力 〈連載〉今月の笑顔
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「手作り」でつながりを
HoloHolo(ホロホロ)朝市実行委員会
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 HoloHolo朝市の「HoloHolo」は、ハワイ語で「散歩」という意味。「散歩のついでに、朝市に来てほしい」。そんな思いが込められています。
 この朝市に参加して4年めの岩田さんを中心に、実行委員会のメンバーは5人。その他にも、「協力してくれるたくさんの皆さんに助けられながら」朝市を作っています。
 手作りにこだわり、手作りのものしか販売しないのがHoloHolo朝市。昨年は34団体が、パッチワークの小物、ビーズや天然石を使ったアクセサリー、クッキー、パン、野菜など、心温まる手作りの商品を持ち寄り、出店しました。「販売品目にはこだわらず、『手作り』であることにこだわっています」。また会場では、協力してくれるバンドによる、心地よい音楽が流れ、朝市を盛り上げます。
 朝市には、障がい者施設のかたも参加。施設のかたは、「障がい者が、こういうものを手作りしているということを知ってもらうことが大事」と言い、売れたときの笑顔もたくさん見られます。
 また、会場で行う「手作り教室」や「さかなつりゲーム」の参加費は、障がい福祉に役立ててもらうために寄附しています。
 「手作りした時の達成感は皆一緒。安心で優しいものを、これからも皆で作っていきたいですね」。「手作り」という接点で、人と人とをつなげていきます。

第8回HoloHolo朝市
日時:11月11日日曜日 午前10時~午後3時
場所:上府中公園

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森を歩き 木を知り、木を知り 森を知る
平成24年度「森の名手・名人」に認定
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宮大工・棟梁 芹澤伸明さん
 宮大工・棟梁の芹澤さんは、宮大工としての優れた技を認められ、公益社団法人 国土緑化推進機構の実施している、平成24年度「森の名手・名人『森の伝承・文化』部門」に選定されました。
 大工になって約60年。平成元年の小田原城住吉橋復元、平成9年の小田原城銅門復元では棟梁を務めました。
 住吉橋は木造で、真ん中が反っています。四角い木から反りを削り出すのではなく、反って育った木を使いました。「切る必要がないし、強度がある」天然のまま、その木の性質を生かした使い方をするのがよいのです。
 木のことを知り尽くしているからこそ、木が持つ力、性質を生かすことができます。芹澤さんは、木を知るために、木が茂る森を見て、歩き、よい木を見分け、それぞれの木に適した使い方を想像できるようになったと言います。そして、「森を知るためには、そこにある木を知らなければいけない」と思うようになりました。
 「天然に教わらなければ、だめ」という芹澤さんの言葉には、自然の中を歩き、自然に生きる木を相手に、天然の力を生かし、形にしてきた説得力があります。

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#08 〈連載〉駅のある風景
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市内には、18もの駅があります。
毎日の、特別な日の、出発の駅。
帰ってきた安らぎを感じられる駅。
あなたの駅を訪ねます。

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鴨宮駅
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1923年開業、1日の平均乗車人員数は12,593人

 市内の駅で、小田原駅の次に乗降客数が多い鴨宮駅。
 1990年代以降、鴨宮駅を最寄り駅とする大型商業施設が相次いで出店し、マンションをはじめ、住宅も多く建てられました。
 鴨宮駅は、東海道新幹線の試運転基地があったことから、「新幹線発祥の地」とされ、2010年に、地元住民が中心となった実行委員会により、駅南口に記念碑が建てられました。
 駅北口から徒歩10分ほどの場所にある「大欅の居・岩瀬邸」。国の「登録有形文化財」である母屋は、力強い重量感と、上品な静かさを感じることができます。蔵がホールやギャラリーとして使われることもあり、建物の趣とともに、訪れる人を喜ばせています。
 駅の南は、「富士見」小学校区。その名のとおり、晴れた日には富士山を美しく見ることができます。富士山を望みながら、鴨宮のまちを歩いてみませんか。

広報小田原 毎月1日発行 No.1070
発行:小田原市 〒250-8555 小田原市荻窪300番地 市役所総合案内 電話0465-33-1300
編集:企画部広報広聴課 電話0465-33-1261 FAX0465-32-4640 〈C〉小田原市2012・11
広報小田原は、資源保護のため再生紙を使用しています。
10月1日現在 小田原市の人口196,880人 78,981世帯


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