指導者養成研修事業「おだわら自然楽校」平成25年度の活動実績
「おだわら自然楽校(がっこう)Odawara Outfitters Training School(※) 」は、子どもたちの健やかな成長と強く生き抜く力を育むため、体験活動をサポートする指導者を養成する目的で平成22年度からスタートし、これまで延べ400人を超えるかたが受講しました。
質の高い研修を目指すため各分野で活躍している講師を招き、知識や技術を学び、また習得した知識・技術を学校や地域の体験学習において指導者として力を発揮し、さらには受講生が小学生を対象とした体験学習を企画・運営するなどの活動を展開しています。
ここでは「おだわら自然楽校」の平成25年度の活動実績をご紹介します。
(※)Odawara Outfitters Training School(通称:OOTS(オッツ))
「outfitter」(アウトフィッター)とは、自然との関わりを楽しむ人のこと。NPO法人国際自然大学校では、アウトフィッターを「自然や人とのかかわりの中で、人生を前向きに生き続けている人のこと」と定義しています。
「おだわら自然楽校」は、ふるさと小田原をフィールドに、自然や人とのかかわりの中で人生を前向きに生き続け、子どもたちが健やかに、そして力強く成長していくことを願い、それを未来ある子どもたちへと紡ぐ指導者を養成していきたいという思いを込めて、「おだわら自然楽校」を「Odawara Outfitters Training School(OOTS)」と表記しています。
平成25年度 研修プログラム
5月19日(日) | ゲームdeグループビルド |
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6月9日(日) | 磯遊び入門 |
6月29日(土) | とっておきのセルフレスキュー |
9月7日(土) | リーダーシップトレーニング |
3月15日(土) | 子どもたちのための体験活動プログラムづくり |
11月24日(日) | 自然の魅力再発見!! |
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12月7日(土) | プロジェクト・ワイルド |
1月25~26日(土・日) | 冬のアドベンチャー(宿泊研修) |
基礎編第1回「ゲームdeグループビルド」
アイデアを出すブレインストーミング
毎年最初の研修は「仲間づくり」には必要不可欠な「ゲームdeグループビルド」です。今回も宮里麻美さんをはじめとした足柄グリーンサービスの皆さんにファシリテーターとして、南足柄市にある足柄グリーンサービスのプロジェクトアドベンチャー専用のロープスコースを使用し、野外でのアクティビティを体験し、仲間づくりを進めていく内容でした。PA(プロジェクトアドベンチャー)のアクティビティは体験学習の代名詞とも言われ、これらの手法を実践を通して学びます。次々と繰り出される難題をみんなで話し合い、アイデアを出し、それをまとめてクリアしていきます。予定時間を過ぎてもなお熱い研修が行われました。
基礎編第2回「磯遊び入門」
磯で取れた生き物たち
子どもたちの遊び心をくすぐる磯遊び。真鶴町の三ツ石海岸をフィールドに、NPOディスカバーブルーの水井涼太博士を講師に、海のある小田原でも実施可能なプログラムと想定し、子どもの海をフィールドとした野外活動の定番でもある磯遊びを、安全管理も含めて楽しみながら「磯遊び入門」として学びました。短い時間で潮溜まりから捕まえた生き物の種類の豊富さは、水族館さながら。豊富な生き物の種類に、まるで子どもの頃に戻ったかのように歓声をあげ楽しんでいた指導者たちでした。
基礎編第3回「とっておきのセルフレスキュー」
リスクマネジメントについて学ぶ
楽しさ、冒険、挑戦の体験学習において、常に陰に息を潜めているのが「リスク」。第3回目は、OutdoorLifeStyle Produceの小清水哲郎さんをお迎えし、塔ノ峰青少年の家をフィールドに「とっておきのセルフレスキュー」を実施しました。体験学習に潜む「リスク」について知り、「リスクマネジメント」の手法を学び、万が一の「いざ」に対して指導者として何ができるか、どう行動するかを学びました。女性用のストッキングひとつで何種類もできる応急手当の手法なども、実践形式で真剣に学びました。
基礎編第4回「リーダーシップトレーニング」
座学の中にも実践あり
9月には、ルナ・イ・ソル/ライフビジョンネットの高橋紀子さんを講師にお迎えし、「リーダーシップトレーニング」を開催しました。指導者として必要なリーダーシップ力とは。今の子どもたちが置かれている社会環境は。その子どもたちに必要とされるリーダーとは。そして、なぜ体験学習が必要なのか。夏キャンプなどの体験学習のトップシーズンを終えて、再度原点へと立ち返る研修を、講義形式の中にも実践形式のワークショップなども交え開催しました。
特別編第1回「自然の魅力再発見!!」
ふるさと小田原をバックに1枚
「山歩き」と「自然観察」、そのどちらもいいとこ取りしたスペシャル企画がこれ。自然界の案内人プロナチュラリストの佐々木洋さんと、山歩きのスペシャリスト木風舎の橋谷晃さんの両名を講師として迎え、「自然の魅力再発見!!」と題し、早川駅から入生田駅まで石垣山一夜城をフィールドに、体験学習プログラムを想定した行程で実践形式で研修を行いました。テレビや雑誌で活躍するお二人が、小田原の地で、この「おだわら自然楽校」を通じて出会ったことがきっかけで実現したスペシャルコラボ企画でした。小田原の魅力も再発見できた1日となりました。
特別編第2回「プロジェクト・ワイルド」
アクティビティ『水の言葉』体験中
環境教育プログラム「プロジェクト・ワイルド」をPWすぎなみの漆原敏之さんを講師に、今年度の資格取得型の研修講座を特別編第2回として実施しました。野外での体験活動にも活用できる「プロジェクト・ワイルド」のアクティビティについて、立案方法や実践方法を学びました。今回の研修によって「プロジェクト・ワイルド」のアクティビティを扱うことができる19名の「エデュケーター」指導者が誕生しました。
特別編第3回「冬のアドベンチャー」
雪を使ったアクティビティ体験
キャンプや体験学習は夏だけじゃありません。雪降る寒い冬のフィールドでも野外活動の魅力はたくさんあります。それを学ぶ研修がこれ。特別編第3回は「冬のアドベンチャー」と題し、国立赤城青少年交流の家の高瀬宏樹さんを講師に迎え、フィールドは県外へと飛び出し国立中央青少年交流の家にて開催しました。壮大な世界遺産の富士山の麓で、冬ならではアクティビティを体験する実践形式の研修と、ワークショップ形式で学ぶ冬のアクティビティを作るという企画力アップ研修に加え、冬ならではの体験学習におけるリスクマネジメントも触れながら、内容濃く充実した一泊二日の研修となりました。
「レジリエンス(resilience)」。一般的に「復元力、回復力、弾力」などと訳される言葉で、心理学では「困難な状況にもかかわらず、しなかやに適応し生き延びる力」
という意味で使われる言葉を学びました。子どもたちの『レジリエンス』を育てることが指導者の役割でもあることを再認識した研修でした。基礎編第5回「子どもたちのための体験活動プログラムづくり」
平成25年度の研修を締めくくるのは、今年も体験活動を企画する際のポイントや注意点などを学ぶ「子どもたちのための体験活動プログラムづくり」です。講師には、第3回でも講師を務めていただいたOutdoorLifeStyle Produceの小清水哲郎さんを招き、教育業界における「体験学習」の位置付けや、日本における体験活動の現状はどうなっているのか、他市町村ではどのような体験学習が行われているかなど、先進的なプログラム事例を紹介していただきながら「企画」について学びました。ワークショップで作成した故郷おだわらの特色を活かしたプログラムは、さらにブラシュアップして近い将来実現させてみたいものです。
指導者の活動実績
「おだわら自然楽校」で学んだ指導者たちは、ひとりでも多くの子どもたちに感動や体験が得られる機会をより多く提供するため、小学校が実施する体験学習や地域で実施する体験学習に出向き、小学校や地域の体験学習活動をサポートしています。
5月 | 酒匂小学校(5年生)宿泊体験学習への支援 早川小学校(4・5年生)宿泊体験学習への支援 富士見小学校(5年生)宿泊体験学習への支援 |
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6月 | 矢作小学校(5年生)宿泊体験学習への支援 下中小学校(4年生)総合学習への支援 町田小学校(5年生)宿泊体験学習への支援 |
7月 | 富水小学校(5年生)宿泊体験学習への支援 「あれこれ体験in片浦(1)」の企画・運営(5・6年生対象) |
8月 | 「あれこれ体験in片浦(2)」の企画・運営(5・6年生対象) 片浦学区連合子ども会(6年生)キャンプへの支援 早川・大窪地区ふれあい活動(中学1・2年生)キャンプへの支援 |
10月 | 小学校教育研究会(教職員)研修部会への支援 |
3月 | 「RPGin城下町」の企画・運営(4・5・6年生対象) |

子どもたちの体験学習を支援する指導者たち
「『おだわら自然楽校』の実践報告」が、「紀要」冊子に掲載されました。

国立青少年教育振興機構青少年教育研究センターが発行する「紀要第2号」に、小田原市の取組みとして「『おだわら自然楽校』の実践報告」が掲載されました。
小田原市における青少年の健全育成の柱である「指導者養成研修事業」「指導者派遣事業」「地域・世代を超えた体験学習事業」の3事業について、平成22年度にスタートしてから3年間の取り組みの詳細が掲載されています。
下記のリンクからご覧いただけます。
平成26年度受講生募集~子どもたちはみなさんの力を必要としています~
「おだわら自然楽校」では体験学習を通じて子どもたちが楽しさだけでなく、辛いことや嫌なことを乗り越えてたくましく生き抜く力、困難な状況にもかかわらず、しなかやに適応し生き延びる力
を身につけてもらうことも目指し、研修でいろいろな知識や技術を学んだ受講生が、ひとりでも多くの子どもが体験学習の機会が得られるようこれからも支援を続けます。「おだわら自然楽校」では平成26年度の受講生を募集します。4月15日の広報小田原、市ホームページでお知らせいたします。体験学習に興味のある方は、青少年課までお問い合わせください。詳細をご案内いたします。