病理診断科・臨床検査科

最終更新日:2020年05月27日


臨床検査科

部門概要

 臨床検査科(部門)は、病院診療棟の2階にあり、臨床検査受付と生理・内視鏡検査室受付に分かれています。常に患者さんとお話しながら検査するよう心掛けておりますので、お気軽に声を掛けてください。
臨床検査科の受付
 検査部門は、常勤医師1名(臨床検査科専属)、常勤臨床検査技師26名、非常勤臨床検査技師6名(スタッフ紹介参照)、検査助手6名の体制で、検査・診断業務を行っており、臨床検査科専属の常勤医師(主任部長)とともに病理診断科の主任部長も臨床検査科の主任部長を兼務しています。

 検査業務は『検体検査(細菌・微生物検査を含む。)』、『生理検査(内視鏡検査を含む。)』、『病理検査』の3つに大別されますが、臨床検査技師はこの3つの検査部門をローテーションしながら緊密な連携をはかり、幅広い医療知識の取得や診断精度の向上に努めています。検査技師は検査の目的や検査結果の意義などを患者さんや臨床医と共有できるように、感染対策委員会、救急委員会、輸血療法委員会、栄養サポートチーム、化学療法運営委員会、がん検診運営委員会、転倒対策部会、安全管理委員会、防災安全対策委員会、診療録管理委員会、医療保険委員会、治験審査委員会、臨床検査委員会などにも積極的に参加しています。また、院内の癌患者さんの症状や状態及び治療方針等を意見交換・共有・検討・確認するためのキャンサーボードという検討会や病気で亡くなられた方々の病理解剖の結果を検討する臨床病理検討会(CPC)を含む院内・院外の各種の勉強会にも医師や看護師などとともに参加し、検査・診断結果の医療との関わりなどを熟知するようしています。

 当部門では臨床検査機器のメンテナンスや日々のデータ管理に加え、日本医師会臨床検査精度管理調査、日本臨床衛生検査技師会臨床検査精度管理調査、神奈川県精度管理調査の外部精度管理調査にも参加しており、日本臨床衛生検査技師会および日本臨床検査標準協議会によって検査値は標準化され、検査精度も厳格に管理されていることが証明されています。

検査内容

検体検査部門

採血業務

 検体検査受付の後にある採血室で、採血の待ち時間を少なくするために看護師と協力しながら、臨床検査技師も採血を行っています。検査助手が患者さんを採血室にご案内します。
採血室・採血用具

血液検査

 血液中の赤血球数、白血球数、血小板数、ヘモグロビン量などを測定して調べる検査で、顕微鏡で血球形態の異常や異常細胞などの有無も観察しています。血液凝固検査では、出血時に血液を凝固させる作用に異常があるかを調べています。
血液検査(血液像観察)
 骨髄穿刺検査では、胸の中央にある胸骨あるいは腰にある腸骨に針を刺して、骨の中にある骨髄組織を採り、それをガラス上に薄く広げて染色した後、顕微鏡で観察します。これにより、貧血の原因や血液のがんに当たる白血病にみられる異常細胞の同定などを行っています。

血液生化学検査

 血液中の赤血球、白血球、血小板などの有形成分を除く無形成分(血清)中の物質を化学的に分析する検査で、血清中には体内の環境を整える働きがある蛋白や糖をはじめ様々な酵素など、生きるために欠かせない物質が含まれています。そのため、生化学検査は病気の診断や治療に関係する各種の酵素、電解質、脂質類、血糖などを最新の自動分析機を駆使して測定しています。
検体検査
検査値に関する情報は、下記の「検査値のみかた」をご覧ください。

検査値の見方.pdf  PDF形式 :152.1KB

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免疫血清学的検査

 感染によってできた血液中の抗体の有無や量を調べる検査です。人間の体には体内にない細菌やウイルスなどが外部から侵入してくると、抗体という物質を作り、体を守ろうとする働きがありますので、体内に侵入した抗原に対する抗体を調べれば、病気の感染の有無がわかります。当部門では肝炎や梅毒などに感染すると血液中に現れる特殊な蛋白質の検査や細胞が癌化すると血液中に現れる特殊な蛋白質(腫瘍マーカーと呼ばれています)や体内のさまざまなホルモンなどの検査を行っています。

一般検査

 主に尿検査を行いますが、他に便、腹水、胸水、髄液なども検査します。尿は血液によって全身から運ばれてきた体内の不要な成分が、余分な水分とともに排出されたもので、体に異常があると尿中に不要な成分が排出されなかったり、排出されてはいけない重要な成分が尿に出てしまいます。このような体の異常を探るために尿の性質や成分を調べるのが尿検査で、尿中の蛋白・糖・血液成分などの有無や顕微鏡で尿中の細胞や結晶などを同定します。

細菌・微生物検査

 患者さんから採取された検査材料(喀痰、尿、便、血液など)から、感染症の原因となっている微生物を検出し、さらにその微生物に有効な治療薬剤を調べています。検査材料は患者さんの症状に応じていろいろな部位から採取されます。例えば、喀痰から肺炎・気管支炎、尿から腎(盂)炎・膀胱炎、便から大腸炎、耳漏から中耳炎などの診断を行います。

 一般細菌検査では、最初に検体をスライドガラスに塗って染色し、顕微鏡で細菌の有無、量、色、形態を観察します。次に検体の種類に応じた培地(菌の発育に必要な成分を溶かした寒天)に検体を張り付け(写真左下)、適切な環境で培養を行って、菌が目に見える大きさの塊(コロニー)となって発育したところ(写真右下)で、その形態や性状などを詳しく調べて菌の種類を決定します。最後に薬剤感受性検査として、感染症の原因となっている菌にどのような薬剤が効くかを調べます。この検査は感染症の治療に用いる薬剤を選択する上で重要です。
細菌検査
 抗酸菌検査(抗酸菌検査)は塗抹・培養検査以外に、結核菌に特異的な遺伝子を増幅し検出する遺伝子検査法であるループ介在等温増幅(Loop-Mediated Isothermal Amplification :LAMP)法を用いて検査を行っています。培養検査による結核菌には数週間を要するのに比べ、LAMP法では約2時間で結果報告が可能で、時間外の緊急検査もLAMP法で対応しています。2016年~2019年の4年間に当科で実施あしたLAMP法検査件数は960件で、LAMP法と結核菌培養検査との一致率は98.8%と非常に高く、LAMP法の迅速性・正確性を示していますが、これは検査を実施している検査技師の高い技術の裏付けによるものです。
結核菌(LAMP)検査
 インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどの感染の有無については操作が簡便な専用のキットを用いて、短時間で結果を報告しています。また、院内感染対策の一環として院内環境の細菌検査を行ったり、薬剤耐性菌の検出状況を臨床医に情報提供しています。

輸血(検査)業務

 輸血は各種の病気、手術、外傷などの治療において、患者様の赤血球、血漿、血小板などの血液成分が不足した際にそれぞれを補うために行われます。当部門では、輸血用血液製剤の発注から保管・管理と主に全自動装置を使用した検査までを一元管理しています。ABO・Rh式血液型と亜型精査、不規則抗体スクリーニング・同定、直接・間接クームス試験、交差適合試験を行っており、24時間体制で緊急時にも迅速に対応しています。
輸血(検査)業務

生理・内視鏡検査部門

心電図検査

 心電図検査は心臓が動く時に生じる電気を体の表面から記録する検査ですが、身体に電気を流して『ビリッ』とするようなことや痛みを伴うようなことはありません。不整脈や狭心症・心筋梗塞などの心臓の病気の診断に役立ちます。安静状態で記録する安静時心電図検査ではベッドに仰向けに寝ていただき、両手首・足首、胸部の電極を付け、身体の力を抜いて楽にしている間に短時間に検査を行います(写真左下)。

 ホルター心電図検査は日常生活(24時間)における心電図を小型の携帯型心電計(名刺サイズ)で記録する検査です。不整脈の中には1日中続いているものもあれば、1日のうち数分だけ出るようなものもあります。病院で安静時の心電図をとっている時に不整脈が出れば診断がつくのですが、そういう機会には恵まれないこともあります。このような一過性の不整脈を診断するには、1日の心電図を連続記録するホルター心電図検査が最適です。胸に電極を取り付け、携帯型心電計を腰にベルトで装着後帰宅していただき(写真右下)、翌日、心電計をはずしに来院していただきます。身体に電気を流したり、痛みを伴うようなことはありません。
心電図検査
 下の写真のようなスポーツジムにあるようなベルトコンベアなどを使って、心臓に負荷をかける運動負荷心電図なども行っています(写真左下)。徐々に速くなったり、坂道になったりするベルトコンベアの上を歩いていただくことによって心臓に負荷をかけ、安静時には見られなかった分からない不整脈や心電図の変化(写真右下)から重大な心臓病などの診断を行います。
負荷心電図

呼吸機能検査

 肺の容量や空気を出し入れする肺の機能などを調べる検査で、喘息、慢性(閉塞性)肺疾患をはじめとする肺の病気が疑われる場合やその状態を知る検査です。マウスピースという筒をくわえて、出来るだけ大きく息を吸ったり吐いたりします。患者さんに協力していただくことで正確な検査が出来ます。
呼吸機能検査
 睡眠時無呼吸症候群の診断のための検査(写真下)も行っています。睡眠時無呼吸症候群は眠っている間に呼吸が止まる病気で、10秒以上の無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。寝ている間の無呼吸にはなかなか気付くことができないために、検査・治療を受けていない多くの潜在患者がいると推定されています。この病気が深刻な理由は、寝ている間の無呼吸が私たちの日常生活に様々な影響を及ぼし、気付かないうちに様々な危険が生じている可能性があるからです。
睡眠時無呼吸

脳波検査

 脳に発生する電気信号の変化を頭皮の上に置いた電極から記録する検査で、頭皮の電極は発生している電気信号を記録するもので、頭に電気が流れることはありません。この検査はけいれんや意識障害の原因、脳障害や睡眠異常の診断などに用いられます。
脳波検査

血圧脈派検査

 両手・両足に血圧計を巻き、心電図の電極、心臓の音を探知するマイクを装着します。手足の血圧の比較や脈波の伝わり方から、血管の老化(動脈硬化)の程度や血管のつまりなどを評価できます。
血圧脈波検査

重心動揺検査

 この検査は『めまい』や『ふらつき』の程度などを調べる検査で、立った状態での体の重心の動きを測定し、体のバランスを保つ機能である平衡機能の障害の有無や部位の推定ができます。ヒトは立った姿勢を保つために、視覚や耳の奥(内耳)で得た情報を脳・神経に集め、筋肉に適切な指令を送ってバランスを保っていますが、この指令系統の異常をこの検査で見つけ出します。
重心動揺検査

超音波検査

 人の耳に聞こえない超音波と呼ばれる音波を体に当ててその反響を映像化し、体内の病気の有無やその症状などを調べる検査です。心臓、腹部(肝臓・胆嚢・膵臓・脾臓・腎臓など)、乳腺(下図)、甲状腺、血管等の超音波検査も検査技師が医師の指導のもと行っています。
超音波検査

内視鏡検査

 先端にカメラが付いた柔らかく曲がる管(写真左下)を、口から挿入して食道・胃・十二指腸(写真右下)あるいは気管・気管支を、肛門から挿入して大腸の内腔を観察する検査で、膵臓や胆管などの検査にも用いられます。一般的に観察する場所により食道鏡、胃内視鏡、大腸内視鏡、気管支鏡などと呼ばれ、おのおの管の太さは少しずつ違っています。当院では、臨床検査技師が医師・看護師とのチームで内視鏡検査を行っており、内視鏡下の処置・治療もサポートしており、適切な内視鏡の洗浄・消毒と洗浄履歴管理を行い、内視鏡を介した患者さんの感染予防にも努めています。
 血を吐いたりした患者さんで、できるだけ早く出血の原因を突き止めるためなどに行われるのが緊急内視鏡検査で、出血を緊急に止める治療も同時に行うことがあります。検査技師は診療時間外(夜間)の緊急内視鏡検査に備えて、毎日オンコール体制で対応しています。
内視鏡検査

病理検査部門

 この部門の臨床検査技師は主に細胞診断の一次検査、組織診断及び細胞診断用の標本作製、病理解剖の介助を行っています。
 細胞診断は体の一部、あるいは体から排出された細胞をガラスに塗りつけて、色付けをして顕微鏡で観察し、どのような細胞(病気)があるかを判定します。細胞診断では国家認定を受けた細胞診断検査に携わる臨床検査技師(日本臨床細胞学会認定細胞検査士)が、細胞診断標本全体をくまなく観察しますが、これを初期判定検査と呼び、最も重要な診断過程で、それをさらに病理医(日本臨床細胞学会認定専門医・指導医)が最終診断して、より正確でわかりやすい診断報告を迅速に行っています。
細胞診って何
 左下のグラフは2017年の1年間の当院の細胞診断判定の割合を示したものです。悪性が12%、良性と悪性の判断が難しい境界の病変が26%、良性が60%で、1年間で約400件が悪性(癌)と診断されていることになります。

 右下のグラフは当院の細胞診断での臓器別の癌の割合です。最も多いのは肺癌で、2位はいろいろな臓器の癌が胸やお腹のなかに転移した状態で貯まってくる癌性胸水・腹水で、3位は乳癌です。2017年の厚生労働省の死因統計によると、死亡原因の第1位が癌で、その中で男性の癌の第1位、女性の癌の第2位が肺癌ですので、当部門での細胞診断の臓器別の癌の統計結果とよく一致しています。
細胞診円グラフ
 組織診断では病理検査室に届いた体の一部(組織)を医師(病理医)と検査技師が協力しながら、大きな切除材料は顕微鏡で観察できる大きさに分割(切り出し)します(写真下)。
病理検査(切出)

 実際には以下のような手順で検査します。下の写真の左上は大腸癌の切除材料です。まず最初に、切除された大腸を良く観察し、大きさなどの記録や写真撮影などを行います。次に、写真中央上に示すように黄色い線に沿ってナイフで切り、ガラスに載せることができるように小さく(細切)します(写真右上)。さらに、小さく切った組織の一部をロウで固めて、写真中央のように特殊な機械で薄く切ります。その厚さは通常2~3μm(1μmは1/1000 mm)で、ティッシュペーパーの厚さの約1/10ですので、いわば検査技師の職人技といえます。それをガラスに貼り付けて(写真左下)、色をつけて標本が出来上がり(写真中央下)、この標本を顕微鏡で観察して診断します。
病理検査(標本作製)
細胞診断・組織診断の標本作製は、日本病理学会/日本臨床衛生検査技師会認定病理検査技師、日本臨床病理学会認定二級病理検査技師が行っています。
 病理検査室の検査技師は、免疫染色という現代の病理診断にはな無くてはならないような特殊な染色も行っています(写真左下)。免疫染色とは組織標本の中にある特定の蛋白質の場所を目に見えるようにするための染色方法で、通常は茶色に染色されます(写真右下)。例えば乳癌(写真右下)や胃癌では、免疫染色におけるHER2という蛋白質の発現量がハーセプチンという治療薬の適否を決定します。当院の病理検査室では約130種類の免疫染色用の抗体を保有しており(写真中央下)、乳癌や胃癌の治療薬の選択のみならず、肺癌や悪性リンパ腫の診断などにも免疫染色を行って、診断に役立てています。
病理検査(免疫染色)

検査実績

 臨床検査科では患者さんの診療に役立つように、正確な検査技術や精度を保ちながら、多種多様な検査を数多く行っています。2010年~2019年の10年間の臨床検査科での検査件数、学術研究(会)発表件数、実習生受け入れ人数、日本医師会臨床検査精度管理調査(点数)の推移を示します。

スタッフ紹介

 現在(2020年4月)、臨床検査部門の臨床検査技師スタッフは常勤26名、非常勤6名(臨床検査技師紹介参照)で構成されています。2012年~2020年の臨床検査部門の主任部長、臨床検査技師長・副技師長、常勤・非常勤技師数と最近の検査技師の学会活動業績を示します。

小田原市立病院

〒250-8558 神奈川県小田原市久野46番地 電話:0465‐34‐3175ファックス:0465‐34‐3179

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