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2014年11月06日(木)

「削り華」 300年の声を聞く

鉋(かんな)で木を削り、薄さをミクロン単位で競う「削ろう会」。いよいよ開催日が今週末(11月8日、9日)に迫っています。小田原大会の実行委員長、芹澤棟梁にお話を伺いに、仕事場の修復現場「清閑亭」にお邪魔してきました。

■小田原城でつながる■
 
― なぜ小田原で「削ろう会」なのでしょうか?
小田原城の天守閣を木造で再建しようという「みんなでお城をつくる会」があります。しかも地元の木材を使って再現することで、山が生き、職人が生きる。その会が「削ろう会」を誘致しました。
 
― 再建はどれくらいの期間がかかりますか?
10年以上になるでしょう。それまでに人材も必要になります。
 
― もし再建に参加したい子供がいたとして、どうすればそのような大工さんになれますか?
まず大工にならなきゃいけない。その上で、古い木造建築に携わるには身につけなければならない知識があります。修復では、たとえばこの部分(手すりの1つを示す)は今回入れ替えたものですが、建てられた当時に使われた周囲の木と同じ材・年数のものを使います。
  
― 木の種類や生育年数が見ただけでわかる!?
わかります。法隆寺など古い建造物は、ほぼ300年ごとに大規模な解体修理が施され初めて1000年建ちつづけることができます。最初にどの木でつくられたのか後の職人がわからなくならないように同じ木を使います。それから、ひとつの建物でも場所によって使われる素材が違う。適材適所です。
 
木がすべてを知っているので、その声を聞く。自分らが生活させてもらっている自然に耳を傾ける、数字で置き換えることができない仕事です。こういう伝統はせっかく風土にあっているのに、便利さの代償で失われつつあると日々感じながら仕事をしています。
■鉋がつなぐ時代と人■
 
 ― そういう知識を、棟梁のような代々の家系でない人はどうやって身に着けるのでしょうか。
仕事をしながら勉強会に参加できます。私たちも「職人学校」を始めました。
 
大会では子供たちが小田原の材の素晴らしさに触れ、いつか家を建てるときに思い出してくれれば嬉しい。小田原材の素晴らしさをみんなに知らせたいという願いがあります。
 
小田原大会に関わった人すべてが「よかった」と思える会にしたい。これで終わりにすることなく次につなげる。多くの人に知ってもらう。それが私の仕事であり、私の「つなぐ」です。
 
 
自分が存在していなかった時代の声を聞きとって次の世代につなげる。
300年……気の遠くなるような時間をさらりと飛び越えるように話してくれた芹澤棟梁。
宙を舞う削り華は、受け継がれてきた巧の証。今度はあなたがつなげてみませんか。

■第30回 全国削ろう会 小田原大会■

11月8日、9日に小田原アリーナにて開催。予約不要・入場料無料。

鉋削り体験や、親子で参加の木工体験、プレゼントも有り。

 

小田原大会実行委員会事務局(NPO法人みんなでお城を作る会内)

 電話:080-9387-7683 (月~金 10:00 – 17:00)

メール:kezuroukaiodawara@gmail.com

2014/11/06 13:44 | なりわい

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