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2017年04月19日(水)

小田原発祥!タピボン手芸

看板もタピボン作品看板もタピボン作品
「タピボン」という、ちょっとうきうきするような名前の手芸があると聞き、桜満開のお城周辺を通り抜け、清閑亭へ向かいました。

タピボン(tapisbon)の名は「タピストリー ボン:敷物づくりにもっとも適した手芸」という意味の言葉だそうです。
創始者の山岸永枝(ひさえ)さんは、戦後間もない頃の質素な時代に、残り毛糸や古毛糸が柔らかな風合いの敷物やクッションに生まれ変わる、そんな手芸を考案しました。
昭和29年の手工芸美術展では、作品の芸術性と実用性が認められ、通産大臣賞を受賞されています。昭和39年、旧丸ビルで第1回の作品展を開催して以来、平成13年(第37回)まで、毎年作品展を開いてこられました。
永枝さんが昭和55年、88歳で亡くなられた後は、娘の三江子さんが研究所を継がれましたが、平成18年に三江子さんも90歳で亡くなり、現在は永枝さんの孫にあたる山岸万里子さんが主宰を務められています。今回は多くの方、そして次の世代にタピボンが広まってくれたらと展示会を企画されました。

まずはメイン展示の蔵に向かいましたところ、約70年前になる初期の作品が、圧倒的な存在感で出迎えてくれました。蔵には数メートル四方の大作が10点ほど展示されています
初期作品初期作品
まるで最初からあったようまるで最初からあったよう
つづいて各室に展示された敷物、クッション等をめぐりました。不思議なことにタピボンは和の建物にも洋館にも合う魅力を持っていて、趣のあるたたずまいに実にしっくりなじみます、なにより本当にぬくもりが感じられる手芸です。

万里子さんは子どものころからタピボンが身近にありましたが、あまりに身近すぎたので、その魅力や奥深さは、周りからのお声により再認識される毎日とのことです。
タピボンは技法が簡単なので、養護学校や老人ホーム、リハビリなどにも活用されています。
今回の展示会にも南足柄の女子自立援助ホーム「みずきの家」地域交流室を利用されているみなさんや、小田原養護学校生徒さんの作品が展示してあります。一針ひとはり刺していると無心になれるのも魅力の一つではないでしょうか。
永枝さん遺作の前で万里子さん(右)とみずきの家の深谷晴子さん永枝さん遺作の前で万里子さん(右)とみずきの家の深谷晴子さん
専用布と針 枠の脚はかまぼこ板!専用布と針 枠の脚はかまぼこ板!
現在、手芸研究所本部の城山教室では、創始者直弟子の斎藤良子先生が教えていらして、2年ごとに小田原市内の画廊で作品展を開催しているそうです。
 
このような「なりわい文化」というべき素敵な手芸が小田原で生まれたとは、なんとうれしいことでしょう、たくさんの方にお知らせしたくレポートしました。
 
なお、週末の15、16、22、23日の13時半~15時にはコースターづくりの体験があります(500円)。どうぞお出かけください。(記 じんちゃん)
■タピボン作品展
4月12日(水)~24日(月)(18日休館)11~16時
小田原邸園交流館 清閑亭(南町1‐5‐73)
体験申し込み・お問合せ:0465‐22‐2834 清閑亭
 

2017/04/19 15:13 | 芸術

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