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2021年09月21日(火)

三の丸ホール開館記念式典「三番叟『神秘域』」

2021年9月12日(日)三の丸ホールの開館記念式典、杉本博司さん企画・舞台構成による三番叟『神秘域』(出演:野村萬斎さん)を見させていただきました。
三番叟は芸能の原点とも言われる、狂言の中で最高の格式を持つ演目。
もともと五穀豊穣を祝う大変おめでたい演目で、今でも新年の初会や、柿落としなど記念すべきときに儀式的なものとして上演されているとのことです。
小鼓、笛、鈴、人から出る音( 足音、声、衣装が擦れる音 )など構成されているものはシンプル。ですが、伝統芸能に親しみのない私でもどんな場面か容易に想像できるほど表現の豊かさに驚きました。
撮影:政川慎治(小田原市提供)撮影:政川慎治(小田原市提供)
具体的に挙げると驚いた点は2点。
1点目は雷が落ちる演出です。音は一切出さず、照明のタイミングや当て方だけで雷のダイナミックさを表現していました。音が無いからといって遠くで鳴っているようではなく、むしろ私にとっては音が無いのに何故かとても近くに雷が落ちたような感覚でした。
2点目は演目後半で鈴を振りながら舞台上の隅から隅まで大きく動く演出です。大きな鈴を下に振り下ろす様は、まるで新しいホール全体に命を吹き込む魔法の粉を振りかけているような気配、そして神秘的で清々しい思いがしました。
この新しく出来た三の丸ホールに携わって尽力してくださったたくさんの方々に感謝すると共に、永く愛される場所となることを切願します。

※公演中の写真については小田原市より提供したものとなります(撮影:政川慎治)。

記:まめ

2021/09/21 10:45 | 伝統芸能

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