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2022年02月17日(木)

柳家三三 初春公演・高座完成の裏話

 昨年11月30日、大ホールに於いて完成した寄せ囲いを仮組立し、造作の不都合などがないか、関係者が集まって確認を行いました。すると、橘右樂師匠と柳家三三師匠も来られていて、客席最前列で高座の見え方を議論していました。

寄席囲い全体の仮組み風景のレポートは、こちらの記事
 床下がオーケストラピットである最前列群は床面が平らですから、前の人の頭が邪魔して高座が見えない可能性があります。三三師匠が、「噺家の膝が見えないといけない。膝前に置かれた茶碗を取る仕草をするとき、そこに茶碗があるように見えないといけない。膝が見えなければ、茶碗も見えない」と説明されていました。
(写真1)高座に座って見え方を確認(写真1)高座に座って見え方を確認
 そのためには、高座をもう少し高くしなければならない。実際に三三師匠が高座に座って、膝の見え方を確認していました(写真1)。高座全体を数十cmもかさ上げする案も出ましたが、舞台全体をかさ上げすることになり、現実的には難しい案でした。
(写真2)高座の高さに頭を悩ます(写真2)高座の高さに頭を悩ます
 どう対応するか頭を悩ましているとき、三の丸ホールの舞台関係を統轄する城所(きどころ)さんからオーケストラピットの床を下げるアイデアが出ました(写真2)。舞台を高くするのではなく、客席を下げればよいと云う逆転の発想でした。さっそく試してみると上手くいって、両師匠も「これはいい!」と喜ばれました。何度か下げ幅を試して、座席高さが決まりました。そして、塗装ムラなど細かい最後の仕上げの補修が行われて、寄席囲いの仮組作業は完了しました。こうして、さまざまに検討を重ねてきた寄席囲いは、この日の柳家三三師匠初春公演の高座がお披露目となったのです。
(深野彰 記)
公演当日の様子は、こちらの記事
 

2022/02/17 17:58 | 伝統芸能

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