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2016年06月14日(火)

【小田原の街でこんな美術展】 第39回 絵画・彫刻グループあらたま展

■カフェ「かまくら」に集ったアーティストたち■
パリにはセザンヌやルノワールなど絵の巨匠が集ったカフェがある。小田原の旧市街の東の方に「新玉」という地区がある・「あらたま展」は、この新玉にあった「かまくら」という喫茶店(カフェ?)に集っていた画家さんたちによる作品展。カフェは芸術家の集まる場所。ここ新玉も小田原の芸術発展の端を担ったのか。
 
 
■作品から漂う日本の信仰■
第39回「あらたま展」が栄町の飛鳥画廊で開かれていた。昭和52年の第1回からのメンバー清原太郎さん、加藤恭夫さんをはじめ12人の作家さんが出展していた。まず、正面に清原太郎さんの「布袋さま」。黒檀か、どっしりとした形からご利益も大きそう。同じく清原さんの「お地蔵さん」。板橋にある宗福院地蔵堂の大祭の風景だ。清原さんはいつもお祭りの風景を独特の筆致で描く。絵だけでもご利益がありそうだ。
■大胆な裸婦・ 心象を描く海景・ シーズンオフのリゾート■
木下泰徳さんの「裸婦習作」は大胆な構図で目を引く。布の明るい黄色と背景の暗色と肌の白さが強烈な印象を与える。木下さんが通う第二金土デッサン会での作品。「海景」は住谷美知恵さんの作品。光を照り返す茫洋とした海面に見え隠れする白い波頭と青い波。「ゆらぎ」に満ちた海は自然の与える安らぎの世界。海の「風景」と見るより抽象的な心象作品と感じた方がよいのか。長南康子さんの水彩画「奥志賀高原」と「シーズンオフ」。二つの作品を合わせてみると、普段は人の行き来する観光地も、きょうは静かなたたずまいを感じる。赤い屋根の建物もひっそりと木の間に見え隠れしている。
 
宗教的な安らぎの心が■
高井正二さんの乾漆「響き」。若い女性が胸を押さえて心の響きを感じている。その伏し目がちな表情からは宗教的な安らぎを感じる。ちなみに乾漆造とは、麻布を漆で張り重ねたり、漆と木粉を練り合わせたりしたものを盛り上げて像を作る方法で、東洋における彫像制作の技法の1つとか。中学の時の歴史で習ったことがある。(ゆきぐま記)
 
第39回あらたま展
期 日 2016年5月18日(水)-23日(月) 終了
会 場 飛鳥画廊 小田原市栄町2-13-12 
電話0465-24-2411
連絡先 清原太郎 0465-22-5003

2016/06/14 12:59 | 美術

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