所信表明・施政方針

令和2年度所信表明(令和2年6月8日)


 小田原市議会6月定例会の開会に際しまして、皆さま方にご挨拶できますこと、誠に光栄であるとともに、身の引き締まる思いであります。
 まずもって、新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、医療の最前線の現場で昼夜を問わず感染のリスクを抱えながら、いのちとくらしを守ることに従事されている関係者をはじめとした皆さまに敬意を表し、心から感謝申し上げます。
 この度、私は多くの市民の皆さまからご信任をいただき、第23代小田原市長に就任いたしました。今回の市長選挙は、新型コロナウイルス感染症の影響がある中においても、前々回の市長選挙より5ポイント投票率が伸びており、市民の皆さまの関心の高さがうかがえました。
 私は、新型コロナウイルス感染症対策として「生活を守る」「事業者を守る」「教育を守る」「いのちを守る」ことを掲げ、過半の得票をいただけたことに責任の重さを改めて感じております。そして、市民の皆さま、議員の皆さまとともに小田原市の輝かしい未来に向け、いかなる困難をも乗り越えてまいる所存でございます。
 私が市政を運営していくに当たっては、今回の市長選挙での投票結果、つまり、民意をしっかりと受け止めなければなりません。これまでの市政において、我が国でも特筆すべきレベルに成長した市民力や地域力を生かした課題解決の取組はしっかりと継承しつつ、変えるべき政策は変えていくことを基本に据えて舵取りをしてまいります。選挙公約に掲げた新たに取り入れることは積極的に取り入れ、守屋カラーを打ち出しながら小田原の持つポテンシャルを引き出し、世界中の方が行ってみたい、住んでみたいという「世界が憧れるまち“小田原”」を目指してまいります。
 ここで何よりも優先すべきは、市民の“いのち”と“くらし”を守ることです。目下の新型コロナウイルス感染症対策に資源を注力し、国の一人10万円の特別定額給付金の速やかな給付、市内の中小企業や個人事業主が雇用維持、事業継続するための本市独自の支援金の給付、感染予防対策を講じながらの児童・生徒に寄り添った教育支援、第2波を想定した県や近隣自治体、民間医療機関等との連携を緊密にした安全な医療体制の構築など、財政規律も視野に入れながら、必要な取組をスピード感を持って進めてまいります。
 本日は所信表明に当たり、私が、新型コロナウイルス感染症対策の先に見据える小田原の将来像「世界が憧れるまち“小田原”」について改めてお伝えし、皆さまのご理解とご協力をお願いするものであります。

 「世界が憧れるまち“小田原”」とは、日常からかけ離れた考えのように思われるかもしれませんが、決して特別なものでも、手の届かないものでもなく、一つ一つの政策をていねいに実行することにより、実現できるものと考えております。
 私は、これまで世界中の都市を見て、調査してまいりました。日本に帰る度に、日本の都市は、世界から見ても環境や治安、衛生、医療の面ですばらしいなといつも実感しておりました。これに加えて小田原には、歴史・文化・自然・交通インフラといった多くの環境が整っています。
 今の時代において、小田原に憧れて、行ってみたい、住んでみたい、そして住み続けたいと思っていただくには、この豊かですばらしい環境がある小田原のポテンシャルを最大限に引き出し、医療・福祉・教育・文化・安全といった生活の質を向上させていくことが必要であります。
 また、郷土の偉人である二宮尊徳翁の「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」という教えがあるように、最適な市民サービスは、安定した財源と健全な財政運営があってこそはじめて実現可能となると考えます。
 私は、市民のいのちを守る新型コロナウイルス感染症対策を最優先としながらも、「生活の質の向上」と「地域経済の好循環」を両立させ、真に持続可能な社会を構築していくことが、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現につながるものと考えます。
 コロナ禍にあって、小田原市も甚大な影響を受けておりますが、私は、この難局を逆にチャンスとして捉えております。過密から分散へという思考により、既に新しい生活様式へと変容しはじめている社会において、働き方改革、テレワーク、在宅勤務、サテライトオフィスなどのアフターコロナを見据えた取組は、小田原の交通網や住環境を踏まえると域外の方を呼び込むチャンスになり得ます。
 この機を捉え、多くの方の雇用環境を生み出すための企業誘致や、スタートアップする起業家の方の支援を行うなど、人や企業を呼び込むための投資を積極的かつ大胆に行います。
 人々はかつて小田原を目指しました。小田原は、北条早雲の開府以降、江戸時代の小田原藩の統治や明治期において、政財界の要人や文化人が注目するほど、日本を代表する魅力的な都市の一つでありました。これは、住まう圏域において、人々の命が守られ、自らの地域で暮らすために必要なものが、全てそろった豊かな環境であったからこそだと考えております。今という時代においても、地域自給圏の実現によって、再び注目される都市となるよう、アフターコロナを意識して、国内外から小田原に訪れていただく方を増やし、関係人口や交流人口から、定住へと結び付けていくための施策にも力を入れ、人口20万人規模の都市を目指し、小田原を更に活性化させてまいります。
 小田原に限ったことではありませんが、従来の自主財源に限界がある中で、市民ニーズの多様化や、地方自治体の役割が増えていることに鑑み、税収を原資に行政サービスを一方的に提供するといった社会のあり方が変容する時代の転換点に来ていると感じております。
 そういった中、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現は、行政の力だけで成し得るものではなく、市民、企業、団体など、民間の皆さまとともに創り上げるものであり、これまでの市民力、地域力を生かした市政運営に、企業や金融などの民間事業者との連携強化を加味しながら進めて行くことが大切となってまいります。
 まさに、報徳思想の「一円融合」を実現することが求められ、これは、持続可能な社会を作るために現在世界中で取り組まれている「SDGs」の理念ともつながってまいります。
 そこで、SDGsの基本的な考え方でもある「経済・環境・社会の好循環」を公民連携によって生み出すことで、民間と公共の政策や想いが融合し、これまでにない相乗的な効果を生み出すことが可能になると信じております。
 そして、SDGsのゴールのタイミングに合わせて、2030年を一つの目標設定のゴールとし、市民の目に見える形で成果を出していくためにも、「世界が憧れるまち“小田原”」の工程表を今年度中に作ってまいります。

 私に課せられた使命は、山積する日本の課題を、小田原の課題を、これまで小田原市政を支えてくださった市民や市議会、関係団体はもとより、これから小田原を活動のフィールドとしていただく方々の力を総結集して、乗り越え、新しい価値を求めていくことと認識しています。
 小田原や県西地域の持つ自然環境、交通利便性、歴史・文化などは、他の都市から見れば、羨むほどの財産です。そして、何よりも、小田原をステージに活動している市民や企業、各種団体などの活動は、日本の中でも特筆すべきものがあります。これらの力を結集することができれば、困難な課題を乗り越えることはもちろんのこと、本当に世界中の人が、行ってみたい、住んでみたいという、「世界が憧れるまち“小田原”」を創ることができるはずです。
 私は、これから小田原市長として、先頭に立ち、小田原を広い圏域として捉え、市や県を越えた更なる広域連携や自治体間交流、国や県との連携強化を推し進め、スピード感を持って、市政運営に取り組んでまいります。
 そして、市民の皆さまから愛され、信頼される市役所を実現し、「前例がないからやらないのではなく、前例がないからこそやってみる」、「予算がないからやらないのではなく、予算がないならどうやるかを考える」など、変化に挑戦する、そんなチャレンジングな市政にしていきたいと考えております。
 小田原市議会議員の皆さまはもとより、小田原市民、小田原市職員と共に歩んでいくことをお誓い申し上げまして、所信表明とさせていただきます。

令和 2 年 6 月 8 日
                                       小田原市長 守屋 輝彦

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