所信表明・施政方針

令和5年度施政方針(令和5年2月14日)

1 はじめに、2 市政運営の基本方針

3 重点施策の取組【教育・子育て】

3 重点施策の取組【環境・エネルギー】

5 むすび

3 重点施策の取組【医療・福祉】

3 重点施策の取組【地域経済】

3 重点施策の取組【まちづくり】

3 重点施策の取組【防災・減災】

3 重点施策の取組【歴史・文化】

4 まちづくりの推進エンジン


1 はじめに
 地球規模の課題となっている気候変動や感染症対策、ロシアによるウクライナ侵略等の影響による物価高騰等、暮らしの先行きを見通すことが難しい社会の転換期に、今、私たちは立っています。
 新型コロナウイルス感染症については、これまでも試行錯誤を繰り返しながら様々な対策に取り組んでまいりました。新たな変異株の発生等による第7波や第8波を受け、全国的に医療崩壊が叫ばれる状況にあっても、本市や県西地域においては、地域医療を担う多くの関係者が連携し、医療提供体制を整えてまいりました。
 こうした状況の中、令和4年度は、本市が目指す2030年の姿を描いた第6次小田原市総合計画「2030ロードマップ1.0」がスタートし、着実に歩みを進めてまいりました。コロナ禍以降、小田原の恒例行事が初めて開催され、多くの方が小田原を訪れるとともに、地域の祭事や自治会活動も、感染症対策を行いながら徐々に再開され、様々な活動が戻ってきた年となりました。
 また、本市がスピード感を持って様々な施策を展開している中、取り組んできた事業をより一層加速させる、多くの追い風を呼び込むことができた年にもなりました。デジタル社会の実現に向けては、デジタル田園都市国家構想推進交付金の採択により、本市の施策を迅速に具現化することができました。脱炭素の分野においては、これまで地域や民間事業者と共に行ってきた取組が評価され、地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の重点対策加速化事業と、脱炭素先行地域に選定されました。
 さらには、新しい働き方の受け皿として、Workcation House U(ワーケーション ハウス ユー)や、 Work Place Market ARUYO ODAWARA (ワーク プレイス マーケット アルヨ オダワラ)が開設されました。こうした新たな拠点に集う多様な人材が、小田原の持つ地域資源と混ざり合うことで、「世界が憧れるまち“小田原”」の実現に向け、新たなイノベーションが巻き起こることを期待しています。

2 市政運営の基本方針
 令和5年度は、ウィズコロナに対応していくとともに、ポストコロナを見据えて、これまでにまいてきた種を皆様と一緒に育て、小田原の魅力や強みを最大限に伸ばしていくことで、全ての市民が住み続けたいと感じる「世界が憧れるまち“小田原”」の実現に向け、市政を推進してまいります。
 小田原が将来においても持続可能であるためには、市民の皆様が自分らしく生き生きと暮らすことができ、未来を担う若者や子どもたちが夢や希望を持てるまちであることが重要です。そうした考えの下、若者の視点やアイデアがまちづくりに生かされる環境の整備やイノベーションの創出等、未来に向けた投資を行ってまいりました。こうした未来への投資とともに、子どもたち、そして子育て世帯の多様なニーズに対し、より具体的な策を充実させ、安心して子育てができる地域社会を実現してまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、国や県、地域の医療機関等と引き続き連携し、適切に取組を進めてまいります。

3 重点施策の取組
 令和5年度の市政運営に当たり、重点的に取り組む施策について、第6次小田原市総合計画「2030ロードマップ1.0」の実行計画に位置付けた重点施策に沿ってご説明申し上げます。

【医療・福祉】
 安心の地域医療体制につきましては、地域の医療機関や福祉・介護施設等との連携を深め、個々の持つ特徴を生かした役割分担と関係強化により、県西地域が有する地域医療の力を最大限に発揮してまいります。市立病院につきましては、県西地域の基幹病院として、安定的に良質な医療を提供するとともに、引き続き健全経営に努めてまいります。そして、医療提供体制を持続可能なものとするため、経営改革プランの見直しを進めるとともに、令和8年春の新病院開院を目指して、文化財調査、準備工事、実施設計等を着実に進めてまいります。
 地域共生社会の実現につきましては、第4期地域福祉計画に基づき、高齢者や障がい者をはじめ地域で暮らす誰もが安心して生活することができるよう、包括的な支援体制を充実させるとともに、地域住民や様々な事業者と協力して地域ケア力を高めてまいります。また、令和4年度に新たに立ち上げた「共生社会推進本部」において各部局の取組を共有し、庁内横断的に取組を進め、職員一人ひとりの意識を高めてまいります。
 健康寿命の延伸につきましては、全ての市民が健康に関心を持ち、元気に暮らすことができるよう、第2期健康増進計画をスタートさせるとともに、地域を担当する保健師が、健康おだわら普及員等の地域で活動する様々な主体と連携し、健康教育や健康相談等、地区活動の充実を図ってまいります。また、国保データベースシステムの分析結果に基づき、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に実施するなど、多職種が連携して市民の健康づくりや生活習慣の改善につながる取組を進めてまいります。そして、正しい学びを通して自らの健康管理や運動する習慣の定着に取り組むことができる健康増進拠点の整備について、基本構想を策定いたします。

【防災・減災】
 地域における国土強靭化の推進につきましては、強靭化地域計画や地域防災計画により、事前防災・減災と発災時の対応能力を強化してまいります。具体的には、災害対策本部の機能強化をはじめ、避難者の生活環境の確保に向けた防災拠点の整備を進めるほか、災害時に必要な物資の備蓄について全体計画を策定し、従来の公的備蓄と、事業者との連携による流通備蓄の両面による供給体制を構築してまいります。また、情報伝達手段を全体的に見直すとともに、防災アプリ「おだわら防災ナビ」や「河川氾濫予測災害感知システム」を活用することで、発災時に市民に漏らさず情報提供ができる体制を構築してまいります。
 地域防災力の強化につきましては、市全体の災害対応力を高めるため、引き続き地域、事業者、行政の連携を強化する仕組みを構築するほか、いっせい総合防災訓練の実施や、一元化した洪水・土砂災害・高潮・津波のハザードマップにより、災害時のリスクや対応を市民と共有することで、逃げ遅れゼロの実現を目指します。また、令和5年度は関東大震災から100年となることから、発災時のリスクや対応を正しく理解できる環境を整え、自助・共助の更なる意識向上を図ってまいります。

【教育・子育て】
 質の高い学校教育につきましては、市長部局と教育委員会が連携して策定した第2期教育大綱とその理念を具現化する第4期教育振興基本計画に基づき教育施策を推進してまいります。学校教育の現場では、ステップアップ調査モデル校への研修を実施することで、教員の理解を深め、調査の全校展開への基礎を固めてまいります。また、これまで研究を進めてきた小田原版教育におきましては、モデル校での実践に移すため、専門事業者の知見を活用してまいります。あわせて、ICT支援員の各校への派遣回数の増加や、国が令和6年度に予定している学習者用デジタル教科書の円滑な導入に向けた準備を進めるなど、ICTを活用した教育を推進するとともに、民間財団との連携で作成を進めている  「GIGAワークブックおだわら」等を活用した情報モラル教育を各校で展開してまいります。また、10年後の新しい学校のあるべき姿についてまとめる新しい学校づくり推進基本方針の策定を引き続き進めるとともに、民間スイミングスクールを活用した水泳授業の実施校を拡大し、今後の水泳授業及び学校プールのあり方について検討を進めてまいります。教育環境の整備につきましては、子どもたちの安全・安心な生活環境を整えるため、照明のLED化及び外壁劣化に対する打診調査・補修、教室の床等の改修、特別教室への空調設置等を行ってまいります。また、おいしい給食を安定的に提供するため、令和6年9月の給食提供の開始を目標に学校給食センターの建替えを進めてまいります。
 子ども・子育て支援につきましては、子ども・子育て支援事業計画に基づき、切れ目のない持続可能な子育て支援を推進してまいります。具体的には、児童福祉部門と母子保健部門を統合し、乳幼児期から学齢期・青壮年期における相談支援機能と、妊娠・出産期の相談支援機能をおだわら子ども若者教育支援センターに集約することで、切れ目のない総合的な相談支援の強化を図り、国が進めるこども家庭センターとしての機能を整えてまいります。また、伴走型相談支援と出産・子育て応援給付金の一体的な実施や、小児医療費助成の所得制限廃止、ひとり親家庭等に対するファミリー・サポート・センター利用料に係る補助制度の創設、物価高騰に伴う学校給食材料費増加分の支援等、子育て家庭の経済的な負担を軽減し、誰もが安心して出産・子育てができる環境を整えてまいります。家庭教育支援につきましては、地域や行政、学校、事業者等が家庭の支えとなり、社会全体で子育てや家庭教育を支えるため、地域や事業者等の連携を強化する視点で事業の見直しを図るとともに、効果的な支援のあり方について引き続き検討してまいります。子どもの安全対策の推進につきましては、通学路の見守りシステムを導入するため、関連事業者との協定に基づき、モデル校での実証を行ってまいります。
 幼児教育・保育の質の向上につきましては、橘地域の認定こども園の整備に向け、令和4年度に策定した基本計画に基づき、施設の設計等に取り組んでまいります。あわせて、園児数の減少が続く公立幼稚園につきましては、そのあり方の検討を進めてまいります。また、公私幼保の職員を対象として意見交換会や有識者による講演等を実施し、スキルや意識の向上に向けた動機付けを行うとともに、公立幼稚園・保育所に導入した園務システムを活用し、保護者への連絡の迅速化や保育記録の見える化等、保育の質の向上に努め、幼保一元化の取組と職員の働き方改革を進めてまいります。

【地域経済】
 企業誘致の推進につきましては、ライオン株式会社の新工場建設をはじめとした市内企業の再投資や、鬼柳・桑原地区工業団地東側区域への企業の進出が順調に進むなど、着実にその効果が表れ始めています。引き続き、企業誘致推進条例に基づき本市への進出や拡大再投資を行う企業を支援し、市内工業用地への誘致を進めるとともに、鬼柳・桑原地区工業団地西側区域の整備に向けた協議を進めてまいります。また、新たにオフィスを設置する企業の賃料やリノベーション費用を補助するなどオフィス等の立地を支援するほか、ビジネスプロモーション拠点等において市外事業者と関係を構築し、本市への投資を呼び込んでまいります。
 多様な働き方環境の整備につきましては、令和4年9月にオープンしたWork Place Market ARUYO ODAWARA (ワーク プレイス マーケット アルヨ オダワラ) を中心に、働く場としての小田原の魅力を高めてまいります。
 地域資源を生かしたビジネス展開につきましては、議員提案により制定された地域経済好循環推進条例と、令和4年度に改定する地域経済振興戦略ビジョンを両輪にして、地域資源や市内事業者の力を最大限に生かした需要喚起と地域内循環による地域経済の活性化を図ってまいります。そのため、小田原の農産物や水産物のブランド化と認知度向上の取組等と連携しながら、本市が持つ食文化を生かし、食をキーワードに様々な人が集い新たなビジネス機会を創出する美食のまちづくり等の取組を推進してまいります。また、漁港の駅TOTOCO小田原を拠点とした情報発信に引き続き努めるとともに、公民連携による魅力あるまちづくりにつなげることを意識しながら、小田原漁港内における水産市場施設再整備の検討を市場関係者等と一体となって進めてまいります。そして、新規就農希望者を対象に栽培技術の向上等を目的とした研修を実施し、次代につながる農業の担い手の育成に努めてまいります。さらに、小田原ファン及びインバウンドの獲得と、小田原の優れた技術で生み出された商品の販路拡大のため、市内事業者と連携してアメリカ・シリコンバレーにおける期間限定での地域産商品の現地販売を実施してまいります。

【歴史・文化】
 歴史・文化資源の魅力向上による交流促進につきましては、歴史的価値の高い小田原城等の史跡の保存・活用を図るため、御用米曲輪整備のあり方について調査研究を深めてまいります。また、小田原城につきましては、魅力向上と積極的なPRにより、誘客に努めるとともに、城址公園内の環境保全に努め、来訪者の安全性や快適性を確保してまいります。加えて、観光情報の提供等を行う観光交流センターを中心に、まち歩き観光や二次交通等を充実させることで回遊性を高め、小田原三の丸ホールとあわせて文化・観光の拠点として、にぎわいを創出してまいります。公民連携による歴史的建造物の利活用につきましては、豊島邸や清閑亭等において、事業者による利活用促進のため、関係機関との調整を進めてまいります。
 文化・スポーツを通じた地域活性化につきましては、文化の担い手である市民による文化活動を発展させ、多様な人や地域社会が共に文化を創造していく風土を高めるため、市民が行う文化活動の表彰や新たな文化活動を支援する「小田原市民文化アワード」を創設いたします。小田原三の丸ホールにつきましては、引き続き著名なアーティスト等による鑑賞事業を実施するとともに、今後の管理運営について、指定管理者制度への移行を視野に準備を進めてまいります。スポーツ環境の整備につきましては、令和6年度中の施設整備基本計画の策定に向け、施設の老朽化の進行や利用状況等を踏まえた、既存施設や新たなスポーツ施設のあり方の検討を進めてまいります。
 世界とつながる機会の創出につきましては、行政サービスの多言語化に努めるとともに、国や県、民間団体との連携による地域日本語教育を促進するほか、外国籍市民に対する情報発信等を目的に、多言語ラジオ放送を公民連携で進めることで多文化共生を推進してまいります。さらに、公立幼稚園、小中学校に外国語指導助手(ALT)を派遣することで、言語や文化への体験的な理解の深化を促進してまいります。

【環境・エネルギー】
 再生可能エネルギーの導入促進につきましては、2050年の脱炭素社会の実現に向け、気候変動対策推進計画に基づき、市民や事業者の再生可能エネルギー設備の導入を支援するほか、令和4年度に新たに立ち上げた「ゼロカーボン・環境共生推進本部」において、庁内横断的な取組を推進するとともに、脱炭素先行地域に選定された提案事業の実現に向け、国の交付金を活用した本市独自の補助制度や積極的な公民連携による取組を引き続き進めてまいります。ゼロカーボン・デジタルタウンの創造につきましては、目標である2030年の街びらきに向け、令和5年度中に基本構想を策定し、目指すまちの姿を市民の皆様へお示ししてまいります。
 地域循環共生圏の構築につきましては、環境保全活動に係るプラットフォーム機能を担う「おだわら環境志民ネットワーク」等との連携により、身近な環境課題への対応や、森里川海がひとつらなりとなった豊かな自然環境の恵みからもたらされる地域資源の活用を進め、自然環境と市民が共生できるまちを目指してまいります。
 森づくりにつきましては、森や木に関わる産業の川上から川下までのネットワークを強化し、小学校をはじめとする様々な場所において、小田原産木材の利活用の促進を図るとともに、市内外問わず多くの方が小田原の森で自然体験や森林教育に参加できる機会を創出してまいります。

【まちづくり】
 小田原駅・小田原城周辺のまちづくりにつきましては、市街地環境の改善や都市防災の強化、街なかへの居住促進のため、関係権利者で組織されたまちづくり協議会が市街地再開発の検討を進めている東通り・大乗寺周辺地区において、市街地再開発事業にあわせた都市計画道路の整備に向け、引き続き合意形成に努めてまいります。西口地区においては、広場機能の拡充と隣接する市街地再開発との一体的な整備について、令和5年度中に基本構想を策定し、広く整備後のイメージを共有するため、パースを作成し、小田原の玄関口にふさわしいまちの姿を示してまいります。また、公・民・学が連携した組織である「アーバンデザインセンター小田原」の取組につきましては、都市空間デザインの視点による既存ストックの利活用や地域資源を生かしたまちづくりについて、調査研究を進めてまいります。市民会館跡地等の整備につきましては、引き続き市民や事業者と共にワークショップ等を開催しながら、基本構想及び基本計画等を策定してまいります。
 地域特性を生かしたまちづくりにつきましては、かまぼこ通り周辺地区及び銀座・竹の花周辺地区において、地元協議会や事業者等との公民連携によるにぎわいや交流の創出に努めるとともに、国府津地区において設立されたまちづくり団体が自立した取組を継続していけるよう、組織体制の構築等を支援してまいります。また、まちなみ景観の形成を図るため、かまぼこ通り周辺地区を景観計画重点区域に指定し、外観修景への支援を行うことで、良好な景観への誘導を図ってまいります。海を生かしたまちづくりにつきましては、多様化する海洋性レクリエーションと漁業が共存する早川海岸の利活用に向け、関係者と調整を行うとともに、江之浦漁港機能強化基本計画に基づき、臨港道路の拡幅に向け、用地測量業務に着手いたします。地域の移動手段の維持・確保につきましては、持続可能な公共交通ネットワークの構築に向け、令和5年度中に地域公共交通計画を策定いたします。また、伊豆湘南道路につきましては、神奈川県西部と静岡県東部を結ぶ第3の東名とも言える極めて重要な社会インフラとなることから、関係市町と連携し、国等への要望活動を積極的に実施するほか、機運醸成のためのシンポジウムを開催するなど、早期実現へ向けた取組を進めてまいります。住宅ストック活用の促進につきましては、見直しを行う空家等対策計画に基づき、実効性のある空家等対策を総合的に推進してまいります。街区公園の再整備につきましては、令和4年度に引き続き、地域と意見交換をしながら、地域のニーズに対応した再整備計画を策定し、魅力ある公園づくりを進めてまいります。

4 まちづくりの推進エンジン
 市民との情報共有につきましては、広報紙や令和4年度にリニューアルする市ホームページ等により、引き続き市の情報を積極的かつ複層的に発信するとともに、市民通報アプリ「おだわら忍報」を活用するほか、市民の声を広く行政に反映させることを目的とした、市長への提案や市民と市長の懇談会等を継続してまいります。
 効率的な行財政運営につきましては、総合計画の推進のため、計画で示している重点施策や各施策の評価を新たに実施し、本市の取組を検証してまいります。また、令和5年度からスタートする第3次行政改革実行計画を着実に推進することで、将来を見据えた行財政運営に取り組んでまいります。
 公共施設の最適化につきましては、公民連携による効率的な施設の整備や運営を推進するとともに、市有財産の有効活用を図ってまいります。また、公共施設の管理水準を総体的に向上させるための体制を構築し、計画的な施設の維持保全を進めてまいります。
 人材の確保・育成・活用につきましては、情報発信ツールや様々な機会を活用した人材の確保に努めるとともに、研修による個人の能力開発や、職員の外部派遣、民間の専門人材の登用を行うなど、新たな行政課題に対応できる職員の育成や、職員一人ひとりが働きやすい組織風土の醸成に努めてまいります。
 公民連携につきましては、おだわらイノベーションラボを拠点とし、民間提案制度の実施や包括連携協定の締結等により、市場原理の中で培ってきた独自のノウハウや各種資源を有する事業者と連携することで地域課題の解決を図ってまいります。また、地域の現状や課題等について、直接地域の声をお聞きする機会を設けながら、それぞれの地域で主体的かつ持続可能な地域活動が展開されるよう支援してまいります。
 若者・女性活躍の推進につきましては、本市で活躍する若者を表彰する「おだわらMIRAI(ミライ)アワード」を新たに創設し、その活動を広く発信するとともに、若者ならではのアイデアを具現化することができるような場や支援を提供し、若者が描く夢を実現できる魅力的なまちを目指してまいります。あわせて、女性活躍推進優良企業認定制度「小田原Lエール」を活用し、誰もが働きやすく、ワーク・ライフ・バランスを実現できる職場づくりを促進するとともに、様々な立場の女性がライフステージに応じ、自身のキャリアを考える機会を設けてまいります。
 SDGsの推進につきましては、行政が担う多岐にわたる役割を果たすことはもちろんのこと、本市の理念に共感するおだわらSDGsパートナーと共に、SDGsに関するイベントの開催や小中学校、高等学校等での講座を通じて、次世代に向けた普及啓発を図ってまいります。
 デジタルまちづくりにつきましては、令和4年度に国の交付金を活用して導入した、書かない窓口サービスや、窓口でのキャッシュレス決済、公共施設におけるフリーWi-Fi等の運用により、生活が便利で豊かになっていくことを市民が実感できるデジタル化を引き続き推進してまいります。また、デジタルを活用した新たなサービスの創出によるウェルビーイングの高いまちづくりを進めるため、DX推進計画に基づき、誰一人取り残さないデジタル化に引き続き取り組んでまいります。あわせて、デジタル化によるまちづくりを公民連携で進めていく土台を築くことを目的に、デジタル関連事業者が本市に集積し、本市のデジタル化を促進するための補助制度を創設するほか、全国の大学生を対象としたデジタルコンテストを開催し、本市のデジタル化推進の新たな原動力といたします。

5 むすび
 以上が令和5年度における市政運営の方針並びに重点的に取り組む施策であります。
 令和4年も、本市の人口動態は社会増の傾向が継続しており、その数は700人を超えたほか、各種メディアに本市を取り上げていただく機会も多く、観光客数は徐々にコロナ前の水準に戻りつつあります。そして、スマートシティや脱炭素先行地域に国から選定されたほか、民間提案制度に事業者から多数の応募があり、また、様々な事業者と包括連携協定の締結が進むなど、本市が多方面から注目されていることを実感しているところです。
 新たな人と人との結びつきが生まれているこの機を捉え、公民連携・若者女性活躍の拠点となっているおだわらイノベーションラボと、新しい働き方の拠点 Work Place Market ARUYO ODAWARA (ワーク プレイス マーケット アルヨ オダワラ)を連携させながら、効果的に機能させてまいります。
 そして、第6次小田原市総合計画「2030ロードマップ1.0」でお示しした2030年の小田原の姿や、その実現に向けた施策と方向性、そこに込めた思いを市民の皆様と共有するとともに、ゼロカーボン・デジタルタウンや健康増進拠点、小田原駅西口地区の展開について、それぞれの目指すまちの姿をお示しすることで、2030年に向かって成長していく小田原を明らかにしてまいります。
 将来都市像「世界が憧れるまち“小田原”」の実現に向け、目標達成への最適な方法を選択していきながら、小田原が持つ可能性を開花させるため、挑戦を続けてまいります。そして、“伸びゆく”小田原を皆様と一緒に創造してまいります。
 議員各位を始め、市民の皆様におかれましては、新たな時代の市政発展のためにより一層のご支援並びにご理解とご協力を心よりお願い申し上げ、令和5年度の施政方針といたします。

令和5年2月14日                                                                             
                                                                                                   
                                                                                                      小田原市長 守 屋 輝 彦

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