患者の権利
患者の権利
小田原市立病院は、地域住民の生命と健康を守るため、次に掲げた患者の権利を尊重し、患者との信頼関係に基づき、医療を提供します。
患者には、
- 人格が尊重され、良質な医療を公平に受ける権利があります。
- 病気、検査、治療、看護などについて、納得できるまで説明と情報提供を受ける権利があります。
- 治療などを選び、または、拒否する権利があります。また、他の医師の意見を求める権利(セカンドオピニオン)を尊重します。
- プライバシーが尊重されるとともに、診療の過程で得られた個人情報が守られる権利があります。
子(こ)どもの権利(けんり)
こどものみなさんへ
医療における子ども憲章
- 人として大切にされ、自分らしく生きる権利
- 子どもにとって一番よいこと(子どもの最善の利益)を考えてもらう権利
- 安心・安全な環境で生活する権利
- 病院などで親や大切な人といっしょにいる権利
- 必要なことを教えてもらい、自分の気持ち・希望・意見を伝える権利
- 希望どおりにならなかったときに理由を説明してもらう権利
- 差別されず、こころやからだを傷つけられない権利
- 自分のことを勝手にだれかに言われない権利
- 病気のときも遊んだり勉強したりする権利
- 訓練を受けた専門的なスタッフから治療とケアを受ける権利
- 今だけではなく将来も続けて医療やケアを受ける権利
関連情報リンク
人生の最終段階における医療・ケアの意思決定支援についての指針
はじめに
人生の最終段階において最も適切な医療とは何かという問題は遥か以前より医療現場では重要な課題となってきました。
この課題について患者・家族と医療者が十分に話し合い、より良き人生の締めくくりが出来るように常に努力をしていくことが求められています。
過去には「終末期医療」と言われていたものは「人生の最終段階における医療」と名称を変更されました。
諸外国ではACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生の最終段階の医療・ケアについて、患者本人が家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス)といわれます。
厚生労働省からも「人生の最終段階における医療」の在り方についてガイドラインが策定されています。
当院においてもそれに準拠して、全ての患者・家族の皆様が満足できるような人生の最終段階の医療を提供できるように指針を策定しました。
1.人生の最終段階における医療・ケアの在り方について
- 医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、患者本人による意思決定を基本とした上で、人生の最終段階における医療・ケアを進めることが最も重要な原則である。
また患者本人の意思は変化しうるものであることから、本人が自らの意思をその都度示し、それを伝えられるように医療・ケアチームが支援することが必要である。
さらに患者本人が自分の意思を伝えられない状態になる可能性もあることから、家族等の信頼できる人間を含めて、患者本人との話し合いを繰り返し行うことが重要である。
またこの話し合いに先立ち、患者本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって決定しておくことも重要である。 - 人生の最終段階における医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断する。
- 医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人・家族等の精神的・社会的な援助を含めた総合的な医療・ケアを行う。
- 生命を短縮させる意図を持つ積極的安楽死は、本指針では対象としない。
2.人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続き
(1)本人の意思の確認ができる場合
- 医療・ケア方針の決定は、本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされることが必要である。
その上で、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本として、多専門職種からなる医療・ケアチームとして方針の決定を行う。 - 時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、逐一医療・ケアチームにより適切な情報提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要である。その際に本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族も含めて話し合いが繰り返し行われることも重要である。
- このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
(2)本人の意思の確認ができない場合
本人の意思の確認ができない場合には、次のような手順により医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う。
- 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
- 家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
- 家族等がいない場合および家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
- このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。
(3)複数の専門家からなる話し合いの場の設置
上記(1)および(2)の場合において方針の決定に際して、
- 医療・ケアチームの中で患者本人の心身の状態等についての見解の相違により、医療・ケアの内容の決定が困難な場合
- 本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合
- 本人と家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合
以上の場合については、医療倫理委員会等、複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、医療・ケアチーム以外の者を加えて、方針等についての検討および助言を行う。
引用文献)厚生労働省 人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスにおけるガイドライン 平成30年3月
輸血指針について
宗教上の理由による輸血拒否について
- 小田原市立病院では、輸血拒否に対して「相対的無輸血」(輸血が生命の維持に必要な場合には輸血を行うこと。)を基本方針とする。
- 宗教上の理由で輸血拒否を望む患者に対して、患者個人の権利を尊重し、可能な限り無輸血治療を行う。
- 相対的無輸血についての当院の方針を十分説明し、患者の自己決定を尊重する。絶対的無輸血(輸血が生命維持に必要な場合でも輸血を行わないこと。)を希望される場合は、それに対応できる他の医療機関への転院を勧める。
- 相対的無輸血についての説明を受けた上で、当院での治療を選択された場合、輸血以外に救命手段がない事態に至った時には緊急避難的に輸血を実施する。
- 救急搬送された場合や、院内での予期しない急変の場合など、時間的余裕がなく絶対的無輸血に対応する医療機関への転送が不可能で、救命に輸血が必要な時には緊急避難的に輸血を行う。
- 未成年者や意思確認ができない患者に対して、相対的無輸血による治療を行う。
- 絶対的無輸血による治療を行わないため、絶対的無輸血による治療についての「免責証書」の発行及び「署名」は行わない。
【相対的無輸血】
ご本人の意思を尊重して可能な限り無輸血治療に努力するが、輸血以外に救命手段がない事態に至った時には輸血を行うという立場・考え方をいう。
【絶対的無輸血】
ご本人の意思を尊重し、たとえいかなる事態になっても輸血しないという立場・考え方をいう。
病院からのお願い
- 患者ご自身の健康に関する情報を、医師をはじめ医療提供者に対して、できるだけ正確に伝えてください。
- 他の患者の療養や病院職員による医療提供に支障を与えないようにしてください。