植栽専門部会の議論に基づくモデル的な修景整備について

史跡小田原城跡調査・整備委員会植栽専門部会においては、平成22年度の部会設置以来、御用米曲輪の史跡整備に伴う植栽の取り扱いや、小田原城址公園全体の植栽管理について議論を継続しておこなっております。

 

その議論の中で、城址公園全体の植栽管理については、 ゾーンニングや遺構の状況などを含めた全体的な計画作りにはまだ時間がかかるものの、現状の植栽をできるだけ生かして考えた試験的・暫定的な管理方法でも、今の景観をよりよくできるというご提案をいただき、まずはモデル的に修景整備を実施をして、その成果を検証していくという方向性が専門部会で認められました。

 

そのため、修景整備をすることで大きな効果が得られると考えられる、本丸広場と二の丸の銅門広場の2個所のエリアについて、造園の専門家である植栽専門部会員の立会いのもと、平成24年11月に修景整備(樹木の伐採や枝下し)を実施しました。

 

その成果を、是非実際に現地でご覧ください。 

本丸広場の修景整備

本丸広場については、透かした枝葉の向こうに天守閣を見せることにより和の風情を出すことと、樹木の幹のラインを見せて枝葉のボリュームをバランスよく整えることで樹木自体を美しく見せることをコンセプトに、修景整備を実施しました。

 

具体的には、劣勢となっておりウロも入っていたマツ1本を伐採し、他のマツ4本・サクラ1本の枝下しや剪定を行いました。

 

この修景整備により、残ったマツ自体が美しく見えるようになったとともに、ほとんど隠されていた天守閣がマツ越しに見える空間を造りだすことができました。

本丸広場(修景前)

修景前の本丸広場

本丸広場(修景後)

修景後の本丸広場

二の丸の銅門広場の修景整備

二の丸の銅門広場については、近景・中景・遠景を整えるということをコンセプトに、遠景では常盤木門や天守閣を見せ、中景では本丸斜面を見せて奥行き感をだすとともに、近景として市指定天然記念物であるビャクシン(写真左端)とイヌマキ(写真右端)を目立たせるということを目的として、修景整備を実施しました。

 

具体的には、樹形や立地が悪いマツ2本を伐採し、ビャクシンの直近にあるクスノキ1本を、ビャクシンの樹勢への悪影響やその存在を引き立てることを考えて 伐採しました。また、奥行き感を出すために、遠景や中景を遮っているクスノキ3本を伐採し、マツ1本の枝下しを行いました。

 

この修景整備により、天守閣・常盤木門・本丸斜面が見えるようになったことで非常に奥行き感を感じるようになったとともに、ビャクシンとイヌマキがせりだすように目立つようになりました。

二の丸 銅門広場(修景前)

修景前の二の丸の銅門広場

二の丸 銅門(修景後)

修景後の二の丸の銅門広場

今後の予定

今回の修景整備は、モデルケースのため、今後開催される植栽専門部会においてこの成果を検証していきます。

 

そして、このようなモデルケースを今後も何箇所か実施していき、それらの成果を踏まえて、今後の城址公園全体の管理手法にどのように広げ、つなげていくことができるのかを検討していきます。

この情報に関するお問い合わせ先

文化部:文化財課 史跡整備係

電話番号:0465-33-1718

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