インタビューvol.5
小田原らしい「まちづかい」を市民の皆さんと見つけ、可視化したい
小田原城周辺の公共空間を活用する実証実験「ステキなみちくさ」などに取り組むコトラボ合同会社代表の岡部友彦さん。
まちにコトづくりからアプローチする岡部さんに、取り組みの視点や小田原で実現したいことなどを伺いました。
まちにコトづくりからアプローチする岡部さんに、取り組みの視点や小田原で実現したいことなどを伺いました。
広報紙に関連記事が掲載されています。
岡部 友彦さん(撮影場所:弁財天通り史跡整備予定地)
どのような視点でまちづくりに取り組んできましたか?
都市の息づかいを可視化する
建築を学ぶ中で、大学院の時に「都市様相」という研究に出会いました。
「都市様相」は、音や匂い、雰囲気などを含めた都市の息づかいを、データを使って可視化しようとする研究です。都市を1つの生き物と見立て、いわゆるビッグデータを使って分析します。 例えば、東京23区のコインパーキングの空車情報をインターネット上で5分ごとに収集するプログラムを組み、1週間分のデータを集めて、地図上の各駐車場の位置に収集したデータを棒グラフで表示します。それを順番に表示していくと、棒グラフが脈打つように動きます。日中に混雑するエリア、反対に夜が混雑するエリアなど、時間帯や曜日、立地による変化を可視化して分析するわけです。
「都市様相」の研究を通して、雰囲気などの目に見えないものも含めて、地域やまちという単位で考えることに興味を持つようになりました。
「都市様相」は、音や匂い、雰囲気などを含めた都市の息づかいを、データを使って可視化しようとする研究です。都市を1つの生き物と見立て、いわゆるビッグデータを使って分析します。 例えば、東京23区のコインパーキングの空車情報をインターネット上で5分ごとに収集するプログラムを組み、1週間分のデータを集めて、地図上の各駐車場の位置に収集したデータを棒グラフで表示します。それを順番に表示していくと、棒グラフが脈打つように動きます。日中に混雑するエリア、反対に夜が混雑するエリアなど、時間帯や曜日、立地による変化を可視化して分析するわけです。
「都市様相」の研究を通して、雰囲気などの目に見えないものも含めて、地域やまちという単位で考えることに興味を持つようになりました。
「都市様相」の研究で作成したコインパーキング混雑状況のグラフ
(カーソルをあわせると違う時間帯のグラフを表示します)
まち単位でのコトづくり
卒業後は、横浜の寿町地区など実際にまちづくりに関わる中で、まちという1つの単位に対して何を変えると人の流れができるか、状況が変わるかを考えてきました。
まちの課題を解決するためには、建築などのモノを作ることだけではなく、コトづくり、つまりコミュニティのデザインや「都市様相」の研究を通して考えてきたまちの雰囲気など、目に見えないものも一緒に考えていく必要があるのではないか。それを、まちや地域を単位にしながら取り組んでいくことが大事ではないかなと思っています。
まちの課題を解決するためには、建築などのモノを作ることだけではなく、コトづくり、つまりコミュニティのデザインや「都市様相」の研究を通して考えてきたまちの雰囲気など、目に見えないものも一緒に考えていく必要があるのではないか。それを、まちや地域を単位にしながら取り組んでいくことが大事ではないかなと思っています。
小田原の魅力や特徴を教えてください
プレイヤーが集まるまち
やはり小田原は、まちのポテンシャルはすごくあると思います。
歴史的な文脈、新幹線駅があり箱根が近いという立地的な資源、さらには山・海という自然もあって、非常に可能性を感じました。 また、空き家があるということも、私は価値だと思っています。更地にされて駐車場ばかりになっているまちも結構多いですよね。そういう中で、小田原では、更地にならずに建物として活用できる可能性が残っていると捉えています。
そして何より、小田原にはまちづくりのプレイヤーの方々がいらっしゃるので、私自身も一緒に取り組めたらすごく面白そうだなという期待があります。
移住してビジネスを始めている人も多いですよね。自分でビジネスを始めるような人が移住したいと思える魅力があるのだと思います。 時間の流れが少し緩いというか、豊かというか、そういうところが魅力的なのではないでしょうか。東京では、家賃が高かったりしてランニングコストが大きくなる分、ガツガツ働く必要があります。そういった面で、小田原では少しゆとりが生まれるのかもしれません。 その上で、先ほどお話しした小田原のポテンシャルがあって、さらに、徒歩圏、自転車圏で仲間づくりができるような完全な車社会ではないことが、選ばれる理由ではないでしょうか。
歴史的な文脈、新幹線駅があり箱根が近いという立地的な資源、さらには山・海という自然もあって、非常に可能性を感じました。 また、空き家があるということも、私は価値だと思っています。更地にされて駐車場ばかりになっているまちも結構多いですよね。そういう中で、小田原では、更地にならずに建物として活用できる可能性が残っていると捉えています。
そして何より、小田原にはまちづくりのプレイヤーの方々がいらっしゃるので、私自身も一緒に取り組めたらすごく面白そうだなという期待があります。
移住してビジネスを始めている人も多いですよね。自分でビジネスを始めるような人が移住したいと思える魅力があるのだと思います。 時間の流れが少し緩いというか、豊かというか、そういうところが魅力的なのではないでしょうか。東京では、家賃が高かったりしてランニングコストが大きくなる分、ガツガツ働く必要があります。そういった面で、小田原では少しゆとりが生まれるのかもしれません。 その上で、先ほどお話しした小田原のポテンシャルがあって、さらに、徒歩圏、自転車圏で仲間づくりができるような完全な車社会ではないことが、選ばれる理由ではないでしょうか。
普通のまちにはあるものがない?
小田原に関わるようになって疑問に思ったことは、小田原駅から南のエリアは子ども向けの公園がとても少ないことでした。
お城や神社仏閣が遊び場として機能していたのかなとか、遊園地や図書館が城内にあったことからもお城は市民のための空間としての要素が強かったのかなとか、かつてのまちの使われ方を想像しながら背景を考えているところです。
小田原は、お城などの普通のまちにはない資源がある一方で、普通のまちに当たり前にあるものがない、ということも一つの特徴であり隠れた課題でもあるかもしれません。
お城や神社仏閣が遊び場として機能していたのかなとか、遊園地や図書館が城内にあったことからもお城は市民のための空間としての要素が強かったのかなとか、かつてのまちの使われ方を想像しながら背景を考えているところです。
小田原は、お城などの普通のまちにはない資源がある一方で、普通のまちに当たり前にあるものがない、ということも一つの特徴であり隠れた課題でもあるかもしれません。
小田原では、どのようなことに取り組みたいですか
「まちづかい」が重要
小田原に限らないことですが、「まちづかい」という言葉を作っていくことが大事だなと思っています。
昔は、水を汲むついでに井戸端会議をしたり、銭湯に行ったり、商店街で買い物がてらご近所さんと立ち話をしたり、生活がまちの中に広がっていたわけですね。そうすると、自然とまちを使う意識が生まれるのではないかなと思うのですが、この100年ぐらいでこういったものが極端に減ってしまったのだと思います。生活は自分の家の中で解決できて、自己完結、自己責任。家の外のことは行政の責任。というような切り分けがされてきてしまった。
生活者自身が、自分の家の中だけではなくて、まちをどう使えるか「まちづかい」がどれだけ上手くなるかが、豊かな暮らしのために重要だと思います。
昔は、水を汲むついでに井戸端会議をしたり、銭湯に行ったり、商店街で買い物がてらご近所さんと立ち話をしたり、生活がまちの中に広がっていたわけですね。そうすると、自然とまちを使う意識が生まれるのではないかなと思うのですが、この100年ぐらいでこういったものが極端に減ってしまったのだと思います。生活は自分の家の中で解決できて、自己完結、自己責任。家の外のことは行政の責任。というような切り分けがされてきてしまった。
生活者自身が、自分の家の中だけではなくて、まちをどう使えるか「まちづかい」がどれだけ上手くなるかが、豊かな暮らしのために重要だと思います。
小田原らしい「まちづかい」を市民の皆さんと見つけたい
小田原では、お祭りの時には人々の活動が路上へとにじみ出してきて、すごく上手にまちが使われていると思います。日常的な使い方はまだ見えてこないですが、おそらく潜在的な小田原らしい「まちづかい」を持っているのではないでしょうか。
小田原城周辺で公共空間を活用する実証実験「ステキなみちくさ」に取り組んでいます。 この取り組みを通して、市民の皆さんと一緒に小田原らしい「まちづかい」を見つけ、可視化していきたいです。
都市のタイムスパンは100年、200年、500年、1000年と人間よりも長いですから、急激には変わりません。長期目線でじっくり取り組む必要があると思います。
小田原城周辺で公共空間を活用する実証実験「ステキなみちくさ」に取り組んでいます。 この取り組みを通して、市民の皆さんと一緒に小田原らしい「まちづかい」を見つけ、可視化していきたいです。
都市のタイムスパンは100年、200年、500年、1000年と人間よりも長いですから、急激には変わりません。長期目線でじっくり取り組む必要があると思います。
お堀端通りに設置した取組拠点の前で。岡部さんと取り組みスタッフのお二人。
「ステキなみちくさ」弁財天通りの史跡整備予定地の様子。おもちゃなどを置いて広場の利用を促している。
岡部 友彦(おかべ ともひこ)
コトラボ合同会社 代表
2004 年東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士前期課程修了。2007 年 コトラボ合同会社設立。横浜市寿町地区や松山市三津浜地区などで、コトづくりからのまちづくり事業として、地域の埋もれたアセット(資産)を活用し、地域コミュニティの課題改善に関する事業を行っている。
この情報に関するお問い合わせ先
都市部:都市政策課 都市デザイン係(UDCOD事務局)
電話番号:0465-33-1758