─公共施設の整備と課題─
小田原市長 加藤 憲一
4月から、待望の新しい公共施設が動き出しました。一つは、市内初の公立幼保連携型認定こども園である「たちばなこども園」。4月から多くの園児が通園を始め、小田原産木材をふんだんに使用した園舎にはこどもたちの元気な声が響き渡っています。もう一つは、積年の宿願であった「小田原市立総合医療センター」。4月19日に開院記念式典が挙行され、5月の連休明けから外来診療も開始の予定で、小田原市民はもとより県西地域の高度急性期医療を支える基幹医療拠点として、役割を発揮していくことになります。
新たな公共施設は、それぞれの機能に応じ、市民からの大きな期待と固有の役割を背負って整備されます。たちばなこども園には小田原の未来を担うこどもたちの心身の健やかな成長に資するように、また市立総合医療センターには地域住民のいのちを守る砦(とりで)となるように、それぞれ然るべきスペック(仕様水準)を確保・実現しました。一方でこうした建設事業は、ここ数年来の資材や諸経費の高騰、深刻な人材不足による人件費の高騰などによって、建設費は当初の予想を大きく超えています。特に総合医療センターの場合、基本協定締結時が約164億円であったのに対し、複数回に及ぶインフレスライドの適用により、最終的には約290億円を超えました。大きく上振れた分は当初見込んだ建設費返済に上乗せとなり、後年度の重い財政負担となります。
今後、建設業界を巡る諸経費高騰や人材不足の改善が見込みにくい中、公共施設の維持修繕、さらには改築などについては、原則として可能な限り長寿命化を進めると共(とも)に、機能を複合化するなどして施設数を絞り込んでいくことも必要になります。もちろん、環境事業センターや、今後具体に検討が始まる「新しい学校づくり」、ひどく老朽化した郷土文化館の後継施設など、いずれ新たな建設が必要となるものについては、適正な規模や仕様、機能統合などを視野に入れ、市民のために価値あるものとしつつも後年度の財政負担が過重にならぬよう、十二分な検討が不可欠となります。
いずれにしても、各種公共施設は、行政サービスや生活上の便益を提供し、地域社会の円滑な運営などを支える、極めて大切な共有資産。息長くその役割を果たせるよう、大切に利用し使っていきたいものです。
※題字は小田原市長