―まち歩きで観せる地域の「光」―
小田原市長 加藤 憲一
5月3日、小田原市最大の観光イベント「北條五代祭り」が盛大に開催されました。今回で62回目を数え、今年も大勢の人たちが沿道を埋め尽くし、観光都市でもある小田原を象徴する催事となっています。この祭りを含め、本市では、城下町・宿場町に由来する多彩な歴史・文化遺産、加えて小田原漁港周辺の海なりわいを中心に、裾野の広い観光関連の産業や事業が展開されており、小田原の魅力発信と集客の核を担っています。
そうした中、小田原では近年「まち歩き」に力を入れ始めています。これは「観光」が「光を観(み)る」営みであること、今日においてその「光」とは何か、という自問から始まっています。
従来の観光では「光」とは神社仏閣や景勝地などのいわゆる名所旧跡が主たるものだったでしょう。社会が成熟し「豊かさ」の質が問われる中、日常から離れ出会いや悦(よろこ)びを求めて旅する人たちにとって、その地に宿る独自の文化や暮らし、地域に息づくなりわい、郷土色の濃い食や祭礼、店先で交わす店主との会話、まちの人々の温もりなど、当地の住民が当たり前に享受しているものにこそ、魅力を感じるのではないでしょうか。そうした観点に立つと、小田原には実に多彩な、そして魅力的な「光」が充(み)ちています。
小田原市観光協会などの皆さんと連携し、3月に3カ所の地域にて「市民まち歩きツアー」を開催しました。小田原城周辺の観光まち歩きから離れ、下曽我・栢山・国府津のエリアにて、各地の住民がガイド役となり、各地の「光」をご案内する企画。「小田原まち歩き実行委員会」と各地域の皆さんが準備を重ね、コースを設定。古(いにしえ)からの物語を秘めた神社や寺院、田んぼを支える育苗施設、住民に愛されている鮮魚店、湧水を使った豆腐の銘店、細い路地の向こうに現れる海の眺め…。私も参加しましたが、そうした場所や営み、人々との出会いは、地域外から訪れた人たちのみならず、ガイド役を担ったご当地の人たちにとっても、新たな出会いや気付き、そして郷土への誇りとなったようです。
今後小田原では、いわゆる観光地ではない、こうした各地域の「光」を、ご当地の皆さん自身が見いだし、磨きをかけ、発信し、来訪者を迎えることにつながるような「まち歩き」を、多くの関係者の皆さんと共に育てていきたいと願っています。
※題字は小田原市長