No.1289
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市長連載「誠実・信頼・希望」

小田原市長 加藤 憲一

―小田原の『梅』を次世代へ―

自然環境に恵まれ長い歴史の中で産業や文化を培ってきた小田原には、数々の誇るべき地域資源がありますが、その代表格の一つが、市の木である「梅」。市章のデザインにもなっており、小田原市観光PRキャラクター「梅丸」もすっかり定着、小田原を象徴する農産物です。

戦国時代には疲労回復に、江戸時代以降は旅人の携行食としても重用され、関東で屈指の産地に。水はけの良い扇状地、日照時間の長い南西向けの斜面など地の利にも恵まれ、良質な梅が作られてきました。3万5千本といわれる曽我の梅林は、雪化粧した富士山を背景に梅の花を観賞できる景勝地としても有名。和歌山の南高梅にも勝る柔らかで肉厚な梅干し向け最秀品「十郎」、漬け梅に最適の丈夫な「白加賀」を中心に品種も広がっており、曽我の梅は多くのファンを獲得しています。

ところが、近年は梅の栽培農家の減少、高齢化による離農などで、手入れのされない梅林が広がっています。梅の木は剪定(せんてい)を怠ると徒長枝が発生し、2~3年で高木化し収穫もおぼつかなくなります。梅をもいだり拾い集めたりする収穫作業、漬け込みや天日干し、生育旺盛な枝の剪定と処分など、さまざまな作業を支える担い手を増やしていく必要があります。群馬県安中市の秋間梅林では、移住した若者たちが応援隊をつくり、市民を巻き込んで梅の産地を支える活動を展開、梅林の存続と活性化につながっています。

また、担い手が減り老木化と高木化が進んでいたところに、特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の生息が確認され始めています。このカミキリは幼虫が木の中に入り込んで、木部を食べながら成長し、その木を枯らしてしまうのです。「全国梅サミット」で交流のある埼玉県越生町では、町域にある約6千本の梅の約1割が、カミキリによって枯死したと聞いています。繁殖力がとても強く、有効な駆除方法は未確立のため、食害が発見された木は、場合によっては、伐採して焼却する必要があります。7月末には緊急防除が行われましたが、農業者だけでなく市民の皆さんの協力も得てカミキリの繁殖を防がねばなりません。

小田原の名産である「梅」は、今ピンチを迎えています。この素晴らしい宝を未来へと受け継ぐため、市を挙げて支えていきたいものです。

※題字は小田原市長

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