No.1290
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故郷・小田原から始まった物語と、その軌跡

担当キュレーターに話を聞きました

オフィスゴンチャロフ 山口 洋三さんのポートレート
オフィスゴンチャロフ 山口 洋三さん

故郷・小田原で初開催

本展覧会のタイトルは「富野由悠季の原点」。「故郷・小田原を出発点に、どのように創造の力を羽ばたかせたのか」に焦点を当て、富野監督と小田原の関係に迫ります。

今回は、各作品の世界観である「宇宙」だったり「未来」だったり、富野監督が今まで主題としてきたことをテーマとしています。小田原で過ごした時期に描いたものや、デビュー後のアニメーション作品に関する資料などを展示して、富野監督の原点をたどるという企画です。

会場が二つに分かれ、それぞれテーマがあるのですが、2会場で一つの展覧会という構成としています。

各展覧会から垣間見える富野監督の創造性に触れていただき、展覧会を見た後に「実際のアニメ作品を見たいな」と思っていただけるとうれしいです。

「富野監督の原点は何か」についてひもとく 二つのテーマ

小田原城天守閣でのテーマは「小田原から宇宙へ」

皆さんご存じのとおり、富野監督は小田原の出身です。富野監督の創造の原点には、小田原で過ごした日々があると思います。

特に小学生だった1950年代、まだ人間が宇宙へ行けるか行けないかの時代。富野監督は宇宙旅行や月世界に興味を持って、ロケットの構造を学んだり、ペン画や水彩画で宇宙船を描いたりしていました。こうして富野監督が抱いていた、いずれ未来で実現するかもしれない宇宙への憧れなどが分かる当時の作品を展示します。

もう一つ、富野監督の原点となったのが漫画『鉄腕アトム』です。この作品では、人間の形をしたロボットが存在する未来世界が登場するのですが、当時、富野監督はこの魅力に惹(ひ)かれました。後に、制作者である手塚治虫氏が設立したアニメ制作会社である虫プロダクションに入社し、アニメ『鉄腕アトム』の演出に携わっていくのですが、本展覧会では、その時の絵コンテなどアニメ関連資料も展示します。

また、富野監督の業績を年表形式で展示し、彼の功績を大づかみできるような内容としています。

中学1年生のころに描いた宇宙船(1954年)
Ⓒオフィス アイ▲ 中学1年生のころに描いた宇宙船(1954年)

三の丸ホールでのテーマは「富野ワールドへの招待状」

ここでは、富野監督がこれまでに監督した『機動戦士ガンダム』をはじめ、数々のアニメ作品の資料を展示します。

富野監督の世界は、一つ一つメッセージ性が強くて、リアルな人間ドラマが描かれています。例えば、戦いのシーンでは、勝つとか負けるとかでなく、どちらも戦う理由があって「正義」なのです。「ロボットかっこいいな」と思うだけにとどまらない魅力があるのです。

ロボットのデザインや、キャラクターの性格が、なぜそうでなければならないのか。作品の中で繰り広げられている架空の世界でのリアリティーを追求した、富野監督の考えや制作姿勢を垣間見ることができる内容となっています。

ご挨拶

戦前は化学系の技術者でした父からの影響というのはあったのですが、中学時代に出会った漫画と絵物語の影響から、文芸に惹かれるようになって、虫プロダクションという会社に入社できたことが、すべてを決められてしまったのです。

電動紙芝居と揶揄(やゆ)される作品を、週1本ずつ制作する現場は、風光明媚(めいび)な小田原に、2日と帰ることができない職場だったのです。しかし、新興の仕事であったおかげで、作品スタイルの構築というものを可能にさせてくれたので、僕のような人間でも、付け入るスキがあった業態だったのです。

富野 由悠季さんの近影とサイン

富野 由悠季

ですから、次の世代に見てもらえるコンセプトを伝えることができる媒体でもあるという理解ができましたので、どのようなタイトルの作品でも全力を尽くしてやってきたのです。その結果が、今回の展覧会でお見せできる展示品になっている、ということなのです。

展覧会「富野由悠季の原点 ―小田原から宇宙(そら)へ―」

  • 第1会場小田原城天守閣 4階展示室11月6日(金)〜12月6日(日)
  • 第2会場三の丸ホール 小ホール・ギャラリー回廊11月23日(祝)〜12月6日(日)

※チケットなど詳しくは、公式ホームページをご覧ください。

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