市立総合医療センター
救急体制の強化で安心のまちへ
迅速な連携で命を救う
旧市立病院では、平成21年4月に県西二次保健医療圏内唯一の救命救急センターが設置されて以降、24時間365日体制で救急患者の受け入れを行ってきました。令和7年度には、年間約7千件の救急車を受け入れました。
5月に開院した市立総合医療センターでは、地域の皆さんに、より質の高い救急医療を安定的に提供するため、設備の充実と体制の強化を図っています。
ハイブリッドERとeICU
救命救急センターでは、従来の救急治療室の機能に加え、CT撮影、血管造影検査、手術台などを一つにまとめた「ハイブリッドER」を整備しました。一分一秒を争う救急患者の、検査などによる移動を最小限に抑え、より迅速な治療が可能となるため、重症患者の救命率の向上につながっています。
また、昭和医科大学病院との連携により、同大学病院の集中治療専門医と認定看護師が「集中治療専門医遠隔集中支援システム(eICU)」を通じて、呼吸や心拍数、血圧などのバイタルサインや経過記録などを確認し、24時間体制で患者さんを見守っています。
eICUを介して、本医療センターICUスタッフと同大学病院の集中治療専門医がカンファレンスを実施し、今後の治療方針や、患者さんが急変した際の対応などについて相談したり、共有したりしています。
本医療センターでは、eICUを備えたICU病棟を4床から16床に増床し、重症の患者さんを集中的に管理する体制を強化しました。
救急ワークステーション
「救急ワークステーション」は、市消防本部が本医療センターの開院に合わせて設置した施設です。ここでは、救急救命士が医師の指示の下で病院実習を行いながら活動しています。
施設の運営は、市消防本部の救急救命士1人と、消防署から派遣されて病院実習をしている救急救命士2人の計3人で行っています。普段は、救命救急センター内で実習を重ね、平日昼間に119番通報で重症と思われる事案が発生した際は、救急車に医師を同乗させて現場に向かいます。現場で医師が救急救命士に直接指導することで、今まで以上に的確な対応と処置が可能になり、救急救命士のスキルもさらに向上します。医師が現場で早い段階から治療に関わるため、重症の患者さんに迅速な対応ができるようになります。
また、救急車の要請が重なった場合には、救急ワークステーションは通常の救急隊としても活動できるなど、柔軟に対応する仕組みが整っています。
救急ワークステーションにより、救急隊と医療スタッフのつながりが深まり、これまで以上に円滑な救急活動が可能となることで、地域住民の安全や安心にもつながります。
ヘリポート
本医療センターの屋上に設置されたヘリポートは、ドクターヘリや消防ヘリの離着陸場として、緊急性の高い患者さんの受け入れに使われます。
県では、東海大学医学部付属病院を拠点に、ドクターヘリの運航を行っています。本医療センターでは、同病院と訓練を行い、開院当初から受け入れができるよう準備を進め、現在、順調に稼働しています。また、9月には、横浜市消防局航空隊との消防ヘリ訓練も実施しました。
運用には、消防、ドクターヘリ、ヘリポートを備えた病院の連携が欠かせません。ドクターヘリおよび消防ヘリは、市消防本部からの要請で出動しており、本医療センターでは、ヘリポートを円滑に運用し、迅速な救命措置が行えるよう、訓練などを通じて関係機関との連携を図っています。
また、ヘリポート、手術室、救命救急センター、分娩(ぶんべん)室を最短でつなぐ、エマージェンシーライン(緊急動線)として救急用エレベーターが設置されており、ドクターヘリで搬送された患者さんを、いち早く治療できるようにしています。さらに、ヘリポートはドクターヘリの運用に使用する他、災害時に陸路が寸断された場合の患者さんの搬送や、物資の輸送にも使用できます。
県西二次保健医療圏唯一の救命救急センターとして、今後も、皆さんが安心できる救急医療を提供します。
ドクターヘリ患者受け入れの主な流れ

救急ワークステーションの取り組み
救急ワークステーション 府川救急救命士
救急ワークステーションでは、医師と一緒に救急車で現場に出動し、その場で助言を受けることができます。また、現場活動が終わると、医師と一緒に、その日の活動を振り返りながら改善点について話し合います。この振り返りで得られる助言を通じて、医学的知識や技術をさらに深め、次の現場で生かすことができるので、救急救命士として成長を実感する毎日です。派遣された救急救命士が実践的な知識を学び、実習を終えたら、それを所属の各消防署に持ち帰ることで、消防全体のスキル向上につながります。他の救急救命士たちが実習により日々スキルアップしていく様子を見ると、救急ワークステーションが、地域の皆さんにも自分たちの成長にも役立っているのだと感じ、とてもうれしく思います。この大きなプロジェクトを支える仕事を任されたことに、責任と誇りを感じています。
今後も、地域の救急体制の強化に尽力したいと思います。
最先端の医療を迅速に提供
市立総合医療センター 救命救急センター長 梅鉢医師
救急医療では、命を救うため、一刻も早く必要な医療につなげることが重要です。市立総合医療センターでは、救急ワークステーションと屋上ヘリポートの運用開始により、救急隊と病院がより連携し、患者さんの受け入れから治療までを、これまで以上に迅速かつ円滑に行える体制が整いました。また、ヘリによる搬送では、遠方からの重症患者さんの受け入れや、より専門的な治療が必要な人を速やかに適切な医療機関につなぐこともできます。さらに、ハイブリッドERでは、病院到着からすぐに検査や治療を開始します。このような機能を備えた本医療センターは、小田原市と周辺地域の皆さんの安心を支える新たな力です。
一人でも多くの命を救える地域の中核となる総合医療センターとして、これからも県西医療圏を守るため、消防や周辺医療機関とも力を合わせ、私たちは全力で取り組んでいきます。
新たな拠点で救急搬送体制を強化
東海大学医学部付属病院 副院長
元市立病院 救命救急センター長 守田医師
神奈川県のドクターヘリは、東海大学医学部付属病院が運航委託を受け、四半世紀にわたり県内における救急医療の向上を目指してきた中、今年5月には、市立総合医療センターに屋上ヘリポートが新設され、新たな拠点として運用が開始されました。
県西地域における救急医療の中核を担っている同医療センターにヘリポートが設置されたことで、これまで搬送に時間を要していた事故現場や急病発生現場から同地域へのアクセスが大幅に改善されることとなりました。また東海大学との連携体制も一層強化されることで、重症患者さんの治療開始までの時間が大幅に短縮されることが期待できます。
今後は、県西地域全体における救急搬送ネットワークのさらなる高度化や、大規模災害時における広域医療支援体制の充実など、ドクターヘリを核とした地域医療の発展が見込まれています。