所信表明・施政方針

令和8年度施政方針(令和8年2月16日)

 
1 はじめに
 令和8年度は、第7次小田原市総合計画第1期実行計画がスタートする年であり、基本構想で描いた将来都市像「誰もが笑顔で暮らせる、愛すべきふるさと小田原」の実現に向けて、確かな歩みを進める一年となります。
 世界を見渡せば、気候変動による災害の激甚化・頻発化、農作物や生態系への深刻な影響が、既に各地で顕在化しています。国際情勢に目を向ければ、自国優先や対外強硬的な流れが強まり、混迷の度合いを深め、暮らしや経済の先行きを見通すことが難しい状況となっています。
 国内においては、人口減少・少子高齢化、担い手不足、社会インフラの一斉の老朽化、相対的貧困層の増加、物価高など、未曾有の課題が同時並行的に私たちを取り巻いています。また、コロナ禍を経て、大都市圏への一極集中から地方分散へ、経済成長至上主義から環境との調和や共生を重視する価値観へと潮流の変化も生まれており、豊かな自然環境の中での子育てを望む若い世代が増え、二地域居住といった新たなライフスタイルも広がりを見せています。企業活動においても、生物多様性や二酸化炭素排出抑制といった環境配慮の姿勢が、企業の評価そのものに直結する時代となりました。
 こうした社会情勢を踏まえつつ、本市における令和7年度を振り返ります。
 まず、新たな基本構想の策定により第7次総合計画がスタートし、同時に令和8年度から今後3年間の具体的な取組を示す第1期実行計画の策定作業を全庁的に進めてきました。多くの市民意見の聴取と総合計画審議会からの答申を経て、完成に至ろうとしています。私自身も、全26の自治会連合会区域ごとの地域活動懇談会において、各地区の現状や課題をつぶさに確認し、高齢化や担い手不足の深刻さを改めて把握するとともに、関係各方面の皆様との対話などを通じて本市との関係性を再認識した、いわば市政運営の足場固めに取り組んできた一年でありました。
 一方で、職員の逮捕をはじめとして市民からの信頼を大きく損なう事案が相次ぎ、極めて深刻な事態を招いた年でもありました。市政の根幹が問われている危機的状況にあるともいえ、組織のあり方を根本から見直し、市政運営の質を向上させていく必要性を痛感しています。
 令和8年度は、こうした国内外の社会情勢の変化やこれまでの本市の取組、さらには行政組織として直面した深刻な課題を真摯に受け止めながら、第1期実行計画に位置付けた取組を着実に推進してまいります。市民生活を支える基盤づくりを確実に進めるとともに、人々の価値観や時代の潮流の変化を的確に捉えつつ、小田原の特性を最大限に生かした施策を展開し、市民からの信頼回復と持続可能な市政運営の確立に全力で取り組んでまいります。

2 市政運営の基本方針
 総合計画の着実な推進に向け、市政運営の基本的な方針について、4点申し述べます。
 第1に、小田原が有する強みや価値を明確に認識し戦略的に育てていきます。本市には、将来都市像の実現に資する多様な地域資源が存在しています。今後の市政運営を考える上で、まちづくりの資源である5つの力を戦略的に育て、将来の成長や価値の創出につなげていくことが極めて重要であると考えております。豊かな自然環境から生み出される安全な食やエネルギーなど、人のいのちをはじめ日々の営みを支える「自然の力」。地域活動や支え合いを通じて育まれてきた人と人とのつながりが地域を支え、安心と温かさを生みだす「人の力」。歴史ある市街地や暮らしやすい住環境といった小田原が持つ基礎的な都市の機能としての「まちの力」。地域に根ざした多彩な産業が地域社会の営みを支え、地域で価値を生みだす「産業の力」。小田原城に象徴される歴史やなりわい、風土の中で育まれた多様な文化資産が息づき、市民の誇りと愛着を育てる「文化の力」。これらの資源の価値を市民や多様な主体と共有し、市内外に明確に示すことは、シビックプライドの醸成につながるとともに、人材、投資、連携を呼び込む基盤となります。
 第2に、オール小田原による協働の進化です。限られた人的資源と財源の中で取組の効果を最大化するためには、DX等による業務効率化に加え、人の能力を引き上げていくことが不可欠です。職員の能力発揮を前提として、行政課題の解決や新たな価値の創出に向け、市民、団体、事業者との協働について、その実効性を一段と高めていく必要があります。第1期実行計画に位置付けた協働プロジェクトの推進においては、理念や方向性の提示にとどまらず、プロジェクトごとに目標を掲げ取組の成果を積み重ねることが、次なる協働の展開につながるものと考えています。
 第3に、財政基盤の抜本的強化です。将来にわたる行政サービスの持続可能性を担保するため、歳入確保と歳出抑制を両輪とした財政的余力の創出に向け、各種税財源及び諸収入の適正な確保、行政改革の徹底に加え、ふるさと応援寄附金受入額の拡大、市有資産等を利活用した新たな財源の創出を目指し、それらを推進する専任体制を整備します。
 第4に、全庁的な組織体制と人材配置の最適化です。今述べた取組を推進していくためには、効率的・効果的かつ適正に事業を実施できる組織をつくり、職員一人ひとりが市として目指す方向性を認識した上で、各所属における役割と責任を確実に果たす体制の構築が不可欠です。職員が個別に業務を遂行するのではなく、組織としての知見や経験を共有し、これを蓄積し継承できるよう、チームワークを重視した組織運営と職場づくりに取り組んでまいります。

3 令和8年度に取り組む主な事業
 令和8年度の市政運営に当たり、基本構想に示した5つのまちづくりの目標に沿って、令和8年度に取り組む主な事業をご説明申し上げます。

【いのちを大切にする小田原】
 ケアタウンの推進につきましては、誰もが安心して暮らし続けることのできる支え合いの地域社会「ケアタウン」の実現に向け、第5期地域福祉計画を策定するとともに、新たに地域福祉活動支援員を配置し、各地区での支え合い活動や交流活動の持続的な展開や充実、新たな活動の立ち上げなどを支援する体制の強化を図ってまいります。また、高齢者や障がい者が必要な支援を受けられる相談支援体制の充実に加え、市民が障がい児等やその家族を支援するための関わり方を学ぶ機会について検討してまいります。さらに、高齢者や障がい者がいる世帯へのエアコン設置や加齢性難聴者の補聴器、がん患者の医療用ウィッグの購入に係る助成事業を新たに実施してまいります。
 健康増進計画の推進につきましては、関係機関や団体との共催による健康イベントを継続して実施するなど市民の健康づくりを支援し、健康寿命の延伸を目指してまいります。また、健康増進環境の質の向上のため、小田原医師会や常葉大学と連携し、地域の運動資源を活用した運動療法の実装と拡大に向けた検討を進め、市民が安全で効果的な運動に取り組みやすい環境づくりを推進してまいります。
 こども・若者施策の推進につきましては、次世代を担う全てのこども・若者が、将来にわたって自分らしく幸せに生きられる社会を地域全体で創造するため、小田原市こども計画に位置付けた事業の推進に全庁的に取り組んでまいります。また、こども・若者、子育て当事者が、地域の多様な主体とつながり合い、様々な活動に参画できる環境づくりを進めてまいります。さらに、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、妊婦健診の助成額を拡充することに加え、新たな取組として、乳児の1か月健診に対する費用助成を開始するほか、就学に向けて支援が必要なこどもを早期に発見し、適切な支援につなげる5歳児健診の実施について検討してまいります。
 地域医療連携の推進につきましては、県が策定する新たな地域医療構想における地域完結型の医療・介護提供体制の構築に向け、県や関係機関と協議を進めてまいります。
 市立病院は5月4日に小田原市立総合医療センターとして開院します。新病院は、病室拡充をはじめとする療養環境の向上、三次救急・災害医療機能や患者サポート体制の充実など、県西地域の中心的な医療拠点にふさわしい機能を備えております。開院後は、直ちに旧病院の解体工事に着手するなど、グランドオープンに向けた整備を進めてまいります。また、新たな委員会を設置し、適切な経営形態のあり方を検討してまいります。
 人権啓発につきましては、誰もが人として大切にされ、共に生き、支え合うまちづくりを目指し、講演会の開催やパネル展示を実施し、人権についての市民の正しい理解と認識を深め、意識のさらなる向上を図ってまいります。
 平和施策の推進につきましては、平和都市宣言の趣旨に沿って、争いのない平和な地域社会を創るために、児童や生徒をはじめ市民全体で平和の大切さについて学び考える機会を提供してまいります。

【自然環境の恵みがあふれる小田原】
 地域循環共生圏の構築につきましては、環境保全活動に係るプラットフォーム機能を担うおだわら環境志民ネットワーク等との連携により、身近な環境課題の解決に向けて取り組むことをはじめ、森里川海オールインワンの豊かな自然環境からもたらされる地域資源を生かし、環境・経済・社会を統合的に向上させることで、自然環境の恵みがあふれ、暮らしや営みと調和するまちを目指してまいります。また、市民をはじめ多様な主体との協働により、市内における遊休空間の環境保全と活用を図る環境再生プロジェクトに取り組んでまいります。
 生物多様性の維持・保全につきましては、ネイチャーポジティブ宣言を行うとともに、公益財団法人日本自然保護協会のネイチャーポジティブ自治体認証を取得し、多様な主体との協働により取り組む機運を醸成してまいります。また、自然共生サイトの認定拡大を進め、市内の保全活動に対する民間企業等からの支援を引き込むなど、生物多様性の保全を推進してまいります。
 森里川海の保全・活用につきましては、森林が有する多面的機能を持続的に発揮させるために必要な森林整備を行うほか、航空レーザ計測データを活用した森林の現況調査・ゾーニングや、自伐型林業の導入準備に取り組んでまいります。
 生活環境の保全につきましては、小田原市・足柄下地区ごみ処理広域化協議会において策定するごみ処理広域化基本構想に基づき、広域ごみ処理施設の候補地選定に係る調査検討を行ってまいります
 脱炭素につきましては、2050年までの脱炭素社会の実現に向け、市民や事業者による屋根や農地等への太陽光パネルの導入を重点的に支援するとともに、多くの市民や事業者が参加するエリアエネルギーマネジメントとして全国的にも先進的なモデルとなる電力地産地消プラットフォームの運営を開始し、エネルギーの地域自給を促進してまいります。また、国の選定を受けた脱炭素先行地域づくりにつきましても、引き続き、小田原城や小田原駅東口エリアの商店街等におけるゼロカーボン化に取り組んでまいります。

【未来を拓く人が育ち、地域の絆が結ばれる小田原】
 こども・若者の社会参画の推進につきましては、新たな取組として、二宮尊徳翁の教えを取り入れた宿泊体験学習を実施するほか、若者が地域で活躍するきっかけとなる講座を開催してまいります。
 幼児教育・保育の質の向上につきましては、保育園と幼稚園の機能を併せ持つ市内初となる公立幼保連携型認定こども園「たちばなこども園」を開園するとともに、新たにこども誰でも通園制度を実施するほか、すべての公立保育所等で主食の提供を開始するなど、保護者の保育ニーズに応える体制を整えてまいります。また、奨学金を利用して保育士の資格を取得し、市内民間保育所等に就職した方に対し、新たに奨学金返済への経済的支援を行うことで、就職希望者が小田原市を選択することができる環境を整え、保育人材の確保と定着を図ってまいります。
 教育活動・支援体制の充実につきましては、小田原版STEAM教育を市内全中学校で継続してまいります。この事業を通して、生徒の探究的な学びが学校内で完結することなく、地域社会に目を向け、社会に参画していくような広がりを見せることを目指してまいります。
 教育環境の整備では、中学校特別教室の空調設備設置に加え、市内4校の屋内運動場に空調設備を先行導入するほか、学校配置も含めた新しい学校づくり推進基本計画について、着実かつ丁寧な検討と合意形成を図ってまいります。
 学校給食につきましては、保護者負担を軽減するため市立小学校の給食費を無償化することに加え、市立中学校の給食費を減額してまいります。また、児童生徒の心身の健全な発達に向け、安全・安心で栄養バランスや量を保った美味しい給食を安定的に提供するとともに、環境負荷低減に配慮した農産物や地場産品の活用による献立の充実を図ってまいります。
 市民活動の推進につきましては、市民活動・協働応援制度補助金を運営し、市民活動団体を財政的に支援することで活動を活性化させ今後の自立を促すとともに、当該補助金を含めた財政的支援が気軽に活用されるような仕組みを検討してまいります。
 おだわら市民学校につきましては、事業目的等を見直し、まちづくりの課題解決の担い手につながる人材育成を目指し、課題意識の醸成と市民の仲間づくりの促進に重点を置いた学びの場を提供してまいります。
 地域コミュニティの推進につきましては、令和7年11月に改訂した地域コミュニティ基本指針に基づき、地域活動の担い手不足に正面から向き合い、施策を深化させてまいります。新たな取組として、地域活動の実践者や有識者と次世代の関わりしろ創出について議論し、実践につなげる懇談会を開催するとともに、先行的な取組である農と食を介して多様な主体が関わり多世代交流の場を創出するエディブル・スクールヤードの展開などにより、次世代の参加に向けた情報発信を推進し、地域活動の裾野を広げてまいります。さらに、令和7年度に創設した地域アクションいきいき補助金や地域活動アドバイザー派遣制度の活用支援に加え、地域活動のコーディネート機能を強化していくため、地域担当職員を増員し、配置する学校を拡充してまいります。

【地域経済が好循環し、多彩な資源が花開く小田原】
 多様な手段による働く場の創出につきましては、小田原箱根商工会議所に対する財政的支援を通じ、起業家支援と事業承継支援を両輪とし、創業者や後継者等の支援セミナーを実施するとともに、創業支援等事業計画に基づいた創業相談に対応し、地域を挙げて創業者に寄り添った支援に取り組んでまいります。
 企業誘致等につきましては、国内最大級のワークスペースWe Workにおいて本市のビジネスプロモーションを実施するほか、Work Place Market ARUYO ODAWARA等を活用して、本市でのビジネス展開を目指す事業者と関係機関等をマッチングし、地域活性化や地域課題解決に向けた活動を促進してまいります。また、本市への事業所設置を希望する市外事業者に対しては、ニーズに応じた産業用地やテナントのマッチングを行い企業誘致に努めてまいります。さらに、鬼柳・桑原地区の工業系保留区域につきましては、地域の声を十分に伺いながら、産業用地の創出に当たり、自然と調和した整備と環境保全のあり方について検討してまいります。
 地域産業の振興につきましては、全国の伝統的工芸品が一堂に会するいわゆるKOUGEI EXPOが神奈川県で初開催されることから、本市の伝統的工芸品である小田原漆器や箱根寄木細工をはじめ、小田原が誇るものづくりを国内外に発信してまいります。また、KOUGEI EXPOを契機とした新たな商品の開発や情報発信などを通じた販路開拓について、関係者と連携し、実施してまいります。
 農業の担い手育成と交流体験の推進につきましては、新規就農相談や就農直後の所得を確保する支援を行うほか、研修希望者と中核的農業者をマッチングし、研修生を受け入れた農業者に協力金を交付します。また、地域支援型農業の取組支援につきましては、農業を担い支える取組と農産物を買い支える取組を中心とした体制構築を進めてまいります。
 林業・木材産業の振興につきましては、地域産木材の利用拡大を図るため、公共建築物の内装木質化や民間建築物への木材利用支援、販路拡大に向けた情報発信の強化に取り組んでまいります。
 水産市場の再整備につきましては、築55年以上が経過し老朽化している水産市場施設について、衛生管理体制の確立など持続可能な市場運営を目指し、サウンディング型市場調査の結果を踏まえ、市場関係者等と丁寧に意見交換しながら、再整備基本構想を策定してまいります。また、小田原漁港エリアのにぎわい創出につきましては、小田原漁港周辺の回遊性を高め滞在時間を長くするため、漁港の駅TOTOCO小田原を効果的・効率的に管理運営するとともに、漁船を活用したクルーズ事業を実施してまいります。
 健やかな食のまち小田原の推進につきましては、引き続き、市民や食にまつわる事業者の参画と協働により、市民の食生活の充実と食によるまちの活性化に取り組んでまいります。地産地消や食育の推進のほか、一次産業をはじめとした食にまつわる地域内事業者を育成するとともに、観光客の増加などにつなげてまいります。
 街なかへの誘客につきましては、事業者等と連携して、小田原駅を利用しているインバウンドの受け入れ態勢を充実させ、小田原城や街なかへ誘導し誘客につなげてまいります。
 まち歩き観光につきましては、一般社団法人小田原市観光協会やまち歩き団体と連携して、多彩な地域資源を生かしたまち歩きツアーの拡充を図り、市内各所において回遊を促進し常時誘客につなげてまいります。
 地域資源を生かした新事業の創出につきましては、新商品の開発など事業者と協働した新たな取組を検討し、地域経済の振興や本市の財源獲得につなげてまいります。
 文化・芸術の振興につきましては、市美術展覧会やおだわらカルチャーアワードの開催などを通じ、市民の文化・芸術活動を支援するとともに、文化団体等と連携し協働しながら、市民がまちなかの様々な場所で文化・芸術に触れる機会の創出に取り組んでまいります。
 文化交流の推進につきましては、アメリカ合衆国チュラビスタ市との姉妹都市提携45周年を記念し、更なる交流を図り、友好関係を一層深めてまいります。
 文化財の保存・活用につきましては、歴史的建造物や民俗芸能に代表される有形・無形の文化財などを適切に保存・管理し、これを育成するため、文化財の所有者や団体に対して支援を行うほか、古くから地域に根ざした祭礼文化の保存継承を支援するため、新たに自治会や保存会が所有する山車・神輿の修繕費用の一部を補助する制度を創設してまいります。
 歴史まちづくりの推進につきましては、本市が所有する歴史的建造物について、引き続き、事業者等のノウハウを生かした利活用を図り、認知度と回遊性の向上に努めるとともに、歴史的風致の維持向上を図るため、歴史的風致維持向上計画に位置付けた事業を着実に進めてまいります。
 スポーツ施設につきましては、スポーツ施設整備基本計画を踏まえ、既存の施設を適切に維持管理していくことに加え、パークゴルフ場やスケートボードパークなどの新たなスポーツ施設の整備に向けた検討を行ってまいります。

【安心して暮らすことができる小田原】
 防災・減災対策につきましては、マンホールトイレの整備や災害時用資機材の購入等により、災害時の避難所の環境整備を進めるとともに、防災行政無線の再整備に向けた検討を行ってまいります。また、建築物耐震化の促進として、耐震性能が不足する可能性があるいわゆるグレーゾーン住宅への対策を新たに進めてまいります。
 犯罪被害者等の支援につきましては、令和7年度に施行した犯罪被害者等支援条例にのっとり、引き続き各種支援を実施してまいります。
 計画的な土地利用の促進につきましては、第7次総合計画や県が定める都市計画区域の整備、開発や保全の方針に即し、都市計画マスタープランの改定作業を進めてまいります。
 地域資産を活用したまちづくりの推進につきましては、公・民・学が連携した組織であるアーバンデザインセンター小田原においてまちなみ形成の研究や公共空間等の活用等の取組を進めることで、まちづくりを多面的に展開してまいります。
 小田原駅・小田原城周辺の市街地整備の促進につきましては、市街地環境の改善や都市防災の強化、街なかへの居住促進のため、小田原駅前東地区では、地元まちづくり組織と連携し、都市計画道路を幹線道路とする市街地開発の事業化に向けた取組を進めてまいります。また、小田原駅西口地区基本構想に基づき、必要となる西口広場面積を算出するため、令和7年度に実施した現況広場の利用実態調査の結果を基に、国の補助金を確保した上で、広場の概略設計に着手するほか、新たにダイヤ街西側の街区で市街地再開発に向けた検討が始まったことから、初動期の活動に対して支援してまいります。優良建築物等整備事業につきましては、現在建設中である旧小田原EPO等の跡地において、令和9年度の事業完了に向け、引き続き、事業費の一部を補助するなど、こうした民間の活動と連携して、更新期を迎えている小田原駅周辺地区のまちの再生に取り組んでまいります。
 市民会館跡地等の活用につきましては、様々な方からいただいた御意見を踏まえ、再度、複数の関係所管で組織する庁内検討会議において課題点を共有し、整備内容やスケジュール等について検討を行ってまいります。また、三の丸地区の整備構想の長期計画を見据え、小田原城大手口等の遺構を確認するため市民会館跡地等の試掘調査を実施してまいります。
 公共交通ネットワークの構築につきましては、地域公共交通計画に基づき、減便が進む路線バスを維持するための運行経費の補助や、公共交通不便地域の移動支援策である「おだタク・おだチケ」を引き続き実施してまいります。AIオンデマンド交通につきましては、交通政策の専門家の助言を受けながら、実証運行開始を目指してまいります。また、交通課題の一つであるバス・タクシーの運転士不足等への対策として、県及び株式会社本田技術研究所との協定に基づき、自動運転技術開発のための実証走行に取り組むなど、官民連携で地域交通のリ・デザインを推進してまいります。
 幹線道路等の整備推進につきましては、神奈川県と静岡県を結ぶ新たな東西軸となる伊豆湘南道路の早期実現に向け、引き続き国等へ積極的に要望活動を展開するとともに、シンポジウムの開催などを通じて地域住民の機運醸成に取り組んでまいります。
 生活道路の整備と維持管理につきましては、老朽化が進む川端跨線橋及び寺横跨線橋の集約撤去に向けた基礎的な調査を実施するとともに、道路等の効率的な維持管理手法の導入に向けた検討を進めてまいります。
 上下水道につきましては、高田浄水場の再整備を継続して進めるとともに、千代第5号汚水幹線整備事業等に取り組み、適切な維持管理や計画的な老朽化対策を進め、安全・安心な上下水道を実現してまいります。
 総合計画等の推進につきましては、新しい総合計画に対する市民理解を促進するための情報発信を行うとともに、施策や事業の着実な実施と継続的な改善を図るため、評価による進捗管理を行ってまいります。
 行政改革の推進につきましては、第1期実行計画と併せ、新たに策定する第4次行政改革実行計画に基づき、財源確保の徹底、戦略的投資とコスト最適化・サービスの向上、市有資産経営の推進、職員の確保・育成・環境整備のほか、デジタル技術の活用や多様な主体との連携など全庁的な取組を進めてまいります。
 コンプライアンスの推進につきましては、ハラスメントを起こさない・許さない職場の構築に向け、引き続き、安心して相談できる環境づくりなどを行い、職員一人ひとりのハラスメント防止意識を高めてまいります。また、組織風土改革に向けた取組につきましては、庁内検討チームからの提言も踏まえ、チームワークを重視した組織づくりに全力で取り組んでまいります
 デジタル化によるまちづくりの推進につきましては、本市のデジタル化を持続可能な形で推進し、さらなる市民生活の利便性の向上や行政事務の効率化を図ってまいります。これまでの取組の振り返り結果を踏まえた方針に基づき、全庁的な推進体制を整え、利用者ニーズや費用対効果を慎重に精査しながらデジタル技術の導入を進めてまいります。
 公文書の適正管理につきましては、市民の知る権利を尊重するとともに、市の活動や意思決定に関する説明責任を果たすべく、信頼される管理体制を構築してまいります。

4 むすび 
 以上が令和8年度における市政運営の基本方針並びに取り組む主な事業であります。
 いま、この国に生きる私たちが、様々な困難に直面し、先行き不透明で不確実な状況にある中で、極めて恵まれた条件にある小田原市は、これからの時代における望ましい地方都市の姿を先導的に示していけるまちであると、私は考えています。
 身近にある豊かな自然環境の中で、人々が支え合い、分かち合い、こどもたちが健やかに育ち、いのちを支える様々な仕組みが重層的に機能している。足元にある豊かさへの可能性は様々に掘り起こされ、生きる糧が地域に十分に生み出され、経済が好循環し、一人ひとりの個性や役割に応じた働きや活動が地域社会の更なる豊かさや温かさへと巡っていく。人々の生きづらさや明日への不安は消え、誰一人取り残されることはない。
 そんな理想的な地域社会が小田原なら実現できる。そこを目指していくということを明確に宣言し、各方面、各世代からの共感と期待を集め、関係人口や投資を引き寄せ、様々な力でこのまちの未来を共に創り出していく。すなわち、「誰もが笑顔で暮らせる、愛すべきふるさと小田原」という将来都市像を、これからの私たちの取組を通じて、具体的な形とする実践をしていくこと。それは「地域間競争」と言われる奪い合いではなく、誰にでも開かれ、どのまちでも目指し得る、そして共存共栄し得る都市の姿を、この小田原が体現するということです。それができれば、小田原はこの持てるポテンシャルを遺憾なく発揮し、自ずと賑わい、文化が育ち、経済が動き、そこに暮らす人たちは、幸せに暮らすことができる。私は未来への道筋をそのように思い描いています。
 市政運営には厳しい課題もあり、すぐに答えが出ない問題もありますが、行政組織を立て直し、目指す姿を市民の皆様と共有し、一歩ずつ着実に前に進むことで、小田原の可能性は必ず広がると信じています。私は、市民の皆様と共に知恵を出し合い、力を尽くし、このまちの未来を切り拓くため、全身全霊で取り組んでまいります。
 以上が、令和8年度の施政方針であります。議員各位をはじめ、市民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

  令和8年2月16日           
                                                      小田原市長 加 藤 憲 一  

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