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広報おだわら 第1022号

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広報おだわら 第1022号

平成22年11月1日 発行

#01:特集 ごみを考える〜未来の小田原に、私たちができること〜
#02:市議会9月定例会/平成22年度9月補正予算の概要
#03:平成21年度決算に基づく市の健全化判断比率と資金不足比率
#04:ジオパークをご存じですか?/東富水地区で地域包括ケア推進事業が始動
#05:秋季火災予防運動/市民と市長のまちかどトーク
#06:秋のおだわら 夢見遊山いたばし見聞楽
#07:おだわらの歴史に触れる
#08:〈連載〉尊徳道歌のこころ/〈連載〉市民力
#09:〈連載〉あの日 あのとき 小田原


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まちづくり情報誌 広報 小田原
11/1─11/30
平成22年11月1日発行 No.1022
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=============目次==============
#01:特集 ごみを考える〜未来の小田原に、私たちができること〜
#02:市議会9月定例会/平成22年度9月補正予算の概要
#03:平成21年度決算に基づく市の健全化判断比率と資金不足比率
#04:ジオパークをご存じですか?/東富水地区で地域包括ケア推進事業が始動
#05:秋季火災予防運動/市民と市長のまちかどトーク
#06:秋のおだわら 夢見遊山いたばし見聞楽
#07:おだわらの歴史に触れる
#08:〈連載〉尊徳道歌のこころ/〈連載〉市民力
#09:〈連載〉あの日 あのとき 小田原
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#01:特集 ごみを考える〜未来の小田原に、私たちができること〜
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海があり、山があり、川があり、温暖な気候の小田原。私たちは、その恵まれた自然環境の中で生活しています。
その一方で、世界各地でクローズアップされている地球規模の環境問題があります。
私たちは、小田原の恵まれた自然にあっても、自分たちの行動が環境に何らかの負荷や影響を与えていることを忘れてはなりません。
例えば、日々の生活と切っても切り離せない「家庭ごみ」。それが環境に与える影響をよく知り、その負荷を減らしていくことは、私たちに与えられた大きな課題なのです。
あなたは今、レジ袋や過剰包装を断るなど、ごみを減らす努力をしていますか。マイボトルやマイ箸を持ち歩き、繰り返し使っていますか。資源に再生できるものを無駄にしないよう、分別を徹底していますか…。
手間を惜しむことなく、環境のことを考えて「すべきこと」「できること」を積み上げること。それは、世界各地で見られる環境問題の大きさに比べたら、本当に小さなことかも知れません。しかし、その小さな取り組み一つ一つが何よりも重要なのです。
小田原での生活の中で、環境を大切にして生きることを一人一人が真剣に考えてみてください。きっと、あなたにもできることがあるはずです。
広報小田原では、今回、「家庭ごみ」に着目し、ここから私たちができることを考えていきます。

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【特集】ごみを考える 第1章
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データから見る小田原のごみ

皆さんの家庭から出るごみには、「燃せるごみ」「燃せないごみ」「トレー・プラスチック容器」「紙・布類」「缶類」「ペットボトル」など、さまざまな種類があります。
ここではデータから小田原のごみの状況を探ります。

[ごみ収集量の推移]
かつて本市のごみ収集量は年々増え続け、平成8年度には9万3,679トンとなりました。
しかし、平成9年度には、ごみの減量と資源の有効活用を目的に分別方法を変更したことで、約17.3パーセント減少し、7万7,513トンとなりました。その後、平成13年度まで微増傾向でしたが、以後、減少に転じ、平成21年度は分別方法を変更した平成9年度を下回りました。
一人一人がごみの分別を徹底する、ちょっとした一手間が、ごみの減量に大きな効果となって表れるのです。

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平成 5年度 82,602トン
平成 6年度 85,859トン
平成 7年度 86,814トン
平成 8年度 93,679トン←平成8年度の収集量が最大となっています
平成 9年度 77,513トン←分別方法の変更
平成10年度 79,477トン
平成11年度 82,458トン
平成12年度 85,868トン←容器包装リサイクル法完全施行
平成13年度 86,892トン←家電リサイクル法施行
平成14年度 85,450トン
平成15年度 85,501トン
平成16年度 84,629トン
平成17年度 83,372トン←「その他紙」「廃食用油」の分別開始
平成18年度 82,550トン
平成19年度 81,134トン
平成20年度 78,142トン
平成21年度 75,878トン

1日で1人1キログラム!!
平成21年度のごみ収集量は75,878トン。
市民1人当りに換算すると、1年間で383キログラムとなり、私たちは1日に約1キログラムのごみを出している計算になります。

ごみ処理にはお金がかかります
これらの膨大なごみを処理するために平成21年度にかかった費用は、約24億円。
皆さんがごみの量を10パーセント削減すると、年間で約7,500トン、処理費用で約2億4,000万円が削減できる計算になります。
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[7割以上が「燃せるごみ」]
収集されるごみの7割以上を占める「燃せるごみ」。ごみステーションから収集した後、環境事業センター(久野)で焼却します。
発生する7,487トンの焼却灰は、その半分を埋め立て処分し、残りの半分を再資源化しています。

○ごみの内訳
燃せるごみ71.3%
紙・布類17.2%
燃せないごみ4.7%
トレー・プラスチック容器2.3%
瓶類1.9%
缶類0.9%
ペットボトル0.9%
蛍光灯ほか0.4%
大型ごみ0.4%

[減らそう「生ごみ」]
「燃せるごみ」は、そのうち42.5パーセントがリサイクル不可能な、あるいは分別されていない「紙・布類」。
その次に多いのが、食べ残しや野菜くずなどの生ごみである「厨芥類」で37.1パーセント。次いで「ビニール・合成樹脂など」が15パーセントとなっています。
中でも「厨芥類」は、食材の購入、調理、保存の工夫、堆肥化などの取り組みで確実に減量できるごみとして、注目されています。

○「燃せるごみ」の内訳
紙・布類42.5%
厨芥類(生ごみ)37.1%
ビニール・合成樹脂・ゴム・皮革類15.0%
木・竹・わら類2.3%
不燃物類2.3%
その他0.8%

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【特集】ごみを考える 第2章
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正しい分別はあなたの責任です

私たちが生活していく上で、環境への負荷を最小限に抑えるためには、
まず、ごみの量を減らすことが何よりも重要です。

平成9年度から、それまで「燃えるごみ」「燃えないごみ」「大型ごみ」の3種類だった分別を、9種類に増やしました。細かく分別することにより、多くのものを資源化し、ごみの量を減らすとともに、ごみを出す私たちの環境に対する意識を高めることができます。
ごみの量が減れば、処理にかかる費用を抑えることができるほか、焼却や資源化などの際に発生する二酸化炭素の排出削減にもつながり、地球温暖化防止の面にも大きく寄与します。
皆さんがふだん何げなく出しているさまざまな「ごみ」や「資源」。どのように処理され、どのようにリサイクルされるのか。その工程を詳しく知り、正しい分別に努めましょう。それは私たちの最低限の役割です。

[燃せるごみ]
「燃せるごみ」は、地区ごとに曜日を指定して、週2回ずつ、ごみステーションから収集し、環境事業センターで焼却処理しています。
焼却灰は、市内での処分が難しいことから県外で埋め立て処分されるほか、セメントに混ぜて建築用資材としても活用されています。
「燃せるごみ」の量が減れば減るほど、焼却にかかる費用、さらには焼却灰の処理にかかる費用を減らすことができます。また、焼却施設への負荷を軽減し、限りある埋め立て処分場をより長く有効的に使うことにもつながります。
私たちが、常に高い意識を持って、ごみの大半を占める「燃せるごみ」を減らさなければならないのです。

○私たちにできること
分別のルールを守る
異物の混入は思わぬ事故を招きます。

[ペットボトルのリサイクル]
飲料や調味料、化粧品、医薬品などのさまざまな容器として利用され、私たちの生活に今やなくてはならないペットボトル。
市では、年間約700トンのペットボトルを資源化しています。
[1]収集されたペットボトルは、環境事業センターに集められます。
[2]圧縮、梱包します。その際、ついたままのキャップは、手作業で外します。
[3]静岡県菊川市のリサイクル工場に運び、破砕、洗浄します。
[4]きれいになったペットボトルを、チップやビーズ状に加工します。
[5]その後、加工工場に運ばれ衣料品や卵のパックなどのプラスチック製品になります。

株式会社エコリング
工場長
渡辺 富則さん
ここには、主に神奈川県、静岡県から多くのペットボトルが集まります。
せっかく運ばれてきても汚れがひどいものはリサイクルできません。また、ボトルに直接貼られたシールやテープなども、リサイクルの妨げとなります。出す際には、気をつけてくださいね。

○私たちにできること
キャップを外す。中は洗って乾かす。
効率よくリサイクルするためには、皆さんの「ほんの数秒」の作業がとても大切です。

[紙のリサイクル]
紙類は市内で年間約1万3,000トンが集められ、静岡県富士市の製紙工場で再生紙に生まれ変わります。
再生紙の品質を向上させるためには、新聞紙、段ボール、紙パック、雑紙、その他紙の徹底した分別が、欠かせません。

小田原市古紙リサイクル事業組合
浅野 弘人さん
紙類には再生が簡単なもの、難しいものなどいろいろあります。リサイクルしやすい「新聞紙」などの紙類だけを集めれば経費はかかりませんが、小田原の環境を守るため、費用のかかる「雑紙」や手間のかかる「その他紙」もすべて収集し、丁寧に資源化しています。
市民、自治会、行政とともに作り上げた、紙類を5品目に分別する「小田原方式」の仕組みを、皆さんと一緒に守っていきたいと思います。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
トピックス 11月は不法投棄撲滅強化月間〜不法投棄をしない! させない! ゆるさない!〜
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
問 小田原警察署 電話0465-32-0110

徹底したごみの分別収集に取り組む一方で、残念ながら、段ボールや衣類、雑誌など、大掃除で出たごみや、テレビや冷蔵庫などの不法投棄がなくなりません。不法投棄は犯罪です。5年以下の懲役か1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられます。
また、市では、空き缶やたばこの吸い殻などのポイ捨てについても、「小田原市きれいなまちと良好な生活環境をつくる条例」で禁止しています。
不法投棄を見付けたら、すぐに警察に連絡してください。

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【特集】ごみを考える 第3章
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始まっています 小田原の挑戦

私たちは、ごみを正しく分別するなど、環境のために今できることを確実にするだけでなく、さらにできることを試みなければなりません。ごみの減量や資源化の可能性は、技術の進歩や、市民、事業者、行政が、得意分野を生かし、手を携えることで、大いに広がるからです。
動き出した小田原の新たな挑戦。多くの人が関心を持ち、ごみへの意識を高めることが、成功への重要な「かぎ」となります。

[挑戦1]
100パーセント天ぷら油でごみ収集車が走るまち

各家庭で不要となった天ぷら油を原料としたバイオディーゼル燃料で走る、ごみ収集車を知っていますか。
以前からバイオディーゼル燃料の開発に取り組んでいた小田原衛生グループでは、今年4月に完成した新しい工場で、質の高い燃料の精製ができるようになり、実用化しています。
燃料のもととなる天ぷら油の一部は、町田小学校の子どもたちが持ち寄り、回収したものです。
同校では、平成21年3月から、環境教育の一環として、天ぷら油のリサイクルに取り組んでいます。市内を走るごみ収集車の燃料になることを知っている子どもたちは、資源の循環を身近に感じています。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
INTERVIEW
◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎
小田原衛生グループ大泉 圭史さん

精製したバイオディーゼル燃料は、市内を走るごみ収集車だけではなく、イベントなどに使用する発電機にも使われています。
産業として成り立たせるには、大きな生産ラインとさらなる需要が必要で、難しい点もありますが、お金には代えられない小田原の未来のために取り組んでいます。

[挑戦2]
生(いき)ごみ小田原プロジェクト

市では平成21年7月、生ごみ堆肥化検討委員会を立ち上げました。生ごみを資源としてとらえ、堆肥化して使う、地域内循環の仕組みを考えるためです。
ごみの減量、資源化の可能性などについて検証することはもちろん、小田原のごみ処理に対する意識改革を目指し、現在『地域での取り組み』と『家庭での取り組み』の2つのモデル事業を進めています。
「なまごみ」ではなく、「いきごみ」の可能性を探る、これが「生(いき)ごみ小田原プロジェクト」です。
このプロジェクトは、堆肥を作ることだけが目的ではありません。
生ごみを堆肥化し、ごみの量を減らすことは、一人一人がなるべくごみを出さないように意識することにつながります。できた堆肥が、花壇や家庭菜園、畑、大地に還元され、私たちはまた、新鮮な野菜や、美しい花や緑を享受できます。
そのサイクルは、人が手を携えることにより成り立ち、そこには、人や環境を思う気持ちが通います。
生(いき)ごみ小田原プロジェクトが目指すのは、人にも環境にも優しい、たくさんの恵みをもたらす、循環の形なのです。

生(いき)ごみ小田原プロジェクト
→おいしく食べる→生ごみが出る→堆肥を作る→野菜を育てる→

【地域での取り組み】
平成15年から始まった、報徳小学校での大型生ごみ処理機を利用した生ごみの資源化。当初学校の教育活動としてスタートし、現在では循環型生ごみ再生活動として、地域全体で取り組んでいます。
家庭で出る生ごみや、学校給食の食べ残しを大型生ごみ処理機で堆肥化しています。1か月に約500キログラムの生ごみから約50キログラムの堆肥ができ、学校農園「報徳すくすく畑」や、地域の農家で使われています。
この取り組みをモデルとし、他の地域での生ごみ堆肥化についても、検討を重ねていきます。

【家庭での取り組み】
段ボールコンポスト、電動式生ごみ処理器、コンポスター、EMぼかしなどによる堆肥化を各家庭で実践し検証しています。
現在約1,000世帯が参加し、そのうち約800世帯では、市が6月に配布した段ボールコンポストを使っています。
各家庭で、どれだけ生ごみを減らすことができるか調べるとともに、参加者からさまざまな情報を収集し、今後の取り組みに生かしていきます。

生(いき)ごみサロン

生(いき)ごみ小田原プロジェクトに取り組む参加者の集い、その名も「生(いき)ごみサロン」は、毎月1回、生(いき)ごみクラブ(笠原久弘会長)の生(いき)ごみサポーターが中心となり開かれています。
9月下旬のサロンでは、参加者に野菜の苗が配布されました。段ボールコンポストなどでできた堆肥を使い、この苗を育てる試みです。
サロンでは、堆肥の使い方をサポーターが説明した後、皆で実際に苗を植えました。堆肥が直接根に触れないようにすること、堆肥を多く使用すると苗は大きく育つものの虫がつきやすいので、その加減を見極めることなどがポイントです。
生(いき)ごみサロンは、生ごみ堆肥化に取り組む人の輪。
「夏は虫に悩んだけど、これからの季節は、温度が心配よね」「うちは台所に置いているけど、皆さんは?」「魚の骨が分解されたのには、びっくりしたわよ」「細かく切って入れるとうまくいくよ」。
悩みや心配事を打ち明ければ、解決方法や、経験談を聞くことができます。興味ある話題を共有できるので、話が弾み、サロンは和気あいあい。情報交換をしながら、皆さん生ごみ堆肥化を楽しんでいます。

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次回のサロンでは、苗から育てた野菜の品評会を行います。
【日時】11月28日日曜日 午後2時〜4時
【場所】小田原フラワーガーデン2階研修室
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プロジェクト参加者以外のかたもお越しください。生(いき)ごみサポーターが、あなたの疑問にお答えします。

子育てしながらチャレンジ

9月のサロンに初めて参加した、伴加奈子さん。「虫が発生して苦労しているんです…」など、同じテーブルのサポーターにすかさず質問。農家のかたから、家庭菜園のアドバイスもいただくなど貴重な情報交換のひとときです。
伴さんは、昨年10月、東京都内から、実家のある小田原にご家族で引っ越してきました。学生時代まで過ごしていたため、小田原の徹底されているごみの分別も、すっかり身についています。
環境に配慮した生活には関心があり、電動式生ごみ処理器の使用経験もあります。
広報小田原4月号で、生ごみ堆肥化に取り組む家庭を募集していることを知り、6月から段ボールコンポストにチャレンジ。
虫の発生に苦労しながらも、「ごみが減るのはもちろん助かりますが、できた堆肥でゴーヤを育てたら、ぐんぐん育ったんです」と笑顔で教えてくれました。
段ボールコンポストから生まれた堆肥を使って楽しむ家庭菜園。長男の勇吹君は、伴さんの横で、ばったを捕まえて遊んでいるとか…。「土や虫が大好きで、とても興味があるんですよね」。
ご家族にも環境にも優しい伴さんの、段ボールコンポストのある、愛情いっぱいの生活スタイルです。

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楽しんで段ボールコンポスト
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段ボール箱の中で、微生物の力によって生ごみを分解します。
毎日生ごみを投入しても量は増えず、臭いもほとんどしません。
身近にある材料で始められる点が魅力です。

〔用意するもの〕
段ボール(みかん箱ほどの大きさ)、新聞紙、ガムテープ、基材(ピートモスと、もみがら薫炭を3対2の割合で混合したものや腐葉土など)、不織布、ゴムひも、シャベル、棒状温度計、米ぬかなど。

〔作り方〕
[1]箱の隙間や底をガムテープでしっかり目張りします。底には新聞紙や段ボールを敷き、補強します。箱の7分目まで基材を入れ、水を少し加えてかき混ぜます。手で握って固まらない程度が目安です。
[2]生ごみを入れたらよく混ぜます。毎日500グラムぐらい投入できます。発酵、分解して温度が上がります。廃食用油や米ぬかなどを入れると、発酵、分解しやすくなります。温度変化に注意し、適温の30〜40度を保つようにします。
[3]投入した生ごみの総量が、60〜100キログラムになると、発酵が止まります。基材の密度が濃く、粘った状態になれば肥料として使えます。

角材などを下に置き、風通しをよくし、雨の当たらない場所に設置し、虫を防ぐための不織布をかぶせゴムひもで留めます。

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段ボールコンポスト実践記
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小田原市長 加藤憲一

小田原における今後のごみ減量、そして資源の地域内循環を実現するためにどんな手法がよいのか。市民の皆さんによる検討委員会にこのテーマをお願いし、熱心な議論の結果、モデル事業の一つとしての取り組みが決まった段ボールコンポスト。以前からその実力については聞いていましたが、「何はともあれ実践を!」ということで、わが家でも6月から始めました。
投入する生ごみを用意するのは、妻。それを毎朝計量し、段ボールに投入し、混ぜ、水分や温度も含め管理するのは私の役割。木くずなどからなる基材は毎日よく働き、毎月ほぼ10キログラムの生ごみを分解してくれています。一貫して臭いはなし。夏場に少し小ばえのような虫が出ましたが、そのうち見掛けなくなりました。
始めて驚くことが幾つかありました。まず、生ごみは不衛生なもの、という感覚が全くなくなりました。わが家のごみバケツに生ごみが入らないので、台所が臭わなくなり、週2回の「燃せるごみ」の重量は激減。さらに、分別意識がかなり高まるため、わが家全体のごみの量が大幅に減ってしまいました。
3か月余りが経過した9月末、栄養豊富に見えるようになった基材の4分の3をプランターに移し、土と混ぜて、小松菜と菜の花の種をまきました。生ごみ堆肥を使って栽培する野菜は、昔の野菜のように味が濃く、実際に栄養価が高いといわれます。間引き菜と、春先の菜の花を楽しむつもりです。
お金をかけず、人任せにせず、各家庭で、子どもにもできる方法で、確実に生ごみの循環が可能。厄介者だった生ごみが、再びおいしい野菜や、美しい草花へと巡り、私たちの命が健やかになる。このサイクルの素晴らしさが実感できれば、この取り組みはきっと多くの家庭で実践が進むことでしょう。

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【特集】ごみを考える 終章
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一歩一歩、着実に
環境事業センター(リサイクルセンター)勤務、福岡秀美技能主任。
センターでは、運ばれてくる大型ごみや、ペットボトル、瓶、缶などの資源ごみの中間処理に携わり、家では、元気いっぱいな男の子たちの優しいお父さん。
「ドームの中が暖かいのは、パパが働いている所から、温かいお湯が来ているからなんだよ」そう聞いて長男の輝龍君は少し不思議そうな表情を浮かべました。二人の笑顔と成長は、福岡さんが働く力の源です。
私たちが、子どもたちの健やかな成長を願うとき、未来の小田原へ、少しでもよい環境を引き継ぐ責任を強く感じます。
しかし、福岡さんが、日々の仕事で目の当たりにするのは、分別が徹底されていない資源ごみ、社会のルールや環境問題に無関心な人がまだ多くいるという現状です。
ペットボトル一つを見ても、キャップが外されていなかったり、瓶や缶、時には、包丁や針、小動物の死体までもが紛れていたり…。
福岡さんは、資源ごみの分別に対する意識が足りないと感じることが多いと言います。
ごみの分別ができていない分だけ、処理には、多くの費用がかかります。福祉や医療、教育などの分野に、有効に使えたかもしれない費用まで余分に投じなければならないのです。
リサイクルセンターには、毎年、市内の小学4年生が見学に訪れます。子どもたちに、現状を伝え、さらに「家に帰ったら、お父さんやお母さんにも、ちゃんと分別するように伝えてね」と話します。
「一人でも多くの人に、正しい分別をしてもらいたいですから」
ごみの分別と資源のリサイクルの現場で奔走中の福岡さんは、自分ができること、伝えるべきメッセージを送り続けています。

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未来の小田原に、私たちができること
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生活する上ですべきこと、当たり前のごみの分別。さらに、生ごみを堆肥化し、ごみを少なくするなど、知恵を出し、力を合わせ、環境のためにできることを探り、挑戦していくこと。それは、地球規模での環境保護への着実な一歩となります。
もちろんこれは、「家庭ごみ」に限られたことではありません。例えば、電気を小まめに消したり、エアコンの設定温度を適正にしたり、節電に努めること。各個人が実践するだけでなく、企業や団体などが皆で取り組み、呼びかけ合い、意識を高めること。さらには、太陽光発電をはじめ、新たなエネルギーの活用や開発などに、私たちは積極的に取り組まなければならないのです。
私たちが「すべきこと」「できること」、その「一歩ずつ」を着実に継続していくことこそが、環境をよくしていく唯一の道なのです。

鮮やかな緑、清らかな川、青い海。
心に豊かさを感じ、健康で幸福に暮らせる、そんな未来の小田原を目指して。

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インフォメーション小田原フラワーガーデン「トロピカルドーム」
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問 小田原フラワーガーデン 電話0465-34-2814

暖房には、環境事業センターでごみを焼却する際に発生する余熱を利用しています。ハイビスカス、ドラゴンフルーツなど300種類以上の熱帯の花や果実が鑑賞できます。

【入館料】大人(高校生以上) 200円 小・中学生 100円

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#02:市議会9月定例会/平成22年度9月補正予算の概要
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市議会9月定例会 審議された主な内容
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問 総務課 電話0465-33-1291
 
議案は、行政情報センター(市役所4階)、支所、連絡所でご覧になれます。
なお、詳しい審議の内容は、「市議会だより11月1日号」をご覧ください。

●専決処分の報告(事故賠償)
●平成22年度一般会計補正予算
●平成22年度下水道事業特別会計補正予算
●平成22年度国民健康保険事業特別会計補正予算
●市税条例の一部を改正する条例
●公設地方卸売市場条例の一部を改正する条例
●小田原テニスガーデン条例及び体育施設条例の一部を改正する条例
●火災予防条例の一部を改正する条例
●市民学習フロア条例を廃止する条例
●神奈川県後期高齢者医療広域連合規約の一部変更についての協議
●訴えの提起
●平成21年度一般会計継続費精算報告書の報告
●平成21年度水道事業会計継続費精算報告書の報告
●平成21年度決算に基づく健全化判断比率及び資金不足比率の報告
●平成21年度一般会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度競輪事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度小田原城天守閣事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度下水道事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度国民健康保険診療施設事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度公設地方卸売市場事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度老人保健医療事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度介護保険事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度宿泊等施設事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度公共用地先行取得事業特別会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度水道事業会計歳入歳出決算の認定
●平成21年度病院事業会計歳入歳出決算の認定〔不認定〕
●手数料条例の一部を改正する条例
●教育委員会委員(山田浩子さん)の任命
●公平委員会委員(飯田和夫さん)の選任
●固定資産評価審査委員会委員(川口眞男さん)の選任
●人権擁護委員(鈴木洋子さん)の推薦
●都市計画法に基づく市街化調整区域における開発許可等の基準に関する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
●尖閣諸島海域における中国漁船領海侵犯に関する意見書

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平成22年度9月補正予算の概要
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問 財政課 電話0465-33-1312

市議会9月定例会で可決された補正予算の概要は次のとおりです。
この結果、全会計の予算額は、1,348億1,404万4千円となりました。
■一般会計補正予算 (5億2,433万円追加)
■下水道事業特別会計補正予算(1億3,000万円追加)
■国民健康保険事業特別会計補正予算(1,171万6千円追加)

〈主な内容〉
●市税等コンビニエンスストア収納導入費の計上
 市税と保育料をコンビニエンスストアで納付できるようにし、利便性を向上させます。(平成23年4月開始予定)
●地域包括ケア推進事業費の計上
 国の地域包括ケア推進事業として、地域包括支援センターに(仮称)ネットワーク推進員を配置し、地域全体とのネットワーク機能を強化します。
●「緑の分権改革」調査事業費の計上
 国の事業を受託し、身近な自然環境を守り育てる「河川・水質の保全」や一般家庭の「生ごみ堆肥化」などを通じ、市民活動の連携を実現するための調査研究事業を行います。
●地区公民館修繕費補助金の計上
久所公民館の屋根修繕工事を補助します。
●災害復旧費の計上
台風9号に伴う豪雨で被害を受けた酒匂川スポーツ広場などの復旧を行います。

 また、「寄附者一覧」のとおりご寄附をいただきました。
 そのご意思を生かせるように、各基金に積み立てるとともに、事業費を計上しました。
【寄附者一覧】(敬称略)
◆ふるさと文化基金寄附金(11万3,237円)
△山吹流寿三翁会
◆社会福祉基金寄附金 (合計4万円)
△小田原盆栽愛好会△NPO法人ゆいの会・有限会社小田原市民葬祭
◆ふるさとみどり基金寄附金 (合計20万4,516円)
△小田原さつき会△あいおい損害保険株式会社△小田原庭園業組合△日本盆栽協会小田原支部△有限会社柳運送

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#03:平成21年度決算に基づく市の健全化判断比率と資金不足比率
  いずれも「健全段階」でした
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問 財政課 電話0465-33-1312

「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)」により、地方公共団体は、『財政の健全性』を判断するための4つの「健全化判断比率」と公営企業会計の「資金不足比率」を算定することとなっています。
平成21年度決算に基づき、これらの比率を算定した結果、いずれの比率も国が定めた早期健全化基準などを下回り、本市財政の健全性は、「健全段階」でした。
本市は、国の基準との比較では大きく下回っていますが、今後も市債残高の減少に努めるなど、健全財政を維持していきます。

『健全化判断比率』

[1]実質赤字比率
福祉、教育、道路整備など基本的な行政サービスに必要な経費を経理する一般会計などの赤字の大きさを表しています。
→本市は黒字のため算定されません。

[2]連結実質赤字比率
一般会計などに水道、病院、下水道、国民健康保険事業などを加えた、すべての会計の赤字の大きさを表しています。
→本市は、黒字のため算定されません。

[3]実質公債費比率
一般会計などの、市債などの返済額の大きさを表しています。
→本市は、前年度から0・7ポイント改善しています。これは、地方債の元利償還金・準元利償還金が年々減少していることなどによるものです。

※比率は、平成19年度〜21年度の各年度決算ごとに算出した指標値の平均値です。

[4]将来負担比率
一般会計などの市債や将来支払う可能性のある負担額などの現時点での大きさを表しています。
→本市は、前年度から1・5ポイント改善しています。これは地方債残高の減少のほか、充当可能財源とされる基金残高が増加したことなどによるものです。

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財政健全化法における財政状況判断基準
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財政健全化法では、「早期健全化」と「財政再生」の2段階の判断基準が定められています。いずれかの比率が早期健全化基準を超えると、健全化計画を策定し、財政の健全化を進める必要があり、さらに財政再生基準を超えると、再生計画を策定し、財政の再建に取り組むことになります。

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実質公債費比率
本市   平成20年度12.6% 平成21年度11.9%
全国平均 平成20年度11.8% 平成21年度11.2%

早期健全化基準25% 早期健全化段階
財政再生基準35% 財政再生段階

将来負担比率
本市   平成20年度90.2% 平成21年度88.7%
全国平均 平成20年度100.9% 平成21年度92.8%

早期健全化基準350% 早期健全化段階

※全国平均は、総務省が発表した暫定値の速報に基づく市区町村平均値のため、いずれも変更される可能性があります。
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公営企業会計の『資金不足比率』
公営企業会計の資金不足を、公営企業の事業規模である料金収入の規模と比較して表しています。
※本市の場合、対象の公営企業会計は、水道事業会計、病院事業会計、天守閣事業特別会計、下水道事業特別会計、公設地方卸売市場事業特別会計の5つの会計が該当します。
→本市は、いずれの公営企業会計も資金不足が生じていないため、算定されません。

【ホームページ】
トップページ中央の「分野別から探す」の「市勢情報/総合計画」内の「財政状況」をクリック→「平成21年度決算に基づく健全化判断比率等について」

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#04:ジオパークをご存じですか?/東富水地区で地域包括ケア推進事業が始動
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ジオパークをご存じですか?
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問 企画政策課 電話0465-33-1379

地質的、歴史的、文化的、生態学的に貴重な資源を維持保全し、さらに、観光や教育に活用しながら、持続的な地域社会の活性化を目指すジオパーク。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の支援のもと、世界各国で推進されています。
本市を含む箱根火山の周辺地域は、プレート(地下の岩盤)が沈み込む境界に位置し、地質構造や岩石などに特徴があり、学術的に貴重な地域です。さらに、箱根火山の恩恵である石材を使った小田原城の石垣や石切丁場跡など、箱根火山と深いつながりのある歴史的、文化的資源にも恵まれています。
市では、これらの貴重な資源をジオパークとして活用するため、箱根町、真鶴町、湯河原町、県の関係機関と協力し、「箱根ジオパーク」の認定を目指して取り組んでいます。

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箱根ジオパーク講演会が開催されます
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ジオパークとは何か、箱根ジオパークの魅力をテーマに講演会を行います。
日時 11月20日土曜日 午後1時30分〜4時
場所 神奈川県立 生命の星・地球博物館
問 箱根町企画課 電話0460-85-9560

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東富水地区で地域包括ケア推進事業が始動
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問 高齢介護課 電話0465-33-1841

高齢者が、住み慣れた地域で安心して暮らせるように、さまざまなサービスを、包括的、継続的に提供する仕組みを作ろうという国のモデル事業「地域包括ケア推進事業」が、今年度から2年間にわたり、東富水地区で実施されています。
市が、社会福祉法人小田原福祉会に委託し、市のケアタウン構想のモデル事業の一つとしても位置づけられています。
24時間365日、東富水地区の高齢者や家族からの相談に電話で対応するほか、10月1日にオープンした「ふれあい処 ひとやすみ」を拠点に、引きこもりがちな高齢者の交流の場づくりを行います。

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#05:秋季火災予防運動/市民と市長のまちかどトーク
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問 予防課 電話0465-49-4424

消したかな あなたを守る 合言葉

火災が発生しやすい季節を迎えるにあたり、火災予防について改めて考え、注意を払おうと、全国で秋季火災予防運動が実施されます。
期間中、市消防本部では、被害を最小限にするための災害時要援護者世帯の訪問調査、枯れ草火災を防ぐための繁茂地の実態調査や刈り取り指導などを行います。

私たちの生活の基盤である自宅。家族と過ごす、気持ち安らぐ大切な場です。
しかし、建物火災で亡くなられるかたの多くが住宅火災によるもので、自宅には危険が潜んでいることを忘れてはなりません。
身の回りの対策がいかに大切かを認識し、火災予防に努めましょう。
《3つの習慣》
●寝たばこは、絶対にやめる。
●ストーブは、燃えやすいものから離れた位置で使用する。
●ガスコンロなどのそばを離れるときは、必ず火を消す。
《4つの対策》
●逃げ遅れを防ぐために、住宅用火災警報器を設置する。
●寝具、衣類、カーテンからの火災を防ぐために、防炎品を使用する。
●火災を小さいうちに消すために、住宅用消火器などを設置する。
●高齢者や身体の不自由な人を守るために、隣近所の協力体制を作る。

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幼年消防クラブの園児たちも火災予防を呼びかけます!
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【消防車お絵描き展示会】
●11月5日金曜日〜7日日曜日
午前10時〜午後6時(7日は午後3時まで)
 小田原ラスカ6階

●11月12日金曜日〜14日日曜日
 午前10時〜午後7時
 ダイナシティウエスト3階

【防火チラシの配布】
●11月5日金曜日・9日火曜日
 午前10時〜11時30分
 小田原駅東口・アークロード

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住宅用火災警報器の設置期限まで残り7か月!!
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 住宅用火災警報器は、新築住宅(共同住宅も含む)では平成18年6月1日から、それ以前に建てられた住宅でも、平成23年5月31日までに設置することが義務づけられています。
市内でも警報器が作動したことで、火災が大事に至らなかった事例が、6件もありました。大切な命を守るため、1日も早く設置しましょう。
消防署や市役所を名乗り、警報器を高額で売りつけるなどの悪質な訪問販売には、くれぐれもご注意ください。消防署や市役所の職員が警報器を販売することは絶対にありません。

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市民と市長のまちかどトーク
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問 広報広聴室 電話0465-33-1263

日時 11月23日祝日 午後2時〜3時30分
場所 小田原ラスカ6階U-meテラス
テーマ 「生ごみを資源として考えよう」〜生(いき)ごみ小田原プロジェクトについて〜

まちづくりの主役である市民の皆さんが、自由に参加できる懇談会です。
10〜13ページに掲載した「生(いき)ごみ小田原プロジェクト」の取り組みについて、意見交換をします。
※事前申し込みは不要です。直接会場へお越しください。
※託児(2歳以上就学前まで)や手話通訳が必要なかたは、11月9日火曜日までにご連絡ください。

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#06:秋のおだわら 夢見遊山いたばし見聞楽
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問 夢見遊山いたばし見聞楽実行委員会 電話0465-23-1377(郷土文化館)

11月6日土曜日からの9日間、板橋の松永記念館で、自治会・商店会・子ども会などを中心とした地元の皆さんが、「おもてなしの心」を込めて「夢見遊山いたばし見聞楽」を開催します。
実業家として大きな足跡を残し、数寄茶人、古美術品の愛好家としても知られる松永耳庵。板橋には、彼が建てた松永記念館のほか、旧山縣有朋別邸の古稀庵、旧大倉喜八郎別邸の山月など、歴史ある建造物が多くあります。
また、耳庵とともに「近代小田原三茶人」と呼ばれる益田鈍翁や野崎幻庵ゆかりの遺跡、趣がある町並みが、私たちの心を和ませます。
紅葉深まる美しい秋の板橋。晩年をここで過ごした耳庵を偲びながら、夢心地のひとときを過ごしてみませんか。

数寄茶人 耳庵と板橋 
日本の近代化の礎を築いた財界人の間で、茶の湯が流行します。独自の美意識と財力を備えた彼らは、趣味として茶の湯を楽しみ、数寄茶人と呼ばれました。
希代の数寄茶人として知られる耳庵が、茶の湯を本格的に始めたのは還暦を迎えた頃。「耳庵」という号は『論語』の耳順(六十にして耳したがう)に由来します。
近代数寄茶人を代表する益田鈍翁や原三溪の影響を受け、多くの茶友と交流しました。鈍翁が愛した板橋の掃雲台にもたびたび招かれ、南町に自怡荘を構えていた相客の野崎幻庵と、明治、大正期の数寄茶の話に興じました。こうした縁で、戦後は板橋の老欅荘に移り、従来の常識にとらわれない自由奔放な茶の湯を楽しんだのでした。
耳庵は自身の著作の中で、一貫して「茶道は生活であり、理念でなく実践である」と主張しています。茶道の実践の場にふさわしい工夫が凝らされた老欅荘。そこには、吉田茂・五島慶太ら多くの政財界人が訪れ、彼らの交流の舞台となりました。

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11月6日土曜日〜14日日曜日
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●松永記念館特別展
【時間】午前9時〜午後5時(7日のみ午後8時まで)
【場所】松永記念館本館・別館、老欅荘
 今回は、日本の伝統美術の発展と保護に尽くした耳庵への敬意と感謝の念を込め、日本画家の岡信孝さんと芳澤一夫さん、陶芸家の三上亮さんの作品を、成川美術館(箱根町)の協力により展示します。
 茶器や茶道具はもちろん、書画や彫刻、石造物、古建築にまでおよんだ耳庵の美術品収集は、日本美術の価値の再評価や、美術品の海外への流出防止などに大きく寄与しました。
 耳庵の審美眼にかなった美術品の多くは、その後小田原を離れてしまいましたが、日本の「美」を愛した耳庵の精神は、今も松永記念館に息づいています。
○特別展ギャラリー・トーク
(解説:岡信孝さん・芳澤一夫さん・三上亮さん)
【時間】11月6日土曜日午後1時30分〜3時
【場所】松永記念館本館2階和室
【定員】40人(★)

※6日に加えて7日にも、3人が会場にお見えになる予定です。

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11月7日日曜日
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●「日々是好日」〜松永耳庵物語〜
耳庵を偲ぶ、トーク、朗読、遺品の数々。
【場所】松永記念館本館2階和室
(1)メモリアル・トーク「『電力の鬼』と数寄茶・古美術」
【時間】午後1時〜2時30分
 【講師】箱根カルチャー講師 田代道彌さん
(2)劇的朗読「耳で味わう耳庵翁の言葉」
【時間】午後2時45分〜4時
【語り】劇的朗読家 松川真澄さん
【定員】(1)(2)各40人(★)
(3)「松永記念館コレクション」特別公開
【時間】午前9時〜午後8時
●古典芸能の夕べ「小田原囃子と相模人形芝居」
○小田原囃子(大窪地区子ども会)
【時間】午後4時30分〜5時30分
【場所】松永記念館正門広場
○相模人形芝居下中座公演
【時間】午後5時30分〜6時30分
【場所】香林寺本堂
【演目】傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段
【定員】80人(★)
●つづれさせの茶会と琴演奏
灯明と月明かりのもと、祭風洞さんほかによるお茶席。綾部雅翔さんほかの琴演奏が趣を添えます。
【時間】午後5時30分〜8時
【場所】葉雨庵ほか
【茶席券】1席500円(当日販売)

※「つづれさせの茶会」とは、11月上旬に鳴く「ツヅレサセコオロギ」の声を「肩させ、袖させ、寒さが来るぞ」と聞いて、冬に備え着物の手入れをするという風習にちなんで命名されています。

●いたばし見聞楽市
板橋商店会ほかによる軽食や特産品の販売。
【時間】午前11時〜午後4時
【場所】香林寺前ほか
●夢灯篭 灯りの回廊
夜の松永記念館を彩る数百個の灯篭。
【時間】午後5時〜8時
●ぶらり板橋 夢散歩
小田原ガイド協会メンバーによる板橋周辺の史跡などの案内。
【時間】午前10時〜午後3時
【受付場所】香林寺山門脇

★定員のある催事は、先着順となります。申し込みは、郷土文化館まで、電話で。

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松永記念館特別展の開催に寄せて
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日本画家 岡 信孝さん

この展覧会は、小田原市にご縁を頂いている私と2人の作家が、この地の文化風土を慈しみながら、それぞれの作品を展観するものです。
「松永記念館」を会場とすることは、耳庵翁の芸術感覚に触れ、生命を与えられることでもあり、ありがたきことと思っております。
展覧会の開催に当たり、成川美術館をはじめ、関係各位のご協力を心から感謝申し上げます。

1932年神奈川県生まれ。祖父・川端龍子の内弟子となり、日本画団体青龍社で活躍。義父は陶芸家、濱田庄司。現代日本画の巨匠として純日本美を追求。

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#07:おだわらの歴史に触れる
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問 文化財課 電話0465-33-1717

先人から受け継がれた小田原の歴史資産。
市では、その奥深さを多くの皆さんに知っていただくため、「文化財建造物の観覧会」「最新出土品展2010」を開催します。
私たちの身近な歴史に触れ、その息吹を感じてみませんか。

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文化財建造物 秋の観覧会
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 「国登録有形文化財」「小田原ゆかりの優れた建造物」ほか、ふだん見られない文化財建造物を一般公開します。
【日時】11月7日日曜日 午前10時〜午後3時
【場所】清閑亭(南町1-5-73)
静山荘(南町3-1-20)
    岩瀬家住宅主屋(鴨宮692)
    山月(板橋913)
    旧古稀庵庭園(板橋827/あいおい保険小田原研修所)
【費用】100円(旧古稀庵庭園のみ)

※清閑亭では、NPO法人まちづくり応援団が、そのほかの建造物では、NPO法人小田原ガイド協会が、解説します。

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最新出土品展2010
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市内では、平成21年度に、本格調査20件、試掘調査30件、史跡整備調査1件の発掘調査が行われました。その中から注目の出土品を展示します。
出土品のほか、遺跡の写真や当時の生活を解説したパネルなどを交え、分かりやすく紹介します。縄文土器や、小田原城下の瓦などを直接手にすることができるコーナーもあります。目で見て、手で触れて、出土品をお楽しみください。
【期間】12月4日土曜日〜12日日曜日午前9時〜午後5時
【場所】かもめ図書館集会室

また最終日には、各遺跡の調査担当者が発掘調査の概要を分かりやすく報告する、遺跡調査発表会を開きます。

◆小田原市遺跡調査発表会
【日時】12月12日日曜日午前10時〜午後4時30分(開場:午前9時30分)
【場所】かもめ図書館視聴覚ホール

今回は、左記の遺跡など8件の発掘調査の報告を予定しています。
●縄文時代の土器が大量に出土した久野北側上遺跡(久野)
●弥生時代の巨大な環濠(集落を囲むように築かれた堀)が検出された酒匂北川端遺跡(酒匂)
●戦国時代の堀から漆塗りの弓など希少な出土品が見つかった小田原城三の丸幸田口跡(栄町)
●町屋の上水施設や旧東海道が検出された小田原城下筋違橋町遺跡(南町)

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最新出土品展2010は速報展示!!
通常、出土品は、報告書作成のため、まず詳細な観察や写真撮影を行います。
しかし、最新出土品展は、本格的な整理が行われる前の出土品をいち早くご覧いただける貴重な機会です。
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#08:〈連載〉尊徳道歌のこころ/〈連載〉市民力
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問 尊徳記念館 電話0465-36-2381

尊徳道歌のこころ〈11〉 …「徳」に報いる道

はらくちく 食ふてつきひく
尼かゝも 佛にまさる さとりなりけり

二宮尊徳がその教えを分かりやすく詠み上げた道歌は、現代の私たちが尊徳の教えを知るうえでも、確かな道しるべとなるものです。ここでは、そのうちのいくつかを連載で紹介します。
天保4(1833)年の正月に詠まれたこの歌には、「民業」という題がつけられています。「尼」「かか」というのは、当時の庶民の女性たちの呼び方です。親しみを込めたもので、特に見下した言い方ではありません。
食事が終わり、おなかがいっぱいになった「尼」「かか」たち。一休みといきたいところですが、彼女たちは、もう次の食事のことを考え、米をついたり、粉を挽くなどしています。
そのようすを見て、尊徳は「偉いものだ。これは立派なお坊さんの悟りにも勝るものだ」と褒めたたえているのです。
世の中のものは、刻々と姿を変えてゆく、それが天道、つまり自然の道理というものです。だから私たちは、今この時が、次は一体どうなるのか、終いはどうなるのかということを、常に考え、先のことを見通して備えなければなりません。
尊徳は、「ある事を成し遂げようとするならば、始めに、その終わりについて、はっきりさせておかなければならない」と言っています。次の食事の時になって困らないよう備えている「尼」「かか」たちは、それをしっかりと実践していたことになるのです。
また、尊徳が生きた江戸時代には、まだ男性よりも女性をさげすむ風潮がありましたが、尊徳は決してそうではなかったことが、この歌に表れています。
※協力 報徳博物館館長代理 齋藤清一郎さん

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〈連載〉市民力
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小田原文化サポーター「文化芸術が好き」を生かして…

平成21年5月、「小田原の文化を盛り上げたい」という志を持つ仲間が集まり、『小田原文化サポーター』が誕生しました。現在、会員は約40人。コンサートの受付などをサポートするレセプショニストの活動と、公演開催などの自主企画に取り組んでいます。会員の打ち合わせでは、自主企画コンサートの準備から、レセプショニストの活動報告、次のスケジュール確認と、和やかな雰囲気ながら、密度の濃い時間が流れます。
代表を務める神馬さんは、レセプショニストの活動について、「主催者をお手伝いするだけでなく、今まで知らなかった公演や団体など、多くの情報に触れられます。小田原にあるたくさんの文化をもっと知り、それを広めていけたら」と言います。
現在は、「舞台を見る機会の少ない人や、何より、子どもたちと一緒に文化を楽しめる場を」という思いで、来年1月16日に開催する自主企画公演の市民劇場「おだわらたまてばこ」を準備中です。
経済情勢が厳しい今、文化活動をはぐくもうという気運が低くなっているのではないかと感じることもあるそうですが、「だからこそ、身近で文化芸術に触れる機会が大切。文化活動が好きな私たちが少しでも力になれたらいい」とのこと。現場で、肌で感じる思いが、文化サポーターの皆さんを動かしています。

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#09:〈連載〉あの日 あのとき 小田原
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第8回
市制施行から70年という節目の今年。
先人の営みより継承されたもの、自然事象とともに刻んだ足跡、古きよき故郷の懐かしい面影など、
小田原の歴史には「無尽蔵の市民力」へとつながることがたくさんあります。
ここでは、そうした記録と記憶をたどります。

尊徳翁がつないだきずな今市市との姉妹都市提携

生誕と終焉の地から

市制40周年を迎えた1980年、二宮尊徳翁の生誕の地「小田原市」と終焉の地「栃木県今市市(現・日光市)」との間で姉妹都市提携を結びました。
その年の広報おだわら12月号ではそれを大きく取り上げ、「心の通い合うまちづくり」を目指す本市の姉妹都市提携への喜びや、市民の交流を活発にしていきたいという期待を伝えています。

指導者に支えられ

姉妹都市提携から30年。行政のみならず、スポーツ少年団や子ども会関係者など、多くのかたの尽力により親睦が深められてきました。今年7月に30回目を迎えたスポーツ少年団交歓会に、第1回から指導者として参加されている片山さんには、参加した子どもたちとのたくさんの思い出があります。
「子どもたちは皆で夢中になると、いつの間にか仲良くなっているんですよね。引っ込み思案だった子が、この交歓会をきっかけに自信を持ったこともありました」小田原で交歓会を行う際には、事前に指導者自らがプログラムを試すなど念入りに準備します。
交流が生む多くのきずなは、市民の力が支えています。

友好は引き継がれ…

2006年、今市市は周辺市町村と合併し、新「日光市」として本市と姉妹都市の再提携して、さらに交流を進めていくことになりました。
両市で開催される祭りでの交流のほか、災害時にはお互いに助け合えるよう協定を締結しています。その昔、尊徳翁がその地の復興にかけた思いが、時代を経て多くの人の手をつなぐ縁となり、きずなが強く、固く、結ばれています。

【発行】小田原市
【編集】広報広聴室
〒250-8555 神奈川県小田原市荻窪300番地
(TEL)0465-33-1261
(FAX)0465-32-4640
○「広報おだわら」1日号は自治会配布、15日号「おだわらいふ」は新聞折り込み。
市役所、支所・連絡所、マロニエ、小田原駅、郵便局などでも配布しています。
○小田原市の市外電話番号は0465です。


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