No.1289
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千年の歴史が紡ぐ、小田原木工芸の世界

伝統工芸士が語るその魅力

時を重ねて輝く小田原漆器

両手を広げて漆器について語る大川さん
  • 小田原漆器 大川木工所 大川さん
  • 伝統工芸士 登録認定日 平成15年2月25日

小田原漆器の歴史的背景

小田原の伝統工芸の中で、最も歴史を有するのが小田原漆器です。

小田原の木工の始まりは平安時代といわれ、約千年の歴史があります。平安時代に早川の地でろくろ(木材を回転させる道具)を使ってお椀を作る「木地挽(きじひき)」が行われたという言い伝えがあり、紀伊神社には、木工ろくろの技術を伝えたといわれる、惟喬(これたか)親王伝説があります。

室町時代になると、木地椀に漆を塗り、耐久性を持たせるようになりました。これが小田原漆器の始まりです。また、漆は傷を修復しやすく、水や熱に強いのが特徴です。

戦国時代には、北条氏康が塗師(ぬし)を招き、甲冑(かっちゅう)や槍に漆を塗ったという話もあり、その頃から塗師が小田原に定着し、日常の生活に小田原漆器が広まったといわれています。

小田原漆器の特徴

小田原漆器は、木目が美しく、硬くて丈夫なケヤキの木を使い、自然の木目を生かした塗り方が主流です。

ろくろを使って、製品の形に合わせた手作りの刃物を使って切削し、成形します。ろくろで木地を挽(ひ)く際には、高い技術が求められます。小田原では、木地師が正面に座り、ろくろと向き合って挽くスタイルで行われています。

ろくろで挽く際は、つるつるになるようにきれいに削り、磨き上げることが大切です。

ろくろに向かい、手作りの刃物でケヤキの木地を削る大川さん。周囲に削りくずが舞う

小田原漆器の魅力

他の産地の漆器は、きらびやかで豪華な物が多いのですが、小田原漆器は素朴な塗りの物が多く、使っていると愛着が湧いてきます。まずは触れてみて、木目やふわっとした木のぬくもりを感じながら、食事を楽しんでもらいたいです。お椀は熱いものを入れても熱さをほとんど感じません。塗り直しをすれば、また新しくなり、長く使えるのもポイントです。

大川さんが制作した小田原漆器。黒とあずき色の椀、丸盆、小皿が並ぶ
▲大川さんが制作した小田原漆器

木が描く芸術箱根寄木細工

寄木の文様が入った板を手に持ってほほ笑む露木さん
  • 箱根寄木細工 露木木工所 露木さん
  • 伝統工芸士 登録認定日 平成14年2月25日

箱根寄木細工の歴史的背景

江戸時代の終わりの頃(約200年前)から、箱根町の畑宿で作られ始めたといわれています。箱根の山は、さまざまな色彩の樹木が豊富であるため、自然環境と木工技術が融合し、寄木が生み出されました。

さらに、江戸時代から明治時代にかけて、木工技術と道具の発展により、組木細工(玩具)、秘密箱、木象嵌(もくぞうがん)など、多様な木製品と木工技術が生まれました。小田原・箱根地域は、伝統工芸のまちといえます。

箱根寄木細工の特徴

箱根寄木細工は、部材を組み合わせて、三角形や四角形の伝統的文様をつくる作業に高い精度が求められます。また「ズク」という技術が特徴です。ズクは、木の部材を組み合わせて文様を作り出した種木(たねき)を、特別なカンナで厚さ0.2mmに薄く削る繊細な技術です。薄く削ったズクを製品の表面に貼って仕上げます。

工房で寄木の部材を手に細かな作業をする露木さん

箱根寄木細工の魅力

箱根寄木細工には、文庫やお盆の他、イヤリングやピアスなどの装身具を入れる小物入れなど、さまざまな製品があるため、それぞれの寄木の美しさを魅力として楽しんでもらいたいです。また、寄木は公共施設やホテルの内装、壁面装飾など、多方面で使えることも特徴です。新しい寄木の文様を模索すれば、無限の可能性が広がります。

伝統的工芸品を知ってもらうとともに、見て、触って、ものづくりの良さを感じてもらいたいです。

未来へつなぐ木工芸

神奈川県でKOUGEI(こうげい) EXPO(エキスポ)を開催するため、2年前から準備をしてきましたが、併せて「秘密箱」の魅力を引き継ぐ「からくり細工」を、県内で4番目の経済産業大臣指定の伝統的工芸品にすべく、取り組んでいます。

これからも、木工職人が切磋琢磨(せっさたくま)し、令和の時代にふさわしい新しい技術開発に取り組み、皆さんに親しまれる木製品を作り出すことで、地域の魅力をより高めていきたいと思っています。

露木さんが制作した箱根寄木細工。市松や麻の葉の文様が入った引き出し付きの箱、小箱、盆
▲露木さんが制作した箱根寄木細工

小田原・箱根「木・技・匠」の祭典

日時
10月10日(土)・11日(日) 午前10時〜午後4時
場所
小田原三の丸ホール、市観光交流センター(にぎわい広場含む)
内容
2026「木工-1(ワン)グランプリ」作品展示、たくみの広場(ワークショップ体験&からくり箱体験)、木と技の木工marché(マルシェ)(木製品販売)、小田原・箱根の木工の歴史展など
2026「木工-1グランプリ」入選作品。グランプリ作品名「質感1」、準グランプリ作品名「ARCH 濃淡」、準グランプリ作品名「葉っぱ皆敷」
▲2026「木工-1グランプリ」入選作品

小田原・箱根「木・技・匠」の祭典に向けて

この祭典は、若手の職人が企画、運営しています。木製品を見て、触れて、買って、木工の歴史や文化を学んでもらえればと思います。

特に「温故新」をテーマに職人の技と発想力を競った、2026「木工-1グランプリ」の作品展示では、応募のあった171点から、伝統技術と新しい加工技術の融合を楽しむことができます。その他にも、木製品の販売やワークショップ、小田原・箱根地域の木工の歴史を紹介する企画展などもありますので、気軽にお越しください。

小田原・箱根「木・技・匠」の祭典実行委員会 委員長の府川さん
小田原・箱根「木・技・匠」の祭典実行委員会 委員長 府川さん

KOUGEI EXPO in KANAGAWA (第43回伝統的工芸品月間国民会議全国大会)

日時
11月7日(土)〜9日(月)午前10時〜午後5時(9日は午後4時まで)
場所
パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1丁目1番1号)
※入場無料
内容
日本各地の伝統的工芸品が神奈川に大集合!職人による制作実演の他、工芸品の制作体験や展示販売を行います。本市も神奈川県の工芸産地としてPRブースを設置します。

メインステージのスペシャルゲスト

磯村勇斗さんのポートレート
▲磯村 勇斗さん
堀田真由さんのポートレート
▲堀田 真由さん
KOUGEI EXPO in KANAGAWA の詳細ページはこちら

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