よみがえれ!小田原の「海の森」~藻場再生に向けた取り組み~
近年の地球温暖化による海水温上昇や、大型台風などの影響で、海藻が繁茂する藻場(もば)がなくなってしまう「磯焼け」が深刻な小田原の海では現在、漁業者やダイビング事業者、研究機関などが協力し、藻場再生に向けた活動をしています。
活動開始から4年目を迎えた今年度。地域連携で取り組む藻場再生の近況や、その効果についてご紹介します。
これまでの歩み
カジメを食害から防ぐ保護網の設置や、食害を起こす魚類の捕獲などで、一部では自生するカジメが確認できるなどの成果が見え始めています。
これまでの歩み詳細はこちら
なぜ藻場再生が必要なの?
藻場再生が必要とされる理由は、生態系の維持や漁業資源の回復、そして地球環境の保全に深い関わりがあります。
藻場は「海のゆりかご」と呼ばれ、多くの魚類や貝類、甲殻類の産卵・成育の場です。実際、小田原の海では、カジメが消失したのと連動するかのように、カジメを餌とするアワビやサザエの漁獲量も激減。藻場をすみかとする小魚やエビなどの生物も減少しました。藻場再生は、アワビなどの水産物の漁獲量を維持できることはもちろん、生物多様性を維持する上でも重要な役割を果たします。
また、海藻は二酸化炭素(CO2)を吸収する働きを持ち、地球温暖化の抑制にも貢献しています。地球上で排出されたCO2が、海中に溶け込み、海藻などの海洋生態系により吸収される「ブルーカーボン」が、近年注目されています。
藻場を再生し、健全な海の循環を取り戻すことが、持続可能な漁業と豊かな海の維持に必要不可欠です。
海の「空気清浄」ブルーカーボン
ブルーカーボンとは、海藻などの海洋生態系が、光合成によりCO2を吸収・貯留した炭素を指します。
森林などが、CO2を吸収し酸素を放出するのと同じ仕組みで、近年は海洋生態系が吸収した炭素を貯留する効果が非常に高いということが分かってきました。
森林などが貯留する炭素を「グリーンカーボン」と呼ぶのに対し、海藻などが貯留する炭素は「ブルーカーボン」と呼びます。
ここがすごい!ブルーカーボン
海藻に蓄積したブルーカーボンは、海藻が枯れた後、分解されることなく海底に沈みその後長期間貯留されます。海藻は枯れると海底に沈む一方、海底には分解に必要な酸素が非常に少ないため、分解されるまでに数百年以上はかかると言われています。
これによってCO2の大気中に戻る量を減らし、気候変動の進行を和らげる効果も期待されています。
藻場再生に取り組むダイバーに聞いた!
江之浦でダイビング事業を営む野瀬さんは「小田原藻場再生活動組織」に所属し、小田原の海の藻場再生活動に取り組む一人です。野瀬さんに小田原の海の変化について聞いてみました。
ダイバーから見た小田原の海の変化
これまで、ダイビングのエントリーロープ(海に入るための補助具)の周りには、刈り取らなければ歩けないほどカジメが生えていました。それが突如としてなくなり、生息する魚などの種類が変わったことや、仲間の漁師も環境の変化によってワカメの養殖を断念するなど、みんなが危機感を覚えました。ダイバーは日々、海に潜り海の様子を観察していますが、明らかに南の地域で生息する魚が増えてきている一方、藻場を好むメバルなどはほとんど見なくなってしまいました。
江之浦では、これまでも漁業者とダイビング事業者が、イベントや資源保護活動で協力関係にあったことから、共に藻場再生活動を開始することになりました。
海の変化を実際に見に来てほしい
藻場再生活動も4年目となり、少しずつ成果が表れている場所もあります。自生するカジメを初めて確認できた時は、組織のメンバーみんなで大喜びしました。漁業者やダイバーなどの海が好きな者同士が協力するからこそ、活動の成果を分かち合えるということが原動力になっています。
現在、江之浦で藻場再生の活動によって少しだけ回復した藻場の様子を、一般のダイバーにも見てもらっています。一度は全滅してしまった場所に、今生えてきているカジメは、間違いなく私たちが活動した成果です。
関連情報リンク
この情報に関するお問い合わせ先
経済部:水産海浜課 水産振興係
電話番号:0465-22-9227