小田原Lエール認定企業トップインタビュー
♯4 株式会社タウンニュース社 小田原支社
取材日:令和7年1月28日(火)

株式会社タウンニュース社さんは、地域の情報を届けるタウン紙の発行やWebサイトの運営などをしています。
小田原、箱根、湯河原、真鶴地域を担当する小田原支社の支社長 野口康英さんにお話をお伺いしました。
企業情報
概要
- 小田原市荻窪306 レジデンス宮2F
- タウンニュースの発行/各種印刷物の企画、制作、印刷/Webサイトの企画、運営/地域プロデュース・PPP(公民連携)事業
- 従業員数10人(令和6年9月30日時点)
- 本社は、横浜市青葉区。全従業員数(パートタイマー除く)191名。
女性活躍の主な取組
- 小田原Lエールゴールドステージ認定企業
- 目標値の設定:管理職に占める女性割合20%以上(令和8年度末まで)
- 女性社員が企画した、小学生向け「こどもタウンニュース」が神奈川県のなでしこブランドに認定
Episode1 更新しました!
小田原Lエールが創設された令和2年度に初めてゴールドステージ認定されてから、今年度(令和6年度)2回目の更新をしました。
申請に必要な「取組確認表」のチェック項目を確認することで、 これが必要なんだなとか、 自分は意識できているかなとか、うちに足りない部分が何かということも理解できる。事業所として現実的にそこまで着手できるかどうかなどの仕分けも分かりやすいです。 チェックは付くけれども、 実際にそれがしっかりと運用されているかということもありますよね。 そこに対しても改めて考える機会にもなるというように思います。 なんとなく思っていたことを細分化して確認する良いきっかけになります。 この項目をきちんと取り組んでいくと、女性も含めて社員全員にとって、みんなが活躍できる環境が整い、 働きやすくなるんだろうなと感じています。
Episode2 ダイバーシティ実現に向けて
昔は、「マスコミの世界は夜中の12時まで仕事するということが当たり前」みたいなところがあって・・・。うちも、以前、女性社員は、結婚を機にやめていく人が多かったです。それはなぜかというと、現実的にはまだまだ、子育てや家事は女性がするものということがあり続けているからだと思うんです。 10年くらい前から結婚して出産しても続ける人がポツポツと現れたなという感じで、今は、女性スタッフも多くなりました。でも、社員の男女比に対して女性の管理職は著しく少ない。現場で活躍している女性がいるのに、管理職が少ないのは、 管理職になる能力が低いってことではないと思うんです。「男性は昇進して、女性は昇進できない」ということになると、会社としても大きなマイナスですよね。管理職に登用できる素養と、力を発揮する可能性のある人が、そこにいられないというのは、スタッフ個人のキャリアとしてもマイナスだと思います。 だから、そこは改善していかなきゃいけない課題だと。
タウンニュースの主たる仕事って、読者、つまり地域の人に、地域のサービスなどの情報を届けるということじゃないですか。地域のサービスは、男性向けのサービスもあるし、女性向けのサービスもある。 性別や、年齢も関係ないものなどいろいろあるわけです。それなのに、発信側がどちらかの性に偏っていたら、様々なサービスの良さが汲み取れきれないということが、現実的にはあるんだと思います。だからこそ、多様性が重要となるんです。戦略です。
女性活躍は多様性のとっかかり。どの企業でも、そこのロジックが経営層や上層部に理解されていないと、「なんで女性活躍?」とか、「今さら?」とかになっちゃうんですよね。 うちは「ダイバーシティ経営」を掲げていますが、組織として、まだまだ十分でないと思います。 しかし、小田原支社以外もいくつか拠点があり、異動がありますので、小田原支社で積極的に女性活躍推進の取組を経験したスタッフが、他のところに行き、その経験を活かす。会社全体に女性活躍推進に対する機運が浸透していくと思うんです。小田原Lエールの認定企業であること、これをどう生かしていくかは、認定を受けたこちら次第だと思いますよ。

Episode3 無意識の思い込みに気づく
女性活躍の概念としては理解した、でも、まだまだ、目に見えないところに課題があるのではないかと思います。
まず、感じ取ることが大事ですよね。今回インタビューを受けるにあたり、改めて考えてみたんですけど、たとえば、各事業所にパートさんがいます。全員女性です。 私は、なんとなくパートさんは女性って決めつけていた、それが当たり前として受け止めていたなと思うんですよ。もしも、男性の応募があったら、「え?」って思うかもしれないです。
それが直ちに社外的に影響があるわけではないけれど、不都合、不具合がなくても、無意識の思い込みとしては残る。誰にでも、考え方がアップデートされていないものはたくさんあると思うけれど、これから就職しようとする世代の人は、そういったことにも違和感を感じることもあるかもしれない。 そこに気づけないでいるということは、会社にとって、経営的に大きなリスクだと思っています。

Episode4 理想の上司像とは「ストッパーにならないこと」
どんなキャリアや階層にいても、思ったことは声に出せる環境がいいなと思っています。その中で、「YES、NO」と判断したり、「もう一回検討してみて」とお互い言い合えたり、そういうのがいいと思うんですよね。
人が活躍するというのはそういうことで、いろんな人がいたら、いろんな意見がある。それが表面化してくることが、ツールを増やすことだと思っている。自分は、部下が声を出すことへのストッパーにはなりたくない。 戦略的に実践しているわけではありませんが、自分から話しかけるようにしています。もし、上司が仕事のことばかり話しかけたら、部下は、上司と話すときは仕事のことしか話してはいけないとなってしまう。 どうでもいいことも話さないと。
多分、「どうでもいいこと」と「しっかりと伝えるべきこと」 そのふたつの間のことが、すごくいっぱいあると思うんです。 例えば、お客さんからクレームっぽいことを言われている、ちょっと怒っちゃっているかも‥・みたいなね。 「しっかり伝えるべきこと」まではいっていないかもしれないけれど、自分の中ではモヤモヤしているということって、誰しもあると思うんです。でもそれって本当は、早いうちに上司が聞いておいた方が絶対良くて、「こういう話をしてみたら?」とか「一緒に行こうか」とか、アドバイスすることで解決することも多いと思います。「自分で何とかしろ、と言われちゃうかな」と思う前に報告できる関係って大切だと思うんですよね。「こんな企画思いついたんですけど、どうですかね?」と、正式な場で提案するちょっと手前の情報を、チーム内でたくさん共有できる方が、その先の発展につながると思っています。思いつきを口に出しても良い、そしてそれを聞いてもらえるという環境にあると、メンバーは何かを考えよう、ということになるんです。 チーム全体のレベルが上がっていきます。 世間話のちょっと上くらいのイメージ。
もともと、自分がおしゃべりってということもあるんですけどね。
なぜ、そこに行きついたかというと、若いころの経験があります。前職の時に、ものすごく困ったことがあったんですけど、とても言い出せる雰囲気ではなかった。大体そういうときって、「もっと早く言ってくれれば・・・」となるんですよね。「言えるわけないじゃないか」と思ったんですよ。
タウンニュースに入ってからも、致命的なミスをしたことがあって、それを上司に言ったとき、上司は解決のための動きをしてくれました。最後まで、一回も怒られなかった。お客さんの対応をすべて一緒にやってくれた。リスク回避が上司の大きな仕事だと感じ、部下のレベルでは解決が難しいことでも、経験とか対外的なポジションにより、早々に収まることもあるんだ、と思った経験でした。
このふたつの経験から、自分なりの上司像ができました
Episode5 これからのこと
仕事より、人生のほうが大事だと思っています。よりよい人生を送るための仕事ですから。それは忘れないようにしています。 人生が犠牲になってしまうような仕事の仕方は、仕事としてもどうなんだろうと思うわけですよ。持続可能じゃないですよね。完全には分けられないですけど・・・。
そういった意味で、女性活躍、多様性についてより敏感な企業であるべきだと思う。 社員が、5年後10年後のキャリアを描くことができる環境を作り、女性であることがハンデとならない企業を目指します。
今後も、小田原Lエール認定企業ということを活かして、働きやすい、やりがいが生まれる職場づくりに取り組んでいきたい。
もちろん、女性活躍や多様性について理解を深めていただけるような発信を地域、読者に届けていきます。

スタッフの方にもお聞きしました

長谷川 あい子 さん
メディア専門学科を卒業。大学時代にフリーペーパーの研究も。タウンニュース社では、県内各所を異動し、経験を積まれました。産休育休を取得し、お子さんが3才になったころ、時短勤務からフルタイムへ。裁量労働制なので、仕事は自身で組み立てていらっしゃいます。
令和7年2月から秦野支社 伊勢原編集室 編集長。
出来ることをやる
以前は、出産したら退職する人も多かったんですよ。それが、少し上の先輩の中に、復職する人がちょっとずつ出てきました。そういう先輩を、ずっと見ていました。でも、復帰した人はみんな、取材とか、締め切りとか、どうやってやればいいの?ということで悩んでたんですよね。
でも、結局、その中でできることをやる、ということしかないんですよね。 私は、産休育休取得後、子どもが3歳になった時に、 時短からフルタイムに戻りました。 うちの職場は裁量労働制なので、自分で取材の時間や業務内容に合わせて、 1日のスケジュールを調整しています。リモートで仕事ができるので、原稿はどこでも書けるようになったっていうのが結構大きいですよね。
管理職になるって難しい?
会社としては、女性の管理職率を上げていきたいという方針がありますが、女性自身の中には、「負担が増えるからできればやりたくない」って考える人もいると思うんですよね。 でも、私は、基本的には、役職がついても、そんなにやることは変わらないんじゃないかなって思うんですね。 今までの仕事の延長線上にあるんじゃないかな。 昇格について、今までと何がどう変わるかっていうことが具体的にはわからない。 わからないからできないって思ってしまうのではないかな。 でも私は、わからないから逆に「やってみなきゃわからない」って思うんです。
人生は長いし、多くの時間を会社で過ごすんだとしたら、もっと会社を楽しい場にしたいです。 今、私は係長ですが、係長として、まずは自分が仕事は楽しく。 そういう姿を後輩に見せていきたい。後輩に寄り添っていくべき。上司の考えをきちんと伝える役割もあると思う。
こういうことから、昇格などに伴う不安とか、キャリア形成についてなどを話す場があるといいかなって思います。
仕事以外の「軸」を持つ
地元で、子育てを支援する団体を立ち上げました。仕事以外にも【軸】をたくさん持ちたいなって思います。今まで出会わなかった人たちと出会えるので、そこで生まれるものってあるなと思ってるんです。面白いですよね。
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市民部:人権・男女共同参画課 人権・男女共同参画係
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