人の物語に寄り添い、共感を紡ぐ“共創のアプローチ”

“市民の力で未来を拓く希望のまち”の実現に向けた新たな旅路

小田原市では“市民の力で未来を拓く希望のまち”を将来都市像に掲げた総合計画「おだわらTRYプラン」があります。
平成29年度から始まる後期の基本計画をつくる中で、小田原市ではこの将来都市像を実現するために新たな試みを始めています。
「変化の激しい時代だからこそ、今を暮らす“人”に焦点をあてよう。」
「そして計画づくりを、思いある人々がつながるきっかけにしよう。」
そんな思いから、市民との対話を重ねて世代や業種を超えたつながりを生み出し、そこから取組の一歩を踏み出す“実験と学びに基づく共創のアプローチ”という手法を取り入れています。

人の背景に寄り添う「市民インタビュー」

平成27年4月に「高齢者がいきいき暮らすまち」をテーマに様々な課の市職員13名がプロジェクトチームを結成。
まずは、約50人の市民の方々にインタビューをさせていただき、一人1人の体験を丁寧に聴いていきました。

退職前に仲間と再会したおかげで(60代・男性 Yさん)

「50代は仕事に追われて時間がなく、疲れていた。」と語るYさん。
退職し自宅で株式投資を楽しむ今、「同じ趣味の方と交流したい。」と少し寂しそうに語られました。「生きがいを感じるには、時間とお金だけじゃ足りないんだ。」と、50代で再会した同級生の仲間をとても大切にされていました。
誰もが経験するライフステージの変化とともに、人間関係や社会での役割も変化します。そんな中、戸惑いを感じる60代の気持ちに触れました。
同級生の仲間を大切に暮らすYさん

同級生の仲間を大切に暮らすYさん

感謝の記憶が託児ボランティアのきっかけに(50代・長田美香さん)

「見知らぬ小田原で子育てを抱え込んでいた20代の頃、上の階に住むご夫婦が助けてくれたの。」と語る長田さん。当時、ご夫婦から「子どもなら預かるから、いつでもご飯を食べにおいで。」と言われて、心からホッとしたそうです。
30代の頃に、思いたって託児ボランティアを始めてから20年。「この活動が、今の生きがい。若いママ達の心の支えになれて嬉しい。」と笑顔で語られました。
長田さんの思いの源泉を辿ると、そこには20年前に体験した感謝の記憶と、まちへの恩返しの気持ちがあったそうです。
感謝の体験を語る長田美香さん

感謝の体験を語る長田美香さん

家族が地域と顔をつないでくれたから (70代・村山輝夫さん)

「定年までは仕事ばかりの人生だった。」と語る村山さん。「でも、兄や妻が顔つなぎをしてくれて、50代から地元のお祭りに顔を出すようにしたんだ。」
退職後、気づけば自治会の役員に選ばれ、今では、母親クラブと公民館の花植えも手伝うほどに。「家の畑で取れた野菜を贈った近所の方が、『美味しかったですよ!』と言ってくれる。それが嬉しいんだよ。」
退職前から地域との関係があったことで、近隣の人々と喜びを分かち合う新たな暮らしをされていました。
笑顔で語る公民館長の村山輝夫さん

笑顔で語る公民館長の村山輝夫さん

自分ゴトからまちを語る「市民ミーティング」

7月には、『10年後の私に出会う~楽しく年を重ねるための市民ミーティング』を開催。
インタビューに共感した市民や、仕事で高齢者に関わる様々な人たち38名が集まりました。
「私が充実していた時」や「豊かに年を重ねるために大切にしていること」など、自分の“思い”を語ります。
様々な世代の“実感”に触れる中で、自然とお互いが暮らす“まち”について熱く語られ始めていきます。
最後は、『私が踏み出して見たい新たな一歩』を伝え合いながら、笑顔で握手を交わしていました。
お互いのイキイキした瞬間を語り合う

それぞれ体験してきたストーリーを語る

それぞれ体験してきたストーリーを語る

お互いの話を聴いて感じたことを共有

お互いの話を聴いて感じたことを探求

「私が踏み出したい一歩」を伝え合う

得られた気づきから仮説を立てる

こうして様々な気づきを得て、メンバーも行政のあり方を話し合いました。
「行政も事業やイベントをたくさん打っている。」
「でも、関心が少ない方に効果を波及するにはどうしたらよいのだろう。」
「60代になってから『さぁ〇〇を始めませんか』と言っても、腰は重いよね。」
「50代の頃から仲間との交流があった方は、様々なきっかけを得ていたな。」
そんな議論を重ね、『40~50代のうちに』『ゆるやかなつながりをもつこと』が、高齢者がいきいき暮らすポイントではないかと、仮説を立てていきました。
得られた気づきを語り合うメンバー

共創の実験を生み出すアイデアワークショップ

これらの仮説を、今後どう実現していけばよいのか。
私たちはその小さな一歩を踏み出す実験を試みました。
“若く健康でありたい”という多くの方の言葉をヒントに、様々な民間団体を訪ね歩きました。すると「未来のシニアを元気にしたい」と、スポーツに関わる団体や健康づくりに携わる専門家、インタビューに共感してくれた市民の方々が集り、この冬に行う実験的な取組についてアイデアを出し合いました。
得られた気づきを語り合うメンバー

計画づくりから、現場がつながり始めた

市民や官民の様々な団体との対話を重ねたこの計画づくりを通じて、職員もより広い視野でまちを捉え、新たな気づきと学びを得てきました。
生涯学習の分野でパパ世代の仲間づくりを促す講座が生まれたり、民間企業と連携してサラリーマン層に健康づくりを広げたりと、職員自らが日頃の業務での新たな創意工夫を試み始めています。
 
得られた気づきを語り合うメンバー

新しいテーマでの取組をスタート

インタビューによって“人”の物語から未来を考え、共感を紡ぐ“共創のアプローチ”。
この秋からは、「子ども」や「暮らし」など新しいテーマで動きはじめています。
みなさんの日々の体験を語り合うことで、小田原の未来が見えてくるはずです。
あなたも、この小田原市の新たな試みに参加してみませんか。

参加者募集中

「みんなでつくる子どもの未来~”子育ち”を楽しむための市民ミーティング~」
日時 平成28年1月23日(土)午後1時30分~4時30分
会場 おだわら市民交流センターUMECO
参加費 無料

この情報に関するお問い合わせ先

企画部:企画政策課 企画政策係

電話番号:0465-33-1253

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