市長の日記

市長の日記

2025年08月15日(金)

「8月15日を考える会」に寄せて

 本日、平和を考える市民の皆さんが中心となり、UMECOにて「8月15日を考える会」が開催されます。あいにく公務が重なっており参加ができないため、メッセージを送らせてもらいました。終戦記念日に当たっての思いとして、記しておくこととします。
 
 「苛烈と悲惨を極め世界中で数知れぬ犠牲者を生んだ先の大戦から80年。本来であれば、その痛みと教訓から、世界は平和に向かっていなければならないのですが、自国優先主義や分断は目に余る形で世界を席巻し、戦火は絶えるどころか拡大。片手で握手をしながら片手では核ミサイルを突きつけ合うような国際情勢の中、各国とも軍拡の手を緩めること無く緊張は高まり続けています。我が国においても、有事こそ起きていないものの、軍事費の膨張、核武装容認論、自国ファーストを掲げる勢力の台頭など、「新しい戦前」と言われるような状況が兆していることを懸念しています。

 唯一の被爆国である我が国では、平和を守るための並々ならぬ努力が続けられてきた一方で、戦争の悲惨さや愚かしさ、特に原爆の非人道性を直接伝えてきた世代の高齢化が進み、体験をもって次世代に非戦の願いを伝えることが難しくなっています。残された時間を大切にし、「平和を守る」ために、体験や記憶の直接の継承を可能な限り進める必要があります。一方で、「平和を創る」ために、互いを認め合い、違いを含み合って融和し、民主主義や自由を重んじ、包摂性を湛えた社会を作るべく、若い世代を中心に新しい平和文化を創り上げていくことが、今後はいよいよ重要になってきます。

 そうした状況認識に鑑み、小田原では戦後80年平和事業として、大きく2つの取り組みを行っています。ひとつは、市内中学生の沖縄への派遣事業。「ありったけの地獄を集めた」と形容される、国内唯一の地上戦の地である沖縄を訪ね、戦時下の沖縄で何があったのかを知り、見聞し感じたことをしっかりと周囲に伝えてもらう事業です。もう一つは、市民の皆さんが取り組む平和事業の認定。青年劇場による演劇「あの夏の絵」の上演、市民による平和音楽祭、加藤登紀子さんをお招きしてのコンサートという3事業を、今年は認定させて頂きました。いずれの取り組みも、たいへん熱心な多世代の市民の皆さんによって盛大に行われています。
 私自身は8月8日・9日に長崎を訪ね、世界の8500を超える自治体首長が加盟する「平和首長会議」に参加すると共に、平和公園での式典に列席。長崎の地から恒久平和への祈りを捧げました。

 本日は、松田町ご出身の中村桂子さんのご講演と伺っています。核兵器廃絶に向け、世界を舞台に精力的に活動を続けられている中村さんのお話は、核兵器をめぐる世界の現状と危機を知り、それに対して私たちが取り組むべきアクションに向け、極めて有意義なものとなることでしょう。
 平和を守り、平和を創り、そして日々の暮らしに根ざした平和文化を小田原の地から育てるべく、これからも力を合わせていきましょう。」

2025/08/15 11:20 | 未分類

 

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