松永安左ヱ門(耳庵)自筆の書
松永記念館(昭和34年開館)の設立者・松永安左ヱ門(耳庵)は、「電力王」と呼ばれた実業家で、茶人「耳庵」としても知られた数寄者です。自由闊達な人柄を思わせる、豪快でのびのびとした筆勢には独特の迫力があります。
ピックアップ資料紹介
松永耳庵書簡(蓑原善次郎宛)昭和28年(1953)頃
「本日は難有(ありがたく)コンナ気持ちで 次の部屋ハ用ひ度(たく)候(そうろう)」と始まる本資料は、松永が蓑原善次郎氏に宛てた書簡。老欅荘を設計した蓑原氏に対して、次に造る部屋のイメージを自筆の絵とともに綴っている。当初20坪程度だった簡素な母屋は、10年近くに及ぶ増改築を経て、自身の美意識とこだわりを反映した近代数寄屋風の邸宅となった。「八十の爺と婆あの茶のみ場所 時に飯食べ 鍋汁も吸う」。松永翁と一子(かずこ)夫人が囲炉裏を囲む朗らかな絵が、手間をも楽しみながら邸宅を造っていった様子の一端を伝えている。