7月24日
普段と変わらず5時前には起床、昨夜眠すぎて途中で途切れていた日記をまとめた後、宿泊先の周囲を散策。緑の多い市街地から海岸線に出てみると、海水面が上昇した影響でビーチ(汀線)が後退、浜辺のヤシの木やガジュマルなどの根元が波で洗堀されて剥き出しとなっており、土砂が流出しているのがはっきりと判る。
朝食後、徒歩にてフォームラク市役所へ。ここでも職員の皆さんが並んで出迎えてくださった。会議室にて、市長および6名の市議会議員らと、双方の市の紹介と活動状況報告、今後の交流や連携の可能性について、活発に意見交換。フォームラク市は市長と議会の双方が小田原との交流に極めて意欲的。
会議を済ませた後、市内(島内)各所を視察。オランダなどの出資による延長2.6㎞の海岸護岸の整備事業の現場、島の南端にある魚市場での漁師さんたちの様子、分別処理に課題を残している廃棄物処理の拠点、モルディブでもここにしかない島内の淡水湖と、自然観察ビジターセンターの視察、市内の高校(GNアトールエデュケーションセンター)における「科学・環境クラブ」の活動の様子と、高校生たちの環境保全にまつわる意見交換。
極めて貴重なフォームラクの自然環境、危機が着実に忍び寄っている海岸線の状況、そうした現状を踏まえた高校生たちの研究や実践の活動。そして、「いずれは環境系のエンジニアになりたい」とまっすぐな瞳で語る高校生たちの姿勢に、とても感銘を受けた。
フォームラク市職員らと昼食後、着替えて漁港へ。ここから出る漁船に同乗し、疑似餌を結び付けた長いテグスを曳いて魚を捕る漁に同行。大きくうねるインド洋の沖合では、イルカの大群の歓迎を受けた。それにしても、満ち潮になれば軽々と防波堤を越えてくる大波に、「沈みゆく国」の現実があった。
夕刻、島内での行程でずっとご一緒されてきたイスマイル・ラフィーク市長のご自宅にご案内いただく。庭先にはマンゴーやパッションフルーツがあり、家族との愛情に満ちた素敵なご家庭で、令夫人手作りのお菓子などを頂いた。市役所職員の勤務時間は朝8時過ぎから午後2時までとのこと、ワークライフバランスは何ともうらやましい。
夜は、ホテル近くに近日中にオープンするというフォームラク市の特産品などを紹介する「オーセンティック・フォームラク」にて、私たちを見送るささやかな集いが催された。福祉施設などで作られている手工芸品など、フォームラク産の手作り品が並ぶ店内で、市職員から熱心に説明を受けた。別れ際に、私から感謝の言葉を述べ、再会を願うと締めくくった。
正味二日間足らずの短い時間であったが、小田原との交流に強い意欲を示している市長を中心に、島内各所の視察や交流はとても周到に準備され、また温かな受け入れと和やかで率直な意見交換、今後に向けての連携の意義などがしっかり確認できた、実り多き滞在となった。フォームラク市とは、何らかの形で交流ができるよう、これから検討を行っていきたいと考える。