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2026年07月14日(火)

モーツァルトプロジェクト Vol.5を聞いて

2026年4月5日(日)14時開演
小田原三の丸ホール大ホール
聴衆:500名
モーツァルトプロジェクトとは
「河上隆介氏の指揮でモーツァルトを演奏したい」と、関東一円などから集まったメンバーで結成される、一期一会のオーケストラのこと
モーツァルトプロジェクトモーツァルトプロジェクト
最初に
 全体を通して、このアマチュアによる壮大なプロジェクトの成功をお祝いします。それぞれのメンバーが、仕事とこのプロジェクトを両立させるための真摯な努力により紡ぎ出された音楽に感銘を受けました。音楽におけるアマチュアの有り様、音楽を楽しむ姿、そして、その空間を共有した二人のプロフェッショナルに感銘を受けた演奏会でした。
1.ヴラニツキー:交響曲ニ長調 作品52
 私は初めて聞く作曲家で、現在、この作曲家の曲に触れる機会はほとんど無く、モーツァルトとベートーヴェンの狭間の時代に、それぞれの影響を受けながら書かれた曲だとプログラムの解説で述べられています。いわば、「モーツァルトとベートーヴェンの作風を合わせた曲」とAIに指示して出来たような曲でした。オーケストラは、この知られざる曲に果敢にも挑戦したのですが、曲そのものが地味な印象に加え、最初のステージの緊張感が伝わる演奏でした。
2.モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番 K.466
 さてピアニストの森田由子さんを迎えてのこの曲は、「モーツァルトプロジェクト」と銘打った、このコンサートの主役となる曲です。最初の曲からの不安な予感を打ち消して、この曲の出だしは、別人のような透明感があり、本日一番の名演でした。プログラムの解説によると、この曲が一番好きというオーケストラのメンバーが多いとのこと。その曲への愛情がにじむオーケストラと、森田さんの繊細で、かつドラマチックなピアノが、河上マエストロの指揮の下、一体となり、三の丸ホールの大ホールもその高い天井で倍音を響かせ、応援していました。

 アンコールは、森田さんが再度登場。意表を突いた「We are the World」のピアノソロが、しみじみと会場に響き渡りました。最近の世界情勢を思い起し、この曲が世界の人々への架け橋となり、平和な世界が戻ってきて欲しいと願いました。
​3.ベートーヴェン:交響曲第4番
 この曲は、モーツァルトを演奏するために集まったこのオーケストラにとって、挑戦しがいのある作品だと思われます。ベートーヴェンは、かの有名な「第5番:運命」に辿り着くための習作として、この4番の交響曲を書いたのかもしれない、と言われるほど、様々なチャレンジを試みたようです。そのため、それが完成形となった「第5番:運命」よりもこの交響曲4番はかえって難しいのかもしれません。

 しかし、河上マエストロの指揮で、最初の弦の音色がホールの高い天井に響いた瞬間に、そのような心配を超えて、管楽器と弦楽器の掛け合いも息が合い、「第5番:運命」のための習作ではなく、モーツァルトを脱却してよりエネルギッシュな世界を目指したベートーヴェンの音楽が展開されました。流石に、この多彩な3曲にチャレンジした結果、後半は少し疲れたところも見受けられましたが、アマチュアの演奏会とは思えない素晴らしいものでした。
おしまいに
 指揮者の河上氏は、全6回の練習に全て参加され、ピアニストの森田さんは、4回も参加され、万全の準備を重ねた演奏会と伺いました。お二人のプロフェッショナルのご指導の下、たった6回の全体練習で、この3人の作曲家の音楽に挑み、この見事な本番を迎えることが出来るのは素晴らしいことと思います。オーケストラのメンバーは、それぞれが所属する団体でリーダーの様な役割を果たしておられる方々ばかりとは言え、アマチュアと一括りにするのは違うのかも知れません。
 音楽に対する姿勢から見たときに、プロとアマチュアとの境界線は何所にあるのか、と一瞬考える機会をいただいた演奏会でした。
記:しげじい

2026/07/14 09:06 | 音楽

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