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2017年08月10日(木)

外国人にとっての神道 報徳二宮神社で英語ガイド研修

小田原英語ガイド研究会は、UMECOで隔週木曜日に集まって、小田原とその周辺の英語ガイドをブラッシュアップする会。2017年7月27日(木)35度の日が続いたあと戻り梅雨かと思うような雨、報徳二宮神社でのガイド研修会の開催が心配されたが、当日はうす曇りながら格好のお天気となった。

この日、研究会ではメンバー10人で報徳会館のジュディス・レンヘル(Judith Lenherr)さんを訪ね、報徳二宮神社の案内を英語でしていただいた。レンヘルさんは、4年前スイスから留学生として来日し、二宮尊徳の思想や業績を学び神道にも造詣が深い。今ではローカル・ジャパンのプロジェクト・マネージャーとして報徳会館を拠点に小田原・箱根の海外への観光プロモーションに活躍している。日本語も堪能。

■日本の神様と西洋の神との違い
研修会は、10時からの開始で、鳥居、狛犬、尊徳像、金次郎像、手水舎、本殿、お札授与所へとめぐり、最後にレンヘルさんを囲み意見交換会を行った。研修ツアーは、すべて英語で、レンヘルさんの解説や参加メンバーへの問いかけやアドバイス、メンバーからの質問など、ふつうの観光案内とは違う実り多いものとなった。レンヘルさんは、日本を訪れる外国人は異なる文化にあり、神道を必ずしも日本人のように日々の生活の中で受け入れているわけでないので、日本の(多神教の)神様は、西洋の(唯一神)ゴッドとは違っているなど、感覚的に理解できないところもあると説明する。

■英語でガイドするときのアドバイスも
参加者のひとり、市川雄二さんは「レンヘルさんは、『神道と仏教の違いをどう捉えるか』と問いかけた。『神道はその起源となるものが、自然や神や人であり、その境界は曖昧なところもある』とレンヘルさんは言う。また、参加者から、仏教は象徴となる仏像といった彫像があることが特徴的ではないかという答えもあった。二宮尊徳と金次郎の二体の銅像の前では、農政家としての尊徳翁の功績や幼少時代の逸話など英語での解説を興味深く聞いた。ご本殿にはふたつの御扉(みとびら)があって奥の御扉の内は神域となっているのも初めて知った」と言う。
また、同じく野地修さんは「レンヘルさんは『海外の人には、重要なポイントをシンプルに説明するのがよい。例えば、神道と仏教の違いは、日本古来の自然信仰の神道に対して、仏教は伝来したもので仏陀の教えを信仰するなど。二宮尊徳と金次郎の銅像の前では、日本人には馴染みでも両方の呼称を使って説明すると外国人は混乱するので、いずれかを中心に説明するとよい。二宮尊徳は、農業や農村と結び付けて話すようにしている。神道の神様の英語表現においては、Godよりspiritやdeityがよく、手水で浄めるのはpurifyを使う。狛犬は、魔除けと説明している。参拝はprayではなくgratitudeとしている』など、レンヘルさんのアドバイスには、英語で案内するとき成程と思うところがたくさんあった」と感想を述べる。

■八百万の神の系譜は覚えられないー英語でフリーディスカッション
境内の庭でコーヒーを飲みながらレンヘルさんを囲んでのフリーディスカッションは、様々な話題で盛り上がった。神話にある八百万の神の系譜の複雑さ、小田原・大雄山・箱根を辿る観光コースの提案、海・山・歴史・人・魚などの小田原の観光資源、箱根旧道の魅力、芦ノ湖の海賊船などなど。神道が生活であり文化としてしまっている私たち日本人が英語で観光案内をする場合、ともすれば自分と同じ感覚で海外からの訪問者を案内していないか、また、あまりに日本的なものに拘るあまり説明的になっていないかという示唆も得られた。

レンヘルさんからのメッセージ: 神道の精神を伝え文化を伝える
Even a feeling of Shintoism will explain a lot of things about the culture itself

“In Japan it is natural to understand Shintoism in its different aspects. But for foreigner this nature religion is hard to understand. It needs carefully used words to give them a feeling, of what Japanese people feel in their daily life which is surrounded by Kamisama. There is not much time to explain it to its fullest, but giving people just a glimpse of its philosophy, opens the eyes for other things while traveling through Japan or even while living in this beautiful country. The project “Local Japan”, which is a project of the Hotoku Kaikan – Hotoku Ninomiya Shrine wants to build bridges between people. Giving people who doesn’t speak Japanese access to something, which let them expand their horizon. Even by only getting a short feeling of what Shintoism is, will explain a lot of things about the culture itself. “

(日本人が当たり前と思っていることでも外国人からみると理解が難しいことがあります。神様によって囲まれた日本人の日常的な感覚や思想を短い時間ながら伝えたいと思います。報徳会館(報徳二宮神社)のローカル・ジャパンのプロジェクトでは、日本語を話さない国々の人々に、神道の何であるかを知ってもらうことで、日本の文化そのものを知る橋渡しをしたいと思っています。)


(ゆきぐま記)

小田原英語ガイド研究会
曜 日 第2/第4木曜日 10:00-12:00 
場 所 UMECO 
連絡先 市川雄二 090-2214-0247
 
Ms.Judith Lenherr
Project Manager Local Japan (ローカル・ジャパン)
Hotoku Ninomiya Shrine-Hotoku Kaikan
Jonai 8-10, Odawara 250-0014
Phone: 0465-23-3246  Website: http://www.local-japan.jp

2017/08/10 10:37 | その他

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