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2019年06月17日(月)

西湘春秋会 書作展

西湘春秋会 書作展西湘春秋会 書作展 西湘春秋会主催、書道春秋社後援の『第30回書作展』は、令和元年5月24日(金)~5月26日(日)の午前10時~午後5時まで、小田原市民会館2階展示室にて開催されました。この会は、『書道春秋社』に在籍した各支部長を軸に昭和60年に設立された、書を通じ研鑚を重ねると共に親睦を深める目的の小田原地方書道団体です。第1回目の書作展は平成2年に開催され、展示会の特徴は、皆さんが書きたい作品を出展するため、過去には独自の書風で、歌謡曲の歌詞を書にして出展されたというエピソードも残る書作展のようです。
 紹介作品は軸装(掛け軸)写真ばかりになってしまいましたが、四季を感じられ、書体は変化のあるものに絞ってみました。

光風霽月(写真:右)光風霽月(写真:右)光風霽月(こうふうせいげつ)
意味:雨後のすがすがしい風と月
 作品は絵画的に書きたかったそうで、文字の風の造形が好きなことから、『風』をメインにし、上から二文字目に目線をもっていける、漢詩『光風霽月』を選んだそうです。書と向きあう時は、「常にデザイン(布置)を考えて書いています」と、作者の談。

 書道歴半世紀、四半世紀以上の先生方から、「臨むのは難しい」と声が聞かれる作風です。

楚中秋思(写真:右)楚中秋思(写真:右)楚中秋思(そちゅうしゆうし)
読み:
日長沙に落ち楓樹紅なり、断猿啼く処
暮雲の空知る可し昨夜郷開の夢
身は寒猿万点の中に在り

 書体の『篆書』は最後の作品(心意気)だと思い、今までの草行書作品とは変わったものを試み決めたそうです。一文字目の楚の文字の、尾長鶏の尾が垂れたような長い『かすれ』は、兼毛筆での運筆遅速の速で表現されたと作者の談。

 篆書は印章などに用いられることが多く、『古代文字』に分類され、最も息の長い書体と言われています。一見、象形文字を連想させられるような、漢詩『楚中秋思』の表現でした。

夏草や兵どもの夢のあと夏草や兵どもの夢のあと夏草や兵どもの夢のあと(なつくさやつわものどものゆめのあと)
意味:松尾芭蕉(江戸時代前期)の俳句『奥の細道』より。細道のはて訪れた平泉は、平安時代末期、奥州藤原氏の本拠地でした。高台に立つとそこには往時の栄華はなく、旧跡は田野がひろがり夏草が生い茂る。芭蕉は儚さを思い『国破れて山河あり、城春にして草木深し』という、杜甫(中国成唐の詩人)の句を思いながら、高館に笠を下し詠んだ句。

 書体は『かな』、白い半紙に映える黒墨の文字、「黒墨の濃淡を味わいたい」と作者の談。

 尚、この作品は今年度の出展ではなく第28回の出品作ですが、「今の季節に相応しく思い」紹介させていただきました。句は私たちにも馴染みがあり、書は筆の緩急、抑揚などで表され、まるで時代が甦るようで、「儚さを目の当たりにしたような」感情移入のしやすさは未だに心に残ります。

 制作者は高校生から80歳代の方々で出品数32点ほど、3日間の来場者は149名。会場で偶然一緒になった私の友人は、「ここには、いろいろな個性の作品がありすばらしい。」、「一点一点の個々の思いを堪能させてもらった」と、感想を伝えてくれました。

(MOKO 記)

2019/06/17 13:12 | 美術


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