芳澤さんと作品9月11日、今年の夏に募集のあった新市民ホールの緞帳デザイン原画最優秀賞賞状授与式の取材をさせていただきました。
緞帳デザインについては、市民参加を、との加藤市長のご意向に端を発し公募となりました。緞帳はホールの顔であり、設計の重要な一部でもあるので「公募で大丈夫だろうか」という危惧もあったそうです。
しかし、22点の応募作を6点に絞った後、満場一致で決定したのが、この芳澤さんの作品だったとのこと。
銀箔地にとりどりの色彩の日本画材で海、森、川、山、そして人が抽象的に描かれています。「抽象画だが、見ているうちに本当に海や川が浮かんでくる、小田原らしさが感じられる」と市長も絶賛。設計の環境デザイン研究所からも「ホールの顔にふさわしい作品」と太鼓判で。見ていると私たちのホールなのだ、とじんわり来ます。
受賞者の芳澤一夫氏は市内在住の第一線の日本画家で、自治体の周年記念や教科書、CDジャケット等にも作品が数多く採用されていますから、作品をどこかで見たことがある、という方もおおいのではないでしょうか。小田原ではアークロードのステンドグラス、北原白秋の道の歩道タイル等が芳澤さんの作品です。
そのご経歴等から近寄りがたい方かと思っていたのですが、「絵を描くときは『希望』を信条としている」という思いや、喜びを素直に語る優しい笑顔の方でした。
募集開始が6月で、締め切りが7月末。
短い募集期間なので、アイディアが出なかったら応募はあきらめようと思われたそうですが、7月中は他の仕事もせず原画制作にかけ、会心の作を応募なさったそうです。
作品中にたくさんの丸が描かれていますが、これはひとつひとつが小田原の市民だったり、小田原を訪れた人であったり、市民の活動であったりとのことで、丸を描いているときがとても楽しかった、いつまでも描いていたかったそうです。
ホールが芸術文化の発信基地となり、希望に満ち多くの人が集う場、こどもたちが育っていく場になってほしいと熱く語られました。