【連載】ぼくの・わたしの 自然観察日記

ぼくの・わたしのまちには、森里川海、春夏秋冬、自然がいっぱい。
小田原の自然を観察したよ。

~川・春編~

ウグイ

ウグイ

 小田原の川には、アユやウグイなどの魚以外にもいろいろな生き物が生息しています。酒匂川沿いに広がる草地には、アオサギやコチドリ、セッカなどの鳥類、ツチガエルなどの水辺を好む両生類、ハグロトンボやヒメガムシなどの秋に見られる昆虫類をはじめ、ネコヤナギやチガヤなどの背の高い植物も住んでいます。酒匂川の河口部を見ると、市の鳥であるコアジサシが好んで巣を作っています。
 市のほぼ中央を流れる酒匂川は、森、里、海をひとつらなりにつなぐ役割だけでなく、その周りに砂地や草地などさまざまな環境を生み出します。他にも山王川や早川など、小田原にはたくさんの川があり、森や里、そして海とつながり、魚、鳥、昆虫などのいろいろな生き物の大切な すみか となっています。これからも生き物のための環境を大切に守っていきたいですね。
ツチガエル

ツチガエル

アオサギ

アオサギ

自然環境クイズ

川から海へ下り、大型化するとサクラマスと呼ばれる淡水魚は、次のうちどれ?
  • (ア)ヤマメ
  • (イ)イワナ
  • (ウ)ニジマス

答えと解説

答え:ア(ヤマメ)
解説:ヤマメは、河川では水生昆虫などの小動物をエサとしています。
   小田原の川では、酒匂川や早川で確認することができます。

~海・冬編~

ハマヒルガオ

ハマヒルガオ

 小田原の浜辺にも、天然のお花畑があるのを知っていますか!? 酒匂川河口には、ハマヒルガオ、ハマダイコン、ハマエンドウなどの海浜植物が美しい花を咲かせる海浜植物帯があるんです。砂浜は、乾燥しやすく、栄養が乏しい上に波のしぶきが直接当たる厳しい環境です。
 しかし、海浜植物は厳しい環境でも生きていける特殊な能力を持っています。例えば、湿った砂の中に根を何mも張って、水分を吸収したり、強い風にも耐えられるよう、背の低い植物が多いのも特徴です。多少海が荒れても波が被らないよう、奥行きのある砂浜が必要です。
 このような天然のお花畑をいつまでも見られるように、砂浜もお花畑も大切にしていきたいですね。
 海岸に面した砂浜は貴重な自然で、砂浜特有の植物が自生しています。海岸から沖合いに約10kmで水深1,000mに達する相模湾は、日本三大深湾※の一つです。多くの魚種が集まりやすく、地形を生かした定置網漁業が有名です。
※日本三大深湾…駿河湾、相模湾、富山湾
ハマエンドウの花

ハマエンドウの花

ハマエンドウの実

ハマエンドウの実

自然環境クイズ

風で飛ばされてきた砂が積もり、海浜植物が埋められてしまったらどうなるの?
  • (ア)すぐに枯れてしまう
  • (イ)砂が吹き飛ばされ、再び地上に現れるまで、何年も枯れずに耐える
  • (ウ)埋もれた砂の中から上へ生長させ、砂の上に芽を出す

答えと解説

答え:ウ(埋もれた砂の中から上へ生長させ、砂のうえに芽を出す)
解説:海浜植物は、風で飛ばされて積もった砂に埋められてしまっても、
   すぐに地下茎を新しく上に生長させ、地上に新しい芽を出します。

~森・秋編~

ヤマガラ

ヤマガラ

森の野鳥は木の実が大好き
 秋になると落葉樹の葉が色づき始め、森は赤や黄色、そして常緑樹の緑色も交じってカラフルに変身し、私たちの目を楽しませてくれます。同時に、実をたくさんつけ、そのおいしい実を求めて野鳥たちがやってきます。メジロはガマズミの赤い実、ヒヨドリはクスノキの黒い実を好みます。そして、ヤマガラはエゴノキの実が大好物。森を歩いていて「ニーニーニー」という声が聞こえたら、見上げてみてください。エゴノキの実を食べるヤマガラの姿を見ることができるかもしれません。
 野鳥に食べられ消化されなかった木の実は、野鳥によって遠くへ運ばれ、ふんとともに地面に落ちて、やがて芽を出します。森の木と野鳥は、助け合って生きています。
小田原の森
 小田原の土地の約4割を占める「森林」。市の西側には、箱根の標高1,000m級の山々から連なる山地があります。スギ・ヒノキの人工林や二次林※が多く、特に片浦地区や久野地区には多くの動植物が存在する貴重な森林環境が保たれています。
※人の手による伐採や風水害、山火事などで森林が破壊された跡に、土中に残った種子や植物体の生長などにより成立した森林
エゴノキの実

エゴノキの実

自然環境クイズ

ヤマガラは巣に3~8個の卵を産みますが、どうやって産むのでしょうか?
  • (ア)一度に産む
  • (イ)毎朝1個ずつ産む
  • (ウ)毎日2~3個産む

答えと解説

答え:イ(毎朝1個ずつ産む)
解説:全部で卵を7個産むとすると、ヤマガラは毎朝1個ずつ産むので全部産み終えるのに7日間かかります。全ての卵を産み終えてから親鳥は卵を温め始めます。14日ほど後にはヒナがかえります。そしてヒナは親鳥から青虫などの食べ物をもらって巣の中で成長し、17日ほど後には巣立っていきます。ヤマガラは木の洞(ほら:キツツキがあけた穴など)の中に巣をつくります。しかし、森の中に洞のあるような大きな木は少なくなってきています。そこで、洞の代わりとなる巣箱を木にかけてあげることで、ヤマガラの子育てを応援してあげることもできます。
ヤマガラの巣の中の卵

ヤマガラの巣の中の卵

~里・夏編~

ナツアカネ

ナツアカネ

田んぼにはなんでトンボが飛んでいるの?
 市内にある田んぼでは、赤トンボが群れ飛ぶようすを観察することができます。まさに童謡「赤とんぼ」のような風景ですね。なぜ、トンボは田んぼに飛んでいるのでしょう? 私たちにとって田んぼは、稲を植えてお米をつくる場所ですが、トンボ、カエル、メダカなどの“里”の小動物にとっては、おうちを作って住んだり、卵を産んで子どもを育てたりする場所なのです。だから田んぼにはトンボなどがいっぱいいるのですね。
 水のある田んぼには、トンボやカエルたちが大好物のウンカやユスリカといった小さな小さな虫がたくさんいるので、田んぼに来て、おなかいっぱい食べて、卵を産んで、ヤゴ(トンボの幼虫)や、オタマジャクシ(カエルの幼生)になって命をつないでいます。
小田原の里
 小田原にある自然環境の一つ「里」。田畑や丘陵、梅やみかんの果樹園が広がる「里」は市の北部から東部に多くあります。宅地化や乾田化などにより、ここ40年ほどで大きく環境が変化していますが、今でも心のふるさとになるような昔懐かしい風景が見られる場所でもあります。
里の風景

里の風景

自然環境クイズ

冬は田んぼに水がないけど、ナツアカネは冬の間、どこで暮らしているの?
  • (ア)暖かい東南アジアへ渡ってる。
  • (イ)乾いた土の表面で卵のまま耐える。
  • (ウ)幼虫のヤゴになって泥にもぐる。

答えと解説

答え:イ(乾いた土の表面で卵のまま耐える)
解説:ナツアカネ等の田んぼで暮らす主な赤トンボの卵は、なんと!乾燥に耐えられるので、卵のまま春を待ちます。田植えのために水田に水が入ると、孵化して幼虫のヤゴになります。一方、青いトンボのシオカラトンボ属は、夏に産卵しヤゴで越冬するので、田んぼの凹みなどの水溜まりや湧き水で越冬します。水溜まりも大事な越冬環境なのです。
シオカラトンボ

シオカラトンボ

シオカラトンボ

シオカラトンボ

情報提供
海・冬編、里・夏編:伊豆川 哲也さん(おだわら環境志民ネットワーク理事)
森・秋編:畠山 義彦さん(おだわら環境志民ネットワーク会員:畠山環境技術士事務所)

この情報に関するお問い合わせ先

環境部:環境政策課 環境政策係

電話番号:0465-33-1472

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