歴史資料・紙本着彩小田原城絵図 享保図
紙本着彩 小田原城絵図 享保図 1幅(市指定 昭和56年3月30日)
【所有】 個人
【所在】 東町
【形状】 紙本着色5色 82cm×78cm 軸装
【概説】
この絵図は、故江口玄亮氏が購入し所蔵したもので、延宝図(城下町図)から三の丸以内だけを大きく写し取ったもの(城内図)です。
この絵図も城修復願いの図で、享保19年(1734)の洪水で受けた被害を修復したいと、大久保出羽守が幕府に願い出た事が書かれ、42箇所の被害箇所をマークし、引き出し線で余白に状況を記入しています。
最近、この図と同系の絵図が2点発見されました。1点の絵図には洪水箇所に2種類の張紙がしてあります。張紙1種には、「寅ノ年伺イ」の字があるため享保19年(1734)のものらしく、もう1種の張紙は被害内容が書かれ元文頃(1736〜1740)のものと思われます。この図は、たぶん普請や作事に使われた城内図でしょう。
残る1点の絵図は、宮内庁が所蔵しており、嘉永6年(1853)の修復願で享保図と同じような描き方です。
なお、享保図には城米曲輪の場所に用米曲輪と記されていますが、これ享保15年:(1730)に幕府勘定所から「所々城詰城米を用米と改称するように」と通達が出ているためでしょう。
また、この写図が郷土文化館にあります。