「史跡小田原城跡御用米曲輪 北東土塁の植栽管理の実施計画」を
策定しました

史跡小田原城跡御用米曲輪の植栽の取扱いについて

平成23年度より継続して実施している史跡小田原城跡御用米曲輪の整備では、曲輪としての本来の形を明確にすることで、市民や来訪者が小田原城の歴史を深く理解できるようにするとともに、史跡としての歴史的価値を高めることを目的としています。また、御用米曲輪の土塁部分には樹叢として多くの樹木群があり、この緑地を活かした、「史跡と緑の共生」を実現するための整備計画が求められています。

御用米曲輪の北東土塁には、発掘調査で江戸時代の土塁とそこに存在する3棟の蔵跡が確認されました。しかし、その上にはクスノキが生えており、樹叢を形成するとともに、市街地との遮蔽効果などをもたらしている反面、遺跡を破壊している状況にあります。

そこで、「史跡と緑の共生」を考える上で、遺構の保護と樹木の取扱いの方法を課題とし、植栽専門部会で継続して議論を行い、北東土塁の植栽管理の基本方針と平成25年度に行う第1段階実施計画をまとめました。 

1 基本方針

「史跡と緑の共生」を実現するため、次のような方針をもとに実施計画を策定しました。

  1. 遺構の保全を図り、北東土塁上とその周辺の植栽を健全で快適な環境となるように改善し、継続した管理を行う。
  2. クスノキの過密な生育環境を改善するとともに、根張りなどによる蔵や土塁などの遺構への影響が軽減される状態にしていく。
  3. 樹木群を一体的に考え、市街地に対する一定の遮蔽効果や緑の環境を整備していく。
  4. 植栽管理を実施した5年後、10年後のイメージを想定し、植栽全体としても、史跡の遺構保全・史跡の景観としても現状より大幅に改善されるものとする。
  5. 景観の急激な変化には一定の配慮をし、樹木群について、よりよい緑の環境に生まれ変わらせる方向性で実施し、その成果を随時検証して整備していく。
  6. 早急に対策が必要な樹木について伐採や枝下しを行う。
  7. 植栽管理により創り出そうとする景観のイメージの周知に努める。

2 第1段階実施計画(平成25年度)

北東土塁上のクスノキについて、8本を伐採する。蔵周辺を主体とし、遺構への影響が大きいクスノキと生育不良のクスノキを対象とします。

その他のクスノキについては、全体を現在の4分の3程度の高さを成長の上限として、樹木ごとの状況を考えながら概ね3分の2から2分の1程度の高さまで詰める。合わせて枝下しを行うことにより、起伏ある健全で良好な生育を促すとともに、伐採されたクスノキの間を埋める形で枝葉が生育することを狙います。

これらの伐採と枝下しを行うことにより、光を入れて地被植物の生育と北側法面の樹木のよりよい生育とをもたらす効果を狙います。

北側法面の樹木については、良好な生育をもたらすために全体の枝下しを行う。それとともに、発掘調査成果に基づき遺構への影響を配慮した上で、定めたゾーンにおいて、市街地の遮蔽効果を確保するため、常緑樹などの補植を行います。

また、低層部の遮蔽については、竹垣や塀などの構造物を設置するなど、樹木以外の方法で補うことも検討します。

3 第1段階実施後の対応

大枠の考え方は(1)及び(2)のとおりとなりますが、第1段階実施の効果や状況を植栽専門部会において検証して議論を行い、今後の具体的な対応内容は改めて検討していきます。

(1)当面の対応

第1段階実施後の状況を観察、検証しながら、土塁遺構への負担を軽減する方向で枝下しや根切り、伐採等と補植を行っていきます。

(2)中長期の対応

北東土塁上のクスノキは、土塁や蔵跡への影響を与え続ける存在であることから、経過を観察しながら、随時剪定や根切り等を行い遺構への影響を最小限にする措置をとります。

この情報に関するお問い合わせ先

文化部:文化財課 史跡整備係

電話番号:0465-33-1718

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