小田原藻場再生活動組織との懇談会
【令和7年10月9日開催】

 開催概要
開催日
令和7年10月9日(木)
場所
江之浦海業センター
参加者
小田原藻場再生活動組織 9名
テーマ
小田原藻場再生活動組織として活動するにあたっての現状と課題
小田原藻場再生活動組織10名と市長・経済部の写真
小田原藻場再生活動組織とは
片浦地先に存する藻場の地域資源の維持・回復を図るための活動を実施している団体です。
台風や食害によって磯焼けしてしまった小田原の海に豊かな藻場を取り戻すため、母藻の放流や食害生物の駆除等を行っています。
今回は、小田原藻場再生活動組織から9名の方にご参加いただきました。

「小田原藻場再生活動組織として活動するにあたっての現状と課題」
参加者の皆さんから出たご意見 

藻場再生活動組織の活動

カジメ放流の様子
・我々の活動が始まったのは2022年6月1日。一番の問題は食害だったので、食害を防ぐため、魚が中に入り込まないようガードした形で母藻を水中に入れたらどうだ、という話から始まった。それが藻場再生活動組織のはじまりだった。
・上にかご、下にコンクリートがついている藻場礁の中にカジメの種苗を入れている。かご部分は食害生物から種苗を守るはたらきがあり、500㎏近くあるコンクリート部分には藻場の再生に役立つアミノ酸が入っている。
・1年目、2年目とカジメの再生が見られないなか、去年、自生したカジメがようやく確認できるようになった。我々が藻場礁を設置した場所から胞子(遊走子)が飛んで、周囲の消波ブロックに自生した個体が見られた。
・消失した藻場に再生されたカジメは、全国でもほとんどと言っていいほど確認できていない。自生したカジメが見られたことで、今までやってきたことは間違いではなかった、方向性としては間違いなかったと感じることができた。活動になかなか効果が見られないなかで「海の根本的なものが駄目なのではないか」と考えることも多少あったが、自生したカジメを見て、やはり頑張って、諦めずにやれば、このような自生したカジメもついてくるのだと思えた。
・残念ながら、10機入れて、1か所以外はまだ自生したカジメが確認できていない状態。引き続きチャレンジしていく。
未定
・かご状のものの他に、スポアバックというものも活用して藻場再生を行っている。これは我々が手で持ち運ぶことができる。
・生分解性かつ自然素材で作られた袋に、種を飛ばす段階まで成熟したカジメと、アミノ酸やフルボ酸を含ませてあるコンクリートの重りを入れて海底に投下している。魚が入れないくらいの穴が開いているので、そこから胞子(遊走子)を飛ばすような仕組みになっている。
・袋部分は海に溶けてゴミにならないし、非常に簡単に放流できるので、1回の放流につき200袋ほど海に入れている。

海底の現状について

・簡単に言ってしまうと、小田原全体の藻場は壊滅状態。磯焼けになってしまって、ほとんど海藻がない状況。
・できる限り再生させようと努力はしているものの、なかなかうまくいっていない。
・生息する魚の種類が結構変わってきてしまった。
・餌(海藻)がなくなって、アワビなども弱ってしまった。岩から剥がそうとすると、貝柱が弱くなったためにカラだけとれてしまうこともあった。うまく取れたとしても、アワビ自体がやせ細ってしまっている。おかしいなと思っているうちに水中がアワビのカラだらけ。そうして自然といなくなってしまった。
市長
【市長から質問】
皆様がた、昔の海のことはよくご存じでしょうけど、どんな状況だったのかお話を聞きたいです。以前はカジメなど、海藻はびっしり生えていたんですか?
未定
・2010年ごろは海藻がたくさんあって、そこにはアワビやサザエがいっぱいいた。
・石の形がわからなくなるぐらいカジメがびっしり生えていた。素潜りをしているとき、岩が見えなかったくらい。
・ダイバーの目安としてガイドロープがある。今ではちょっともったいないが、それを張るのにカジメなどの海藻を多少刈らないと通れないような状態だった。海藻が増えてくるとダイバーに絡まって危ない状況になるので、海藻を刈る必要があるくらいの豊かな海だった。

藻場壊滅の要因とは

~台風の影響~

未定
・江之浦の港の前に設置した藻場礁について、残念ながら台風で破損したところもある。
・大雨が降ると川から土砂が流れて、それが岩の上に降り積もるような状況になってしまう。それがさらに育成を阻害しているのではないか。
・台風後には、多くのカジメが打ち上げられていた。
市長
【市長から質問】
皆さんがおっしゃったような変化要因について。台風や川からの土砂の流入などが絡んでいると思うんですが、何か劇的に変わっていった局面はあるんですか?
懇談会写真
~水温の上昇、食害生物~
・2019年の台風で、それまでになんとか残っていたカジメもほとんど飛んでしまった。わずかに残ったところを集中的にブダイなどの食害生物に食べられて、一気に壊滅状態になってしまった。
・水温が高いおかげで、食害生物は1年中元気な状態。冬も水温が下がらない。本来であれば冬場に食害されずにカジメが増えていくはずのところを、増える前に一気に食べられてしまった。

食害生物について

・ブダイは「普段の漁業のついでに駆除も一緒にできればいいな」という感覚でやっても、なかなかうまくはできない。駆除のためだけに時間を費やさなければ難しい。ブダイは昼間に活動して、夜は寝てしまう。昼間に網をかけないとうまく駆除ができない。通常は早朝に網を上げてしまう。
・片浦の海にはムラサキウニがたくさんいる。中身が入っておらず、我々漁業者としても商売には向かないもの。しかし、放っておいたらどんどん海藻を食べてしまって、どんどん増えていく。そのため人力で、潜って駆除をしている。
・食害生物から避難させようとして水深が浅いところに種苗を置くと、夏までの高水温で成長しているカジメが溶けて枯れてしまう。だから浅いところでの育成はできないが、水温が低いところを目指して水深が深いところに出していくと、今度は食害生物に食べられてしまう。育成する場所の設定が難しい。
懇談会写真
出前授業、利活用について
・藻場再生活動組織として活動を始めた1年目の時、早川小学校で藻場再生活動について出前授業を行った。組織発足から1年に1回、そういった場を設けている。
・小田原短期大学にも出前授業をさせてもらった。その際、我々が漁獲したブダイを使った梅タルフィッシュサンドを作ってもらい、学園祭で販売していただいた。
市長
【市長コメント】
市民の方が藻場再生の活動に協力する、というのは難しいことであるとは思うのですが、やはり我々大人が「当たり前に食べている魚介類が暮らしている海は今、このような状態になっている」ということを若い世代に知らせていかなければならないと思っています。
皆さんのお話を伺っているうち、市民の理解を得て、市民と協力して行えることがないかなと考えました。
懇談会写真
今後の活動、市政に期待することについて
・食害生物に食べられたとしても、藻場の中に新しいカジメをどんどん入れていく。それを繰り返しやっていくしかない。
・将来的には、食害されても大丈夫なくらい一気に増えてほしい。魚よりもカジメが増えてくるスピードが速い、食害される量よりも増えていくカジメの量の方が多い、その間隔で戻せば、昔のような豊かな海に戻すことができる。昔からブダイやウニ、アイゴなどの食害生物は必ずいた。すべて駆除するなんて絶対できないと思っているので、それに負けずに、諦めずに活動を続けていく。
・今、高温に耐えることのできるワカメの養殖実験をしている大学もある。ワカメは種が多く飛ぶので、小田原でワカメの養殖をするのも良いと思っている。
・我々漁師が台風対策をできるかというと、それは難しい。
・海底に岩礁地帯のような基礎がなければ、母藻を放流しても定着しない。投石による海底の基礎的な部分の整備については市に応援をしていただきたい。

小田原藻場再生活動組織の活動に興味のある方は、水産海浜課(0465-22-9227)までお問い合わせください。

市長の日記から(抜粋)

 強い風が吹き、海が大シケとなっている中、江之浦漁港へ。「市民と市長の懇談会」として、江之浦を拠点に海中の藻場再生に取り組んでいる皆さんと、現状について課題を共有し、藻場再生に向けた活動をご紹介頂くと共に、今後に向けて取り組むべきことなどについて意見交換を行いました。参加されたのは、漁師である野瀬晃治さんを代表として活動している「小田原藻場再生活動組織」の構成員の皆さん。活動の母体とも言える小田原市漁業協同組合の高橋組合長も同席頂きました。
 海水温の上昇などに加え、2019年の台風19号による被害、その後のブダイやウニによる食害などで、かつての豊かな海藻の森を失っている小田原の近海の海底。豊かな藻場を取り戻すことは漁業にも大きく貢献するため、その再生に懸命に取り組まれています。
 活動では、コンクリートの台座の上に金属製のカゴを組み立て、その中に胞子を飛ばすカジメ(海藻の一種)を入れて海中に設置、食害生物から守りながら周辺への藻場の拡大を目指しています。国・県・市からも補助を行い、この活動を支援しており、一部藻場再生の兆しも見え始めていますが、まだ時間はかかりそう。引き続き、市としても全面的に応援していく予定です。

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