
■共感の源泉は安定しない心のうち
不安な夕暮れの都市の風景。空の赤さは夕焼けか遠くのネオンか(左)。枯れかかった向日葵がドライフラワーにならずまだ土の上で命を保っている。恐ろしい心象を表現する作品だ(中央)。壊れた機械のようなモノから逃れようともがくヒトの影に絡み合う抽象画は、近未来の象徴か(右)。これら感覚の異なる3点は、いずれも入賞作品だ。作家が違えば当然ながら作品の持つ意味も異なる。同時に鑑賞者もそれぞれの感受性によって作品との交感のしかたも違ってくる。いっぽう、普遍的な感覚というものもあって、誰が描いても誰がみても同じ感覚が得られる。そういうとき、「不安」とか「恐怖」のようなネガティブな感覚をもった作品が印象に残る。共感とは、すなわち安定しない心のうちだろうか。